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技能証明の更新。有効期間3年と更新講習、申請は満了日の1か月前まで

公開 2026-09-13 更新 2026-09-13 読了 約14分

一等・二等の無人航空機操縦者技能証明の有効期間は3年です(航空法第132条の51第1項)。 更新するには、登録更新講習機関の無人航空機更新講習の修了と、身体適性の基準を満たすことの両方が必要です。 そして最も注意すべきなのが申請期間で、現行の航空法施行規則第236条の57は満了日の6か月前から1か月前までの間と定めています。 この「1か月前まで」は2025年12月9日の省令改正で入ったもので、それ以前は「満了日以前6か月以内」でした。改正前の説明のまま「満了日までに出せばよい」と理解していると、最後の1か月で申請できなくなります。 この記事では、期限の組み立て、更新講習の中身と時間、身体適性の証明書類、費用、そして更新しそびれて失効した場合の再取得ルートまでを、条文と国土交通省の資料で整理します。

よく見る説明と、公式の記載
技能証明の更新は2025年に運用が始まったばかりの手続きで、しかも2025年12月に申請期間の省令が改正されています。改正前の説明が残っている資料もあるため、現行の条文と突き合わせます。
よく見る説明更新申請は、有効期間が満了する日まで(満了日以前6か月以内)に出せばよい。
公式にはこう現行の申請期間は満了日の6か月前から1か月前までです。2025年12月9日施行の改正で「以前六月以内」から改められました。
出典 航空法施行規則 第236条の57第1項
よく見る説明有効期限が切れても、あとから更新の申請をすれば元に戻せる。
公式にはこう更新しなければ技能証明は効力を失い、再び取るには新規申請になります。満了日から3年以内なら、技能証明書返納証明書を受けて学科試験・実地試験が免除されるルートがあります。
出典 航空法施行規則 第236条の54・第236条の68
よく見る説明更新講習には実技や試験があり、落ちると更新できない。
公式にはこう通常の受講者は学科講習のみ(一等75分・二等50分)で、更新講習は合否判定を行いません。実地講習が加わるのは、一定の理由で効力停止処分を受けた人だけです。
出典 国交省「技能証明の更新制度及び登録更新講習機関制度について」

有効期間3年と、更新の2つの要件

根拠は航空法第132条の51です。3つの項に分かれています。

項条文の内容実務上の意味
第1項「技能証明の有効期間は、三年とする。」一等・二等とも3年。区分による違いはない
第2項有効期間は、その満了の際、申請により更新することができる更新は自動ではなく、本人の申請が必要
第3項国土交通省令で定める身体適性に関する基準を満たし、かつ、登録更新講習機関が実施する無人航空機更新講習を修了したと認めるときでなければ、更新をしてはならない要件は「講習の修了」と「身体適性」の2つ。どちらが欠けても更新されない

更新講習を行う「登録更新講習機関」は、国土交通大臣の登録を受けた民間の機関です(航空法第132条の82)。新規取得のときに通う「登録講習機関」とは別の登録制度で、国土交通省は登録更新講習機関の一覧を種類別に公表しています。受講料は各機関が定めるもので、国の規定はありません。

身体適性の基準は、航空法施行規則第236条の55により「別表第六の身体検査基準(色覚に係る部分を除く。)」とされています。新規取得時の身体検査基準から色覚だけを外したもの、と理解してください。

補足:技能証明の更新制度が実際に動き出したのは最近です。国土交通省の資料によれば、制度開始後に最初に二等を取得した人の有効期間満了日が2026年1月末でした。つまり更新の手続きは、多くの保有者にとってまだ一度も経験のない手続きです。2022年12月以降に取得した人は、順次この更新期を迎えます。

期限の組み立て──申請・講習・身体適性の3つの窓

更新で失敗しやすいのは、期限が1つではなく3つの期間が重なって決まるからです。

対象期間のルール根拠
更新申請満了日の6か月前から1か月前までの間施行規則第236条の57第1項
更新講習の修了更新申請をする日以前3か月以内に修了したもの(修了証明書の有効期間も3か月)施行規則第236条の56
身体適性検査証明書申請前3か月以内に受けた検査の結果施行規則第236条の57第1項第1号イ
身体検査合格証明書申請日前1年以内に交付されたものガイドライン 8.3
運転免許証有効なもの(使える資格の範囲に限定あり。後述)ガイドライン 8.3

申請期間の始まりが満了日の6か月前で、講習は申請日から3か月さかのぼれるため、理屈の上では満了日の約9か月前から更新講習を受けておけることになります。ただし、講習を受けてから3か月以内に申請しなければ修了証明書が使えなくなるので、「早く講習を済ませて、申請は後で」という順番には上限があります。

具体例で並べる

技能証明書に記載された有効期間の満了日が2027年6月30日の人で考えます。日単位の数え方は公式資料に具体例がないため、ここでは月単位のおおよその目安で示します。

2026年9月末ごろ〜:更新講習を受けておける時期に入る(申請開始の約3か月前)。受講先の登録更新講習機関を決め、DIPS2.0で事務所コードを登録する
2026年12月末ごろ〜:更新申請ができる期間に入る(満了日の6か月前)。講習修了から3か月以内であることを確認して申請
申請後:審査 → 手数料納付 → 新しい技能証明書が簡易書留で届く
2027年5月末ごろ:更新申請ができる期間が終わる(満了日の1か月前)。これを過ぎると、満了日前でも施行規則第236条の57の期間外になる
2027年6月30日:満了日。更新されていなければ効力を失う
注意:申請期間の終わりは満了日ではなく、満了日の1か月前です。この規定は2025年12月9日に公布・施行された改正省令(令和7年国土交通省令第118号)で入りました。改正前は「満了する日以前六月以内」だったため、満了日の直前まで申請できました。国土交通省の解説資料の中にも改正前の「6月以内」という表現が残っているものがあるので、手元の資料の日付と表現を確認してください。国土交通省の技能証明のページは現在「有効期間満了日の6か月前から1か月前までに申請が必要」と案内しています。

いつ申請すると有効期間が損をしないか

機体登録の更新には「満了日の1か月前より早いと残りの期間が切り捨てられる」という起算日のルールがあります(機体登録の更新。満了日の1か月前から、が損しない)。技能証明にも同じような仕組みがあるかが気になるところですが、更新期間内に通常どおり更新した場合の新しい有効期間の起算日を一般的に定めた条文や公式の記載は、確認できませんでした。

明文があるのは例外のほうです。更新期間の全期間を通じて海外に滞在している人が更新期間より前に更新した場合などは、起算日が「更新された技能証明書が交付された日」になります(施行規則第236条の59第4項・第5項)。つまりこの例外では、前倒しした分だけ有効期間が短くなります。通常の更新については公式に明示されていないため、「期間内のいつ出しても同じ」とも「遅いほど得」とも断定はできません。

更新講習の中身と時間

国土交通省の資料「技能証明の更新制度及び登録更新講習機関制度について」(2026年6月29日一部改訂版)によると、更新講習は一等と二等で内容を分けて行われます。通常の受講者が受けるのは学科講習だけです。

学科講習の方法一等(通常)二等(通常)
教本を用いた講師による講習45分30分
視聴覚教材を用いた講師による講習30分20分
合計75分50分

科目として資料に挙がっているのは次のとおりです。

  • 教本:無人航空機操縦士技能証明制度の概要/無人航空機操縦者が遵守すべき事項/事故・重大インシデント事例及び教訓/最近の無人航空機関連の制度改正/運航ルール・事故防止に関する情報/一等無人航空機操縦士が留意すべき事項
  • 視聴覚教材:事故・重大インシデント事例及び教訓/一等無人航空機操縦士が留意すべき事項

「最近の制度改正」が科目に入っているのがポイントです。3年のあいだに運用が変わった点を、更新のたびに補う設計になっています。教本と視聴覚教材は、基本的に航空局が提供するものを使うとされています。

オンラインで受けられるか

学科講習は、オンライン講習またはe-ラーニングで行うことが認められています。条件は、本人が受講していることと受講状況が確認できること、そして実施後に対面で効果測定(修了演習)を行うことです。修了演習は合否を判定するものではなく、講師が理解度を測って助言するためのものとされています。なお同資料は「学科講習の完全オンライン化については、諸課題等を踏まえ、対応検討中」としています。実際にどの方式で受けられるかは受講先の機関によります。

合否はない。ただし効力停止を受けた人は別

国土交通省の資料は、登録更新講習機関が行う更新講習について「合否判定を行いません」と明記しています。新規取得時の修了審査のように、不合格で足止めされる構造ではありません。

例外は、技能証明の効力停止処分を受けた人です。航空法第132条の53の第3号(中毒)、第4号(法令違反)、第5号(非行・重大な過失)を理由に効力を停止された人は、学科講習の科目が追加され、さらに実地講習(シミュレーターでの実施も可)が加わります。第1号・第2号(病気・身体の障害)による停止の場合は、通常と同じ学科講習のみです。

受講者一等 合計二等 合計
通常(上記以外)75分(学科のみ)50分(学科のみ)
第3〜5号で効力停止を受けた者マルチ120分/ヘリ130分/飛行機125分マルチ91分/ヘリ95分/飛行機100分

行政処分の点数制と効力停止の基準は別の記事で扱います。ここで押さえておきたいのは、違反で停止処分を受けると、更新のときの負担も重くなるという点です。

複数の種類を持っていても、学科講習は区分ごとに1回

マルチローターとヘリコプターのように複数の種類の限定を持つ人でも、学科講習は種類ごとに受ける必要はなく、資格の区分(一等・二等)に応じて受講すればよいとされています(無人航空機更新講習及び技能証明書返納証明書交付者講習実施要領 1-3)。効力停止者の実地講習は、種類ごとに必要です。

身体適性の証明──運転免許証が使える人、使えない人

更新申請には、身体適性の基準を満たすことを示す書類を1つ添付します(施行規則第236条の57第1項第1号)。どれを使えるかは、持っている技能証明の区分と限定で変わります。

書類条件使える人
運転免許証有効なもの二等、および25kg未満の限定をされた一等に限る
無人航空機操縦者身体適性検査証明書医師により申請前3か月以内に受けた検査の結果(第29号の12様式)全員。一等で25kg未満の限定がない人はこれ等が必要
身体検査合格証明書申請日前1年以内に交付されたもの全員
航空身体検査証明書有効なもの全員
航空機操縦練習許可書—全員(大臣が同等以上と認めるもの)

運転免許証で済むのは、国土交通省のガイドラインが「国土交通大臣がこれらと同等以上と認めるもの」として運転免許証を挙げているためです。ただし括弧書きで「一等技能証明(最大離陸重量25キログラム未満についての限定をされるものに限る。)及び二等技能証明に限る」とされています。一等で25kg以上の機体を飛ばせる限定変更を受けている人は、運転免許証では代えられません。

その場合は、医師または医療機関で身体適性検査を受けます。国土交通省は検査を実施している(予定を含む)医療機関の一覧を公表していますが、受検できることを保証するものではないとしており、事前に医療機関へ問い合わせる必要があります。検査の結果は申請前3か月以内のものでなければならないので、講習の受講時期と揃えて予約を入れるのが現実的です。

補足:基準の中身は、施行規則別表第六です。二等と25kg未満限定の一等では、視力(両眼で0.7以上かつ一眼でそれぞれ0.3以上、など)、聴力(10mの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること。補聴器可)、運動能力について定めがあります。25kg未満の限定をしない一等は、国際民間航空条約附属書一の第三種身体検査基準に相当する基準です。更新ではこのうち色覚が除かれます。

DIPS2.0での更新申請の流れ

国土交通省のガイドラインとDIPS2.0の操作マニュアル(技能証明申請の更新申請方法 Ver2026/6/22)に沿って、順番に並べます。

事前準備:DIPS2.0で技能証明申請者番号の登録情報を変更し、受講を希望する登録更新講習機関の事務所コードを1つ登録する。機関はこの情報を受講申請時の本人確認に使う
更新講習の受講:機関が定める方法で受講を申し込み、受講。修了すると「UC」で始まる14桁の番号が付いた更新講習修了証明書が発行される
身体適性の書類を用意:運転免許証、または身体適性検査証明書等(前章の表)
更新申請:技能証明メニューの「有効期間の更新」→申請者情報を確認→更新講習修了証明書番号を選択→修了証明書と身体適性の書類を1ファイルに統合してアップロード(pdf・jpeg・jpg・png。複数ファイルやZIPは不可)→拒否に関する条件・欠格事由を選択→内容確認→「更新申請」
到達確認:届いたメールのURLを押す。到達確認が済むまで申請は保留され、画面を閉じると申請内容が破棄される
手数料の納付:航空局の確認後に納付の通知が届く。クレジットカードまたはPay-easy(ATM・インターネットバンキング)で2,850円を納付
新しい技能証明書が簡易書留で届く(審査完了から到着まで10開庁日程度)。旧技能証明書は受領後すみやかに郵送で返納する(システム上の手続きは不要)

登録情報(住所など)を変えたい場合は、更新申請の中では直せません。一度更新申請を取り下げ、「技能証明申請者番号の登録情報確認/変更」で変更してから改めて申請する、とマニュアルに書かれています。住所変更がある人は、申請の前に済ませておくのが無難です。

新しい証明書が届くまでの飛行

技能証明を受けた人は、特定飛行を行う場合に技能証明書を携帯しなければなりません(航空法第132条の54)。携帯しないで特定飛行を行った場合は10万円以下の罰金の対象です(航空法第157条の11第1号)。

更新では、DIPS上の手続きが完了しても新しい証明書が届くまで間があきます。国土交通省は、この間に特定飛行を行う場合、旧技能証明書に表示された有効期間を過ぎていても、旧技能証明書を携帯していれば携帯義務は満たされるとしています。ただし更新手続きの完了を示すため、DIPSから届く更新手続完了メールを印刷して携帯するか、画面ですぐ提示できる状態にしておくことが条件です。

注意:この取扱いは「更新手続きがDIPS上で完了していれば」が前提です。申請はしたものの、満了日までに審査が終わっていない場合の扱いについては、公式には明示されていません(経過措置として明文があるのは、改正時に海外に滞在していた人の特例だけです)。申請期間の終わりぎりぎりに出すと、この空白に入るおそれがあります。

費用は手数料2,850円と講習の受講料

費目金額根拠・備考
更新申請の手数料2,850円(一等・二等同額)航空法関係手数料令第15条
登録免許税不要一等の技能証明には1件3,000円かかるが、国土交通省の納付要領は「更新の技能証明は除く」としている
更新講習の受講料機関ごと国の規定なし。国土交通省資料も「機関毎に定められた手数料額を支払い(規定はなし)」
身体適性検査の費用医療機関ごと運転免許証で代えられる人は不要。国の資料に金額の定めは示されていない

新規に取ったときの交付手数料は3,000円(一等はこれに登録免許税3,000円)でしたから、国に払う額だけを見れば更新のほうが軽くなります。手数料は納付の案内から1か月以内に納める必要があり、それを過ぎる場合は申請し直しになる、とDIPSのよくある質問に書かれています。領収書は発行されず、収入印紙でも納められません。

事業者にとって本当に大きいのは金額より操縦者の時間です。講習は通常なら1時間前後ですが、対面の修了演習、医療機関の予約(一等25kg以上の場合)、DIPSの手続きを、申請期間という限られた5か月の中に収める必要があります。

失効してしまったら──返納証明書と再取得のルート

申請期間を逃して有効期間が満了すると、技能証明は効力を失います。このとき本人には、すみやかに事由を記載した書面を添えて技能証明書を返納する義務があります(航空法施行規則第236条の68第1項第1号)。返納すると、国土交通大臣から技能証明書返納証明書が交付されます(同条第4項)。

失効した人が再び技能証明を取るには、原則として新規申請です(事務処理要領 3.6.3)。ただし一定の条件を満たせば、試験が大きく免除されるルートが用意されています。

状況ルート受けるもの
満了日の1か月前まで 更新 更新講習(学科のみ・合否なし)+身体適性の書類+手数料2,850円
更新せず失効し、満了日から3年以内 返納証明書交付者講習を経た新規申請 登録講習機関の講習(学科 一等105分/二等80分+修了確認試験、実地 一等15分/二等11分〔マルチの場合〕+実機での修了審査)+指定試験機関の身体検査。学科試験・実地試験は免除
満了日から3年超、または取消処分で失効 通常の新規申請 学科試験・身体検査+実地試験(登録講習機関の講習修了で実地試験免除のルートは通常どおり)。なお第132条の53第4号・第5号による取消しの日から2年を経過しない間は、技能証明の申請自体ができない(航空法第132条の45第3号)

返納証明書交付者のルートは、施行規則第236条の54に基づきます。第1項が返納証明書を受けた人の学科試験免除(講習修了から3か月以内に限る)、第2項が登録講習機関の講習修了による実地試験免除(修了から1年以内に限る)です。国土交通省の資料「技能証明の失効後の再取得手続きについて」(2026年8月)は、手順を次のように示しています。

技能証明書を郵送で返納する。資料は「DIPSの『返納申請』ボタンは押下せずに」郵送するよう指示している
航空局から技能証明書返納証明書が交付される(講習・試験合格証明書の発行・新規申請のすべてで必要)
対応している登録講習機関を探す。この課程を設けるかは各機関の任意で、国土交通省の登録講習機関一覧の「技能証明書返納証明書交付者講習の対応」欄に○がある機関が対応
講習を受講し、学科の修了確認試験と実地の修了審査(実機)に合格して修了証明書を受け取る。更新講習と違い、合格しなければ修了にならない
指定試験機関(一般財団法人日本海事協会)に事前連絡したうえで身体検査を受検(有効な身体検査合格証明番号があれば不要)し、試験合格証明書の発行を申請
DIPS2.0で技能証明の新規申請(試験合格証明書・講習修了証明書・返納証明書を添付)
注意:このルートの対象は「更新を行わずに失効した人」だけです。資料は「技能証明の取消処分によって失効した者は返納証明書を取得できない」と明記しています。また、直近の技能証明が夜間・目視外・25kg以上の限定変更を受けたものだった場合は、それらの修了審査もあわせて受ける必要があります(その限定を付けた技能証明で申請する場合を除く)。

失効している間は、当然ながら技能証明を前提にした運用ができません。機体認証を受けた機体を技能証明の保有者が飛ばすことで許可・承認を不要にする飛行(認証機体を買うか、許可・承認で回すか)は成り立たなくなり、カテゴリーⅡの許可・承認の審査要領も、訓練の記載の省略やレベル3.5飛行について「現に有効な無人航空機操縦者技能証明」の保有を前提にしています。一方で、技能証明を使ってすでに取得した許可・承認が失効によって当然に効力を失うのかどうかは、公式には明示されていません。該当する場合は、許可・承認の窓口に確認するのが確実です。

複数の種類・複数の操縦者を抱える事業者の管理

種類ごとに満了日がずれる人のための2つの規定

マルチローターの技能証明を取った後にヘリコプターを追加した、というように、種類の限定ごとに有効期間の満了日が違う人がいます。施行規則には、これをまとめるための規定が2つあります。

規定内容起算日
第236条の58 2以上の種類の限定について、更新を同時に申請する場合(いずれも更新申請できるものに限る)、申請により起算日を揃えられる それぞれの更新後の起算日のうち最も早く到来する日に揃う
第236条の59第2項 更新期間内の種類を更新申請するとき、まだ更新期間前の他の種類の更新申請も同時にできる 技能証明書が交付された日(同条第5項)
第236条の59第1項 更新期間の全期間を通じて本邦以外の地に滞在する人は、証明書類を添えて更新期間前に申請できる 技能証明書が交付された日(同条第4項)

後の2つは起算日が交付日になるため、揃える代わりに、前倒しした種類の有効期間が短くなります。海外赴任の予定がある操縦者は、DIPS2.0で在留証明等を添付し、備考欄に「更新期間の全期間を通じて○○(滞在地)に滞在しているため、更新開始日より前の更新申請を希望」と記載する、とマニュアルに書かれています。

操縦者台帳に持つべき列

技能証明は個人の資格ですが、業務で使う以上、失効は事業の停止に直結します。しかも更新は3年に一度で、担当者の記憶に残りにくい周期です。

列入れるものなぜ必要か
区分・種類・限定一等/二等、マルチ/ヘリ/飛行機、夜間・目視外・25kg以上の限定変更の有無更新講習の区分と、運転免許証が使えるかが決まる
満了日技能証明書の有効期間(種類ごと)すべての期限の起点
申請期限満了日の1か月前これを過ぎると更新申請ができない
申請開始日満了日の6か月前これより前は原則申請できない
身体適性の手段運転免許証/医療機関での検査一等25kg以上は医療機関の予約が要る
処分歴効力停止処分の有無と号第3〜5号の停止があれば実地講習が加わる

国土交通省の資料の手続きフロー図には「技能証明更新時期リマインドメール受信」という段階が描かれていますが、いつ届くかは明示されていません。届くかどうかにかかわらず、社内の台帳で持つのが安全です。

期限のある他の手続きとの並べ方

技能証明の更新は、機体側の期限とは周期も窓の形も違います。まとめて管理するなら、窓の「終わり」がどこにあるかを揃えて見るのが大切です。

手続き有効期間更新の窓単位
技能証明3年満了日の6か月前〜1か月前操縦者ごと(種類ごと)
機体登録3年満了日の1か月前〜満了日が損をしない(詳細)機体ごと
包括申請の許可・承認最長1年満了日の40開庁日前〜10開庁日前(詳細)申請ごと
機体認証第一種1年/第二種3年遅くとも満了日の1か月前までに更新申請(2026年9月29日訂正。制度の整理)機体ごと

いずれも「満了日に間に合えばよい」わけではない点が共通しています。とくに技能証明は、窓が満了日の1か月前に閉じるため、機体登録の感覚で動くと間に合いません。

よくある質問

満了日の1か月前を過ぎてしまいましたが、満了日まではまだあります。更新できますか。
現行の施行規則第236条の57第1項は、更新申請の期間を「満了する日の六月前から一月前までの間」と定めていますので、その期間を過ぎた申請はこの規定の期間外です。例外として明文があるのは、更新期間の全期間を通じて海外に滞在している人の前倒し申請などに限られます。満了すれば効力を失い、再取得は新規申請になります(満了日から3年以内なら返納証明書交付者講習のルートがあります)。個別の事情がある場合は、国土交通省の窓口に確認してください。
一等と二等の両方を持っている場合、更新講習は2回受けるのですか。
国土交通省の資料では、更新講習は一等と二等で内容を分けて実施するとされています。一方、効力停止者向けの実地講習については「一等と二等両方の技能証明を有する場合は一等の講習内容を受講すれば二等については免除」と明記されていますが、学科講習について両方を持つ人の扱いを明示した記載は確認できませんでした。受講前に登録更新講習機関に確認してください。
更新講習はどこで受けてもよいのですか。新規取得時のスクールでなければいけませんか。
国土交通大臣の登録を受けた登録更新講習機関であれば、取得時の機関である必要はありません。DIPS2.0の技能証明申請者番号の登録情報に、受講を希望する登録更新講習機関の事務所コードを登録してから申し込みます。途中で受講先を変える場合は、この登録情報を変更したうえで新しい機関に申し込むとガイドラインに書かれています。機関の一覧は国土交通省の技能証明のページで種類別に公表されています。
運転免許証を持っていれば、身体検査は一切いりませんか。
二等と、25kg未満の限定をされた一等であれば、運転免許証を身体適性の証明に使えます。25kg以上の機体を飛ばせる一等(25kg未満の限定をしないもの)の人は運転免許証では代えられず、申請前3か月以内に医師・医療機関で受けた身体適性検査証明書などが必要です。
更新講習で不合格になることはありますか。
国土交通省の資料は、登録更新講習機関が行う更新講習について「合否判定を行いません」としています。学科講習をオンラインで受けた場合の対面の修了演習も、合否を判定するものではないとされています。これに対し、失効後に受ける返納証明書交付者講習は、修了確認試験と修了審査に合格しなければ修了になりません。
更新が完了したのに新しい証明書がまだ届きません。仕事で飛ばしてよいですか。
DIPS上で更新手続きが完了していれば、旧技能証明書に表示された有効期間を過ぎていても、旧技能証明書を携帯していれば携帯義務は満たされる、と国土交通省は示しています。その際は更新手続完了メールを印刷して携帯するか、画面ですぐ提示できるようにしておく必要があります。新しい証明書が届いたら、旧証明書はすみやかに郵送で返納します。
失効したまま3年以上たちました。何か優遇はありますか。
返納証明書交付者の学科試験免除は「直近において受けていた技能証明の有効期間が満了する日から起算して三年を経過しない者」に限られます(施行規則第236条の54第1項)。3年を過ぎた場合は通常の新規取得と同じで、学科試験と身体検査を受け、実地試験は受験するか登録講習機関の講習修了で免除を受けることになります。
更新のとき、一等の登録免許税はまたかかりますか。
かかりません。国土交通省の「登録検査機関等に係る登録免許税の納付要領」は、一等無人航空機操縦士の技能証明について1件3,000円としたうえで「なお、更新の技能証明は除く」としています。更新で国に納めるのは、航空法関係手数料令第15条の手数料2,850円です。
この記事の一次ソース
  1. e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第132条の50、第132条の51、第132条の53、第132条の54、第132条の82、第157条の11
  2. e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)第236条の54〜第236条の59、第236条の68、別表第六、附則(令和7年国土交通省令第118号)
  3. e-Gov法令検索|航空法関係手数料令(平成九年政令第二百八十四号)第15条
  4. 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明等
  5. 国土交通省|技能証明の更新制度及び登録更新講習機関制度について(PDF・2026年6月29日一部改訂)
  6. 国土交通省|技能証明の失効後の再取得手続きについて(技能証明書返納証明書交付者講習)(PDF・2026年8月)
  7. 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明に関する事務処理要領(PDF・令和7年12月9日改正)
  8. 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明の申請等の事務処理に関するガイドライン(PDF・令和7年12月9日一部改定)
  9. 国土交通省|無人航空機更新講習及び技能証明書返納証明書交付者講習実施要領(PDF)
  10. 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明書の交付手数料額一覧(PDF)
  11. 国土交通省|登録検査機関等に係る登録免許税の納付要領(PDF)
  12. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)(PDF)
  13. 国土交通省|ドローン情報基盤システム 技能証明申請の更新申請方法 操作マニュアル(PDF)
  14. 国土交通省|DIPS2.0 技能証明の手続きに関するよくある質問
  15. 国土交通省|機体認証等(特記事項について)
本記事は2026年9月29日時点の情報です。 技能証明の更新制度は運用開始から間もなく、2025年12月にも申請期間の省令改正がありました。実際の手続き前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

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