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測量でドローンを使うのに必要な許可・承認と、公共測量のルール

公開 2026-09-28 更新 2026-09-28 読了 約16分

ドローン測量には、2つの法律の手続が重なります。1つは航空法です。どう飛ぶかによって、国土交通大臣の許可・承認が要るかが決まります。もう1つは測量法です。国や自治体が費用を出す公共測量では、作業規程の承認や国土地理院への計画書の提出が要ります。 まず押さえたいのは、航空法にも航空法施行規則にも「測量」という言葉が一度も出てこないことです(e-Govの現行条文を全文検索して確認)。「測量だから許可が要らない」という特例はありません。要否を決めるのは、目的ではなく飛び方です。 この記事では、測量でよくある4つの飛び方を航空法の条文に当てはめます。自動航行、DIDの中の現場、造成地での30m未満、補助者の配置の4つです。そのうえで、公共測量の手続と、航空法の許可・承認が別物であることを整理します。

よく見る説明と、公式の記載
測量は公共性の高い業務なので、「特別扱いされるはず」という思い込みが入りやすい分野です。この記事で扱う範囲について、一次ソースの記載と照らし合わせます。
よく見る説明公共工事の測量なら、ドローンの飛行許可は要らない。
公式にはこう航空法と航空法施行規則のどこにも「測量」の語はなく、測量を理由に許可・承認の規定を外す条文はありません。条文で適用を外しているのは、警察などが事故の際に行う捜索・救助等の飛行です(第132条の92)。審査要領は「測量」を飛行の目的の選択肢の1つとして挙げているだけです。
出典 航空法 第132条の92 審査要領 2-2-1(3)a)
よく見る説明自動航行(プログラム飛行)なら目視外飛行には当たらない。
公式にはこう「目視」とは操縦者本人が自分の目で見ることです。補助者が見ていても、モニターで見ていても目視には当たりません。自動か手動かは定義に出てきません。自動航行でも、機体を肉眼で常に見ていなければ目視外飛行です。
出典 解釈通達 3.(6)
よく見る説明国土地理院に公共測量の計画書を出せば、飛行の手続も済む。
公式にはこう測量法の計画書は、国土地理院の技術的助言を受けるための手続です(第36条)。国土地理院の「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」自体が、作業機関に航空法に基づく必要な許可又は承認を得るよう求めています。
出典 測量法 第36条 UAVを用いた公共測量マニュアル(案)第2条第2項

「測量だから不要」という特例は、航空法にない

e-Govで、航空法の現行版(2025年12月1日施行)と航空法施行規則の現行版(2026年7月1日施行)の全文を検索しました。「測量」という語は、どちらにも1件も出てきません。無人航空機の規制(第132条の85〜第132条の89)について、測量業務を理由に適用を外す規定はありません。

条文で規制の適用を外している例外は、航空法第132条の92です。対象は「都道府県警察その他の国土交通省令で定める者が航空機の事故その他の事故に際し捜索、救助その他の緊急性があるものとして国土交通省令で定める目的のために行う」飛行です。災害時に国や自治体の依頼で測量をする場面でも、この特例に当たるかは、依頼主と目的が省令の要件を満たすかで決まります。「測量だから」で決まるものではありません。

審査要領(令和8年9月29日最終改正)には、申請書に書く「飛行の目的」の選択肢として「測量(工事現場での測量 等)」があります(2-2-1(3)a))。ただし、空撮・インフラ点検・資材管理などと同じく選択肢として並んでいるだけです。測量を目的にしたから審査基準が緩む、という記載はありません。

結論:要否を決めるのは「測量かどうか」ではなく「飛び方」です。 このあとの章では、測量の現場で起きやすい飛び方を1つずつ条文に当てはめます。許可と承認の違いの基本はドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドで整理しています。

自動航行でも、肉眼で追えなければ目視外

UAV写真測量は、自動航行が前提の作業です。国土地理院の作業規程の準則は、撮影に使うUAVについて「自律飛行機能及び異常時の自動帰還機能を装備していること」を標準としています(第142条)。撮影飛行についても「離着陸以外は、自律飛行で行うことを標準とする」と定めています(第147条第2号)。UAV写真点群測量も、この2条を準用します(第419条・第423条)。

一方で航空法は、飛行の方法として「当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること」を求めています(第132条の86第2項第2号)。国土交通省の解釈通達3.(6)によると、「目視」の意味は次のとおりです。

「目視」とは、操縦者本人が自分の目で見ることをいう。補助者による目視は該当せず、飛行状況を専らモニターを用いて見ることや、双眼鏡・カメラ等を用いて見ることも「目視」にはあたらない。なお、バッテリー残量を確認する目的等で一時的に目を離し、モニターを確認する等は目視飛行の範囲内とする。(要旨)

この定義には、自動操縦か手動操縦かという区別が出てきません。したがって、次のように読むことになります。

測量現場の状況目視外飛行との関係
狭い範囲を自動航行し、操縦者が機体をずっと肉眼で追っている 目視内と読めます。タブレットで残量などを一時的に確認するのは、目視飛行の範囲内です
操縦者が送信機の画面で航跡を見ていて、機体は見ていない 「専らモニターを用いて見る」状態で、目視外飛行に当たります
撮影範囲が広く、機体が遠くへ行って肉眼では見えなくなる 見えなくなった区間は目視外飛行です。自動航行かどうかは関係ありません
林や法面の向こう側を回る経路で、地形の陰に機体が隠れる 隠れる区間は目視外飛行です
補助者は機体を見ているが、操縦者は見ていない 補助者の目視は「目視」に当たらないため、目視外飛行です

目視外飛行の承認を申請する場合、審査要領5-4が基準になります。機体については「自動操縦システムを装備し、機体に設置されたカメラ等により機体の外の様子を監視できること」や、電波が途切れたときの自動帰還などのフェールセーフ機能が求められます(5-4(1)a)・c))。測量用のUAVは、準則の性能基準の段階で自律飛行と自動帰還を備えています。そのため機体の要件は満たしやすい一方、体制の要件(次の第5章)が論点になりやすいという関係です。

DIDの中の現場。私有地でもDIDはDID

市街地の区画整理、都市部の道路・河川改修、住宅地に近い造成地。測量の現場は、人口集中地区(DID)にかかることが少なくありません。DIDの上空は飛行禁止空域で、飛ぶには許可が要ります(航空法第132条の85第1項第2号、施行規則第236条の72)。

解釈通達2.(1)は「人口集中地区内の私有地内における飛行であっても、強風等により予期せぬ場所に飛ばされることも想定されるため、人口集中地区内である限り、飛行の禁止空域に該当する」としています。発注者の敷地内や、仮囲いで閉じた造成地の中でも、DIDならDIDの許可が必要です。

現場がDIDに当たるかは、国土交通省の飛行ルールのページが案内しているとおり、国土地理院の「地理院地図」などで確認できます。測量の担当者には見慣れた地図なので、ここは確認の手間がかかりにくい部分です。

工業専用地域は、2026年7月1日からDIDの許可の対象外です。 国土交通省告示第435号により、都市計画法の用途地域が「工業専用地域」の区域は、DIDの中でも「人又は家屋の密集している地域」から外れました。臨海部の工場地帯などで測量をするなら、用途地域を確認する価値があります。ただし対象は工業専用地域だけで、工業地域・準工業地域は含まれません。外れるのもDIDの許可だけで、目視外や30m未満の承認の要否は変わりません。詳しくは工業専用地域は、DIDの中でもDIDの飛行許可が要らなくなったで整理しています。

造成地の30m。土地や樹木は対象外、重機や電柱は対象

航空法は、地上又は水上の人又は物件との間に30mの距離を保つことを求めています(第132条の86第2項第3号、施行規則第236条の79)。保てない飛行には承認が必要です。低い高度で地形を撮る測量では、ここが問題になりやすくなります。

ポイントは、何が「物件」に当たるかです。解釈通達3.(7)は、次のように整理しています。

区分解釈通達の例示造成地・工事現場での例
30mを保つべき物件
(車両等)
自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーン 等 バックホウやダンプ、現場に出入りする車両、隣の道路を走る車
30mを保つべき物件
(工作物)
ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯 等 隣の住宅、敷地の境界沿いの電柱・電線、近くの橋梁
30mを保つべき物件に
当たらないもの
土地(田畑用地、舗装された土地(道路の路面等)、堤防、鉄道の線路等であって土地と一体となっているものを含む)、自然物(樹木、雑草 等) 造成中の地盤そのもの、法面、盛土、農地、山林の立木

つまり、地表に近づいて撮ること自体は、30m未満の飛行に当たりません。当たるのは、重機や電柱、隣の家などに30m未満まで近づく場合です。

さらに通達は、「物件」から操縦者及びその関係者(飛行に直接的又は間接的に関与している者)が所有又は管理する物件を除いています。「人」も第三者に限られます。ただし、元請や他の協力会社が「間接関与者」に当たるかは、通達6.(1)の要件で決まります。要件は、飛行目的の共通認識、計画外の挙動のときに従う指示と安全上の注意を受けていること、関与するかを自分で決められること、などです。現場にいるから関係者になる、という一律の扱いはありません。その現場の重機がすべて関係者の物件だと言い切れないなら、30m未満の承認を取る前提で計画するほうが安全です。

造成地は、飛行中に状況が変わる現場です。 計画段階では空き地だった場所に重機が入る。工事車両が出入りする。隣の区画で建物が建ち始める。測量の撮影コースは直線で等高度に組むのが標準です(準則第145条第7項)。そのため、途中で物件をよける経路に変えることは想定しにくくなります。工期中に何度も飛ばす出来形計測は、30m未満の承認を持っておくほうが実態に合います。

補助者の配置。目視外なら原則として要る

補助者の役割について、解釈通達7.はこう書いています。「操縦者は機体の動きや操縦に集中する必要があり、離着陸エリアを含めた飛行経路の管理を操縦と同時に行うことが困難であるため、飛行準備や飛行経路の安全管理、第三者の立入り管理などは補助者が主として行う必要がある」。そのうえで「補助者の数や配置、各人の担当範囲や役割、異常運航時の対応方法も決めておく必要がある」としています。

目視外飛行の承認について、審査要領5-4(3)b)は次のように定めています。

「飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。ただし、c)に掲げる基準に適合する場合は、この限りでない。」

ただし書きの c) は補助者を置かない目視外飛行の基準です。第三者が入る可能性が低い場所に経路を設定すること、落下距離を踏まえて立入管理区画を設定すること、などの要件が並びます。

測量の現場で補助者が問題になるのは、次の3つの場面です。

  1. 範囲の広い撮影で、1か所から経路全体を見渡せない。見渡せる位置がなければ、補助者を複数置く、撮影区域を分ける、などの設計が要ります
  2. 現場の外周が道路や住宅に接している。飛行経路の下に第三者が入らないよう、補助者の配置や、看板・コーンで立入りを制限する区画が要ります。立入管理措置の具体的な方法は立入管理措置とは。現場で実際に何をするのかをご覧ください
  3. 少人数で現場に入る。対空標識の設置や標定点・検証点の観測と、補助者の役割を同じ人が兼ねられるかは、作業の順序しだいです。撮影中は補助者に専念できる人員の計画にしておくのが無難です
補助者を置かない目視外飛行は、全国包括では扱えません。 国土交通省の手続案内は、飛行経路を特定せずに申請できない飛行の1つに「補助者を配置しない目視外飛行」を挙げています。複数の現場を1本の包括申請でまかなう設計なら、補助者を置く前提の目視外飛行として組むほうが、使える範囲が広くなります。詳しくは全国包括は取れるか。標準マニュアル02の使い方で扱っています。

測量で当たる特定飛行の一覧

ここまでの内容を1つの表にまとめます。飛行禁止空域の飛行には許可が、決められた方法によらない飛行には承認が要ります。

類型根拠条文測量での当たり方頻度
目視外飛行
(承認)
法第132条の86
第2項第2号
広い範囲の自動航行、地形の陰、画面を見ながらの飛行。自動航行かどうかは関係ありません 高い
DID上空
(許可)
法第132条の85
第1項第2号
規則第236条の72
市街地の区画整理・道路改良・造成地。私有地内でもDIDならDID。工業専用地域は2026年7月1日から対象外 高い(都市部)
人又は物件から
30m未満
(承認)
法第132条の86
第2項第3号
規則第236条の79
重機・車両・電柱・電線・隣接家屋に近づく場合。地盤・法面・樹木は物件に当たりません 中〜高(工事中の現場)
150m以上
(許可)
法第132条の85
第1項第1号
規則第236条の71
第1項第5号
高い高度から広い範囲を撮る場合、山間部で離陸地点より低い谷へ向けて撮る場合など。高さは地表又は水面から数えます 低〜中
空港等周辺
(許可)
法第132条の85
第1項第1号
規則第236条の71
第1項第1〜3号
空港周辺の制限表面にかかる測量区域。場所を特定した申請が必要です 低(該当すれば必須)
夜間飛行
(承認)
法第132条の86
第2項第1号
日出から日没までの間以外の飛行です。写真測量は撮影に明るさが要るため想定しにくい類型ですが、日没後に計測する運用をとるなら承認が要ります 低
緊急用務空域
(飛行不可)
規則第236条の71
第1項第4号・第4項
許可があっても飛べません。飛行開始前に該当するかを確認する義務があります。災害後の被災状況の測量で特に注意が要ります 災害時
催し場所上空
危険物輸送
物件投下
法第132条の86
第2項第4〜6号
通常の測量では想定しにくい類型です。機体から標識などを落とす運用をするなら、物件投下に当たり得ます 低

「150m以上」の注意点を補足します。この高さは離陸地点からではなく、その場所の地表又は水面からの高さです(施行規則第236条の71第1項第5号)。尾根から谷へ向けて飛ぶ山間部の測量では、機体の高度計の数値が変わらなくても、地表からは150mを超えることがあります。

許可・承認を不要にできるか

一定の条件をすべて満たすと、DID上空・夜間・目視外・30m未満の許可・承認は不要にできます。条件は、総重量25kg未満、立入管理措置、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛ばすこと、飛行マニュアルの作成等です(航空法第132条の85・第132条の86、施行規則第236条の73・第236条の75。国土交通省の区分では「カテゴリーⅡ[飛行許可・承認申請が不要な飛行]」)。夜間・目視外を含む場合は、技能証明の限定変更も必要です。

測量に当てはめると、次のようになります。

条件測量での成り立ちやすさ
飛行の類型 目視外・DID・30m未満で完結する現場なら対象です。150m以上や空港等周辺が入ると対象外になります
立入管理措置 工事の現場は、もともと立入りを管理していることが多く、成り立たせやすい条件です。外周が道路に接する現場では、道路側の管理が別に必要です
技能証明+機体認証 ここが最大の分かれ目です。準則が求める自律飛行・自動帰還の機能やカメラの性能を満たし、かつ機体認証も受けた機体を用意できるかで決まります。認証機体を選ぶ考え方は認証機体を買うか、許可・承認で回すかをご覧ください

申請で許可・承認を受ける場合の飛行マニュアルにも、注意点があります。国土交通省の手続ページに載っている航空局標準マニュアルは、一般用の01・02、空中散布、研究開発、インフラ点検の01・02、レベル3.5などです。測量を目的とした標準マニュアルはありません。測量では一般用の標準マニュアル01(場所を特定した申請)か02(場所を特定しない申請)を使うか、独自のマニュアルを作ることになります。独自マニュアルを作るべき場面は独自の飛行マニュアルを作るべきときと作り方で、反復して飛ばす場合の包括申請は包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準で整理しています。

公共測量のルール。測量法の手続

ここからは航空法を離れて、測量法の話です。ドローンで測量するかどうかに関係なく、その測量が「公共測量」に当たるなら、次の手続が要ります。

「公共測量」に当たる測量

測量法第5条は、公共測量を次のように定めています。基本測量以外の測量のうち、①費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担又は補助して実施する測量、②基本測量や①の成果を使って、行政庁の許可等を受ける事業や国等の助成を受ける事業のために実施する測量で、国土交通大臣が指定するものです。ただし、建物に関する測量や、規模が小さい・高い精度を必要としない測量などは、政令(測量法施行令第1条)で除かれます。なお、同法第3条は、測量に「測量用写真の撮影」を含めています。

計画機関が行う主な手続

手続根拠内容
作業規程の承認 測量法第33条 観測機械の種類・観測法・計算法などを定めた作業規程を作り、あらかじめ国土交通大臣の承認を得ます。公共測量はこの作業規程に基づいて実施します。申請先は所管の地方測量部等で、国土地理院の案内では承認まで「通常14日~20日程度」です
計画書の提出と技術的助言 測量法第36条 あらかじめ、目的・地域・期間・精度・方法を書いた計画書を出し、国土地理院の長の技術的助言を求めます。国土地理院はこれを「公共測量実施計画書」と呼び、作業種類の例に「UAV」「UAVレーザ」を挙げています
実施と終了の通知 測量法第39条で準用する第14条 実施の前に作業種類・期間・地域などを、終了したら終了の旨を、関係都道府県知事に通知します(現行)。2026年12月3日からは根拠が第36条の2に移り(第39条の準用からは外れます)、通知先は国土地理院の長になります
測量成果の写しの送付 測量法第40条第1項 成果を得たら、遅滞なく写しを国土地理院の長に送ります

これらの手続を行う義務があるのは、測量計画機関(国、地方公共団体、土地改良区、土地区画整理組合など測量を計画する者)です。ドローンを飛ばす測量作業機関の義務ではありません。一方、作業機関側にも測量法上のルールがあります。公共測量に技術者として従事する者は、登録された測量士又は測量士補でなければなりません(第48条第1項)。測量業を営むには測量業者の登録が要ります(第55条第1項)。また準則第7条は、計画機関が測量業者以外の者に準則を適用した測量を請け負わせることを禁じています。

公共測量でない測量でも、届出が要る場合がある

国や公共団体の費用によらない測量でも、基本測量や公共測量の成果を使って行う場合は、あらかじめ国土交通大臣に届け出る必要があります(第46条第1項)。国土地理院の案内は、届出が必要な測量を次の3つをすべて満たすものとしています。(1)費用を国等が負担・補助していない (2)基本測量又は公共測量の成果を使う (3)大規模な測量又は高い精度を必要とする測量。

2026年12月3日から、公共測量の手続の一部が変わります。 改正法は令和8年法律第27号(第16次地方分権一括法)第11条で、公布は2026年6月3日です。e-Govの現行版と未施行版を条ごとに比べると、本文で変わるのは6か条(第14条・第36条・第36条の2・第38条・第39条・第60条)です。測量計画機関に直接効くのは次の2点です。 ①第36条に第2項が加わり、計画機関は「技術的助言を受けた後でなければ、公共測量を実施してはならない」ことになります。 ②新しい第36条の2により、実施と終了の通知先が都道府県知事から国土地理院の長に変わり、国土地理院の長が公示します。 残る4か条(第14条=基本測量の公示、第38条、第39条の準用の起点、第60条の事務の区分)は、この通知・公示の移管に伴う改正です。 国土地理院は改正の案内ページと各都道府県知事あての通知(国地総政第7号 令和8年6月24日)を公表しています。ただし手続の実務を説明した「公共測量を実施するために必要な手続の解説」は2025年4月1日改訂のままで、通知先を都道府県知事としています。施行後の様式は確認時点で公表されていません。年末をまたぐ案件では、所管の地方測量部に確認してください。(2026年9月27日訂正)

作業規程の準則と、UAVのマニュアルの位置づけ

公共測量の作業規程の「手本」になるのが、測量法第34条に基づく作業規程の準則です(平成20年国土交通省告示第413号)。最終の一部改正は令和7年3月31日(国土交通省告示第240号)です。ドローンに関する主な改正は次のとおりです。

改正UAVに関する主な内容(国土地理院の改正履歴)
令和2年3月31日 三次元点群測量の編を新設し、UAV点群測量を追加。数値地形図作成にUAV写真測量を追加
令和5年3月31日 UAVレーザ測量を追加。第4編の名称を「地形測量及び写真測量(三次元点群測量)」に変更
令和7年3月31日 全国の標高成果の改定に関連する条文の改正、GNSS標高測量の導入 など

よく名前が挙がる「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」(平成28年3月、平成29年3月改正)は、国土地理院のダウンロードページで「作業規程の準則に反映済みのマニュアル・要領等」の区分に置かれています。準則の改正前は、このマニュアルが準則にない作業方法を公共測量で使うための資料でした。今のUAV写真測量は準則の本文に入っています。国土地理院は、準則に統合済みのマニュアルについて「準則を用いるようにしてください」「参考資料としてご利用ください」と案内しています(UAV搭載型レーザスキャナのマニュアル等について)。

準則そのものは、関係法令について一般的な書き方をしています。第4条で「財産権、労働、安全、交通、土地利用規制、環境保全、個人情報の保護等に関する法令を遵守」と定めるだけで、航空法を名指しした条文は見当たりません。一方、旧マニュアル(案)の第2条第2項は、「作業機関は、UAVを飛行させるに当たり、航空法に基づく必要な許可又は承認を得るとともに、国土交通省航空局が定めるガイドラインに従って作業を行うものとする」と明記していました。

「公共測量におけるUAVの使用に関する安全基準(案)」について。 旧マニュアル(案)の解説は、国土地理院が平成28年3月にこの安全基準(案)を示したと書いています。ただし、この資料の原本は確認時点で取得できず、内容を確かめられていません。また平成28年3月は、技能証明や機体認証の制度(2022年12月施行)ができる前です。航空法上の要件は、この資料ではなく、現行の航空法・施行規則・審査要領・解釈通達で確認してください。

測量法の手続と航空法の許可・承認は別物

ここまでの内容を並べると、2つの手続は目的も相手も違うことが分かります。

測量法(公共測量)航空法(無人航空機)
目的 測量の基準をそろえる、重複をなくす、正確さを確保する(第1条) 航空機の航行の安全と、地上・水上の人や物件の安全を守る
手続の主体 測量計画機関(発注する自治体など) 無人航空機を飛行させる者(作業機関・操縦者の側)
相手先 国土交通大臣(地方測量部等が窓口)、国土地理院の長、都道府県知事 国土交通大臣(地方航空局長・空港事務所長)。電子申請はDIPS2.0
決まること 作業規程、計画への技術的助言、成果の送付 その飛行を行ってよいか(許可・承認)、飛行計画の通報、飛行日誌
ドローンとの関係 測量方法の1つとして準則にUAV写真測量・UAV点群測量・UAVレーザ測量がある 測量かどうかは関係なく、飛び方で許可・承認の要否が決まる

国土地理院の「公共測量を実施するために必要な手続の解説」は、航空法の許可・承認に触れていません。逆に、航空法の審査要領も、公共測量の手続に触れていません。どちらか一方の手続を済ませても、もう一方は済みません。実務では、発注者側の測量法の手続と、作業機関側の航空法の手続を、同じ工程表に並べて管理するのが確実です。航空法の申請は飛行開始予定日の10開庁日前までが原則で、国土交通省は3〜4週間程度の余裕を勧めています。

土地への立入りと、他人の土地の上空

測量法の立入りの規定

測量法第15条は、第39条で公共測量にも準用されます。これにより、測量計画機関又はその命を受けた者若しくは委任を受けた者は、公共測量のために必要なときは、国有・公有・私有の土地に立ち入ることができます。宅地や、かき・さく等で囲まれた土地に立ち入るときは、あらかじめ占有者に通知します(通知が困難な場合を除く)。立ち入るときは身分を示す証明書を携帯し、求められたら見せます。正当な立入りを拒んだり妨げたりすると、罰則があります(第63条第2号)。

読み違えやすい点が2つあります。

  • この規定の対象は「土地に立ち入る」ことです。条文は、他人の土地の上空をドローンで飛ぶことに触れていません
  • 準用されるのは基本測量と公共測量だけです。公共測量でない民間の測量(第4章)には、立入りの規定も準用もありません

現場の作業にも、土地の所有者との関係が出てきます。準則第137条第2項第1号は、UAV写真測量の対空標識を「あらかじめ土地の所有者又は管理者の許可を得て設置する」と定めています。離着陸場所や標定点・検証点の設置場所も含めて、地上で何かを置く場所の権原は、飛行の許可・承認とは別に押さえておく必要があります。

他人の土地の上空を飛ぶこと

一方で、測量区域の外、つまり隣の土地の上空を撮影コースが通る場合は、民法上の土地所有権の問題になります。政府(内閣官房、法務省民事局と調整)は、所有権が及ぶ上空の範囲は「利益の存する限度」だと整理しています。そして、同意が必要となる高さに一律の基準は存在しないとしています。詳しくは私有地の上空、所有権はどこまで及ぶのか。「一律の基準は存在しない」が政府の答えで扱っています。

航空法の許可・承認は、土地の所有者の同意を代わりに得てくれるものではありません。 逆に、所有者の同意があっても、DIDなら航空法の許可は必要です。道路の近くで離着陸したり補助者を置いたりする場合の道路交通法の扱いは、ドローンに道路使用許可は必要かをご覧ください。重要施設の周辺が現場にかかる場合は、小型無人機等飛行禁止法も確認が必要です。

i-Constructionの出来形管理要領との関係

工事の現場では、公共測量の準則とは別に、国土交通省のi-Constructionの要領でドローンを使うことがあります。現行は「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」(令和8年3月版)です。この要領は「空中写真測量(UAV)を用いた出来形管理」を、UAVで空中写真を撮り、3次元の形状を取得して出来形や数量を面的に把握、算出する管理手法としています。UAVレーザーによる出来形管理も規定しています。

この要領は、工事の出来形をどう計測・管理するかを定めるものです。全文(470ページ)を検索したところ、「航空法」「飛行許可」の語は出てきませんでした。要領に沿った計測でも、航空法の許可・承認の要否は、ここまで見てきた飛び方の基準で別に判断します。工種ごとの「監督・検査要領」も同じページに掲載されています。

飛行のたびに発生する義務

許可・承認を受けて特定飛行をする場合は、飛行のたびに次の義務があります。出来形計測のように同じ現場へ何度も入る業務では、とくに運用の仕組みが大切です。

義務根拠条文内容
飛行計画の通報 法第132条の88第1項
規則第236条の83
特定飛行の前にあらかじめ、DIPSで通報します。立入管理措置の有無及びその内容も通報事項です。複数日にまたがる計測の扱いはドローンの飛行計画の通報はいつ必要かをご覧ください
飛行日誌の備付け 法第132条の89第1項
規則第236条の84
飛行記録・日常点検記録・点検整備記録の3種類を、機体ごとに備えます。書き方はドローンの飛行日誌の書き方で整理しています
緊急用務空域の確認 規則第236条の71第4項 飛行を始める前に、飛ばす空域が緊急用務空域に当たるかを確認します
事故・重大インシデントの報告 法第132条の90・第132条の91 人の死傷、第三者の物件の損壊、制御不能、飛行中の発火などがあったときに報告します。現場の重機や仮設物に接触した場合も、第三者の物件かどうかで報告の要否を検討します

よくある質問

国や自治体の発注する測量なら、ドローンの飛行許可は不要ですか。
いいえ。航空法と航空法施行規則には「測量」という語がなく、測量を理由に許可・承認の規定を外す条文はありません。条文上の例外は、警察などが事故の際に行う捜索・救助等の飛行(航空法第132条の92)です。発注者が官公庁であっても、要否は飛び方(DID上空、目視外、30m未満など)で決まります。
自動航行アプリで飛ばせば、目視外飛行の承認は要りませんか。
自動航行かどうかでは決まりません。解釈通達は「目視」を操縦者本人が自分の目で見ることとし、補助者の目視や、専らモニターで見ることは含まないとしています。自動航行でも、操縦者が機体を肉眼で常に見ていなければ目視外飛行です。バッテリー残量などを一時的に画面で確認するのは、目視飛行の範囲内とされています。
造成地で地面すれすれに飛ぶと、30m未満の承認が必要ですか。
地面そのものは30mを保つべき「物件」に当たりません。解釈通達は、土地(田畑用地、舗装された土地、堤防など土地と一体のものを含む)と、樹木・雑草などの自然物を除いています。承認が要るのは、建設機械・車両・電柱・電線・隣の住宅など、第三者の物件や第三者に30m未満まで近づく場合です。関係者が所有又は管理する物件は除かれますが、誰が関係者に当たるかは一律には決まりません。
公共測量実施計画書を国土地理院に出せば、航空局への申請は要りませんか。
要ります。計画書は測量法第36条に基づいて国土地理院の長の技術的助言を求める手続で、飛行の許可・承認とは目的も相手先も違います。国土地理院の「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」第2条第2項も、作業機関にUAVの飛行について航空法に基づく許可又は承認を得るよう定めていました。
「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」は、今も使いますか。
国土地理院のダウンロードページでは、このマニュアル(平成29年3月改正)は「作業規程の準則に反映済みのマニュアル・要領等」に分類されています。UAV写真測量とUAV点群測量は令和2年3月の改正で準則に入り、UAVレーザ測量は令和5年3月の改正で入りました。現在の公共測量では準則(最終改正 令和7年3月31日)が基準です。マニュアルは具体的な作業内容を知る参考資料という位置づけです。
測量法には土地に立ち入れる規定があります。他人の土地の上空も自由に飛べますか。
そうは読めません。測量法第15条(第39条で公共測量に準用)は、測量計画機関やその命を受けた者などが土地に立ち入ることを定めた規定で、上空の飛行には触れていません。また、準用されるのは基本測量と公共測量だけです。他人の土地の上空を飛ぶことについて、政府は同意が必要となる高さに一律の基準は存在しないと整理しています。航空法の許可・承認も、別に必要なら取らなければなりません。
2026年12月に測量法が変わると聞きました。ドローン測量に影響はありますか。
e-Govの未施行の改正条文(令和8年法律第27号)によると、2026年12月3日から、測量法の本文は6か条(第14条・第36条・第36条の2・第38条・第39条・第60条)が変わります。計画機関に関わるのは、技術的助言を受けた後でなければ公共測量を実施できなくなること(第36条第2項)と、実施と終了の通知先が都道府県知事から国土地理院の長に変わること(第36条の2)です。これは測量法上の計画機関の手続の変更で、航空法の許可・承認の要否には影響しません。国土地理院は改正の案内ページと都道府県知事あての通知を公表していますが、「公共測量を実施するために必要な手続の解説」は2025年4月1日改訂のままです。施行後の様式は、所管の地方測量部に確認してください。(2026年9月27日訂正)
測量専用の航空局標準マニュアルはありますか。
国土交通省の手続ページに載っている航空局標準マニュアルは、一般用の01・02、空中散布、研究開発、インフラ点検の01・02、レベル3.5などです。測量を目的としたものはありません。測量では、標準マニュアル01(場所を特定した申請)か02(場所を特定しない申請)を使うか、独自のマニュアルを作ることになります。
この記事の一次ソース
  1. e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)
  2. e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)
  3. 国土交通省|無人航空機に係る規制の運用における解釈について(令和8年4月1日最終改正・PDF)
  4. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)令和8年9月29日最終改正(PDF)
  5. 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続(航空局標準マニュアル)
  6. 国土交通省|無人航空機の飛行ルール(人口集中地区の確認方法)
  7. 国土交通省告示第435号(工業専用地域・PDF)
  8. e-Gov法令検索|測量法(昭和二十四年法律第百八十八号)(未施行の改正は 2026年12月3日施行版)
  9. e-Gov法令検索|測量法施行令
  10. 国土地理院|測量法の一部改正について(令和8年12月3日施行)/測量法の改正について(通知)国地総政第7号 令和8年6月24日(PDF)
  11. 国土地理院|公共測量を実施するために必要な手続の解説(2025年4月1日改訂)
  12. 国土地理院|作業規程の準則について(最終更新日 2025年4月15日)/作業規程の準則 全文(PDF)
  13. 国土地理院|マニュアル・要領等のダウンロード(最終更新日 2026年4月15日)
  14. 国土地理院|新しい測量技術を使用する場合の諸注意
  15. 国土地理院|UAVを用いた公共測量マニュアル(案)平成29年3月改正(PDF)
  16. 国土交通省|要領関係等(ICTの全面的な活用)/3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)令和8年3月版(PDF)
  17. 国土交通省|無人航空機の飛行計画の通報要領(PDF)
  18. 国土交通省|無人航空機の飛行日誌の取扱要領(PDF)
本記事は2026年9月27日時点の情報です。 無人航空機の制度は改正が続いています。解釈通達や審査要領は通達なので、短い手続で改正されることがあります。測量法は2026年12月3日に公共測量の手続の一部が変わる予定で、国土地理院の案内や様式もそれに合わせて改訂される可能性があります。実際の申請・飛行・測量の前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

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その測量飛行がどの特定飛行に当たり、どの許可・承認が要るかを1枚で判定できるPDFです。

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