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機体登録の更新。満了日の1か月前から、が損しない

公開 2026-09-05 更新 2026-09-05 読了 約12分

無人航空機の登録の有効期間は3年です(航空法第132条の6、航空法施行規則第236条の8第1項)。 更新の手続きは、満了日の1か月前から満了日までの間に行うのが正解です。 施行規則第236条の9は、有効期間の起算日を登録の通知日としたうえで、この1か月の窓の中で新たな通知がなされる場合は満了日の翌日を起算日とすると定めています。 裏返すと、1か月前より早く手続きをすると、残っていた有効期間がそのまま切り捨てられます。「余裕をもって早めに」が、そのまま損になる数少ない手続きです。 この記事では、その仕組みと、複数機を持つ事業者が満了日をどう管理するかを整理します。

よく見る説明と、公式の記載
この分野は制度改正が続いており、古い説明や条文上の裏付けがない説明が広く流通しています。この記事で扱う範囲について、実際の一次ソースの記載と突き合わせます。
よく見る説明更新は早めに出しておくほど安心。
公式にはこう満了日の1か月前より早いと損をします。その場合は変更の届出扱いとなり、更新日から3年が起算されるため、残っていた期間が切り捨てられます。
出典 航空法施行規則 第236条の9ただし書
よく見る説明期限が切れても、あとから更新すればよい。
公式にはこう期限切れの場合は登録が抹消され、新規登録のやり直しになります。登録記号も変わります。
出典 航空法 第132条の6第1項

有効期間3年と、起算日の条文

まず期間そのものです。航空法第132条の6第1項は次のように定めています。

「…三年以上五年以内において国土交通省令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。」

法律は3年から5年の幅を示すにとどめ、具体的な期間は省令に委ねています。これを受けた航空法施行規則第236条の8第1項が「三年とする」と定めており、実務上の有効期間は3年です。

次が本題の起算日です。施行規則第236条の9は、有効期間を登録の通知日から起算するのを原則としつつ、ただし書きで例外を置いています。満了日の1か月前から満了日までの間に新たな通知がなされる場合は、満了日の翌日が起算日になります。

補足:この条文の意味は「更新の受付期間が1か月しかない」ということではありません。手続き自体はもっと早くからできます。しかし、早く手続きをした場合は、その通知日から3年が数え直されるという点が決定的です。つまり、期間を損なわずに更新できる窓が、実質的に満了日前の1か月間に限られます。

1か月前より早いと何が起きるか

満了日の1か月前より前に手続きをすると、その手続きは更新ではなく登録事項の変更の届出として扱われ、新たな登録通知日から3年が起算されます。有効期間が「延長される」のではなく「引き直される」わけです。

手続きのタイミング扱い新しい有効期間の起算日結果
満了日の1か月前 〜 満了日 更新 満了日の翌日 3年がまるごと積み上がる。損失なし
それより前 変更の届出として扱われる 新たな登録通知日 残っていた期間が切り捨てられる
満了日を過ぎた後 更新できない(効力を失っている) ― 抹消され、新規登録のやり直し。登録記号も変わる

具体例で数える

満了日が2027年3月31日の機体で考えます。

2027年3月10日に通知を受けた場合 → 満了日の1か月前以降なので、起算日は2027年4月1日。3年後の満了日まで、期間の損失はゼロ
2027年1月10日に通知を受けた場合 → 1か月前より前なので、起算日はその通知日。本来2027年3月31日まで残っていた約2か月半が、そのまま消える
結論:早めに動く価値はある。ただし「動く」のは準備であって、手続きの実行は1か月前になってから
注意:この2か月半は1機あたりの損失です。同じ運用を3年ごとに、10機で繰り返せば、機体の稼働可能期間の管理コストとして無視できない差になります。しかも失った期間は取り戻せません。「余裕をもって早めに」という一般的な感覚が、この手続きに限っては裏目に出ます。

満了日を過ぎたら──抹消と登録記号の変更

逆方向の失敗はもっと重くなります。航空法第132条の6第1項が「その期間の経過によつて、その効力を失う」と定めているとおり、更新しなければ登録は失効します。この場合、登録は抹消され、新規登録をやり直すことになり、登録記号も新しいものに変わります。

登録記号が変わることの実務的な影響は、単に貼り替えが発生するというだけでは終わりません。

  • 機体表示の作り直し:25kg未満は文字高3mm以上、25kg以上は25mm以上という基準(施行規則第236条の6第1項)を満たす表示を、改めて用意する必要があります
  • リモートIDへの書き込み直し:登録記号は機体の識別情報の一部です
  • 飛行計画の通報との整合:飛行計画の通報事項には登録記号が含まれます(施行規則第236条の83第1項)。旧記号のまま通報する運用が残っていると、記録と実態がずれます
  • 飛行日誌との整合:飛行日誌は機体ごとに備えるものです。社内台帳のキーを登録記号にしている場合、記号の変更は台帳の再編を意味します(ドローンの飛行日誌の書き方)
  • 手数料の再負担:新規登録として手数料が発生します

加えて、失効している機体を飛ばしてしまえば、登録を受けていない無人航空機を航空の用に供したことに該当し得ます。航空法第157条の7第1項第1号により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となり、両罰規定(第159条第2号)により法人にも罰金刑が科され得ます。

更新の手数料は新規と同額

更新だから安くなる、ということはありません。手数料は航空法関係手数料令第8条に基づき、新規登録と同額です。金額は申請方法と本人確認の方法で決まります。

申請方法本人確認の方法1機目同時申請の2機目以降
オンラインマイナンバーカードの利用者証明用電子証明書の送信 等(gBizIDを含む)900円890円
オンライン上記以外(運転免許証とeKYC、書類の郵送 等)1,450円1,050円
書面書類2,400円2,000円

金額の水準そのものは、3年に一度の支出としては小さいものです。更新で本当にコストがかかるのは、手数料ではなく期日管理のほうだと考えたほうが実態に合います。1機900円の手続きを失念したせいで、記号の変更と台帳の再編が発生する構造だからです。手続き全体の費用感はドローン申請の費用相場は、何に対する対価かにまとめています。

補足:まとめて申請する場合の実際の請求額は、DIPS2.0の画面で確認してください。上表は航空法関係手数料令および国土交通省が公表している額の区分です。

事前登録の機体は、更新を落とすとリモートIDが必要になる

更新を落とすことの影響が、もう1段深くなる機体があります。事前登録期間(2021年12月20日〜2022年6月19日)に登録手続きを行った機体です。

これらの機体は、リモートID機能を備える義務(施行規則第236条の6第1項第2号)の免除対象とされています。国土交通省は、この免除について次の2点を示しています。

  • 登録更新後もリモートIDの搭載は不要のまま
  • ただし、登録を更新しなかった場合はリモートID搭載義務の対象となる
注意:つまり、この免除は更新を続けている限り引き継がれ、1回でも切れた時点で失われます。事前登録期間は2022年6月19日で終わっていますので、該当する機体は本記事の時点(2026年9月)ですでに最初の更新期を通過しています。免除を前提に外付け機器を用意していない機体があるなら、その機体の満了日は他の機体より優先度を上げて管理すべきです。更新を落とせば、手数料の再負担に加えて機器の調達と装着が発生します。

リモートIDの免除には、このほかに施行規則第236条の6第2項が定める3類型(届出区域での飛行、長さ30メートル以下の紐等による係留飛行、警察庁・都道府県警察・海上保安庁等の警備等の業務)があります。制度全体の整理は無人航空機の登録制度 完全ガイドを参照してください。

複数機の満了日をどう管理するか

ここからが事業者にとっての本題です。登録は機体ごとの手続きであり、有効期間の起算日はその機体の登録通知日です。機体を買い足していけば、満了日は自然にバラバラになります。5機あれば5つの満了日が、それぞれ別の月に立ちます。

しかも、期間を損なわずに手続きできる窓は満了日前の1か月間だけです。「気づいたときにまとめてやる」という運用が、この制度とは構造的に噛み合いません。

1. 機体台帳に「更新の窓」を列として持つ

満了日だけを記録しても足りません。動くべき日、すなわち満了日の1か月前を独立した列として持ちます。管理する担当者が見るのはこちらの日付です。

列入れるものなぜ必要か
登録記号通知された登録記号台帳の一意キー。通称は別列に逃がす
登録通知日登録記号の通知を受けた日有効期間の起算日そのもの
満了日起算日から3年失効の期限
更新着手日満了日の1か月前この日より前に手続きすると期間を損する
リモートID免除事前登録による免除の有無更新を落としたときの損失の大きさが変わる
使用者・保管場所現に使っている部署・拠点更新時に現物と情報の突合が要る

2. 通知は2段階に分ける

期日管理の失敗は、たいてい「早すぎる通知」か「遅すぎる通知」のどちらかで起きます。この制度では早すぎる通知が実害を生むため、通知の役割を分けます。

満了日の45日前:予告。担当者を決め、本人確認の手段(マイナンバーカード等)とアカウントが使える状態かを確認する。手続きはまだ実行しない
満了日の30日前:着手。ここから満了日までが、期間を損なわずに更新できる窓
満了日の14日前:督促。未了なら管理者にエスカレーション
通知を受けたら、台帳の登録通知日・満了日・更新着手日を更新して締める

3. 満了日を揃えるなら、新規導入のときだけ

満了日がバラバラなことに耐えられず、まとめて更新して揃えたくなる場面があります。しかし、揃えるために早い機体を前倒しで更新すれば、その分の期間が消えます。既存機の満了日を後ろにずらす方法はなく、前に詰める方法しかないのが、この制度の非対称なところです。

満了日をコントロールできるのは、機体を新規に登録するときだけです。複数機をまとめて調達するなら、登録も同時に行えば満了日が揃い、同時申請による2機目以降の減額も効きます。逆に、すでに走っている機体を無理に揃える動きは、費用の節約以上に期間の損失を生みます。

4. 機体を手放したら、更新ではなく抹消を検討する

使わなくなった機体の登録を惰性で更新し続けると、手数料と管理対象が積み上がります。譲渡・廃棄をしたのであれば、登録の抹消の申請を怠った場合に30万円以下の過料の対象となる規定(航空法第161条第5号)もありますので、台帳の棚卸しは更新のタイミングでまとめて行うのが合理的です。

登録・許可承認・飛行日誌はサイクルが別

更新管理を設計するときに混同しやすいのが、期限のある他の手続きです。それぞれ周期も起点も違います。

手続き期間起点単位
機体登録3年登録の通知日機体ごと
飛行の許可・承認(包括申請)原則3か月、最長1年許可・承認の日申請の内容ごと
飛行日誌期限という概念がない―機体ごと(登録されている間、記載と保管を継続)

包括申請は最長でも1年で切れるため、体感としては毎年の更新が来ます。一方の機体登録は3年に一度しか来ないので、社内の記憶に残りにくく、担当者の交代を挟むと落ちやすい。頻度が低い手続きほど、個人の記憶ではなく台帳とリマインダで持つ必要があります。包括申請そのものの期間の考え方は包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準で、どの飛行にどの手続きが要るかはドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドで整理しています。

よくある質問

満了日の1か月前より前に更新の手続きをすることはできますか。
手続き自体はできます。ただし施行規則第236条の9の起算日のルールにより、その場合は更新ではなく登録事項の変更の届出として扱われ、新たな登録通知日から3年が起算されます。結果として、満了日まで残っていた期間が切り捨てられます。期間を損なわずに更新できるのは、満了日の1か月前から満了日までの間です。
更新すると登録記号は変わりますか。
更新によって登録記号が変わるという記載は確認できませんでした。一方、有効期間が経過して登録が抹消された場合は、新規登録をやり直すことになり、登録記号も変わります。機体表示やリモートIDへの書き込みを作り直す必要が生じるのは後者のケースです。
更新の手数料は新規登録より安くなりますか。
同額です。航空法関係手数料令第8条に基づき、オンライン申請でマイナンバーカードの利用者証明用電子証明書の送信等により本人確認を行う場合は900円、それ以外のオンライン申請は1,450円、書面申請は2,400円です。
更新を忘れたまま飛ばしてしまったらどうなりますか。
有効期間が経過した時点で登録は効力を失います(航空法第132条の6第1項)。その状態で飛行させれば、登録を受けていない無人航空機を航空の用に供したことに該当し得ます。この場合、航空法第157条の7第1項第1号により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となり、両罰規定(第159条第2号)により法人にも罰金刑が科され得ます。なお、現行の条文の表記は「懲役」ではなく「拘禁刑」です。
事前登録でリモートIDが免除されている機体は、更新後も免除されますか。
国土交通省は、事前登録期間(2021年12月20日〜2022年6月19日)に登録手続きを行った機体について「登録更新後もリモートIDの搭載は不要のまま」としています。ただし「登録を更新しなかった場合はリモートID搭載義務の対象となる」ともされていますので、免除は更新を続けている限りで維持されるものと読むのが自然です。
複数機の満了日を1つの日付に揃えられますか。
既存の機体については、揃えるには早い側を前倒しで手続きすることになり、その分の期間が失われます。満了日をコントロールできるのは新規に登録するときだけです。複数機をまとめて調達する場合に登録も同時に行えば、満了日が揃い、同時申請による2機目以降の減額も適用されます。
更新時期が近づくと案内は届きますか。
国土交通省の無人航空機登録ポータルサイトは、2025年4月28日のお知らせで「登録有効期限間近となった機体の所有者の方に宛てて、機体登録の更新に関するお知らせメールの配信を開始しました」としています。ドローン登録システムのよくある質問でも、登録したメールアドレス・電話番号の用途に「更新時期の連絡」が挙げられています。何日前に届くかは、公式には明示されていません。(2026年9月15日訂正)届くかどうかにかかわらず、満了日は自社の機体台帳で管理する前提で仕組みを組んでおくのが安全です。3年に一度しか来ない期日であるうえ、担当者の交代を挟みやすい周期でもあります。
更新のときに機体の情報が変わっている場合はどうしますか。
登録事項に変更があったときは、変更の届出が別途必要です。届出をせず、又は虚偽の届出をした場合は30万円以下の過料の対象となる規定が置かれています(航空法第161条第4号)。更新のタイミングは、使用者や保管場所などの登録情報が現状と合っているかを点検する機会でもあります。
本記事は2026年9月5日時点の情報です。 無人航空機に関する制度は改正が続いている分野です。実際の手続き前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

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