包括申請の更新。40開庁日前から10開庁日前までの窓
包括申請の更新には、期間の満了の日の40開庁日前から10開庁日前までという窓が設定されています(許可・承認の審査要領2-1(5))。 新規申請の「10開庁日前まで」と違い、早すぎても遅すぎても受け付けられない、両側に締切がある構造です。開庁日での計算なので、暦の上ではおおむね満了日の2か月前に開いて2週間前に閉じる窓になります。 そして2026年時点では、この窓に間に合わせても更新申請そのものが行えない許可が存在します。2025年12月18日の審査要領改正の影響です。 この記事は、包括申請を「取る」話ではなく、毎年落とさずに回し続けるための設計を扱います。制度の全体像は包括申請とは:個別申請との違いと使い分けを先にご覧ください。
国土交通省「今後の申請に係る注意事項」審査要領 2-1(5)更新の窓は、両側に締切がある
審査要領は、新規と更新で提出のタイミングを別に定めています。混同されやすいので、先に並べておきます。
| 区分 | 提出のタイミング | 締切の向き | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 新規 | 飛行開始予定日の10開庁日前まで | 後ろ側だけ(早く出す分には制限がない) | 審査要領2-1(1)b |
| 更新 | 期間の満了の日の40開庁日前から10開庁日前まで | 前後の両側 | 審査要領2-1(5) |
| 実務上の推奨(新規) | 飛行開始予定日から3〜4週間程度の余裕をもって申請 | — | 国土交通省 飛行許可・承認手続ページ |
新規申請で「早く出しすぎて困る」ことは基本的にありません。国土交通省も「審査には一定の期間を要するため、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日以上前(土日・祝日を除く)には申請書類を提出してください」と案内し、さらに3〜4週間の余裕を推奨しています。前倒しは歓迎される方向です。
ところが更新は違います。40開庁日前より前は窓が開いておらず、10開庁日前を過ぎれば窓が閉じます。年間スケジュールを組むうえでの意味は明快で、「思い出したときに早めに出しておく」という処理ができないということです。更新は、期日が来たらその期間内に必ず着手する定期業務として設計する必要があります。
「40開庁日前」をカレンダーの日付に直す
開庁日は暦日ではありません。国土交通省は「10開庁日以上前(土日・祝日を除く)」と明記しています。つまり土日と祝日を数に入れずに、平日だけをさかのぼって数えるという計算になります。
| 開庁日 | 祝日が1日もない場合 | 祝日が入る場合 | 体感 |
|---|---|---|---|
| 40開庁日 | 平日5日×8週=ちょうど8週間前 | 祝日1日につき暦日で1日ずつさらに前へずれる | おおむね2か月前 |
| 10開庁日 | 平日5日×2週=ちょうど2週間前 | 同上 | おおむね2週間前 |
この「祝日の分だけ前へずれる」という性質が、実務では厄介です。窓の開く日も閉まる日も、祝日の多い時期に当たると暦の上で前倒しになります。年間の祝日配置を思い出すと、影響が大きいのは次のあたりです。
- 1月から3月に満了日がある許可:40開庁日をさかのぼると年末年始や1月・2月の祝日をまたぐため、窓の開始が「2か月前」より手前に来ます
- 5月から7月に満了日がある許可:ゴールデンウィークを挟むと、10開庁日前の締切が「2週間前」よりかなり手前になります
- 9月から11月に満了日がある許可:9月の連休が同様に効きます
台帳に載せるのは「3つの日付」
満了日を1つ管理するだけでは足りません。1件の許可・承認につき、次の3つを暦の日付に変換して台帳に持ちます。
更新の窓を逃したら、どうなるか
更新の窓が閉じたあとに気づいた場合、あるいは期間が満了してしまった場合はどうなるか。
まず、期間が満了した後の取扱いを定めた記載は、審査要領には見当たりません。公式には明示されていない領域です(2026年9月29日訂正)。ただし、更新申請という手続が何を前提にしているかは読み取れます。審査要領2-2-3(8)は、変更申請または更新申請の申請書について「変更申請又は更新申請に関する現に有効な許可等の年月日及び番号を記載するとともに、当該許可書又は承認書の写しを添付すること」と定めており、申請書の様式にも【変更又は更新申請に関する現に有効な許可等の情報】という欄があります。DIPS2.0のよくある質問も「既に受けている許可・承認について、引き続き飛行の日時のみを延長(期間の更新)をしたい」という書き方をしています。
つまり更新は、現に有効な許可等があることを前提に組まれた手続であり、期間が満了して現に有効な許可等が存在しなくなった場合にこのレールに乗れるとする記載は見当たりません。10開庁日前を過ぎてから着手した場合も、窓が閉じているため更新申請を出すことができず、満了日までに新しい許可・承認を得られない可能性が高くなります。手元の状況で更新申請ができるかどうかは、許可・承認を出した官署に確認するのが確実です。
ここで効いてくるのが、新規申請の「飛行開始予定日の10開庁日前まで」という期限です。更新を落として新規申請から組み直すことになれば、満了日の翌日から飛べない期間が発生し、その空白は最短でも10開庁日、実務上の推奨に従えば3〜4週間続きます。反復飛行を前提にした受注をしている場合、この空白がそのまま履行不能の期間になります。
| 制度 | 有効期間 | 更新のタイミング | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 飛行許可・承認 (包括申請) |
原則3か月、継続的な飛行は1年を限度 | 満了日の40開庁日前〜10開庁日前 | 審査要領2-1(3)(5) |
| 無人航空機の 機体登録 |
3年 | 満了日の1か月前から満了日までが最適。それより早いと変更の届出扱いとなり、有効期間が前倒しになる | 航空法第132条の6、施行規則第236条の8・第236条の9 |
| 無人航空機 操縦者技能証明 |
3年 | 更新申請は満了日の6月前から1月前まで(2026年9月13日訂正)。無人航空機更新講習は更新申請日以前3月以内に修了 | 航空法第132条の51、施行規則第236条の56・第236条の57 |
| 機体認証 | 第一種1年/第二種3年 | 国土交通省は遅くとも満了日の1か月前までに更新申請を行うよう案内。満了日の1か月前から満了日までに機体認証書が交付されれば、新しい期間は満了日の翌日から始まる(2026年9月29日訂正) | 航空法第132条の13第10項、施行規則第236条の18・第236条の19、国土交通省「機体認証等」特記事項3. |
とくに機体登録は「早く更新すると損をする」制度です。有効期間の起算日は登録通知日ですが、満了日の1か月前から満了日までの間に新たな通知がなされる場合は満了日の翌日が起算日になります(施行規則第236条の9)。つまり1か月前より早く手続すると変更の届出として扱われ、そこから3年を数え直すことになり、期間を捨てることになります。包括申請の更新(早すぎると受け付けない)と、機体登録の更新(早すぎると損をする)は、方向が似ていて理由が違うという点を、社内では区別して伝えてください。
2025年12月18日改正:更新できない許可がある
2026年時点で、更新の実務に最も大きく影響しているのがこの改正です。国土交通省は2025年12月15日、飛行許可・承認手続ページのお知らせ欄で、申請手続の一部省略を可能としていた「ホームページ掲載無人航空機」および「ホームページ掲載講習団体等が行う技能認証」に係る運用を廃止する改正を公布した旨を告知しました。施行は令和7年12月18日です。あわせて、安全体制を示す飛行マニュアルとして認められていた「航空局ホームページに掲載されている団体等が定める飛行マニュアル」も廃止されています。
スケジュール上の意味を具体化します。更新のつもりで満了日の2か月前に着手し、そこで初めて更新不可と判明した場合、残っているのは「新規申請を10開庁日前までに出す」というルートだけです。新規は資料の作り直しを伴い、機体・操縦者・飛行マニュアルの構成を組み直す必要が出ることもあります。2か月あるように見えて、実際には資料作成に使える時間は6週間ほどしかありません。
| 手元の許可・承認の状態 | 次回の手続 | いつ確認すべきか |
|---|---|---|
| 2025年12月18日以降に取得 | 通常どおり更新申請(40〜10開庁日前) | 窓が開く前の棚卸しで足りる |
| 12月18日以前に取得し、申請内容にホームページ掲載無人航空機/民間技能認証を含む ※団体の飛行マニュアルだけを使っていた申請がこれに当たるかは、公式には明示されていません(2026年9月13日追記) |
複製・変更申請・更新申請が行えない。新規申請が必要 | 満了日を待たず、いますぐ |
| DIPS2.0を使わない書面(紙)での申請を利用してきた場合 | 国土交通省は、過去の申請内容にかかわらず一律に新規申請となる旨を案内している | いますぐ |
紙申請を続けてきた事業者は、内容が改正の影響を受けていなくても新規申請になる点に注意してください。「うちは民間資格を使っていないから関係ない」という判断で確認を飛ばすと、申請方法のほうで引っかかります。
現行の審査要領(令和8年9月29日最終改正)には、「ホームページ掲載」「技能認証」「講習団体」「民間」といった語は使われていません。申請書類の一部省略が認められるのは、機体側が型式認証機・機体認証機の場合、操縦者側が無人航空機操縦者技能証明(国家資格)を保有している場合に限られます。民間ライセンスの利点として残るのは、登録講習機関の経験者コースによる講習時間の減免であって、許可申請の省略ではありません。
満了日は揃えるべきか、バラすべきか
複数の許可・承認を持つ事業者から実際に出てくる論点です。結論から言えば「揃えられる範囲では揃え、性質の違うものは無理に揃えない」が現実的な解です。
| 満了日を揃える | 満了日をバラす | |
|---|---|---|
| 利点 | 棚卸しが年1回で済む/資料・体制図を使い回せる/担当者の学習が1回で完結する | 1件が差し戻されても他が生きている/審査待ちが分散する/1件目の指摘を2件目以降に反映できる |
| 欠点 | すべて同時に切れる単一障害点になる/差戻しが重なると全業務が同時に止まる | 年に何度も窓が開き、管理点が増える/忘れやすい |
| 向く事業者 | 許可が2〜3件で、飛行の内容が安定している | 許可が多い/取引先ごとに条件が違う/新しい飛行形態を試している |
ただし、そもそも揃えられない組み合わせがあります。包括申請の期間は原則3か月以内で、申請内容に変更を生ずることなく継続的に飛行させる場合に1年を限度としますが、審査要領の原文には「(5-2、5-3及び5-4に掲げる飛行を同時に行う場合を除く。)」という括弧書きが付いています。5-2はDID上空、5-3は夜間飛行、5-4は目視外飛行に対応する節です。
つまりDID上空・夜間・目視外を同時に行う飛行を含む申請は1年上限の対象から外れ、原則3か月で回ることになります。年1回サイクルの許可と年4回サイクルの許可は、そもそも満了日が噛み合いません。設計としては次のようにレーンを分けるのが素直です。
満了日を寄せる位置にも設計の余地があります。窓が開く40開庁日前と、閉じる10開庁日前の両方が、自社の繁忙期に重ならない満了日を選ぶという発想です。イベント撮影が中心の事業者であれば、繁忙期の真ん中に更新作業が来る満了日は避けたほうがよいということになります。満了日は初回の申請時に事実上決まるため、1回目の新規申請の時点で年間のカレンダーを見ておく価値があります。
担当者が交代しても落とさない台帳
更新漏れの原因は、制度の理解不足よりも属人化にあります。前任者の個人カレンダーに満了日が入っているだけ、許可書のPDFが個人のローカルに置いてあるだけ、DIPSのアカウントが個人のメールアドレスで作られているだけ。いずれも交代の瞬間に切れます。
台帳に持つ項目
| 項目 | 持つ理由 |
|---|---|
| 許可・承認の番号/許可書のファイル所在 | 更新時と、飛行時の携行のために必要 |
| 対象の空域・飛行の方法 | DID上空・夜間・目視外の同時実施があるかで期間の上限が変わる |
| 申請先の官署 | 空港等周辺・150m以上・緊急用務空域は空港事務所長、DID上空および飛行方法の承認は地方航空局長。飛行場所が日本全国の場合は申請者の住所を管轄する官署 |
| 満了日/40開庁日前/10開庁日前 | 更新の窓。暦日に変換して持つ |
| 使用している飛行マニュアル | 航空局標準マニュアル01か02か、独自マニュアルか。団体の飛行マニュアルを使っていた場合は差し替えが必要 |
| 機体(登録記号・登録の満了日) | 機体登録は3年。許可の更新とは別サイクルで動く |
| 操縦者(技能証明の有無・満了日) | 技能証明は3年。更新講習の受講時期の管理が必要 |
| 取得日が2025年12月18日以前かどうか | 更新申請が行えるかどうかの分岐になる |
交代時に引き継ぐべきもの
台帳と同じくらい重要なのが、アカウントと通知の宛先です。担当者個人のアドレスで運用していると、退職と同時に通知が届かなくなります。共有アドレスや部署のグループアドレスを宛先にし、台帳とカレンダーは組織の共有領域に置く。地味ですが、更新を落とす事故のほとんどはここで防げます。
もうひとつ、更新は許可・承認の維持だけの話ではありません。特定飛行では飛行のたびに残る義務があり、担当者が交代するとこちらも同時に途切れます。飛行計画の通報は航空法第132条の88第1項、飛行日誌の備付けと記載は同第132条の89第1項が根拠で、いずれも包括申請の有無にかかわらず飛行のつど発生します。運用の詳細は飛行計画の通報:いつ、何を、どこまでで整理しています。
更新の前に棚卸しする項目
更新申請は「前回と同じ内容で出す」手続ではありません。審査要領が1年の期間を認める前提は「申請内容に変更を生ずることなく」継続的に飛行させる場合です。窓が開く前に、次を確認します。
なお、経路を特定せずに申請する「全国包括」を使っている場合は、更新の際に航空局標準マニュアル02の条件で今後1年間の業務が回るかを必ず見直してください。空港等周辺や催し場所上空の案件が増えているなら、標準マニュアル02の範囲では対応できず、別立ての申請が必要になります。この構造は全国包括は取れるか。標準マニュアル02の使い方で詳しく扱っています。
更新にかかる手間を外注する場合の費用が何に対する対価なのかは、ドローン申請の費用相場は何に対する対価かで整理しています。許可と承認の切り分けそのものを確認したい場合はドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドをご覧ください。
よくある質問
- 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)令和8年9月29日最終改正(PDF)
- 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続(お知らせ欄に2025.12.15の改正告知)
- 国土交通省|審査要領(カテゴリーⅡ飛行)改正に関する説明会資料 令和7年11月(PDF)
- 国土交通省|一部申請の受付停止のご案内(PDF)
- e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)
- e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)
- 国土交通省|無人航空機登録要領(PDF)
- 国土交通省|技能証明の更新制度及び登録更新講習機関制度について(PDF)
- 国土交通省|無人航空機の飛行計画の通報要領(PDF)
- 国土交通省|機体認証等(特記事項について)
- 国土交通省|ドローン情報基盤システム2.0 よくある質問(飛行許可承認/事故等報告)