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カテゴリーⅢ飛行の要件。20開庁日前とリスク評価

公開 2026-09-27 更新 2026-09-27 読了 約16分

カテゴリーⅢ飛行は、特定飛行を立入管理措置を講じないで行う飛行、つまり第三者の上空で行う特定飛行です。 要件は3段あります。一等無人航空機操縦士の技能証明を持つ人が、第一種機体認証を受けた機体を飛ばし、そのうえで国土交通大臣の許可・承認を受けることです。 申請の手順もカテゴリーⅡとは別物で、専用の「審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」に従い、飛行開始予定日の20開庁日前までに国土交通省航空局の無人航空機安全課へ出します。 申請書には飛行マニュアルに加えてリスク評価の結果を付け、第三者賠償責任保険の内容(入っていなければ賠償能力の有無など)も書きます。 この記事では、審査要領と申請様式の原文をもとに、カテゴリーⅢを実際に申請するときに何を揃え、どの順番で準備するかを整理します。

よく見る説明と、公式の記載
カテゴリーⅢは制度ができてからの年数が浅く、資格・機体・申請の関係が省略されて伝わりがちです。この記事で扱う範囲について、一次ソースの記載と突き合わせます。
よく見る説明一等資格と第一種機体認証が揃えば、第三者の上空を飛ばせる。
公式にはこう資格と機体は前提条件です。そのうえで国土交通大臣の許可・承認が別に要ります。審査要領(カテゴリーⅢ飛行)の目的規定も「許可又は承認…を取得することが必要である」と書いています。
出典 航空法第132条の85第2項・第132条の86第3項/審査要領(カテゴリーⅢ飛行)1.
よく見る説明カテゴリーⅢの申請も、カテゴリーⅡと同じく10開庁日前までに出せばよい。
公式にはこうカテゴリーⅢは飛行開始予定日の20開庁日前までです。提出先も地方航空局ではなく航空局安全部無人航空機安全課です。
出典 審査要領(カテゴリーⅢ飛行)2-1(1)b)
よく見る説明レベル3.5飛行は、レベル4を簡単にしたカテゴリーⅢの一種。
公式にはこう国土交通省は「レベル3.5飛行は、『カテゴリーⅢ飛行』ではありません」と明記しています。機上カメラで立入管理措置を代替するカテゴリーⅡ飛行です。
出典 カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について p.9

カテゴリーⅢは条文のどこから来るか

「カテゴリーⅢ」という言葉は、航空法にも施行規則にも出てきません。国土交通省が使う行政上の分類です。ただし中身は条文に組み込まれています。軸になるのは、特定飛行のときに立入管理措置を講じるかどうかです。

航空法第132条の85第1項
「何人も、次に掲げる空域においては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合(立入管理措置…を講ずることなく無人航空機を飛行させるときは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合に限る。)でなければ、無人航空機を飛行させてはならない。」

飛行の方法を定める第132条の86第2項にも同じ括弧書きがあります。そして大臣の許可を定める第132条の85第2項は、立入管理措置を講じない飛行を許可の対象として名指ししています。

航空法第132条の85第2項
「何人も、前項第一号の空域又は同項第二号の空域(立入管理措置を講ずることなく無人航空機を飛行させる場合又は立入管理措置を講じた上で国土交通省令で定める総重量を超える無人航空機を飛行させる場合に限る。)においては、同項に規定する場合に該当し、かつ、国土交通大臣がその運航の管理が適切に行われるものと認めて許可した場合でなければ、無人航空機を飛行させてはならない。」

飛行の方法の承認(第132条の86第3項)も同じ構造です。立入管理措置を講じて25kg未満で飛ばす場合、承認が要るのは催し場所上空・危険物輸送・物件投下(第2項第4号〜第6号)だけです。一方、立入管理措置を講じない場合は、夜間・目視外・30m未満を含む第1号〜第6号のすべてが承認の対象になります。

もうひとつ、条文を読むと分かる違いがあります。第132条の87(見出し「第三者が立ち入つた場合の措置」)は、特定飛行中に機体の下へ人が立ち入ったときに直ちに飛行を止める義務を定めていますが、括弧書きで「立入管理措置を講ずることなく飛行を行う場合を除く。」としています。カテゴリーⅢは、経路下に第三者がいることを前提にした飛行です。条文と審査要領を並べると、安全の担保は事前のリスク評価と、それに基づく運航管理の審査に置かれていると読めます。申請書類がカテゴリーⅡと大きく違うのはこの部分です。

「第三者の上空」はどこまでか。教則(第5版)3.1.2(2)4)a は、「第三者上空」を第三者の直上だけに限らず、落下距離(飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離)を踏まえて、機体が落下する可能性のある領域に第三者がいれば第三者の上空にあるとみなすとしています。第三者が乗っている移動中の車両等の上空も含みます。立入管理措置の考え方そのものは立入管理措置とは。現場で実際に何をするのかで扱っています。

要件は3段:一等・第一種・許可承認

国土交通省の飛行許可・承認手続のページは、カテゴリーⅢを次のように書いています。

「レベル4飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)を含むカテゴリーⅢ飛行は、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合であって、飛行の形態に応じたリスク評価結果に基づく飛行マニュアルの作成を含め、運航の管理が適切に行われていることを確認して許可・承認を受けた場合に限ります。」

3つの要件を、審査要領(カテゴリーⅢ飛行)と申請様式で何を求められるかまで分解すると、次のとおりです。

要件根拠申請書で求められること
一等無人航空機操縦士の技能証明 航空法第132条の85第1項・第132条の86第2項の括弧書き/審査要領4-2 操縦者の氏名と技能証明書番号を限定事項(種類・飛行の方法)も含めて記載し、飛行形態が限定の範囲内であることを確認する(2-2-1(6))。様式上は記載必須
第一種機体認証 同上/審査要領4-1 第一種機体認証書番号を記載し、飛行形態が使用条件等指定書で指定された使用の条件の範囲内であることを確認する(2-2-1(5))。様式上は記載必須
国土交通大臣の許可・承認 航空法第132条の85第2項・第132条の86第3項 飛行マニュアルとリスク評価の結果を添付(2-2-1(7))。保険の内容または賠償能力の情報を記載(2-2-1(8))

実務で見落としやすいのは、資格と機体の「範囲」です。

  • 技能証明の限定:技能証明には機体の種類(マルチローター等、25kg未満か否か)と飛行の方法(昼間・目視内)の限定が付きます。第三者上空で目視外飛行をするなら、その飛行に対応する限定変更を受けた一等であることが必要です。審査要領は限定事項まで書かせたうえで、範囲内かの確認を求めています。
  • 機体認証の使用の条件:機体認証を受けた機体は、指定された使用の条件の範囲内でなければ特定飛行を行えません(航空法第132条の14第1項)。違反は第157条の9第3号で50万円以下の罰金です。審査要領4-3-1(2)も、使用の条件の範囲内である場合を除き不良な気象状態では飛行させないことを求めています。
  • 自動操縦で遠隔操作する人がいない場合:審査要領は「飛行を監督する責任者」の氏名を書かせ、その責任者も一等の技能証明を受けている必要があるとしています。

機体側の制度(第一種と第二種の違い、有効期間が第一種は1年であること)は機体認証・型式認証とは。第一種と第二種の違い、第一種型式認証を取っている型式の現状は型式認証を取得している機体の一覧と、その見方、手数料は機体認証の手数料にまとめています。

3段のどれが欠けても、飛行自体が条文違反になります。一等・第一種の組み合わせでない機体・操縦者で立入管理措置を講じずに飛行禁止空域を飛ばせば第132条の85第1項違反(第157条の9第9号)、許可を受けなければ同条第2項違反(同第10号)、承認を受けなければ第132条の86第3項違反(同第17号)で、いずれも50万円以下の罰金とされています。

カテゴリーⅡの申請と何が違うか

カテゴリーⅢの審査要領は、カテゴリーⅡの審査要領とは別の通達として令和5年2月7日に制定されています(国空無機第263175号)。国土交通省の手続ページから現在リンクされている版は制定時のもので、改正の記載はありません。申請様式も専用のものがあります。主な違いを並べます。

項目カテゴリーⅡカテゴリーⅢ
申請期限 飛行開始予定日の10開庁日前まで 飛行開始予定日の20開庁日前まで
提出先 空港等周辺・緊急用務空域・150m以上は東京/関西空港事務所長、それ以外は東京/大阪航空局長 国土交通大臣(窓口は航空局安全部無人航空機安全課)
操縦者・機体 技能証明・機体認証がなくても、飛行経歴や機体の資料で申請できる 一等技能証明と第一種機体認証が必須
飛行マニュアルの選択肢 航空局標準マニュアル/リスク評価ガイドラインに基づくもの/上記以外(と変更なし) リスク評価ガイドラインに基づき作成した飛行マニュアルのみ(と変更なし)。標準マニュアルを選ぶ欄はない
添付 飛行マニュアル(標準マニュアルなら添付不要) 飛行マニュアル+リスク評価の結果
日時・経路 場所を特定しない申請もある 様式の注記で日時・経路を「特定し記載すること」
許可の期間 原則3か月以内、最長1年 原則1か月以内、変更なく継続的に飛ばすことが明らかなら1年が限度
更新申請 満了日の40開庁日前から10開庁日前まで 同じ(40開庁日前から10開庁日前まで)

とくに効くのは標準マニュアルが使えない点です。カテゴリーⅡでは航空局標準マニュアルを選べば添付を省けますが、カテゴリーⅢの様式にその選択肢はありません。自社の飛行に合わせたマニュアルを一から作ることになります。独自マニュアルの一般的な作り方は独自の飛行マニュアルを作るべきときと作り方で扱っていますが、カテゴリーⅢではそこにリスク評価の結果を反映させることが加わります。

20開庁日前と提出先

審査要領(カテゴリーⅢ飛行)2-1(1)b)
「申請書については、当該申請に係る飛行開始予定日の20開庁日前までに、書面申請又はドローン情報基盤システム(DIPS)における飛行の許可・承認申請機能を利用したオンライン申請により国土交通大臣に申請するものとする。なお、申請書の提出先窓口は国土交通省航空局安全部無人航空機安全課…とする。」

読み取れることを整理します。

  • 期限は「飛行開始予定日」から数える。許可が出る日ではありません。20開庁日前は提出の期限であり、この日数で審査が終わると約束したものではありません。
  • 「開庁日」の数え方は、カテゴリーⅢの審査要領には定義されていません。参考になるのは、国土交通省の手続ページが10開庁日前の案内で「土日・祝日を除く」と注記していることです。20開庁日はおおむね4週間になります。
  • 書面でもDIPSでも出せる。郵送用には「許可・承認申請書(様式)[カテゴリーⅢ飛行]」がWord形式で公開されています。
  • カテゴリーⅡにある緊急時の例外は、カテゴリーⅢの審査要領には置かれていません。カテゴリーⅡの審査要領は災害時などに電話・メールで申請できる扱いを定めていますが、カテゴリーⅢの審査要領を全文確認した範囲では同様の規定はありませんでした。
20開庁日前は「揃った書類を出す日」です。リスク評価には、現地の人口・交通量の把握や電波の確認が入ります(後述の事例集を参照)。これらは提出前に済ませる作業なので、準備を始める時期は20開庁日前よりはるかに前になります。国土交通省は準備期間の目安を示していません。審査の過程で追加資料の提出や説明を求められることもあります(審査要領2-1(7))。

リスク評価の結果を添付する

カテゴリーⅢの申請書類の中心は、リスク評価です。審査要領は2か所でこれを求めています。

審査要領(カテゴリーⅢ飛行)2-2-1(7)
「4.に基づき作成した飛行マニュアルに加えて、規則第236条の74第1項第8号又は規則第236条の81第1項第8号の規定による『リスクの分析及び評価の結果』…を申請書に添付すること。」

同 4-3-2
「…『その運航の管理が適切に行われている』ことの説明にあたっては、飛行形態に応じて次に掲げる事項等を考慮したリスク評価の結果に基づくリスク軽減策の内容を記載した飛行マニュアルを作成し提出すること。」

引用されている航空法施行規則第236条の74第1項第8号は、許可申請書の記載事項として「飛行させる飛行禁止空域に応じたリスクの分析及び評価の結果を踏まえて講ずる措置に関する事項」を挙げています(承認は第236条の81第1項第8号が同旨)。4-3-2が「考慮する事項」として挙げるのは次の6つです。

#考慮する事項(審査要領4-3-2)準備で集めるもの
a運航計画(飛行の日時/飛行する空域及びその地域/飛行させる者及び運航体制/使用する機体/飛行の目的/飛行の方法)経路図、時間帯、体制図
b飛行経路における人との衝突リスク(地上リスク)及び航空機との衝突リスク(空中リスク)経路下の人口・交通量、周辺を飛ぶ有人機の情報
c電波環境(無線通信ネットワークを利用して操縦する場合に限る)経路上の通信状況の調査結果
d使用条件等指定書で指定された使用の条件等、使用する機体の情報機体認証書、使用条件等指定書
e操縦者の技能証明及び訓練の内容技能証明書、訓練記録
f補助者等を含めた運航体制要員の配置と役割

リスク評価の方法について、審査要領は「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」(公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構 福島ロボットテストフィールド発行)の活用を推奨しています。国土交通省の手続ページは、このガイドラインは福島ロボットテストフィールドのサイトで最新のものを確認するよう案内しています。

ガイドラインの手順の骨格は、国土交通省の「エリア単位でのレベル4飛行における留意事項、事例集等(第2版)」(令和8年4月)p.4〜5に図解されています。各国航空当局が参加するJARUSのリスク評価手法SORAを取り入れたもので、流れは次のとおりです。

運航計画を作る。飛行の日時、空域・地域、使用機体、運航者、運航体制など
地上リスクを10段階で判定(落下して地上の人に影響を及ぼすリスク。地上リスククラス1〜10)
空中リスクを4段階で判定(有人機と衝突するリスク。空中リスククラスa〜d)
地上と空中のリスククラスから、安全性と保証のレベル(SAIL)を6段階(Ⅰ〜Ⅵ)で決める
24項目の安全目標について、SAILに応じて求められる対策水準(ロバスト性)を4段階(任意・低・中・高)で判定する
機体・要員・運航体制などが対策水準を満たしているか検証する。満たしていなければ安全対策を追加するか、運航計画を見直す
結果を飛行マニュアルに反映し、リスク評価の結果とあわせて申請書に添付する
ガイドライン本体の細部は、この記事では扱いません。審査要領が引用しているのは令和4年12月2日発行の版ですが、国土交通省は最新版を福島ロボットテストフィールドのサイトで確認するよう案内しています。判定表や安全目標の中身は、必ずガイドラインの最新版で確認してください。

飛行マニュアルに書くこと

審査要領4-3-2は、リスク評価の結果に応じて、例えば次の事項を記載した飛行マニュアルを作るよう求めています。カテゴリーⅡの審査要領と項目の並びは似ていますが、整備・訓練の「実施体制・責任体制の明確化」や「組織としてのリスクマネジメント」など、組織として運航を管理する項目が明示されています。

区分記載する事項(審査要領4-3-2の例示)
(1) 点検・整備 点検・整備の方法(項目・時期)/点検整備記録の作成方法(原則は飛行日誌の取扱要領に従う)/整備を行う人員の知識や能力の基準、責任体制の明確化
(2) 操縦者の訓練 操縦者の知識や能力の基準と資格管理体制/習得のための訓練方法と能力の確認方法/維持のための日常的・定期的な訓練/飛行記録(訓練を含む)の作成方法/遵守事項/訓練の実施・管理体制
(3) 安全確保の体制 飛行前の安全確認(気象・機体の確認項目と手順)/安全管理体制(運航判断を行う運航責任者の明確化、組織としてのリスクマネジメント、安全飛行管理者の選定、緊急時の連絡体制)/事故等への対応(緊急着陸場所の設定、非常時の連絡体制、最寄りの警察・消防の連絡先、報告先の連絡先)

あわせて審査要領4-3-1は、次の事項を守りながら飛ばせる体制を作ることを求めています。飛行前の確認、不測の事態での即時中止、飲酒・薬物、航空機や他の無人航空機との衝突回避、飛行計画の通報と他の飛行計画の確認、許可書の携行、飛行日誌への記載、事故等の報告、負傷者の救護などです。

教則(第5版)3.1.2(4)2) も、カテゴリーⅢでは「第三者上空飛行に当たり想定されるリスクの分析と評価を実施し、非常時の対処方針や緊急着陸場所の設定などの必要なリスク軽減策を講じる」と書いています。異常が起きたとき、第三者の上空からどこへ降ろすのかを経路に沿って決めておくことが、マニュアルの具体性を左右します。

保険と賠償能力の記載

審査要領(カテゴリーⅢ飛行)2-2-1(8)
「無人航空機に係る第三者賠償責任保険への加入状況を把握するため、その保険の内容(加入状況、保険会社名、商品名、補償金額)を記載すること。第三者賠償責任保険に加入していない場合は、賠償能力の有無等の情報を記載すること。」

様式の「その他参考となる事項」には、加入している場合に対人・対物の別、保険会社名、商品名、補償金額(対人・対物)を書く欄があり、加入していない場合は「賠償能力 有(内容)/無」を選ぶ欄があります。

教則(第5版)5.1.3(2)・5.1.4(3) は、カテゴリーⅢの審査で「無人航空機を飛行させる者が適切な保険に加入するなど賠償能力を有することの確認を行うこととしている」とし、さらに「飛行の形態に応じたリスク評価を行い、その結果に基づき、必要な保険に加入することが望ましい」と書いています。

補償金額の基準は、公式には示されていません。カテゴリーⅢの審査要領も教則も、いくら以上の補償が必要かという数値は書いていません。保険に加入していない場合にどう審査されるかも公式には明示されていません。
なお、2025年10月1日から「総重量25kg以上の機体は第三者賠償責任保険の加入が必要」になりましたが、国土交通省のチラシが示すとおり、これはカテゴリーⅡの審査要領による取扱いです(教則も第5版 2.3.3 で、総重量25kg以上の機体とレベル3.5飛行について第三者賠償責任保険への加入が求められると本文に書き入れました)。カテゴリーⅢの審査要領は制定時の書きぶりのままです。

事故が起きたときの報告と罰則の構造(事故報告には罰則があり、重大インシデントの報告には罰条が置かれていない)は、カテゴリーⅢでも同じ航空法の規定が適用されます。

包括申請と許可の期間

カテゴリーⅢの許可を「飛行ごと」に取るのか、まとめて取れるのかは、公式資料の書き方が分かれている論点です。原文を並べます。

資料記載
審査要領(カテゴリーⅢ)2-1(3) 「同一の申請者が一定期間内に反復して飛行を行う場合又は異なる複数の場所で飛行を行う場合の申請は、包括して行うことができる。」
同 2-2-1(2)b)・3-3 飛行の期間・許可の期間は原則1か月以内。申請内容に変更がなく継続的に飛ばすことが明らかな場合は1年が限度
同 2-2-1(2)c) 「飛行を予定している経路を記載するとともに、地図上に当該経路を示した資料を添付すること。」
申請様式(カテゴリーⅢ)の注記 「※3 飛行の日時を特定し記載すること。」「※4 飛行の経路を特定し記載すること。」
レベル4飛行実現に向けた新たな制度整備(国交省資料) 第三者上空の飛行について「新たに飛行可能(飛行毎の許可・承認※)※運航管理方法等を確認」
エリア単位の事例集(第2版)p.3 「許可・承認申請に際して、飛行経路の特定が必要」

まとめると、審査要領には包括申請の規定がある一方、日時と経路は特定して書くというのが原文の組み合わせです。カテゴリーⅡの全国包括のように飛行場所を特定しない申請を想定した記載は、カテゴリーⅢの審査要領・様式にはありません。カテゴリーⅢで包括申請がどこまで認められるか、実際に認められた例があるかは、公式には明示されていません。

許可を受けた後に内容が変わる場合も、カテゴリーⅡと同じ考え方です。事例集(第2版)p.21は、変更申請が必要な範囲は「カテゴリーⅡ飛行と同様」で、飛行経路(エリアや高度等)、機体、操縦者、特定飛行の内容等が変わる場合は再申請や変更申請が必要としています。変更申請で省略できる事項は審査要領2-1(6)に列挙されています(登録記号〔同一型式機の追加・削除に限る〕、型式・機体認証、技能証明、安全体制)。カテゴリーⅡの変更申請の実務は包括申請の変更申請、更新の期限の数え方は包括申請の更新が参考になります。

許可には条件が付くことがあります。審査要領3-2は、許可等に条件を付すことができ、重要な事情の変化があれば取り消しや新たな条件の付加ができるとしています。また許可した飛行について飛行実績の報告を求めることができるとしています。飛行日誌と運航記録は、報告を求められたときに出せる形で残しておくことになります。

空港周辺・150m以上・目視外で増える対応

カテゴリーⅢの審査要領第5章は、飛ばす空域や方法によって関係機関との調整を求めています。申請前に済ませるものと、飛行の直前に行うものがあります。

飛行求められる対応時期
空港等周辺・緊急用務空域・150m以上(5-1) 空港設置管理者等または空域を管轄する関係機関と調整し、了解を得る。調整結果を申請書に記載(2-2-1(8))。飛行中は常に連絡が取れる体制 申請前
同上のうち航空情報の発行が必要なもの(5-2) 管轄の空港事務所長へ、飛行日時・経路(緯度経度)・高度(海抜)・機体数・機体諸元を通知 飛行を行う日の前日まで
目視外飛行で、航空機の状況を常に確認できない場合(5-3) 経路周辺の航空機の運航者(救急医療用ヘリの運航者、警察、消防等)に飛行予定を周知/経路図・日時・高度・連絡先などをインターネット等で公表/管轄の地方航空局長へ飛行内容を通知 周知・公表は飛行前、通知は飛行を行う日の1開庁日前まで
催し場所上空(2-2-2(8)) 催しの主催者等と調整し、調整結果を申請書に記載 申請前

航空機の運航者への周知について、国土交通省の手続ページは「補助者を配置しない目視外飛行(レベル3飛行等)またはカテゴリーⅢ飛行を実施する場合に必要」と書き、専用の周知様式と記載例を掲載しています。運航者の連絡先は申請手続の過程で審査部局から知らされる、とされています。

航空法以外の手続は別に確認が要ります。重要施設の周辺なら小型無人機等飛行禁止法、機体の通信に使う電波によっては電波法の手続(例:5.7GHz帯なら無線局免許)が関わります。

レベル4・レベル3.5との関係

カテゴリーは「立入管理措置の有無」で分ける区分、レベルは「目視内か目視外か、有人地帯か無人地帯か」で分ける区分です。国土交通省の書き方は「レベル4飛行…を含むカテゴリーⅢ飛行」で、レベル4はカテゴリーⅢの一部という関係です。教則も、カテゴリーとレベルの分類は「厳密には一致しない場合がある」と注記しています。

レベル3.5飛行カテゴリーⅢ飛行(レベル4を含む)
カテゴリー カテゴリーⅡ(「カテゴリーⅢ飛行ではありません」と明記) カテゴリーⅢ
立入管理措置 不要にはならない。補助者・看板の配置を、機上カメラでの確認に代替する 講じない(第三者の上空を飛ぶ)
飛べる場所 歩行者等が経路下にいない無人地帯。移動中の車両等(自動車・鉄道車両・船舶)の上空の一時的な横断が可能。有人地帯上空は飛べない 第三者の上空
技能証明 一等・二等を問わない。種類・重量に対応し、目視内飛行の限定解除を受けたもの 一等(飛行形態に応じた限定の範囲内)
機体 機体認証の取得は要件に挙がっていない(機上カメラ等の設備が要件) 第一種機体認証
保険 第三者賠償責任保険への加入が要件 加入状況を記載。未加入なら賠償能力の有無等を記載
申請先 「運航概要宣言書」を航空局に提出のうえ、専用様式で東京航空局または大阪航空局 国土交通大臣(無人航空機安全課)

レベル3.5の標準マニュアルと、機上カメラで立入管理措置を代替する考え方は立入管理措置とはでも触れています。経路下に歩行者が入り得る場所を飛ぶ計画なら、レベル3.5では足りず、カテゴリーⅢの検討になります。

カテゴリーⅢの実績について。国内初のレベル4飛行の許可・承認は、令和5年(2023年)3月17日、日本郵便株式会社に対するものです(国土交通省報道発表)。その後の累計件数や許可を受けた事業者の一覧を継続的に公表している公式ページは、確認できていません。次の節の事例集には、2025年度のエリア単位の事例が載っています。

国の事例集から見える準備の中身

国土交通省航空局は、令和8年4月に「エリア単位でのレベル4飛行における留意事項、事例集等(第2版)」を公表しています。2025年度に福島県・長崎県の特区で行われたエリア単位でのレベル4飛行の事例(2025年11月・12月、2026年2月の3件)について、申請でどんな安全確保措置を取ったかが書かれています。3件とも、特定飛行の内容は目視外と30m未満、使用機体は第一種型式認証を受けたACSL製PF2-CAT3型、リスク評価のSAILはⅡでした。

ここから、カテゴリーⅢの準備で実際に手を動かす作業が見えてきます。

リスク事例で行われた対応(事例集の記載)
地上リスク(人との衝突) 国勢調査の人口密度データを参考にし、現地確認のうえ特に交通量が多いと想定される地点で交通量調査を実施してリスクの最大値を評価。「リスクが最大となる場合を前提に基準への適合性を示すことで、申請エリア内の他の場所も飛行可能」
通信途絶 通信事業者のサービスエリアマップで事前評価し、実機を飛ばして電波強度を確認(地上から上空70mまで、テレメトリーとFPV)。1km²ごとに調査地点を設け、複数回途絶した場所を飛行範囲から除外した事例もある
空中リスク(有人機・無人機) 飛行に先立ちNOTAMを発行(航空局が発行)し、有人機の業界団体に飛行概要を通知。DIPSで他の無人航空機の飛行計画を確認し、重なれば飛行時間を調整
悪天候 天気予報や風況マップでエリア全体の天候・気温・地上と上空の風速を確認し、離陸直前に各離着陸地点で風速計により許容値内かを確認
周知・合意形成 住民向けに飛行概要のチラシを配布。鉄道上空を含む事例では鉄道事業者と事前調整し、異常時の連絡・列車の一時停止等の手順を事前合意
事例集の位置づけに注意してください。事例集は「安全確保措置等の例を示したもの」で、必要な措置は「個別具体のケースにより異なる可能性がある」と書いています。また住民への周知や合意形成については、「カテゴリーⅢ飛行の許可・承認基準として求められるものではない」としたうえで、内閣官房の「無人航空機の飛行と土地所有権の関係について」(令和3年6月28日)を踏まえた取組として推奨しています。土地所有権との関係は私有地の上空、所有権はどこまで及ぶのかで扱っています。

交通量調査の結果の使い回しについて、事例集は「交通量の大きな変化がないと想定される限り、過去の結果の活用は可能と考えられる」としています。一方、携帯電話の通信量を使った人流の推計は実測値と整合せず、「現時点では交通量調査の代替として使用することは困難」とされています。地上リスクの評価は、現地で数えることが前提と考えておくのが安全です。

準備の順番

審査要領・様式・事例集の内容を、申請までの順番に並べ替えます。前半の判断を誤ると、後半の作業がやり直しになります。

本当にカテゴリーⅢが必要かを決める。経路の設計や時間帯の工夫で立入管理措置を講じられるならカテゴリーⅡ、機上カメラで代替できる無人地帯ならレベル3.5(カテゴリーⅡ)で足りる。判断材料は認証機体を買うか、許可・承認で回すかも参照
機体を確認する。第一種機体認証を受けているか、有効期間(第一種は1年)が飛行期間をカバーするか、使用条件等指定書の範囲(気象条件など)に計画した飛行が収まるか
操縦者を確認する。一等の技能証明で、機体の種類・重量と飛行の方法(夜間・目視外)の限定が計画に合っているか。自動操縦なら飛行を監督する責任者も一等か。有効期間は技能証明の更新を参照
運航計画を作る。日時、経路(地図)、体制、目的、飛行の方法。経路沿いの緊急着陸場所もこの段階で候補を出す
現地のデータを集める。経路下の人口・交通量、電波の状況、周辺を飛ぶ有人機。必要なら交通量調査や実機での電波確認
リスク評価を行う(ガイドラインの最新版に沿って地上リスク・空中リスク→SAIL→安全目標)。対策水準を満たせなければ、経路・時間帯・体制を見直して5に戻る
飛行マニュアルを作る。リスク軽減策、整備・訓練の体制と責任者、運航責任者、非常時の対応を書く
関係者と調整する。空港等周辺・150m以上・催し場所上空なら、その調整結果を申請書に書く。保険の内容(対人・対物、補償金額)を確認する
飛行開始予定日の20開庁日前までに申請する(書面またはDIPS、提出先は無人航空機安全課)。追加資料の求めには速やかに対応する
許可後、飛行前に航空機の運航者への周知・インターネットでの公表・通知(該当する場合)、飛行計画の通報を行い、飛行後は飛行日誌に記載する。許可期間の満了が近づいたら40〜10開庁日前に更新申請

カテゴリーⅡの申請全体の流れはドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドにまとめています。カテゴリーⅢは同じDIPS・同じ航空法の上にありますが、標準マニュアルが使えず、リスク評価を自分で行い、提出先と期限が違うという3点で、準備の重さが別物になります。

よくある質問

一等の技能証明と第一種機体認証があれば、許可・承認なしで第三者の上空を飛ばせますか。
飛ばせません。航空法第132条の85第2項は、立入管理措置を講じずに飛行禁止空域を飛ばす場合、一等・第一種の組み合わせに該当し、かつ国土交通大臣が許可した場合でなければ飛行させてはならないとしています。飛行の方法も第132条の86第3項で承認が必要です。カテゴリーⅡの一部にある「技能証明+機体認証で申請不要」のルートは、カテゴリーⅢにはありません。
申請はいつまでに、どこへ出せばよいですか。
審査要領(カテゴリーⅢ飛行)2-1(1)b)により、飛行開始予定日の20開庁日前までに、書面またはDIPSで国土交通大臣に申請します。提出先の窓口は国土交通省航空局安全部無人航空機安全課です。カテゴリーⅡ(10開庁日前、地方航空局または空港事務所)とは期限も提出先も違います。なお20開庁日前は提出期限であり、その日数で審査が終わることを示したものではありません。
航空局標準マニュアルを使って申請できますか。
カテゴリーⅢの申請様式で、安全体制の欄に選べるのは「『安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン』に基づき作成した飛行マニュアル(別添)を使用する」と「変更申請であって、かつ、当該事項に変更がない」の2つだけです。標準マニュアルを選ぶ欄はありません。審査要領2-2-1(7)は、飛行マニュアルに加えてリスク評価の結果を添付するよう求めています。
保険に入っていないと申請できませんか。補償額はいくら必要ですか。
審査要領2-2-1(8)は、第三者賠償責任保険の内容(加入状況、保険会社名、商品名、補償金額)を記載し、加入していない場合は賠償能力の有無等の情報を記載するとしています。教則(第5版)は、審査で「適切な保険に加入するなど賠償能力を有することの確認」を行い、リスク評価に基づき必要な保険に加入することが望ましいとしています。必要な補償額の基準や、未加入の場合の審査の扱いは公式には示されていません。
カテゴリーⅢでも包括申請はできますか。
審査要領2-1(3)には、反復飛行や複数の場所での飛行を包括して申請できる規定があります。ただし申請様式の注記は飛行の日時と経路を「特定し記載すること」とし、許可の期間は原則1か月以内(変更なく継続的に飛ばすことが明らかなら1年が限度)です。飛行場所を特定しない全国包括のような申請を想定した記載はなく、カテゴリーⅢで包括がどこまで認められるかは公式には明示されていません。
レベル3.5飛行とカテゴリーⅢは何が違いますか。
レベル3.5飛行はカテゴリーⅡです。国土交通省の資料は「レベル3.5飛行は、『カテゴリーⅢ飛行』ではありません」と明記しています。レベル3.5は、補助者や看板による立入管理措置を機上カメラでの確認に代替するもので、立入管理措置そのものが不要になるわけではなく、歩行者等が経路下にいる有人地帯の上空は飛べません。技能証明は一等・二等を問いません(目視内飛行の限定解除が必要)。第三者の上空を飛ぶなら、一等・第一種機体認証・大臣の許可承認が要るカテゴリーⅢになります。
リスク評価は、決まった方法でやらなければいけませんか。
審査要領4-3-2は、福島ロボットテストフィールド発行の「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」を「活用することを推奨する」としています。一方、申請様式の安全体制欄の選択肢は、このガイドラインに基づき作成した飛行マニュアルを使う旨の1つ(と変更なし)です。ガイドラインは最新版を福島ロボットテストフィールドのサイトで確認するよう国土交通省が案内しています。
飛行中に機体の下へ人が入ってきたら、止めなければいけませんか。
航空法第132条の87の即時停止義務は、括弧書きで「立入管理措置を講ずることなく飛行を行う場合を除く」としており、条文上はカテゴリーⅢ飛行が対象から除かれています。カテゴリーⅢでは、リスク評価に基づくリスク軽減策と非常時の対処方針を飛行マニュアルに定め、その内容に従って運航することが審査で確認されます。不測の事態が起きた場合は、審査要領4-3-1(2)により即時に飛行を中止する体制が求められます。
許可を取った後に機体や経路を変えるときは、どうすればよいですか。
国土交通省の事例集(第2版)p.21は、変更申請が必要な範囲はカテゴリーⅡと同様で、飛行経路(エリアや高度等)、機体、操縦者、特定飛行の内容等が変わる場合は再申請や変更申請が必要としています。審査要領2-1(6)は、登録記号(同一型式機の追加・削除に限る)、型式・機体認証、技能証明、安全体制の一部を変える変更申請では、変更がない事項の記載や添付を省略できるとしています。
この記事の一次ソース
  1. e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)
  2. e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)
  3. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)令和5年2月7日制定(PDF)
  4. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書(様式)[カテゴリーⅢ飛行](Word)
  5. 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続
  6. 国土交通省|エリア単位でのレベル4飛行における留意事項、事例集等(第2版)令和8年4月(PDF)
  7. 国土交通省|カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について(PDF)
  8. 国土交通省|無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(令和8年7月7日公布/令和8年7月14日適用)(PDF)
  9. 国土交通省|レベル4飛行実現に向けた新たな制度整備(PDF)
  10. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)(PDF)
  11. 国土交通省|総重量25kg以上の無人航空機の第三者賠償責任保険に関するチラシ(PDF)
  12. 国土交通省|無人航空機レベル4飛行ポータルサイト
  13. 国土交通省|報道発表 無人航空機のレベル4飛行初実施のために飛行の許可・承認を行いました(令和5年3月17日)
  14. 福島ロボットテストフィールド|各種ガイドライン(国土交通省の手続ページが案内する運航リスク評価ガイドラインの掲載先)
本記事は2026年9月16日時点の情報です。 カテゴリーⅢ飛行の審査要領は令和5年2月7日の制定時の版が公開されていますが、通達は法改正より短い手続で改正され得ます。リスク評価ガイドラインは最新版の確認が案内されており、エリア単位の留意事項・事例集も版を重ねています。申請の前に、必ず上記の一次ソースで最新の本文を確認してください。

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その飛行がカテゴリーⅠ・Ⅱ・Ⅲのどれに当たるか、許可・承認のほかに確認すべき法令は何かを1枚で確認できるPDFです。

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