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無人航空機の登録制度 完全ガイド

公開 2026-09-05 更新 2026-09-05 読了 約12分

無人航空機の登録は、機体本体とバッテリーの合計が100g以上であれば、業務か趣味かを問わず必要です(航空法第2条第22項、航空法施行規則第5条の2)。 登録を受けていない機体を航空の用に供した場合、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となり得ます(航空法第157条の7第1項第1号)。 手数料は申請方法と本人確認の方法によって900円から2,400円まで分かれ、有効期間は3年です。 この記事では、対象の判定、登録の流れ、手数料の全パターン、登録記号の表示とリモートID、有効期間と更新、罰則までを、条文と国土交通省の一次資料に紐づけて1本にまとめます。

よく見る説明と、公式の記載
この分野は制度改正が続いており、古い説明や条文上の裏付けがない説明が広く流通しています。この記事で扱う範囲について、実際の一次ソースの記載と突き合わせます。
よく見る説明無人航空機の登録は航空法第131条の3に規定されている。
公式にはこう現行の航空法に第131条の3は存在しません。無人航空機の登録は第132条〜第132条の12です。
出典 航空法 第十一章第一節
よく見る説明未登録で飛ばすと「1年以下の懲役」。
公式にはこう現行条文は「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」です。国土交通省の資料には旧表記の「懲役」が残っている箇所があります。
出典 航空法 第157条の7第1項第1号
よく見る説明100g未満かどうかは機体本体の重さで決まる。
公式にはこう本体とバッテリーの合計で判断します。バッテリー以外の取り外し可能な付属品(外付けリモートID機器を含む)は含めません。
出典 航空法施行規則 第5条の2 / 解釈通達

登録が必要な機体──100gの数え方

まず条文の位置を確認します。無人航空機の登録制度は、航空法の第132条から第132条の12まで(第十一章第一節「無人航空機の登録」)に置かれています。解説記事によっては別の条番号が示されていることがありますが、現行の航空法で登録制度を定めているのはこの範囲です。

登録の対象になるかどうかは、まず「航空法上の無人航空機に当たるか」で決まります。航空法第2条第22項は、国土交通省令で定める機器を無人航空機から除外しており、その省令である航空法施行規則第5条の2は次のように定めています。

「法第二条第二十二項の国土交通省令で定める機器は、重量が百グラム未満のものとする。」

つまり100g未満は航空法上の無人航空機ではなく、100g以上が登録の対象です。ここで実務上いちばん問い合わせが多いのが、この「重量」に何を含めるのかという点です。

重量に含めるもの・含めないもの

国土交通省の解釈通達(無人航空機に係る規制の運用における解釈について)は、次のように明示しています。

「『重量』とは、無人航空機本体の重量及びバッテリーの重量の合計を指しており、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まないものとする。」

区分100gの判定備考
機体本体含める本体を構成する部分
バッテリー含める飛行に使用するバッテリー
外付けリモートID機器含めない取り外し可能な付属品として扱われる
その他の取り外し可能な付属品含めないバッテリー以外の付属品
補足:この整理は片方向にしか効きません。本体+バッテリーで100gを超えている機体は、付属品を外しても登録対象です。一方、本体+バッテリーが100g未満の機体は、外付けリモートID機器を装着して総重量が100gを超えても、その重量は判定に含まれません。判定の基準はあくまで本体+バッテリーです。

もう1つの除外があります。屋内のみで飛行させる場合、航空法の各規制は適用されません。国土交通省の解釈通達は、トンネル内部やネット等で囲われた空間も屋内とみなす旨を示しています。倉庫内点検のように外部と遮断された空間だけで完結する運用であれば、そもそも航空法の土俵に乗りません。

「登録」と「飛行の許可・承認」は別の手続き

登録を済ませたので飛ばしてよい、という理解は正確ではありません。この2つは目的も条文も別です。

機体登録飛行の許可・承認
対象100g以上の機体(屋外で飛行させるもの)特定飛行に当たる飛ばし方
単位機体ごと飛行の内容ごと(空域・方法・期間)
根拠航空法第132条〜第132条の12航空法第132条の85第2項、第132条の86第3項
有効期間3年(更新可)包括申請なら原則3か月、最長1年

人口集中地区の上空、夜間、目視外、人や物件から30m未満といった飛ばし方をするなら、登録とは別に許可・承認の手続きが要ります。どの飛行にどちらが必要かはドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドで、期間をまとめて取る方法は包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準で整理しています。

登録の流れ

登録手続きはオンライン(DIPS2.0)と書面のいずれでも可能ですが、手数料はオンラインのほうが安く設定されています。大まかな流れは次のとおりです。

本体+バッテリーが100g以上か、屋外で飛行させるかを確認する
100g未満/屋内のみ → 航空法上の登録は不要
DIPS2.0でアカウントを開設する
所有者・使用者の情報と、機体の情報を登録する
本人確認を行う(方法によって手数料が変わる)
手数料を納付する
登録記号の通知を受ける(この日が有効期間の起算日になる)
登録記号を機体に表示し、リモートID機能を備える

手順の細部は画面の指示と国土交通省の「無人航空機登録要領」に従ってください。ここで押さえておきたいのはステップ7です。有効期間の起算日は登録の通知日であり、この日付が3年後の更新時期を決めます。複数機を運用する事業者にとっては、この1日が後々の管理コストを左右します。詳しくは機体登録の更新。満了日の1か月前から、が損しないで扱います。

手数料の全パターン

手数料は航空法第135条第1項第23号・第24号と、航空法関係手数料令第8条に定めがあります。金額は①オンラインか書面か ②本人確認をどの方法で行うか ③同時に何機申請するかの3つで決まります。

申請方法本人確認の方法1機目同時申請の2機目以降
オンラインマイナンバーカードの利用者証明用電子証明書の送信 等(gBizIDを含む)900円890円
オンライン上記以外(運転免許証とeKYC、書類の郵送 等)1,450円1,050円
書面書類2,400円2,000円

差は最大で1機あたり1,500円です。1機だけなら誤差の範囲ですが、10機を書面で登録すると、マイナンバーカードを使ったオンライン申請より1万円以上高くつきます。複数機を運用する事業者ほど、本人確認の方法を最初に整えておく価値が大きいということになります。

もう1つ効くのが「同時申請」の列です。2機目以降は1機目より安く設定されています。機体をまとめて調達する予定があるなら、登録も同じタイミングでまとめたほうが手数料は下がり、しかも満了日が揃うので管理も楽になります。ただし、この「揃える」を既存機に対してやろうとすると話が変わります。まとめるために既存機の登録を前倒しすると、残っていた有効期間を捨てることになるからです。この論点は更新の記事で詳述します。

なお、手続きを外部に依頼した場合の費用感を知りたい方はドローン申請の費用相場は、何に対する対価かを参照してください。

登録記号の表示とリモートID

登録すれば終わりではありません。航空法施行規則第236条の6第1項は、登録記号の表示(第1号)とリモートID機能を備えること(第2号)を、講じるべき措置として定めています。この措置を講じずに航空の用に供した場合、航空法第157条の9第1号により50万円以下の罰金の対象となり得ます。

登録記号の文字の高さ

機体の重量登録記号の文字の高さ
25kg未満3mm以上
25kg以上25mm以上

25kg以上の機体では、要求される文字の高さが8倍以上になります。小型機と同じ感覚でシールを用意すると基準を満たしません。大型機を導入したタイミングで、表示の仕様を見直してください。

リモートID

リモートIDは、機体の識別情報を電波で発信する機能です。機体に内蔵されているものと、外付けの機器を装着するものがあります。前述のとおり、外付けリモートID機器の重量は100gの判定には含まれません。

リモートIDが免除される場合

リモートIDの搭載義務には例外があります。現行の航空法施行規則第236条の6第2項が定める3類型と、経過措置による免除です。

類型内容根拠
届出区域での飛行あらかじめ国土交通大臣に届け出た区域の上空での飛行であって、監視のための補助者の配置、区域の範囲を明示する標識の設置等の措置を講じたもの規則第236条の6第2項第1号
係留飛行十分な強度を有する紐等(長さ30メートル以下)で係留して飛行範囲を制限した飛行同項第2号
警備等の業務警察庁、都道府県警察又は海上保安庁その他大臣が指定する機関による、警備その他特に秘匿を必要とする業務のための飛行同項第3号
経過措置(機体側)施行前に製造され、技術上の理由等により搭載が困難なものとして大臣が告示で定めるもの規則附則(令和4年6月20日施行分)第3条
経過措置(事前登録)事前登録期間(2021年12月20日〜2022年6月19日)に登録手続きを行った機体国土交通省の案内

1つ目の「届出区域」については、国土交通省が「リモートID特定区域の届出要領」を公表しており、届出は飛行開始希望日の5開庁日前までとされています。当日思い立って使える仕組みではありません。

注意:事前登録による免除には条件があります。国土交通省は、事前登録期間に登録手続きを行った機体について「登録更新後もリモートIDの搭載は不要のまま」としつつ、「ただし登録を更新しなかった場合はリモートID搭載義務の対象となる」としています。この免除の恩恵を受けている機体を持つ事業者にとって、更新を落とすことは外付け機器の購入と装着を意味します。

有効期間は3年。更新のタイミングに罠がある

航空法第132条の6第1項は、登録の有効期間について「三年以上五年以内において国土交通省令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う」と定めています。これを受けた航空法施行規則第236条の8第1項が、期間を3年としています。

実務で効いてくるのは、施行規則第236条の9が定める起算日のルールです。有効期間は原則として登録の通知日から起算されますが、満了日の1か月前から満了日までの間に新たな通知がなされる場合は、満了日の翌日が起算日になります。

注意:裏を返すと、満了日の1か月前より早く手続きをすると、残っていた有効期間がそのまま切り捨てられます。「早めに済ませておこう」という善意の行動が、そのまま損になる構造です。詳しくは機体登録の更新。満了日の1か月前から、が損しないで、複数機の満了日管理まで含めて解説しています。

期限を過ぎてしまった場合はさらに面倒です。登録は抹消され、新規登録をやり直すことになり、登録記号も変わります。機体表示の貼り替えに加え、飛行日誌や飛行計画の通報に記載した登録記号との整合も取り直しになります。

罰則──拘禁刑・罰金・過料

登録関係の罰則は、航空法の罰則章に置かれています。国土交通省の案内ページは「罰則の対象となる」という定性的な記述にとどまるため、以下は条文から直接整理したものです。

違反の内容罰条法定刑
登録を受けていない機体を航空の用に供した第157条の7第1項第1号1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
登録記号の表示等の措置(リモートIDを含む)を講じずに航空の用に供した第157条の9第1号50万円以下の罰金
是正命令に違反して登録無人航空機を航空の用に供した第157条の9第2号50万円以下の罰金
法人の従業者等が上記3つの違反をしたとき(両罰規定)第159条第2号法人にも各本条の罰金刑(第157条の7第1項・第157条の9が対象。下の第161条の過料は対象外)(2026年9月15日訂正)
登録事項の変更の届出をせず、又は虚偽の届出をした第161条第4号30万円以下の過料
登録の抹消の申請をしなかった第161条第5号30万円以下の過料
補足:刑法の改正を受け、現行の航空法の条文は「懲役」ではなく「拘禁刑」と表記されています。国土交通省の解釈通達や案内ページには旧表記が残っている箇所がありますが、条文上は拘禁刑です。また両罰規定(第159条第2号)により、従業者が違反した場合には法人にも罰金刑が科され得ます。法人としてドローンを運用する以上、登録の管理は個人の注意力ではなく社内の仕組みで担保すべき領域です。

なお、変更の届出義務違反と抹消の申請義務違反は「過料」であり、刑事罰ではありません。とはいえ、機体を譲渡・廃棄したのに登録を放置している状態は、機体台帳と実機の対応が崩れているということでもあります。飛行日誌の運用(ドローンの飛行日誌の書き方)とあわせて、登録情報の棚卸しを定期業務に入れておくのが安全です。

よくある質問

本体だけなら100g未満、バッテリーを入れると100gを超えます。登録は必要ですか。
必要です。解釈通達は「重量」を、無人航空機本体の重量とバッテリーの重量の合計としています。バッテリーを装着した状態で100g以上であれば、航空法上の無人航空機に当たり、登録の対象になります。
外付けのリモートID機器を付けると100gを超えます。これで登録対象になりますか。
100gの判定に外付けリモートID機器の重量は含まれません。解釈通達は「バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まない」としており、外付けリモートID機器はこれに当たります。本体+バッテリーが100g未満であれば、判定は変わりません。
屋内の倉庫だけで飛ばします。登録は要りますか。
屋内のみの飛行には航空法の各規制が適用されません。解釈通達は、トンネル内部やネット等で囲われた空間も屋内とみなす旨を示しています。ただし、開口部から外に出る可能性がある構造など、屋内と言い切れない場合は判断が変わり得ます。境界が曖昧なら、屋外飛行を前提に登録しておくほうが安全側です。
登録すれば人口集中地区でも飛ばせますか。
飛ばせません。登録は機体に対する手続きで、飛ばし方に対する規制は別の条文(航空法第132条の85、第132条の86)に置かれています。人口集中地区の上空は許可、夜間や目視外は承認の対象です。判定の全体像は飛行許可・承認のガイド記事で整理しています。
登録の手数料を安くする方法はありますか。
オンライン申請を選び、本人確認をマイナンバーカードの利用者証明用電子証明書の送信等で行うと900円になります。書面申請の2,400円との差は1機あたり1,500円です。さらに、同時に複数機を申請すると2機目以降は890円になります。機体をまとめて調達する予定があるなら、登録もまとめるほうが手数料は下がります。
罰則は「1年以下の懲役」ではないのですか。
現行の航空法の条文は「拘禁刑」と表記されています。刑法改正を反映したもので、重さの区分が変わったわけではありません。国土交通省の資料の一部には旧表記の「懲役」が残っていますが、e-Gov法令検索の現行版を開くと「拘禁刑」と記載されていることを確認できます。
登録は何年ごとに更新すればよいですか。
有効期間は3年です(航空法第132条の6、施行規則第236条の8第1項)。更新の手続きは、満了日の1か月前から満了日までの間に行うのが有利です。それより早く手続きをすると、施行規則第236条の9の起算日ルールにより、残っていた期間が切り捨てられます。
本記事は2026年9月5日時点の情報です。 無人航空機に関する制度は改正が続いている分野です。実際の申請前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

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