機体認証・型式認証とは。第一種と第二種の違い
機体認証は、その機体が安全基準に適合していることを国が認証する制度です(航空法第132条の13)。区分は2つで、第一種=立入管理措置を講ずることなく行う特定飛行に使う機体、第二種=立入管理措置を講じた上で行う特定飛行に使う機体。有効期間は第一種が1年、第二種が3年です。 型式認証(第132条の16)は機体1機ごとではなく設計及び製造過程についての認証で、型式認証を受けた型式の機体は、機体認証における設計及び製造過程の検査の全部又は一部が省略されます。 事業者が機体認証を検討する実務上の最大の理由は、技能証明とセットで、カテゴリーⅡ飛行の一部について許可・承認が不要になることです。ただしこれには5つの条件がすべて必要で、対象になる飛行の類型も限られます。 この記事は、条文の構造・有効期間・使用条件等指定書・型式認証との関係・手数料までを、国土交通省の公表資料と条文だけで組み立てます。実際に型式認証を取得している機体の一覧は型式認証を取得している機体の一覧と、その見方にまとめています。
航空法第132条の85/規則第236条の73・第236条の75規則第236条の18/教則 第5版 3.1.1(2)4)(2026年10月11日訂正)航空法第132条の16/第132条の13第5・6項機体認証とは何か。第132条の13の条文構造
機体認証の根拠は航空法第132条の13です。全10項からなり、この1条を読むだけで制度の骨格がほぼ把握できます。順に見ます。
| 項 | 定めている内容 |
|---|---|
| 第1項 | 国土交通大臣は、申請により機体認証を行う |
| 第2項 | 区分は第一種機体認証と第二種機体認証の2つ |
| 第3項 | 認証にあたり使用の条件を指定する(使用条件等指定書として交付) |
| 第4項 | 設計・製造過程・現状が安全基準に適合するかを検査する |
| 第5項・第6項 | 一定の機体については検査の一部又は全部を省略できる |
| 第7項 | 機体認証は機体認証書の交付により行う |
| 第8項・第9項 | 認証を受けた機体の表示義務と、無関係者による表示の禁止 |
| 第10項 | 有効期間は国土交通大臣が定める |
重要なのは、機体認証が申請によって行われるものだという点です。機体を買えば自動的に付いてくるものではありません。また第4項が検査の対象としているのは設計・製造過程・現状の3つで、この3つの検査をどこまで省略できるかが、後で述べる型式認証との関係を決めています。
あわせて押さえるべき関連条文が2つあります。第132条の14(使用条件の遵守義務・整備の義務)と第132条の15(整備命令・機体認証の効力停止)です。機体認証は「取って終わり」ではなく、取得後の運用まで含めて条文が組まれています。
第一種と第二種の違い
第132条の13第2項の区分は、立入管理措置を講ずるかどうかという一点で分かれています。
| 第一種機体認証 | 第二種機体認証 | |
|---|---|---|
| 条文上の定義 | 立入管理措置を講ずることなく行う特定飛行の用に供する無人航空機 | 立入管理措置を講じた上で行う特定飛行の用に供する無人航空機 |
| 対応する飛行 | カテゴリーⅢ飛行(第三者上空での特定飛行。レベル4飛行を含む) | カテゴリーⅡ飛行(立入管理措置を講じた上で行う特定飛行) |
| 有効期間 | 1年 | 3年 |
| 組み合わせる技能証明 | 一等無人航空機操縦士(立入管理措置を講ずることなく行う特定飛行に関する技能) | 二等以上(立入管理措置を講じた上で行う特定飛行に関する技能) |
なお、第一種は第二種を兼ねるという明示の規定を条文の中に確認したわけではありません。本記事では、第一種機体認証と第二種機体認証を、条文どおり別々の認証として扱います。
有効期間は第一種1年・第二種3年
法律の条文(第132条の13第10項)は「国土交通大臣が定める」としか書いていませんが、年数は航空法施行規則に明記されています。(2026年10月11日訂正)
(航空法施行規則第236条の18)
起算日も規則が定めています。規則第236条の19は、起算日を「当該機体認証に係る機体認証書を交付する日」とし、ただし有効期間の満了日の1月前から満了日までの間に新たに機体認証書が交付される場合は「当該期間が満了する日の翌日」から起算するとしています。満了直前に更新が間に合えば、期間が前倒しで削られない仕組みです。
国土交通省の「無人航空機の飛行の安全に関する教則」(第5版)も、同じ年数を次のように書いています。「機体認証のための検査は、国又は国が登録した民間の検査機関(以下「登録検査機関」という。)が実施し、機体認証の有効期間は、第一種は1年、第二種は3年である。」(教則 第5版 3.1.1(2)4))
第一種の1年は、機体を運用する側にとって短い。カテゴリーⅢ飛行を継続的に行う体制を組むなら、機体認証の更新が毎年発生することを前提に予算と工程を組む必要があります。
検査を行うのは国または登録検査機関
機体認証のための検査を実施するのは、国、または国が登録した民間の検査機関(登録検査機関)です。教則の上記引用にそのまま書かれています。
この二本立ては、後述する手数料の理解にも関わります。本記事が示す手数料は国が検査を行う場合の額です。登録検査機関が検査を行う場合の費用については、本記事は扱っていません。
使用条件等指定書と、守らなかった場合の整備命令
第132条の13第3項は、機体認証にあたって使用の条件を指定すると定めています。この指定内容が使用条件等指定書として交付されます。機体認証書とセットで扱われる書面です。
そして第132条の14が、使用条件の遵守義務と整備の義務を定めます。さらに第132条の15が、これを受けた行政側の手段として整備命令と機体認証の効力停止を定めています。
このうち第132条の15第2項は、効力停止だけを定めた規定ではありません。「当該無人航空機の機体認証の効力を停止し、その有効期間を短縮し、又は第百三十二条の十三第三項の規定により指定した使用の条件を変更することができる」とあり、有効期間の短縮と使用の条件の変更も手段として並んでいます(2026年10月11日訂正)。つまり、交付された使用条件等指定書の内容はあとから変更されることがあるという前提で運用する必要があります。使用条件等指定書そのものについては「使用条件等指定書とは。機体認証を受けた機体に付く条件と、整備命令」で詳しく扱っています。
型式認証(第132条の16)との関係
ここが機体認証と最も混同されやすいところです。型式認証は機体1機ごとの認証ではありません。第132条の16は、国土交通大臣が申請により、無人航空機の設計及び製造過程について型式認証を行う、と定めています。
| 機体認証(第132条の13) | 型式認証(第132条の16) | |
|---|---|---|
| 対象 | 個々の機体 | 無人航空機の設計及び製造過程(型式) |
| 申請するのは主に | 機体を使用する側 | 製造者等(公表リスト上は保有者としてメーカー名が並びます) |
| 区分 | 第一種/第二種 | 第一種型式認証/第二種型式認証 |
| 検査の基準 | 安全基準(設計・製造過程・現状) | 安全基準及び均一性基準 |
| 手続上の特徴 | — | 経済産業大臣への事前の意見聴取が必要 |
| 有効期間 | 第一種1年・第二種3年(規則第236条の18) | 3年(規則第236条の27)(2026年10月11日訂正) |
両者をつなぐのが第132条の13第5項・第6項(検査の一部又は全部の省略)です。国土交通省の説明はこうです。「型式認証を受けた型式の無人航空機については、機体認証における設計、製造過程及び現状についての検査のうち、設計及び製造過程の検査の全部又は一部が省略されます」。
認証を受けた機体には型式認証書番号・型式・製造番号が表示されます。また、飛行の許可・承認申請の書類も一部省略できます。
実際にどの型式が型式認証を取得しているのかは、国土交通省が一覧をPDFで公表しています。2026年9月時点で確認できる最新版(令和8年6月19日現在)で、第一種は1件、第二種は13件です。各型式の内容と一覧の読み方は型式認証を取得している機体の一覧と、その見方で扱っています。
なぜ事業者が機体認証を検討するのか
ここが本記事の核心です。機体認証は義務ではありません。それでも事業者が検討する理由は、技能証明とセットで、カテゴリーⅡ飛行の一部について許可・承認が不要になるからです。反復して特定飛行を行う事業者にとって、申請の手間そのものが消えるインパクトは大きい。
ただし、この効果が生じるのは次の5つをすべて満たすときです。1つでも欠ければ、従来どおり許可・承認の申請が必要です。
この「許可・承認が不要になる範囲」は、教則の区分と重ねると輪郭がはっきりします。教則(第5版)は、カテゴリーⅡ飛行のうちリスクの高いもの(空港周辺/高度150m以上/催し場所上空/危険物輸送/物件投下/最大離陸重量25kg以上)をカテゴリーⅡA飛行、それ以外をカテゴリーⅡB飛行と呼んでいます。この区分は教則(第5版)3.1.1(2)3)b で定義された区分であり、航空法の条文や審査要領には現れません。上の5条件の1つ目は、このⅡBの範囲とちょうど重なります。
教則はさらに、「カテゴリーⅡB飛行に関しては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合には、特段の手続き等なく飛行可能である」と書き、カテゴリーⅡA飛行については技能証明・機体認証があっても大臣の許可・承認が必要だとしています。
逆に、機体認証を取らずに反復飛行を回す道も当然あります。飛行の許可・承認そのものの取り方はドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイド、場所を特定しない包括申請の範囲は全国包括は取れるか。標準マニュアル02の使い方で扱っています。機体認証を取るか、許可・承認を取り続けるかは、飛行の類型・頻度・機体の台数で決まる設計の問題です。
機体認証の手数料
国が検査を行う場合の手数料は、国土交通省が一覧を公表しています。型式認証を取得済みの型式かどうかで、額が大きく変わります。主なものを抜き出します。
| 区分(第一種機体認証・国が検査を行う場合) | 金額 |
|---|---|
| 新規・新品・第一種型式認証取得済(1機目/2機目以降) | 44,000円/43,400円 |
| 新規・新品・型式認証未取得(特定空域を含む/含まない) | 1,590,300円/1,481,200円 |
| 新規・中古・型式認証取得済(1機目/2機目以降) | 49,600円/49,000円 |
| 新規・中古・型式認証未取得(特定空域を含む/含まない) | 1,592,200円/1,483,100円 |
| 更新・型式認証取得済(1機目/2機目以降) | 49,600円/49,000円 |
| 更新・型式認証未取得・改造無 | 49,600円 |
| 更新・型式認証未取得・改造有(特定空域を含む/含まない) | 141,100円/135,700円 |
ここでいう「特定空域」とは、人口密度が1km2当たり1万5千人以上の区域の上空を含む空域を指します。
| 区分(第二種機体認証・新規・国が検査を行う場合) | 金額 |
|---|---|
| 新品・型式認証取得済(1機目/2機目以降) | 3,100円/2,450円 |
| 新品・型式認証未取得・4kg未満 | 284,900円 |
| 新品・型式認証未取得・4kg以上25kg未満 | 418,800円 |
| 新品・型式認証未取得・25kg以上(法第132条の86第2項第1〜4号のいずれにも該当) | 835,600円 |
| 新品・型式認証未取得・25kg以上(その他の方法) | 992,900円 |
| 中古・型式認証取得済・型式認証者による整備有(1機目/2機目以降) | 8,200円/7,500円 |
| 中古・型式認証取得済・整備無(1機目/2機目以降) | 49,600円/49,000円 |
第二種機体認証の更新は、型式認証取得済・整備有で8,200円(2機目以降7,500円)、整備無で49,600円(同49,000円)。型式認証未取得で改造がない場合は、設計製造者による整備有で8,200円、整備無で49,600円。改造がある場合は4kg未満93,300円、4kg以上25kg未満100,000円、25kg以上115,600円・120,000円です。機体認証書の再交付手数料は1,650円です。
認証を受けずに表示を付すことは行政処分の対象
第132条の13第8項・第9項は、認証を受けた機体の表示義務と、無関係者による表示の禁止を定めています。型式認証の側にも同様に、第132条の19第2項の表示に関する規定があります。
また、第132条の13第9項の違反は、航空法第157条の10第1項により30万円以下の罰金の対象とされています。
中古機の取引や、他社から機体を引き受けるときに実務上効いてきます。認証を示す表示が付いていることと、その機体が現に有効な認証を受けていることは別です。機体認証書・使用条件等指定書の現物と有効期間を確認せずに、表示だけを根拠に運用を組まないでください。