国有林でドローンを飛ばすときの入林届と、森林管理署への確認
国有林の中でドローンを飛ばすときは、その国有林を管轄する森林管理署等に「入林届」を出すよう、全国7つの森林管理局がそろって案内しています。操縦者が国有林の外にいて、機体だけを国有林の中で飛ばす場合も対象です。届出がいらないのは、「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン」に沿って上空を通過するだけの場合などに限られます。 一方で、提出期限は局ごとに違います。関東・四国は5業務日前、中部は7開庁日前、近畿中国は10業務日前で、北海道・東北・九州は「1週間程度」「1週間以上」の余裕を求める書き方です。 この記事では、7局の公式ページと様式を1つずつ確認し、届出の要否・期限・提出先・記載事項と、国立公園や航空法の手続きとの組み合わせ方を整理します。
関東森林管理局ほか各局「国有林野内で無人航空機を飛行させる場合の手続」各森林管理局の入林手続ページ(2026年9月15日確認)環境省 関東環境局「国立公園内でのドローン使用について」入林届が必要になる場合と、不要な場合
国有林の入林手続きは、7つの森林管理局(北海道・東北・関東・中部・近畿中国・四国・九州)が、それぞれのホームページで案内しています。ドローンについての書き方はほぼ同じ文面で、関東森林管理局の原文は次のとおりです。
無人航空機を飛行させる者が国有林野内に立ち入らずに無人航空機を国有林野内で飛行させる場合や、国有林野の借受者が国有林野内で無人航空機を飛行させる場合についても、『入林届』を提出してください。
ただし、『ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン』に沿って、操縦者等が国有林内に立ち入らずに、無人航空機が上空を通過する場合には届出不要です。」(関東森林管理局)
入林届のしくみそのものについては、国土交通省の「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0」が説明しています。国有林野の管理経営に関する法律に基づく国有林野管理規程のもとで、森林管理局長が入林に関する規則を定めることができ、各局長が定める「国有林野管理規程細則」に基づいて入林届の提出を求められる場合がある、という整理です。東北局・九州局の様式にも「細則第81条」「細則第82条」という括弧書きがあります。
| 場面 | 入林届 | 公式の記載 |
|---|---|---|
| 国有林の中に入って飛ばす(撮影・点検・測量など) | 必要 | 各局とも「国有林野内で無人航空機を飛行させる場合」は入林届 |
| 操縦者は国有林の外にいて、機体を国有林の中で飛ばす | 必要 | 「国有林野内に立ち入らずに無人航空機を国有林野内で飛行させる場合」も提出と明記 |
| 国有林を借りている者(借受者)が飛ばす | 必要 | 「国有林野の借受者が国有林野内で無人航空機を飛行させる場合」も提出と明記 |
| 荷物等配送ガイドラインに沿い、操縦者が立ち入らずに上空を通過するだけ | 不要 | 各局の「ただし書」 |
| 森林管理局・署の職員、局・署が発注した事業や調査の受託者が飛ばす | 不要 | 関東・東北・中部・近畿中国・九州局に明記 |
| 登山道・林道・野営場などを森林レクリエーション目的で利用するだけ | 不要 | ただし各局はこれとは別に、ドローンの飛行を「入林届が必要」な目的として掲げている |
提出期限は森林管理局ごとに違う
期限は、法律で全国一律に決まっているものではなく、各局のページでそれぞれ案内されています。2026年9月15日に7局の現行ページを確認した結果は次のとおりです。
| 森林管理局 | ドローンの入林届の期限(原文) | 補足 |
|---|---|---|
| 北海道 | 「1週間程度余裕をもった日程」 | 入林手続の総合ページでは「余裕を持った日程(7業務日前までに)」 |
| 東北 | 「1週間程度余裕を持った日程で、勤務時間内に」 | 注意事項に疑義があれば確認期間が必要になるため「早めの相談を」 |
| 関東 | 「入林しようとする日の5業務日前まで」 | 入林ガイドでは「5業務日以上前」。期限超過・書類不備は「ご要望に添えない場合があります」 |
| 中部 | 「余裕をもった日程(7開庁日前までに)」 | 総合ページのフローでは「1週間程度必要です(行政決裁、添付書類の確認等)」 |
| 近畿中国 | 「入林しようとする日の10業務日前まで」 | 7局の中で最も長い |
| 四国 | 入林ガイドで「入林予定の5業務日以上前に提出」 | ドローンのページ自体は期限を書かず、ガイドのステップ4へ誘導 |
| 九州 | 「1週間以上の余裕をもった日程」 | — |
「業務日」「開庁日」で数える局では、休日をはさむと暦の上の日数はさらに延びます。飛行地点が局の境目に近い場合は、どちらの局の管轄かによって期限が変わるため、先に管轄を確かめてから逆算してください。
提出先・提出方法・様式の書き方
提出先は「管轄の森林管理署等」
宛先は森林管理局ではなく、飛行させる国有林を管轄する森林管理署・支署・森林管理事務所です。様式の宛名も「○○森林管理(支)署長 殿」になっています。管轄は、各局が公開している「森林管理署等の連絡先・提出先一覧」と管内図で確認します。関東局の入林ガイドは、国有林かどうかを調べる方法として、管内図のほか国土交通省の「国土情報webマッピングシステム」で「国土数値情報>土地利用>国有林野」を表示する方法を案内しています。
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| 提出方法 | 持込み・郵送・メール(関東・東北・中部・北海道・近畿中国局に明記)。関東・四国局は「なるべくインターネット(E-mail)で」とし、「届出前に必ず管轄の森林管理署等へご連絡」を求めている |
| 押印 | 中部局「入林届、高山植物等採取申請書への押印は不要」 |
| 複数の署にまたがる場合 | 関東・中部・北海道局は「原則として、それぞれの管轄森林管理署等へ」。四国局は「四国森林管理局保全課へご提出ください」 |
| 控えの返送 | メール又は郵送で返送。郵送返送を希望する場合は切手を貼った返信用封筒を同封(中部・近畿中国局は切手110円と明記) |
| 当日の携行 | 中部局「返送された接受印のある入林届(写)を必ず携行」。北海道局も携帯を求める。別紙の遵守事項は、車両で入る場合「入林届をダッシュボード等の見える位置に」 |
| 入林直前の連絡 | 「入林するときは、入林前に届出をした森林管理署等に連絡してください」(関東局)。東北・九州・近畿中国・四国局も同旨 |
様式(無人航空機を飛行させる場合の入林届)の記載事項
関東・北海道・東北・九州局の様式(Word版)を取得して照合したところ、いずれも「様式第73号」で、項目は共通でした。
- 入林の場所
- 入林の期間(自 年月日 至 年月日)
- 入林の目的
- 無人航空機を飛行させる場所等:飛行場所又は経路(別途図面を添付)/飛行日時/飛行目的/飛行高度
- 入林者氏名(申請者以外):氏名・連絡先。多数なら入林者名簿を添付
- 注意点の確認:9項目のチェック欄(航空法等関係法令の遵守と必要な手続き、第三者のいない上空での飛行、営巣期の回避、事故・紛失時の連絡、回収は入林者の責任 など)
| 局 | 様式以外に求められているもの |
|---|---|
| 関東 | 「航空法、電波法等に係る飛行許可書等を添付してください。」 |
| 北海道 | 「『入林届』には、無人航空機の飛行場所又は経路を示す図面を添付してください。」 |
| 東北 | 「入林届の空欄等に『登録記号』を記入の上」提出 |
| 関東・中部・四国 | 入林届の連絡先に、電話番号に加えてメールアドレス(メールでの返送を希望する場合)等を記入するよう案内 |
関東局が飛行許可書等の添付を求めていることからわかるとおり、入林届は航空法の許可・承認を前提に出す書類として扱われています。航空法の許可・承認が必要な飛行なら、そちらを先に取得しておくと入林届の準備が滞りません。
森林管理署が飛行について求めていること
各局のページには、飛行時の注意事項がほぼ共通の文面で並んでいます。様式のチェック欄と重なるので、届出の前に読み合わせておきます。
- 飛行目的・日時・経路・高度等を事前に管轄の森林管理署等へ伝える。事業実行や一般入林者に支障を及ぼすおそれがあれば、場所や日時の変更を求められる
- 航空法・電波法等の関係法令を守り、必要な手続きをとる。中部・近畿中国・四国局は「例えば、地表等から150m以上の上空での飛行や目視の範囲外での飛行など…国土交通大臣による許可・承認を必ず受けて下さい」と具体例まで書いている
- 第三者のいない上空で飛行させる。様式では「第三者の立入等が生じた場合には速やかに飛行を中止すること」
- 貸付地の上空では、借受者が定めた飛行ルールに従う
- 不必要な低空飛行、高調音を発する飛行、急降下をしない
- 希少な野生生物の生息地では営巣期間を避け、営巣箇所の周辺では飛ばさない。北海道・四国局は「当該箇所及びその周辺での飛行をご遠慮いただくことがあります」
- 事故を起こしたとき・機体を紛失したときは、速やかに森林管理署等へ連絡する
- 機体の回収は入林者の責任で行う
国交省の配送ガイドラインは、国有林野内で機体が墜落・消失した場合について、「機体のバッテリー等が原因となって火災等が発生する恐れがある」ため、警察・消防等への連絡に加えて所管の森林管理署等へ確実に連絡することを求めています。山中で機体を見失ったときの連絡先は、飛行前に控えておいてください。
国立公園・野生生物・林道と山火事
国立公園・国定公園と重なる場合
国有林は国立公園・国定公園と重なっていることが少なくありません。この場合、手続きは別々に考えます。
自然公園法第20条第3項第17号は特別地域の一部で「航空機を着陸させること」を許可制にしていますが、国交省の配送ガイドラインは、自然公園法上の航空機は「人が乗って航空の用に供することができるもの」で、無人航空機はこれに当たらないと説明しています。
ただし、自然公園法上の手続きが不要でも、次の点は各機関が明記しています。
- 環境省 関東環境局:ドローンの使用に伴って工作物の新築や木竹の伐採等の行為が発生する場合は事前に申請が必要。また、他の利用者に著しく迷惑をかけた場合、落下・衝突で野生生物を損傷させた場合、落下したドローンを回収せずに放置した場合等は「自然公園法等に反する行為に該当し、罰則の適用や必要な措置(原状回復等)を命じる場合があります」
- 環境省 信越自然環境事務所:飛行させる場所を担当する国立公園管理官事務所・自然保護官事務所等へ事前に問い合わせるよう案内。「国立公園は土地の所有にかかわらず指定しており、環境省がすべての土地の権限を有しているわけではありません」として、土地所有者・管理者への連絡も求めている。天然記念物等に指定された場所では文化財保護法に基づく手続きが必要な場合がある、とも記載
- 中部森林管理局:国立公園内での飛行を伴う場合は、担当の国立公園管理官事務所・自然保護官事務所等に問い合わせるよう、ドローンのページで案内
野生生物への配慮
今回確認した林野庁・環境省の案内では、野生生物への影響は許可や届出の対象としてではなく、飛行時の配慮事項として書かれています。森林管理局は営巣期間中の回避と営巣箇所周辺での飛行中止を、環境省は営巣が確認された場所や周辺での飛行中止を求めています。配送ガイドラインも、希少鳥類のねぐら・営巣地周辺や繁殖期の飛行について「国立・国定公園に限らず野生生物の生態に悪影響を及ぼさないよう配慮すべき」としています。ドローンの飛行そのものについて鳥獣保護の法令上の手続きが必要になる場面は、今回確認した公式案内には示されていません。
林道・作業現場・山火事
入林届に付く別紙「入林に際しての遵守事項」(関東・九州局ほか)には、機材を運び込むときに関係する項目が含まれています。
- 林道上は駐車禁止。駐車するときは待避所・車回し場所等に
- 通行禁止の林道には車両を乗り入れない。安全が確保できない場合や事業実行に支障がある場合はゲートが閉鎖・施錠される
- 立入制限の標示がある区域には立ち入らない
- 立木の伐採、損傷及び土地の形質変更を行う場合は許可が必要(離着陸場所を作るための伐採などは入林届とは別の話になる)
- 火気の取扱いに注意し、たき火やタバコの投げ捨てをしない
北海道森林管理局は、狩猟者や有害鳥獣捕獲の従事者が銃器やワナで捕獲をしている場合や、伐採等の森林整備をしている場合があるとして、注意看板を見かけたら近づかないよう求めています。国交省の配送ガイドラインも、国有林野では上空を利用した事業が行われている場合があるため、飛行経路の障害物を確認し、必要なら森林管理署等と調整するよう書いています。
また関東森林管理局は、令和8年1月以降、市町村ごとに「林野火災注意報・林野火災警報」の運用が始まり、発令時は市町村が指定する区域での火の取扱いが制限される(警報は罰則あり)と案内しています。この案内はドローンに触れているものではありませんが、乾燥期に山で機材を扱う以上、墜落時のバッテリー火災の連絡体制(前章)とあわせて確認しておく価値があります。
民有林との違い
入林届は国有林だけの手続きです。北海道森林管理局は「こちらの入林手続きは、北海道森林管理局管内の国有林のみ」とし、道有林や市町村・個人が管理する森林については「それぞれの土地所有者への手続き・ルールに従ってください」と書いています。
| 国有林 | 民有林(公有林・私有林) | |
|---|---|---|
| 窓口 | 管轄の森林管理署等 | その森林の所有者・管理者(都道府県・市町村・個人・会社等) |
| 飛行の手続き | 入林届(各局の様式・期限) | 国有林の入林届のような全国共通の手続きは、今回確認した公的案内には示されていない。所有者・管理者ごとのルールによる |
| 上空の飛行と土地所有権 | 政府の整理では、第三者の土地の上空を飛ばすのに「常に土地所有者の同意を得る必要がある訳ではない」とされ、同意が必要な高度の一律の基準も「存在しない」。事案ごとに土地の使用態様に照らして判断される | |
上空と所有権の関係は、私有地の上空、所有権はどこまで及ぶのかで詳しく扱っています。ただし山林では、離着陸や機材の設置のために土地そのものに立ち入ることがほとんどです。上空の議論とは別に、立ち入る土地の所有者・管理者を確認しておく必要があります。国有林と民有林が入り組んでいる地域では、経路の区間ごとに誰の土地かを確かめてください。
航空法:山の中で当たりやすい特定飛行
入林届は、航空法の手続きの代わりにはなりません。そして山林での飛行は、市街地とは違う形で航空法の特定飛行に当たりやすくなります。
| 山林で起きやすいこと | 航空法上の論点 |
|---|---|
| 谷をまたぐ、斜面に沿って下る | 禁止空域の基準は「地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域」(航空法施行規則第236条の71第1項第5号)。離陸地点からの高度が同じでも、谷の上に出ると真下の地表からの高さは大きくなる |
| 尾根の向こう、樹冠の陰に機体が入る | 「当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること」(航空法第132条の86第2項第2号)によらない飛行=目視外飛行になりやすい |
| 作業車両・建設機械や、小屋・鉄塔などの工作物に近づく | 解釈通達上、30mの距離を保つ対象の「物件」には車両等(建設機械を含む)や工作物が含まれ、土地や自然物は含まれない。第三者が所有・管理する工作物等に30m未満で近づくなら承認が必要 |
| 上記のいずれかに当たる | 特定飛行として、事前の飛行計画の通報(航空法第132条の88第1項)と飛行日誌が必要 |
包括申請との関係でも注意点があります。150m以上の空域での飛行と、補助者を配置しない目視外飛行は、場所を特定しない全国包括では扱えない類型です。150m以上の空域の許可は、申請先も地方航空局ではなく空港事務所長になります。山間部の案件を包括許可の範囲で回すつもりなら、経路が150mを超えないか、補助者を配置できるかを先に確認してください。詳しくは飛行許可・承認申請 完全ガイドと飛行計画の通報はいつ必要かを参照してください。
段取り:いつ、何を、どの順で進めるか
よくある質問
- 林野庁 関東森林管理局|国有林野内で無人航空機(ドローン、ラジコン機等)を飛行させる場合の手続
- 林野庁 関東森林管理局|国有林への入林ガイド(遵守事項PDF:入林に際しての遵守事項)
- 林野庁 関東森林管理局|国有林への入林
- 林野庁 北海道森林管理局|国有林野内で無人航空機を飛行させる場合の手続/国有林への入林
- 林野庁 東北森林管理局|国有林野内で無人航空機を飛行させる場合
- 林野庁 中部森林管理局|国有林野内で無人航空機を飛行させる場合/国有林への入林
- 林野庁 近畿中国森林管理局|国有林野内で無人航空機を飛行させる場合<入林届>
- 林野庁 四国森林管理局|国有林野内で無人航空機を飛行させる場合の手続/国有林への入林ガイド
- 林野庁 九州森林管理局|国有林野内で無人航空機を飛行させる場合
- 国土交通省|ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0(本文)
- 環境省 関東環境局|国立公園内でのドローン使用について
- 環境省 信越自然環境事務所|中部山岳・上信越高原・妙高戸隠連山国立公園内におけるドローンの使用について
- e-Gov法令検索|自然公園法
- e-Gov法令検索|航空法/航空法施行規則
- 国土交通省|無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法
- 国土交通省|無人航空機に係る規制の運用における解釈について
- 内閣官房|無人航空機の飛行と土地所有権の関係について