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立入管理措置とは。現場で実際に何をするのか

公開 2026-09-05 更新 2026-09-05 読了 約14分

立入管理措置は、航空法の条文では「飛行経路下において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者の立入りを管理する措置」と定義され、その中身は施行規則第236条の70が「補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置」と定めています。 現場に落とすと、やることは3つです。区画を決める/人を配置する/立入りを制限している旨を看板やコーンで表示する。区画は飛行経路の真下だけでなく、落下分散範囲も考慮して決めます。 そして立入管理措置は、現場の安全対策であると同時に制度上の分岐点でもあります。これを講じるか講じないかでカテゴリーⅡとカテゴリーⅢが分かれ、講じたことは飛行計画の通報事項として国土交通大臣に申告する内容にもなります。 この記事では、条文の文言を現場の手順に翻訳します。

あなたの飛行に、許可・承認は必要か

航空法の条文と国土交通省の資料に沿って、その場で判定します。入力は保存されず、どこにも送信されません。

バッテリー以外の取り外せる付属品(外付けリモートID機器を含む)は数えません。
トンネル内部やネット等で囲われた空間も「屋内」として扱われます。
人口集中地区は、私有地の上空であっても該当します。
「30m未満」の相手は第三者です。自社の操縦者や補助者は含みません。
補助者の配置、立入りを制限する区画の設定、看板・コーン等による表示など。
夜間・目視外を申請なしで行うには、その限定変更を受けている必要があります。
上の1〜6を選ぶと、ここに判定が出ます。

判定はあくまで航空法の許可・承認についてのものです。電波法・小型無人機等飛行禁止法・自治体の条例・施設管理者のルールは別に確認が必要です。

よく見る説明と、公式の記載
この分野は制度改正が続いており、古い説明や条文上の裏付けがない説明が広く流通しています。この記事で扱う範囲について、実際の一次ソースの記載と突き合わせます。
よく見る説明30mの距離は、誰に対しても保たなければならない。
公式にはこう解釈通達は第132条の86第2項第3号を「第三者から30mの距離を保つこと」と言い換えています。自社の操縦者や補助者は対象外です。
出典 無人航空機に係る規制の運用における解釈について
よく見る説明カテゴリーⅡAとⅡBは航空法上の区分。
公式にはこうこの区分は教則(第5版)3.1.1(2)3)b で定義されたもので、航空法の条文にも審査要領にも現れません。
出典 無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版

条文はどこまで書いているか

まず一次資料を並べます。立入管理措置の定義は、航空法本文ではなく第132条の85第1項の括弧書きに置かれています。

航空法第132条の85第1項(括弧書き)
「立入管理措置(無人航空機の飛行経路下において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者の立入りを管理する措置であつて国土交通省令で定めるものをいう。)」

読み取れることは3つあります。第一に、管理の対象になる場所は飛行経路下であること。第二に、立入りを管理される相手は「飛行させる者」と「これを補助する者」以外の者であること。つまり条文が名指しで除外しているのは、操縦者と補助者の2者だけです。第三に、具体的な措置の中身は省令に委任されているということです。

その省令が施行規則第236条の70です。

航空法施行規則第236条の70
「…補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置とする。」

ここで示されているのは例示2つと包括条項1つです。「補助者の配置」と「立入りを制限する区画の設定」が例示で、「その他の適切な措置」が受け皿になっています。省令は、補助者を必ず置けとも、必ず柵で囲めとも書いていません。現場の条件に応じた組み合わせが認められる構造です。

ではどこまでやれば「適切な措置」なのか。ここを埋めているのが解釈通達です。

解釈通達(無人航空機に係る規制の運用における解釈について)
立入管理区画の設定にあたっては落下分散範囲も考慮すること、および「関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等による表示」などの措置が必要であるとされています。

条文・省令・通達を重ねると、現場で用意すべきものの輪郭が出てきます。

階層書かれている内容現場での意味
航空法
第132条の85第1項
(括弧書き)
飛行経路下において、操縦者および補助者以外の者の立入りを管理する措置 管理する場所=飛行経路下/管理する相手=それ以外の人
施行規則
第236条の70
補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置 手段は列挙されているが限定されていない。組み合わせで足りる
解釈通達 落下分散範囲も考慮した区画設定/看板、コーン等による表示 区画は経路の真下より広い/表示は必要と読める

逆に言えば、設定した区画の外周に何の表示もない状態は、通達が求める内容と噛み合いません。頭の中で「この辺までが立入禁止」と決めているだけでは、現場を通りかかった人からは区画の存在が分かりません。立入管理措置は「決めること」ではなく「示すこと」までを含むと理解しておくのが安全です。

現場でやることは3つ:区画・人・表示

条文の3層を、現場の作業に翻訳します。やることは区画を決める/人を配置する/表示するの3つです。

1. 区画を決める

区画は、飛行経路を地図に落として、その真下を含む面として決めます。ここで効いてくるのが後述する落下分散範囲です。区画の形は現場の地形に従うので、四角である必要も、対称である必要もありません。重要なのは、決めた区画の境界が現場で識別できることです。「駐車場の南半分」のように、既存の物理的な境界(フェンス、植栽、段差、路面の色)に沿わせると、表示の手間が減り、伝達の誤りも減ります。

屋外の飛行では、区画の中に通り抜ける動線があるかどうかを先に確認してください。歩行者の通路、資材の搬入経路、犬の散歩コース、子どもの通学路。動線を跨いで区画を切ると、その区画は人が入ってくる前提の区画になってしまいます。動線を避けられないなら、その動線の両端に人を置くか、飛行経路自体を動線から外す設計に変えることになります。

2. 人を配置する

施行規則が例示する「補助者の配置」です。補助者は、条文上は立入管理措置の対象から除外される側の人です(法第132条の85第1項括弧書きが「これを補助する者」を除外しています)。したがって補助者が飛行経路下にいること自体は、立入管理措置と矛盾しません。

配置の設計で見るべきは、区画の出入口の数です。出入口が3か所ある区画に補助者が1人では、残り2か所は無管理になります。出入口を物理的に減らして(コーンやバーで塞いで)、残した口に人を置くほうが、人数を増やすより確実です。

補助者の人数について:補助者を何人配置すべきかという数値基準は、施行規則にも解釈通達にも示されていません。省令は「補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置」と書くのみです。人数を一律に決める公式の基準は確認できていません。現場ごとに、区画の出入口の数・見通し・人の流れから必要数を決め、その考え方を飛行マニュアルと社内の手順書に残しておくことになります。

3. 表示する

解釈通達が挙げているのは「関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等による表示」です。実務では次のように分解できます。

役割使うもの設計上の注意
境界を示す コーン、コーンバー、単管バリケード、カラーロープ コーンを点で置くだけでは境界線にならない。バーやロープでつないで線にすると、どちら側が区画内か一目で伝わる
意味を示す 看板、立て看、A型看板、掲示 「関係者以外立入禁止」だけでなく、ドローンを飛行させている旨を書くと、通行人からの問い合わせ対応が減る
人が対応する 補助者、誘導員 表示に気づかず入ってくる人は必ず想定する。表示は人の代わりではなく、人の負担を減らすもの
記録に残す 設営後の写真、区画図 飛行日誌そのものの記載事項ではないが、その日の措置内容を後から説明できる状態にしておく価値がある

3つ目の「人が対応する」を軽視しないでください。看板とコーンは入ろうとした人に理由を伝える装置であって、入ってくる人を止める装置ではありません。区画に人が入った時点で、飛行経路下に第三者がいる状態になります。その瞬間に飛行を止められる体制まで含めて、立入管理措置です。

「落下分散範囲も考慮」をどう扱うか

解釈通達は、立入管理区画の設定にあたって落下分散範囲も考慮することを求めています。この一文が、区画設計でいちばん判断を要する部分です。

意味するところは明快で、区画は飛行経路の真下の帯より広くなるということです。機体は真下に落ちるとは限りません。高度・速度・風・機体の姿勢によって、落下点は経路から外側にずれ得ます。したがって区画は、経路の直下に一定の幅を足した面として設計することになります。

落下分散範囲の算定式や具体的な数値は、本記事が確認した一次資料の範囲では公式に示されていません。 解釈通達が求めているのは「考慮すること」であって、「高度の何倍を取れ」といった数値基準ではありません。数値を断定的に示す解説を見かけた場合は、その根拠がどの公式資料のどこにあるのかを確認してください。
現場としては、自社の機体・飛行高度・想定風速に対して、どういう考え方で余裕幅を取ったのかを説明できる状態にしておくことが実務的な着地点になります。飛行マニュアルにその考え方を書き、現場では区画図に幅を明記する、という運用です。

設計を機械的にするなら、次の順で考えると漏れが出にくくなります。

飛行経路を地図に引く。離陸地点、経路、着陸地点、緊急着陸地点まで含める
経路の直下に帯を描く。ここが管理すべき最小の面
落下分散範囲を考慮して帯を外側に広げる。広げ方の考え方は飛行マニュアルに書いたものを使う
広げた面と、現場の物理的な境界(フェンス、道路、段差)を突き合わせる。境界に沿わせられる部分は沿わせる
広げた面に管理できない場所(公道、他人の敷地、通り抜け動線)が残る → 経路を引き直すか、その飛行は立入管理措置なしの飛行として設計し直す
面が確定 → 出入口の数を数える。塞ぐ口と、人を置く口を決める
区画図を作り、当日はその図のとおりに設営して写真を残す

ステップ5が実務では最重要です。「区画を設定できない現場」を、設定できたことにしてはいけません。公道や他人の敷地が経路下に入るなら、そこは自社の判断で立入りを制限できる場所ではありません。経路を引き直すのが第一手です。

機体搭載カメラで代える方法(みなし規定)

地上に人と表示を置く方法だけが立入管理措置ではありません。審査要領5-4(1)d)ウ)(iii) に基づき、機体搭載カメラによって進行方向の飛行経路直下等への第三者の立入りがないことを確認する場合には、立入管理措置が行われているものとみなす扱いが置かれています。

この方法が意味を持つのは、地上に人を置き続けることが現実的でない飛行です。長距離の目視外飛行では、経路の全長にわたって補助者を配置し続けることが難しくなります。そこで、機体の側から経路直下を確認するという発想に切り替えるわけです。

専用の標準マニュアルがあります。国土交通省が公開している航空局の標準マニュアルは7種類あり、そのうち1つが「標準マニュアル(レベル3.5飛行・機上カメラで立入管理措置)」です。機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行を対象としたもので、12ページ構成になっています。この方式を採るなら、汎用の航空局標準マニュアル02ではなく、この専用版が用途に合う可能性があります。URLは記事末尾の一次ソース欄に掲載しています。
標準マニュアル7種類の使い分けは全国包括は取れるか。標準マニュアル02の使い方で整理しています。

ただし、この「みなし」は無条件のフリーパスではありません。審査要領の当該項は5-4(目視外飛行)の節に置かれています。地上の措置をカメラで代えるという発想が制度上どの飛行類型に結びついているかは、条項の位置に表れています。実際の申請にあたっては、審査要領の5-4を該当箇所ごと読み、専用の標準マニュアルの本文と突き合わせてください。

本記事が扱っているのは「みなし規定が存在すること」と「その位置」までです。 カメラの画角、解像度、確認の頻度、記録の要否といった運用の細部は、本記事の執筆にあたって原本から抽出していません。この方式を採る場合は、必ず審査要領5-4の該当箇所と、レベル3.5飛行の標準マニュアル本文をご自身で確認してください。

「第三者」はどこまでか

立入管理措置の話は、必ず「どこまでが関係者で、どこからが第三者か」という問いに行き着きます。ここは慎重に扱う必要があります。

まず条文が挙げているのは2者です。法第132条の85第1項の括弧書きは、「無人航空機を飛行させる者」と「これを補助する者」を挙げ、それ以外の者の立入りを管理せよと書いています。ただし、その「以外の者」の範囲は解釈通達が定義しています。(2026年9月29日訂正)

解釈通達6.(1)が「第三者」を定義しています。「第三者」とは無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与していない者をいい、直接関与者(操縦者、現に操縦はしていないが操縦する可能性のある者、補助者等無人航空機の飛行の安全確保に必要な要員)と間接関与者(飛行目的について操縦者と共通の認識を持ち、3つの要件をすべて満たす者)は「第三者」に該当しない者として列挙されています。教則第5版3.1.2(2)4)a も同一の文言です。
したがって正確には「定義がない」のではなく、定義はあるが、間接関与者に当たるかどうかの当てはめについて具体的な基準が示されていないということです。線引きの詳細は「「第三者」はどこまでか。関係者・間接関与者の線引き」で扱っています。(2026年9月29日訂正)

もうひとつ、混乱の元になる事実があります。「第三者」という語の扱いが、制度の場面ごとに違うことです。

場面「人」の範囲出典
30m未満飛行の承認
(航空法第132条の86第2項第3号)
30mの距離を保つべき「人」は第三者に限る 解釈通達
事故の報告
(航空法第132条の90)
「人の死傷」の「人」は第三者に限らず、操縦者およびその関係者を含む 事故等報告要領
重大インシデントの報告
(航空法第132条の91)
「人の負傷」も第三者に限らず操縦者・関係者を含む。地上待機中や離着陸のための地上滑走中の事案(回転中のプロペラによる負傷等)も対象 事故等報告要領

整理すると、飛ばす前の規制(30mの距離、立入管理措置)では第三者かどうかが効くのに対し、飛ばした後の報告義務では第三者かどうかを問わないという構造になっています。現場で言えば、補助者は立入管理措置の対象外だが、その補助者が怪我をすれば報告の対象になるということです。「関係者だから」という理由で報告を省略する判断は、報告要領の記述と噛み合いません。

カテゴリーⅡとⅢの分かれ目になる

ここから制度上の位置づけです。国土交通省の飛行カテゴリーの定義は、次のように立入管理措置を軸にしています。

カテゴリー国土交通省による定義手続
カテゴリーⅠ 特定飛行に該当しない飛行 航空法上の飛行許可・承認手続きは不要
カテゴリーⅡ 特定飛行のうち、飛行経路下において立入管理措置を講じたうえで行う飛行(=第三者の上空を飛行しない) 原則として許可・承認が必要。一定の条件下で不要にできる場合がある
カテゴリーⅢ 特定飛行のうち、飛行経路下において立入管理措置を講じないで行う飛行(=第三者の上空で特定飛行を行う) 常に許可・承認が必要

つまり立入管理措置の有無が、そのままカテゴリーⅡとカテゴリーⅢの分かれ目になっています。カテゴリーⅢは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合で、飛行の形態に応じたリスク評価結果に基づく飛行マニュアルの作成を含め運航の管理が適切に行われていることを確認して許可・承認を受けた場合に限られます。

用語について:「カテゴリー」という語は、航空法にも航空法施行規則にも出現しません。行政上の分類概念です。
さらに細かい区分としてカテゴリーⅡA/ⅡBという呼び方がありますが、これは教則(第5版)3.1.1(2)3)b で定義された区分であり、航空法の条文や審査要領には現れません。教則は、カテゴリーⅡ飛行のうちリスクの高いもの(空港周辺/高度150m以上/催し場所上空/危険物輸送/物件投下/最大離陸重量25kg以上)をカテゴリーⅡA飛行、それ以外をカテゴリーⅡB飛行と呼んでいます。

実務的な含意は、立入管理措置は「安全のために念のためやること」ではなく、その飛行がどの制度枠で行われるかを決める要素だという点です。区画を設定できなかった飛行は、カテゴリーⅡのつもりで飛ばしていても、制度上はカテゴリーⅢの領域に入り得ます。許可・承認の全体像はドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドで整理しています。

許可承認を不要にする5条件のひとつ

カテゴリーⅡの一部は、許可・承認を受けずに飛行できます。その条件は次の5つをすべて満たすことで、立入管理措置はそのうちの1つです。

#条件補足
1 飛行がDID上空/夜間/目視外/人又は物件から30m未満のいずれかであること 空港等周辺・150m以上・催し場所上空・危険物輸送・物件投下は除かれる
2 総重量25kg未満 施行規則第236条の73
3 立入管理措置を講じること 本記事の主題。区画・人・表示
4 技能証明を受けた者(二等以上)が機体認証を受けた無人航空機(第二種以上)を飛行させること 操縦者と機体の両方が要件を満たす必要がある
5 飛行マニュアルの作成等、安全確保に必要な措置を講じること 施行規則第236条の75の規程の作成・遵守
夜間・目視外を「申請不要」で行うには、技能証明の限定変更が必要です。 国土交通省は「※夜間での飛行及び目視外での飛行をカテゴリーⅡ(飛行許可・承認申請が不要な飛行)として実施する場合は、技能証明の限定変更が必要となります」と注記しています。技能証明と機体認証を揃え、立入管理措置も講じていても、限定変更を受けていなければこのルートには乗りません。

もうひとつ、立入管理措置が条件に組み込まれている別ルートがあります。係留飛行です。十分な強度を有する紐等(長さ30m以下)で係留し、その範囲内に地上・水上の物件が存せず、立入管理措置を講じる場合には、DID上空の許可、夜間・目視外・30m未満・物件投下の承認が不要になります(施行規則第236条の76、第236条の82第1号)。ただし危険物の輸送と催し場所上空の飛行の承認、DID以外の飛行禁止空域(空港等周辺・150m以上など)の許可は、係留しても引き続き必要です。(2026年9月15日訂正)係留すれば全部が不要になるわけではない点に注意してください。

混同しやすい別制度:リモートIDの搭載免除。施行規則第236条の6第2項第1号は、あらかじめ国土交通大臣に届け出た区域の上空での飛行で、監視のための補助者配置・区域範囲を明示する標識設置等の措置を講じたものについて、リモートIDの搭載義務を免除しています。
「補助者を置いて範囲を示す」という点で立入管理措置と外形が似ていますが、これは登録機体側の義務に関する別の制度です。届出が必要で、届出は飛行開始希望日の5開庁日前までとされています。立入管理措置を講じたからリモートIDが免除される、という関係ではありません。

飛行計画の通報にも書く欄がある

立入管理措置は、現場で完結する話ではありません。特定飛行を行う場合、あらかじめ飛行計画を国土交通大臣に通報する義務があり(航空法第132条の88第1項)、その通報事項を定める施行規則第236条の83第1項の13号のなかに、「立入管理措置の有無及びその内容」が入っています。

つまり「区画を設定した」で終わりではなく、「どういう措置を講じたか」を申告するということです。同じ13号には「保険契約の有無及び内容」も入っており、通報は飛行の安全体制を申告する場として設計されていることが分かります。

通報事項(施行規則第236条の83第1項)
登録記号・種類/型式/操縦者氏名/技能証明書番号/許可承認番号/飛行の目的・高度・速度/飛行させる飛行禁止空域及び飛行の方法/出発地/目的地/所要時間/立入管理措置の有無及びその内容/保険契約の有無及び内容/その他参考事項

運用面では、通報は電磁的方法により行うものとされ(施行規則第236条の83第2項)、実務上はDIPS2.0の飛行計画通報機能を使います。通報要領は、他の無人航空機の飛行計画情報を確認したうえで通報すること、日時・経路・高度のすべてが重複する場合は飛行中止または当事者間の調整を行うこと、所要時間は最大24時間とし、超える部分は別の飛行計画とすることを定めています。

ここで実務上の含意が出ます。飛行計画に書いた立入管理措置の内容と、当日の現場が食い違わないようにする必要がある、ということです。区画の設営が予定と変わったなら、それは通報内容との整合を見直す契機になります。通報の運用そのものは飛行計画の通報:いつ、何を、どこまでで詳しく扱っています。

通報を怠った場合の罰則があります。飛行計画を通報せずに特定飛行を行った場合、航空法第157条の10第1項第10号により30万円以下の罰金とされています。また大臣は安全を損なうおそれがあると認める場合、日時・経路の変更等を指示することができ(第132条の88第2項)、その指示に従わなかった場合も同項第11号により30万円以下の罰金とされています。

当日の手順に落とす

ここまでの内容を、当日の現場の順序に並べ替えます。設営の前に確認すべきことが2つあり、それを飛ばすと設営がやり直しになります。

飛行開始前に、飛行させる空域が緊急用務空域に該当するか否かを確認する。これは施行規則第236条の71第4項の義務。緊急用務空域は許可があっても飛行できないため、ここで該当すればその日は飛ばさない
飛行計画を通報する(航空法第132条の88第1項)。立入管理措置の有無及びその内容を含めて申告する。他の無人航空機の飛行計画情報も確認する
現地で区画図と実際の場所を突き合わせる。工事、催し、駐車車両など、地図にない障害が出ていないか。動線が変わっていないか
区画が図のとおりに取れない → 経路を引き直すか、飛行を中止する。区画を縮めて「取れたことにする」判断はしない
設営する。コーンとバーで境界を線にし、看板を出入口と通行人から見える位置に置く。塞ぐ口を塞ぎ、残した口に人を置く
設営後の写真を撮る。区画の全景と、看板・表示が読める寄りの写真。後から措置内容を説明できる状態にする
補助者に、区画に人が入った場合の合図と、その時に操縦者が取る行動を共有する。「止める」の中身(ホバリング維持か、帰還か、着陸か)を事前に決める
飛行日誌に記載する(航空法第132条の89第1項)。飛行記録・日常点検記録・点検整備記録は機体ごとに備え、飛行時は紙媒体または電磁的記録により常時携行する
撤収も手順に含める。飛行終了まで区画を維持し、着陸後に撤去する。飛行中に撤収を始めると、経路下の管理が切れる

ステップ7の「止める中身を事前に決める」は、書き出してみると当たり前ですが、現場では最も抜けやすい部分です。補助者が「人が入った」と伝えたときに、操縦者が何をするかが決まっていないと、判断に数秒かかります。その数秒のあいだ、機体は経路の上を飛び続けます。

ステップ9も同様です。撮影が終わった安心感で撤収を始めると、まだ飛行中なのに区画の一部が開放されるという状態が生まれます。立入管理措置は、離陸前から着陸後までの時間軸で維持するものと捉えてください。

よくある質問

立入管理措置は、補助者を置かないと成立しませんか。
施行規則第236条の70は「補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置」と定めており、補助者の配置を必須としているわけではありません。区画の設定その他の適切な措置でも構成し得る書き方です。ただし解釈通達は、区画の設定にあたって落下分散範囲も考慮すること、および「関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等による表示」などの措置が必要であるとしています。現場では、区画・表示・人の3つを組み合わせて設計するのが素直です。
区画はどれだけ広く取ればよいですか。高度の何倍という基準はありますか。
解釈通達は「落下分散範囲も考慮」することを求めていますが、算定式や倍率といった数値基準は、本記事が確認した一次資料の範囲では公式に示されていません。したがって本記事では数値を示しません。自社の機体・飛行高度・想定風速に対してどういう考え方で余裕幅を取るのかを飛行マニュアルに書き、現場では区画図に幅を明記して運用するのが実務的な着地点になります。
看板やコーンは必ず必要ですか。ロープだけでは足りませんか。
解釈通達が挙げているのは「関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等による表示」です。「等」が付いているため、看板とコーンに限定されているとは読めませんが、「立入りを制限する旨」が伝わる表示であることが要求されている点は明確です。ロープを張っただけでは、それが立入制限の意味なのか作業の目印なのかが通行人には分かりません。境界を示すもの(コーン、バー、ロープ)と、意味を示すもの(看板、掲示)を組み合わせるのが安全です。
機体のカメラで下を見ていれば、地上に人を置かなくてよいのですか。
審査要領5-4(1)d)ウ)(iii) に基づき、機体搭載カメラで進行方向の飛行経路直下等への第三者の立入りがないことを確認する場合は、立入管理措置が行われているものとみなす扱いが置かれています。この方式には専用の「標準マニュアル(レベル3.5飛行・機上カメラで立入管理措置)」も用意されています。ただし当該項は5-4(目視外飛行)の節に置かれた規定であり、カメラの画角・確認頻度・記録といった運用の細部は本記事では扱っていません。採用する場合は審査要領5-4の該当箇所と専用マニュアル本文を確認してください。
依頼者や見学者が現場にいます。この人たちは第三者ですか。
航空法第132条の85第1項の括弧書きが挙げているのは「無人航空機を飛行させる者」と「これを補助する者」の2者ですが、その「以外の者」の範囲は解釈通達6.(1)が「第三者」として定義しています。直接関与者(操縦者、現に操縦はしていないが操縦する可能性のある者、補助者等)と間接関与者(飛行目的について操縦者と共通の認識を持ち、3つの要件をすべて満たす者)は「第三者」に該当しません。依頼者や見学者が間接関与者に当たるかは職業や立場ではなく3要件の当てはめで決まり、その当てはめの具体的な基準は公式に示されていません。判断の手順は「「第三者」はどこまでか。関係者・間接関与者の線引き」で扱っています。(2026年9月29日訂正)
補助者は「第三者」ではないので、怪我をしても報告は不要ですか。
報告は必要になり得ます。事故等報告要領では、事故として報告する「人の死傷」の「人」は第三者に限らず、操縦者およびその関係者を含むとされています。重大インシデントとして報告する「人の負傷」も同様で、地上待機中や離着陸のための地上滑走中の事案(回転中のプロペラによる負傷等)も対象とされています。飛ばす前の規制では第三者かどうかが効き、飛ばした後の報告では問わないという構造です。
立入管理措置を講じれば、許可・承認は不要になりますか。
立入管理措置だけでは不要になりません。カテゴリーⅡで許可・承認を不要にするには、①飛行がDID上空・夜間・目視外・30m未満のいずれかであること(空港等周辺・150m以上・催し場所上空・危険物輸送・物件投下は除く)②総重量25kg未満③立入管理措置を講じること④技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させること⑤飛行マニュアルの作成等の措置——の5つすべてを満たす必要があります。加えて夜間・目視外をこのルートで行うには技能証明の限定変更が必要です。
立入管理措置の内容を、どこかに申告する必要はありますか。
あります。特定飛行を行う場合はあらかじめ飛行計画を通報する義務があり(航空法第132条の88第1項)、施行規則第236条の83第1項の通報事項に「立入管理措置の有無及びその内容」が含まれています。措置を講じたかどうかだけでなく、その内容までが申告対象です。通報を怠って特定飛行を行った場合、第157条の10第1項第10号により30万円以下の罰金とされています。
係留すれば立入管理措置は不要になりますか。
逆です。係留による許可・承認の免除は、立入管理措置を講じることを条件のひとつとして含んでいます。施行規則第236条の76および第236条の82第1号は、十分な強度を有する紐等(長さ30m以下)で係留し、その範囲内に地上・水上の物件が存せず、立入管理措置を講じる場合に、DID上空の許可、夜間・目視外・30m未満・物件投下の承認を不要とするものです。なお危険物の輸送と催し場所上空の飛行の承認、DID以外の飛行禁止空域の許可は引き続き必要です。(2026年9月15日訂正)
本記事は2026年9月29日時点の情報です。 立入管理措置の具体的な内容は、法・省令のほか解釈通達と審査要領(いずれも通達)によって形づくられており、通達は法改正より短い手続で改正され得ます。とくに落下分散範囲の考慮の仕方と、機体搭載カメラによるみなしの運用については、必ず上記の一次ソースで最新の本文をご確認ください。

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その飛行に立入管理措置が要るか、区画と表示に何を用意するかを1枚で確認できるPDFです。

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