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ドローンに道路使用許可は必要か。警察庁通達は「原則として要しない」と書いている

公開 2026-09-04 更新 2026-09-04 読了 約9分

道路の上空でドローンを単に飛行させる行為について、警察庁の通達は「原則として、道路使用許可を要しない」と明記しています。しかも同じ通達は都道府県警察に対し、「道路使用許可が必須であるかのような誤解を与えることのないよう留意」せよとまで指示しています。 一方で、道路上での離発着や補助者の配置、立看板の設置については「必ず必要」ではなく、危険や交通の妨害となる「おそれ」があるかで要否を個別に判断するという整理です。 結論としては、一律に必要とは言えないが、所轄警察署への事前相談が確実、というのが公式の記述に即した答えになります。

よく見る説明と、公式の記載
この分野は制度改正が続いており、古い説明や条文上の裏付けがない説明が広く流通しています。この記事で扱う範囲について、実際の一次ソースの記載と突き合わせます。
よく見る説明道路の上空を飛ばすには道路使用許可が必要。
公式にはこう警察庁通達は「道路の上空において無人航空機を単に飛行させるという行為については…原則として、道路使用許可を要しない」としています。
出典 警察庁丁規発第97号(令和3年6月30日)
よく見る説明道路上での離発着には必ず道路使用許可が要る。
公式にはこう一律に必要とは書かれていません。「道路における危険を生じさせ、又は交通の妨害となるおそれのあるとき」に該当するかで個別に判断されます。
出典 同通達 第2項後段

結論の根拠:警察庁丁規発第97号

この論点には、国の統一見解が文書として存在します。 警察庁交通局交通規制課長通達「無人航空機に係る道路使用許可の取扱いについて」(令和3年6月30日 警察庁丁規発第97号)です。国土交通省航空局と協議のうえ発出されたもので、有効期間は令和9年3月31日までとされています。つまり本記事の確認時点で現行の通達です。

通達自身が、制定の背景として「無人航空機に係る道路使用許可の取扱いが統一されていないことが負担になっていると指摘されている」と述べています。都道府県警察ごとに扱いがばらついていたこと自体が、この通達を出す動機だったわけです。

補足:警察庁の道路使用許可の解説ページ本体には、ドローンへの言及はありません。ドローンについての記述は通達の側にあります。「公式ページに書いていないから決まっていない」という理解は誤りです。

通達の原文を読む

原則(第2項前段)

「道路の上空において無人航空機を単に飛行させるという行為については、当該行為のみをもって、道路における危険を生じさせ、又は交通の妨害となるとはいえないことから、原則として、道路使用許可を要しない。」

道路交通法第77条第1項は、道路における工事・作業(1号)、石碑や広告板・アーチ等の工作物の設置(2号)、場所を移動しない露店・屋台(3号)、祭礼行事やロケーション等(4号)を許可の対象としています。上空を通過するだけの飛行は、そもそもこれらに当たらないという整理です。

個別判断となる場合(第2項後段)

「他方、道路において、無人航空機の離発着、操縦及びこれらに付随する作業を行おうとしたり、無人航空機の飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起するための補助者の配置、無人航空機の飛行を周知するための立看板等の工作物の設置等を行おうとしたりする場合であって、当該行為が、道路における危険を生じさせ、又は交通の妨害となるおそれのあるときのほか、無人航空機を利用して、道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような撮影等を行おうとする場合については、その具体的な内容に照らし、周辺の道路交通状況等を勘案した上で、道路使用許可の要否を判断するとともに、当該行為の公益性と交通の妨害による支障とを比較衡量した上で、道路使用許可の可否を判断すること。」

ここで読み落としてはいけないのは、「要否を判断する」と書かれていて「必要である」とは書かれていないことです。しかも要件は「おそれのあるとき」であって、離発着という行為の存在自体ではありません。歩行者も車もほとんど通らない場所で短時間離陸させる行為と、幹線道路の路側で機材を広げて作業する行為とが、同じ結論になるとは通達は書いていないのです。

総務省ガイドラインも同旨

「道路交通法は車や人にぶつけるなど道路を通行中の車や人の交通を妨害することが明らかな態様で飛行させるものでない限り、ドローンの道路上空の飛行を禁止していない。」(総務省「『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」脚注)

切り分け表:どこからが個別判断か

行為公式にどう書かれているか
道路上空を単に飛ばすだけ 原則として許可不要(通達第2項前段に明示あり)
道路上での離発着・操縦・これらに付随する作業 要否は個別判断。「必ず必要」とは書かれていない。危険・交通妨害のおそれがあるかが要件
補助者の配置 同上(個別判断)
立看板等の工作物の設置 同上(個別判断)。加えて道路占用許可も要する場合がある
人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼす撮影 同上(個別判断)。これはドローンを使うかどうかを問わず、道路交通法第77条第1項第4号の問題
警察庁の道路使用許可の解説ページ本体 ドローンへの言及なし(記述は通達の側にある)
道路の上空を通過させるだけか、道路上で何か作業をするか
通過させるだけ → 通達上は原則として道路使用許可を要しない
道路上で離発着・操縦・付随作業、補助者配置、立看板設置をする → 危険・交通妨害のおそれがあるかで要否を個別判断
立看板等の工作物を道路に置く → 道路法の道路占用許可も要する場合がある(窓口は道路管理者)
いずれにせよ、行為地を管轄する所轄警察署に事前相談するのが確実

警察庁が誤解を戒めている条項

この通達には、第4項に見過ごされがちな一節があります。都道府県警察に向けた指示です。

「都道府県警察のウェブサイト等において……掲載する場合には、無人航空機の飛行に際して、道路使用許可が必須であるかのような誤解を与えることのないよう留意するとともに、問合せ先についても明記すること。」(第4項)

つまり、警察庁は「必須であるかのように読める説明」をしないよう、警察自身に対して求めているわけです。道路上空の飛行にはもれなく道路使用許可が要る、という趣旨の説明がネット上に広く流通していますが、少なくとも通達の記述とは方向が逆になります。

同じ第4項は、自治体が独自の規制を設けている場合には参考となるウェブサイトや問合せ先を紹介するなどの情報提供に努めること、とも求めています。飛行地点の規制を調べる出発点として、所轄警察署や都道府県警察のドローン関連ページは実際に機能し得る窓口だということです。

道路使用許可と道路占用許可は別物

混同されやすいのですが、この2つは根拠法も窓口も違います。

道路使用許可道路占用許可
根拠道路交通法第77条第1項道路法
窓口行為地を管轄する警察署長道路管理者(国・都道府県・市町村)
ドローンとの関係上空を単に飛ばすだけなら原則不要。道路上での作業等は個別判断道路上に注意喚起看板等を設置する場合に要することがある

国土交通省の「ドローン飛行申請時の各種行政手続事例集」も、この点をまとめて次のように書いています。

「……道路の上空をドローンが飛行するということのみをもっては、現行制度上、道路使用許可を要しない。なお、道路上に注意喚起看板等を設置する場合には、道路交通法に基づく道路使用許可及び道路法に基づく道路占用許可を要する場合がある。」

実務でどう動くか

通達の記述を踏まえると、実務の組み立ては次のようになります。

  • 飛行経路の設計段階で、道路上に接地する行為があるかを切り分ける。上空の通過だけなのか、道路上で離発着や機材展開をするのかで、検討の重さが変わります。
  • 道路上で作業をするなら、行為地を管轄する警察署に事前相談する。要否は道路の幅員、交通量、時間帯、作業の規模といった具体的な事情に左右されます。判断の材料は現地の警察署が持っています。
  • 看板やコーンを道路に置くなら、道路管理者にも当たる。道路占用許可の側は窓口が別です。
  • 航空法の手続きは別建てで進める。道路使用許可の要否は、航空法の飛行許可・承認の要否とは無関係です。人口集中地区上空や第三者から30m未満などに当たれば、そちらはそちらで手続きが必要です。
必ずあわせて確認:「道路交通法上は原則不要」という結論は、土地・施設の管理者による民事上の禁止や、条例の一般条項に基づく運用上の禁止を免除するものではありません。実例として、東京都の都立公園では東京都立公園条例第16条第10号の「都市公園の管理に支障がある行為」という一般条項を根拠に飛行を禁止する運用が行われており、違反には同条例第25条により5万円以下の過料が定められています。道路に隣接する公園や河川敷から離陸させる場合など、道路以外の管理者が関わる場面では別途の確認が必要です。
あわせて確認したい規制:飛行地点が重要施設の周辺に当たる場合は、航空法とも道路交通法とも別に小型無人機等飛行禁止法が働きます。2026年7月14日に対象範囲がおおむね1,000mへ拡大されているため、市街地の道路上空では特に確認が必要です。

よくある質問

道路の上空を横切るだけでも道路使用許可はいりますか。
警察庁の通達は、道路の上空で単に飛行させる行為について「原則として、道路使用許可を要しない」と明記しています。ただし通達は「原則として」という留保を付けており、具体的な態様によっては結論が変わり得ます。
道路の路肩から離陸させる場合はどうですか。
通達は、道路上での離発着・操縦・付随作業について「道路における危険を生じさせ、又は交通の妨害となるおそれのあるとき」に要否を判断する、としています。一律に必要とも不要とも書かれていません。実際の判断材料は現地の交通状況ですので、所轄警察署への事前相談が確実です。
「ドローンの飛行には道路使用許可が必要」と書いてあるページを見ました。
通達第4項は、都道府県警察に対して「道路使用許可が必須であるかのような誤解を与えることのないよう留意」するよう指示しています。公式の記述と食い違う説明を見た場合は、通達本文(警察庁丁規発第97号)に当たって確認してください。
注意喚起の看板を道路に置きたいのですが。
立看板等の工作物の設置は、通達上は要否の個別判断の対象です。加えて国土交通省の事例集は、道路上に注意喚起看板等を設置する場合には道路交通法に基づく道路使用許可および道路法に基づく道路占用許可を要する場合がある、としています。警察署と道路管理者の両方に確認してください。
この通達はいつまで有効ですか。
通達の有効期間は令和9年3月31日までとされています。本記事の確認時点では現行ですが、期間満了前後には改めて警察庁のページで最新の取扱いを確認してください。
本記事は2026年9月4日時点の情報です。 引用した警察庁通達の有効期間は令和9年3月31日までとされています。実際の飛行前には、必ず上記の一次ソースと所轄警察署で最新の取扱いをご確認ください。

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