ドローンに道路使用許可は必要か。警察庁通達は「原則として要しない」と書いている
道路の上空でドローンを単に飛行させる行為について、警察庁の通達は「原則として、道路使用許可を要しない」と明記しています。しかも同じ通達は都道府県警察に対し、「道路使用許可が必須であるかのような誤解を与えることのないよう留意」せよとまで指示しています。 一方で、道路上での離発着や補助者の配置、立看板の設置については「必ず必要」ではなく、危険や交通の妨害となる「おそれ」があるかで要否を個別に判断するという整理です。 結論としては、一律に必要とは言えないが、所轄警察署への事前相談が確実、というのが公式の記述に即した答えになります。
警察庁丁規発第97号(令和3年6月30日)同通達 第2項後段結論の根拠:警察庁丁規発第97号
この論点には、国の統一見解が文書として存在します。 警察庁交通局交通規制課長通達「無人航空機に係る道路使用許可の取扱いについて」(令和3年6月30日 警察庁丁規発第97号)です。国土交通省航空局と協議のうえ発出されたもので、有効期間は令和9年3月31日までとされています。つまり本記事の確認時点で現行の通達です。
通達自身が、制定の背景として「無人航空機に係る道路使用許可の取扱いが統一されていないことが負担になっていると指摘されている」と述べています。都道府県警察ごとに扱いがばらついていたこと自体が、この通達を出す動機だったわけです。
通達の原文を読む
原則(第2項前段)
道路交通法第77条第1項は、道路における工事・作業(1号)、石碑や広告板・アーチ等の工作物の設置(2号)、場所を移動しない露店・屋台(3号)、祭礼行事やロケーション等(4号)を許可の対象としています。上空を通過するだけの飛行は、そもそもこれらに当たらないという整理です。
個別判断となる場合(第2項後段)
ここで読み落としてはいけないのは、「要否を判断する」と書かれていて「必要である」とは書かれていないことです。しかも要件は「おそれのあるとき」であって、離発着という行為の存在自体ではありません。歩行者も車もほとんど通らない場所で短時間離陸させる行為と、幹線道路の路側で機材を広げて作業する行為とが、同じ結論になるとは通達は書いていないのです。
総務省ガイドラインも同旨
切り分け表:どこからが個別判断か
| 行為 | 公式にどう書かれているか |
|---|---|
| 道路上空を単に飛ばすだけ | 原則として許可不要(通達第2項前段に明示あり) |
| 道路上での離発着・操縦・これらに付随する作業 | 要否は個別判断。「必ず必要」とは書かれていない。危険・交通妨害のおそれがあるかが要件 |
| 補助者の配置 | 同上(個別判断) |
| 立看板等の工作物の設置 | 同上(個別判断)。加えて道路占用許可も要する場合がある |
| 人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼす撮影 | 同上(個別判断)。これはドローンを使うかどうかを問わず、道路交通法第77条第1項第4号の問題 |
| 警察庁の道路使用許可の解説ページ本体 | ドローンへの言及なし(記述は通達の側にある) |
警察庁が誤解を戒めている条項
この通達には、第4項に見過ごされがちな一節があります。都道府県警察に向けた指示です。
つまり、警察庁は「必須であるかのように読める説明」をしないよう、警察自身に対して求めているわけです。道路上空の飛行にはもれなく道路使用許可が要る、という趣旨の説明がネット上に広く流通していますが、少なくとも通達の記述とは方向が逆になります。
同じ第4項は、自治体が独自の規制を設けている場合には参考となるウェブサイトや問合せ先を紹介するなどの情報提供に努めること、とも求めています。飛行地点の規制を調べる出発点として、所轄警察署や都道府県警察のドローン関連ページは実際に機能し得る窓口だということです。
道路使用許可と道路占用許可は別物
混同されやすいのですが、この2つは根拠法も窓口も違います。
| 道路使用許可 | 道路占用許可 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 道路交通法第77条第1項 | 道路法 |
| 窓口 | 行為地を管轄する警察署長 | 道路管理者(国・都道府県・市町村) |
| ドローンとの関係 | 上空を単に飛ばすだけなら原則不要。道路上での作業等は個別判断 | 道路上に注意喚起看板等を設置する場合に要することがある |
国土交通省の「ドローン飛行申請時の各種行政手続事例集」も、この点をまとめて次のように書いています。
実務でどう動くか
通達の記述を踏まえると、実務の組み立ては次のようになります。
- 飛行経路の設計段階で、道路上に接地する行為があるかを切り分ける。上空の通過だけなのか、道路上で離発着や機材展開をするのかで、検討の重さが変わります。
- 道路上で作業をするなら、行為地を管轄する警察署に事前相談する。要否は道路の幅員、交通量、時間帯、作業の規模といった具体的な事情に左右されます。判断の材料は現地の警察署が持っています。
- 看板やコーンを道路に置くなら、道路管理者にも当たる。道路占用許可の側は窓口が別です。
- 航空法の手続きは別建てで進める。道路使用許可の要否は、航空法の飛行許可・承認の要否とは無関係です。人口集中地区上空や第三者から30m未満などに当たれば、そちらはそちらで手続きが必要です。