5.7GHz帯のドローンを使うには。無線局免許と第三級陸上特殊無線技士
5.7GHz帯で操縦や映像伝送をするドローンは、電波法上「無人移動体画像伝送システム」の無線局です。使うには総務大臣の無線局免許を受け、第三級陸上特殊無線技士以上の無線従事者をそろえる必要があります。さらに免許を申請するときには、運用調整団体の加入証明書(写し)等も提出します。 一般的な2.4GHz帯の機体が免許も資格も要らないのは、技適を受けた小電力の無線局だからです。「2.4GHz帯なら何でも免許不要」ではなく、同じ2.4GHz帯でも出力1Wの無人移動体画像伝送システムは免許が必要です。 この記事では、総務省電波利用ポータルの記載と、e-Gov法令検索の現行条文(電波法は2026年9月3日施行版)を突き合わせて整理します。
電波法 第4条・第40条 / 総務省 電波利用ポータル総務省「ドローン等に用いられる無線設備について」総務省「ドローン等に用いられる無線設備について」4.ドローンで使う電波は、免許の要・不要で分かれる
出発点は電波法第4条です。「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。」が原則で、発射する電波が著しく微弱な無線局や、空中線電力1W以下で総務省令の要件を満たし、適合表示無線設備(いわゆる技適を受けた機器)のみを使用する無線局などが例外として免許不要になっています。
総務省はドローン等で使われる主な無線通信システムを次のように整理しています(電波利用ポータル「ドローン等に用いられる無線設備について」の表から主要部分を抜粋)。
| 区分 | 無線局免許 | 周波数帯 | 最大送信出力 | 主な用途 | 無線従事者資格 |
|---|---|---|---|---|---|
| ラジコン用微弱無線局 | 不要 | 73MHz帯等 | 500mの距離で電界強度200μV/m以下 | 操縦用 | 不要 |
| 920MHz帯テレメータ用・テレコントロール用特定小電力無線局 | 不要(技適が必要) | 920MHz帯 | 20mW | 操縦用 | 不要 |
| 2.4GHz帯小電力データ通信システム | 不要(技適が必要) | 2.4GHz帯 | 10mW/MHz(変調方式等により上限は異なる) | 操縦・画像伝送・データ伝送 | 不要 |
| 無人移動体画像伝送システム(携帯局) | 要(運用調整を行うこと) | 169MHz帯 | 10mW(地上から発射する局は最大1W) | 操縦・画像伝送・データ伝送 | 第三級陸上特殊無線技士以上 |
| 同上 | 要 | 2.4GHz帯 | 1W | 操縦・画像伝送・データ伝送 | |
| 同上 | 要 | 5.7GHz帯 | 1W | 操縦・画像伝送・データ伝送 | |
| 自営等BWA/ローカル5G | 要 | 2.5GHz帯/4.7GHz帯・28GHz帯 | 表のとおり(干渉調整が前提) | 操縦・画像伝送・データ伝送 | — |
| 携帯電話・BWA | 不要(事業者の包括免許で運用) | 800MHz帯等 | 基地局が制御 | 操縦・画像伝送・データ伝送 | 不要 |
この表でわかるとおり、免許の要否は周波数帯だけでは決まりません。2.4GHz帯には、免許不要の「小電力データ通信システム」と、免許が必要な「無人移動体画像伝送システム」の両方があります。一方、5.7GHz帯の欄は無人移動体画像伝送システムの「免許:要」だけです。
5.7GHz帯は「無人移動体画像伝送システム」
総務省は、この制度の趣旨を次のように説明しています。
業務でこの帯域を使う理由として公式に示されているのは、この「高画質映像の長距離伝送など」という説明です。何km届くかといった具体的な数値は、総務省のこのページには書かれていません。距離は機体・アンテナ・環境によって変わるため、数値はメーカーの仕様で確認することになります。
条文上の定義と周波数
定義は無線設備規則第3条第14号にあります。要点を表にします。
| 項目 | 無線設備規則の規定 |
|---|---|
| 使用する周波数 | 169.05MHz超〜169.3975MHz以下、169.8075MHz超〜170MHz以下、2,483.5MHz超〜2,494MHz以下、5,650MHz超〜5,755MHz以下(第3条第14号) |
| 無線局の種別 | 自動的に若しくは遠隔操作により動作する移動体に開設された陸上移動局又は携帯局(同号) |
| 通信の内容 | 主として画像伝送を行うための無線通信(当該移動体の制御を行うものを含む)(同号) |
| 空中線電力 | 1W以下(第49条の33第2号) |
2.4GHz帯の無人移動体画像伝送システムが使うのは2,483.5MHzを超える部分で、免許不要の小電力データ通信システムとは周波数も出力も別の制度です。
必要な資格:第三級陸上特殊無線技士以上
総務省の表は、無人移動体画像伝送システム(169MHz帯・2.4GHz帯・5.7GHz帯)の無線従事者資格を「第三級陸上特殊無線技士 以上の資格」としています。
なぜ第三級陸上特殊無線技士で足りるのか
資格ごとの操作の範囲は、電波法第40条第2項を受けて電波法施行令第3条が定めています。第三級陸上特殊無線技士の範囲は、陸上の無線局の無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作のうち、次の2つです。
- 空中線電力50W以下で、25,010kHz〜960MHzの周波数の電波を使用するもの(→169MHz帯が入る)
- 空中線電力100W以下で、1,215MHz以上の周波数の電波を使用するもの(→2.4GHz帯・5.7GHz帯が入る)
無人移動体画像伝送システムの空中線電力は1W以下なので、どの帯域でもこの範囲に収まります。第二級・第一級陸上特殊無線技士や陸上無線技術士などの上位資格は、第三級の操作範囲を含んでいます(これが「以上」の意味です)。
資格の取り方
総務省は、無線従事者資格の取得方法を4つ挙げています。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| ① 国家試験に合格する | 指定試験機関の公益財団法人日本無線協会が実施 |
| ② 養成課程を修了する | 総務大臣が認定した者(団体)が行う講習。修了すれば国家試験を受けずに資格を取得できる |
| ③ 学校で所定の科目を修めて卒業する | 大学・短大・高専・高校で無線通信に関する科目を修めて卒業 |
| ④ 一定の資格・業務経歴を得る | 資格を持つ人が一定期間無線局の業務に従事して上位資格を得る |
いずれも最後に総務大臣の免許(無線従事者免許)を受けます。総務省は「無線従事者資格は一度取得すれば生涯有効です」と案内しています。無人航空機の技能証明(有効期間3年)とは違い、更新の手続はありません。
無線局免許の申請から運用までの流れ
無人移動体画像伝送システムの局は、総務省の表で「無線局免許:要」の区分です。ドローン関係で「登録局」の手続が案内されているのは、5.2GHz帯高出力データ通信システムを上空で使う場合で、5.7GHz帯とは制度が異なります。
有効期間と再免許
免許の有効期間は、電波法第13条第1項で「5年を超えない範囲内において総務省令で定める」とされ、電波法施行規則第7条第7号により携帯局・陸上移動局は5年です。再免許の申請期間は、無線局免許手続規則第18条で原則として有効期間満了前3か月以上6か月を超えない期間とされています(告示された無線局を電子申請等で申請する場合は満了前1か月まで可能ですが、無人移動体画像伝送システムの局がその告示の対象かは、本記事では確認できていません)。
総務省の再免許のページによれば、携帯局・陸上移動局は、現に免許を受けている内容と同一で申請する場合、無線局事項書・工事設計書の添付を省略できます(無線局免許手続規則第16条の3)。
電子申請と義務化のスケジュール
無線局の免許手続は電子申請ができ、総務省は「書面申請・免許事項証明書の受取ありと比べて、申請手数料等が約40%お得」と案内しています。電子申請には、電子証明書・GビズIDプライム・マイナンバーのいずれかの本人確認情報でアカウントを取得します。
| 対象 | 電子申請の義務化 |
|---|---|
| 国、独立行政法人、携帯電話事業者等 | 令和8年4月1日から |
| 基幹放送事業者 | 令和10年5月1日から |
| 無線局を5局以上開設している法人(地方公共団体等を含む) | 令和13年4月1日から |
| 個人等(法人以外) | 当分の間、義務化しない |
また令和8年4月1日から、国の機関又は法人が電子申請で委任をするときは、電子委任状を使うことになりました(令和18年3月31日までは、電子委任状の使用が困難な場合に書面委任状による手続も可能)。
運用調整:免許申請に必要な資料
5.7GHz帯の運用で、2.4GHz帯の免許不要機との実務上の違いが最も大きいのがこの部分です。総務省は次のように説明しています。
総務省のページは、運用調整に関する案内として、JUTMの「無人移動体画像伝送システムの運用調整について」のページにリンクしています。加入の条件や費用は総務省のページには書かれていないため、団体側の案内で確認してください。
提出する「運用調整に関する資料」
| 運用場所 | 空中線電力 15mW超 | 空中線電力 15mW以下 |
|---|---|---|
| 屋外のみ/屋内・屋外 | 運用調整団体の加入証明書(写し)等 | 運用調整団体の加入証明書(写し)等 |
| 屋内のみ | 運用調整団体の加入証明書(写し)等 | 運用調整団体の加入証明書(写し)等 ただし5.7GHz帯の無線局に限り、屋内限定・低出力無線局用の資料も可 |
- 加入証明書(写し)等は、有効期限内のものを、新規開設時だけでなく再免許申請時にも提出します。
- 5.7GHz帯の屋内限定・低出力(15mW以下)の局は、免許人自らが運用開始前に他の無線局へ混信妨害を与えないよう調整し、運用中も監視者等を置いて調整する旨の資料(総務省が様式例を公開)を出せます。この場合、免許申請の移動範囲に「屋内に限る」旨を書きます(例:「関東総合通信局管内、その上空(屋内に限る)」)。
- 5.7GHz帯の低出力局を、屋外では運用調整団体の調整、屋内では自ら調整という形で使う場合は、加入証明書等と屋内限定用の資料の両方を提出します。
現場での配慮として公式に示されていること
総務省は、同じ帯域や隣接帯域を他の無線局が使っているため、「無線LANが使用していない高い周波数から使用する」「周辺にDSRC(ETC等)関係の無線局が無いことを確認する」といった配慮が必要だとしています。また2.4GHz帯・5.7GHz帯では屋内でワイヤレス電力伝送用の構内無線局が使われる場合があり、干渉を受けるおそれがあるときはワイヤレス電力伝送運用調整協議会(JWPT)に調整を求めることができる、とも案内されています。
技適・外国製の機体・アマチュア無線のFPV
技適は「免許不要で使う」ための条件
総務省は、免許不要の小電力の無線局について「無線局免許や無線従事者資格が不要ですが、技術基準適合証明等(技術基準適合証明又は工事設計認証)を受けた適合表示無線設備でなければなりません」としています。一般的な2.4GHz帯の機体が免許なしで飛ばせるのは、この条件を満たしているからです。
5.7GHz帯のように免許を受ける無線局では、技適を受けた機器のみを使えば、前述のとおり予備免許・落成検査の手続が省かれます(無線局免許手続規則第15条の4)。
アマチュア無線のFPVは業務に使えない
FPV(First Person View)の映像伝送に5GHz帯のアマチュア無線が使われることがあります。この場合はアマチュア無線技士の資格とアマチュア無線局の免許が必要ですが、総務省は「アマチュア無線を使用したドローンを利益を目的とした仕事などの業務に利用することはできません」と明記しています。 さらに5GHz帯のアマチュア無線は二次業務の割当てで、5.7GHz帯の無人移動体画像伝送システムや5.8GHz帯のDSRC(ETC等)に妨害を与えないように運用しなければなりません。空撮や点検を請け負うなど業務で映像伝送を使うなら、アマチュア無線ではなく無人移動体画像伝送システムなど業務用の制度を使うことになります。
無免許で開設・運用した場合の罰則
罰則は電波法の現行条文(2026年9月3日施行版)で確認しました。
| 行為 | 罰条 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 免許(又は登録)がないのに無線局を開設した | 第110条第1号 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| 免許(又は登録)がないのに無線局を運用した | 第110条第2号 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| 第39条第1項・第2項に違反して無線設備の操作を行った(資格・監督の要件を欠く操作) | 第113条第20号 | 30万円以下の罰金 |
| 電気通信業務・放送や、人命・財産の保護、治安の維持、気象業務、電気の供給、列車の運行の業務に使う無線設備の機能に障害を与えて無線通信を妨害した | 第108条の2 | 5年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金(未遂も処罰) |
法人の業務として行った場合は両罰規定があります。電波法第114条により、従業者等が法人の業務に関して第110条(第11号・第12号を除く)や第113条の違反をしたときは、行為者のほか法人にも各本条の罰金刑が科されます。
航空法の手続とは別に必要
電波法の無線局免許と、航空法の飛行許可・承認は所管も目的も別です。無線局免許を受けても航空法の手続は省けませんし、航空法の許可・承認を受けても電波法の免許は不要になりません。業務で5.7GHz帯の機体を使う場面では、特定飛行に当たるかどうかもあわせて確認してください。
- 航空法の許可・承認の全体像:ドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイド
- 機体認証が要るかどうか:認証機体を買うか、許可・承認で回すか
- 点検業務での許可の考え方:インフラ点検でドローンを使うのに必要な許可・承認
- 重要施設の周辺で飛ばす場合:小型無人機等飛行禁止法。おおむね300mから1,000mへ拡大された2026年7月改正
よくある質問
- 総務省 電波利用ポータル|ドローン等に用いられる無線設備について
- e-Gov法令検索|電波法(昭和25年法律第131号)※2026年9月3日施行版
- e-Gov法令検索|電波法施行令(第3条 操作及び監督の範囲)
- e-Gov法令検索|電波法施行規則(第7条・第33条)
- e-Gov法令検索|無線局免許手続規則(第15条の4・第18条)
- e-Gov法令検索|無線設備規則(第3条第14号・第49条の33)
- 総務省 電波利用ポータル|無線局の免許手続き(免許)
- 総務省 電波利用ポータル|無線局の免許手続き(再免許)
- 総務省 電波利用ポータル|無線従事者資格の取得方法
- 総務省 電波利用ポータル|電子申請の義務化
- 総務省 電波利用ポータル|技適マークのQ&A
- 総務省 電波利用ポータル|FPVドローンをアマチュア無線により利用する場合の注意事項
- 総務省 電波利用ポータル|無線LANの屋外利用/上空利用について