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2026年12月3日の測量法改正で、公共測量の手続はこう変わる

公開 2026-10-09 更新 2026-10-09 読了 約16分

測量法が改正され、2026年12月3日に施行されます。改正したのは「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(令和8年法律第27号/第16次地方分権一括法)の第11条で、公布は2026年6月3日です。この記事を公開した時点では、まだ施行前の条文です。 変わるのは、公共測量を実施するときの順序と提出先です。①国土地理院の長の技術的助言を受けた後でなければ、公共測量を実施できないことが条文に書かれます(第36条第2項の新設)。②実施と終了の通知先が都道府県知事から国土地理院の長に変わり、公示も国土地理院の長が行います(第36条の2の新設)。 e-Gov法令検索の現行版と未施行版を条ごとに突き合わせると、本文で変わる条は6か条(第14条・第36条・第36条の2・第38条・第39条・第60条)です。よく「変更点は3つ」と紹介されますが、基本測量の側の公示(第14条)も同時に変わります。 ドローンを使うかどうかで手続が変わるわけではありません。航空法の飛行の許可・承認は、測量法とは別立てのままです。この記事では、作業の順番に沿って、施行前と施行後を並べて整理します。

よく見る説明と、公式の記載
まだ施行前の条文なので、要点だけを短く紹介した記事が多く出ています。この記事で扱う範囲について、e-Govの未施行条文・改正法の原文・国土地理院の通知と照らし合わせます。
よく見る説明測量法が変わるので、ドローン測量の飛行許可の手続も変わる。
公式にはこう第16次地方分権一括法が改正した17の法律に航空法は入っていません。国土地理院長の通知(国地総政第7号)にも航空法への言及はありません。飛行の許可・承認の要否は、これまでどおり飛び方で決まります。
出典 第16次一括法 施行日一覧(本則) 国地総政第7号
よく見る説明変更点は3つで、公共測量の通知先が国土地理院の長に変わるのが中心。
公式にはこう改正法第11条の改め文で本文が変わる条は6か条です(第14条・第36条・第36条の2・第38条・第39条・第60条)。基本測量の公示(第14条)も同じ日に変わり、都道府県知事を経由する仕組みそのものが廃止されます。
出典 令和8年法律第27号 第11条 新旧対照条文(抜粋)
よく見る説明12月3日より前に始めた測量は、最後まで前のやり方でよい。
公式にはこう国土地理院長の通知は「改正法施行前に着手した公共測量については、施行後における第36条及び第36条の2の適用関係は、原則として改正後の規定に基づく手続によるものとして取り扱うこと」としています。改正法の附則には、罰則以外の経過措置はありません。
出典 国地総政第7号 第三 留意事項4 令和8年法律第27号 附則第1条・第3条

いつから変わるのか。施行日は2026年12月3日

最初に日付を確定させます。e-Gov法令検索の測量法には、施行日ごとのリビジョンが並んでいます。2026年12月3日施行版は、確認した時点で状態が「未施行」です。現行として効力を持っているのは2026年9月3日施行版です。

日付出来事根拠
2025年12月23日 「令和7年の地方からの提案等に関する対応方針」が閣議決定。測量法について、都道府県知事への実施の通知と知事の公示を廃止し、国土地理院の長が公示することが盛り込まれる 内閣府 対応方針 p.136
2026年5月27日 第16次地方分権一括法が成立 国土地理院 改正案内
2026年6月3日 公布(令和8年法律第27号)。測量法の改正は同法第11条 改正法(抜粋)
2026年6月24日 国土地理院長が各都道府県知事に通知(国地総政第7号)。地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的な助言 国地総政第7号
2026年12月3日 施行。公布の日から起算して6月を経過した日(改正法附則第1条第3号) 附則第1条第3号、施行日一覧
第16次一括法のほかの項目は、多くが2026年9月3日に施行済みです。 改正法の附則第1条は、柱書で「公布の日から起算して三月を経過した日」(2026年9月3日)を原則としつつ、号ごとに別の日を定めています。測量法の改正は第3号に置かれ、6月を経過した日=2026年12月3日です。同じ法律の中でも施行日が違うので、「一括法は9月に施行された」という説明だけを読むと日付を取り違えます。

変わるのは6か条。まず全体像

e-Gov法令APIで現行の測量法と未施行版の全文を取得し、本文を条単位で突き合わせました。差分があったのは次の6か条です。国土地理院が公表している新旧対照条文(抜粋)と、改正法第11条の改め文の内容も一致します。

条2026年12月2日まで(現行)2026年12月3日から
第14条
(実施の公示)
基本測量
国土地理院の長が、あらかじめ地域・期間等を関係都道府県知事に通知。終了時も通知。都道府県知事が遅滞なく公示(第3項) 国土地理院の長が自ら公示。終了時は遅滞なくその旨を公示。第3項は削除(第1項の「あらかじめ」も削られる)
第36条
(計画書についての助言)
第1項のみ。測量計画機関は、あらかじめ計画書を提出して国土地理院の長の技術的助言を求めなければならない 第1項はそのまま。第2項を新設。国土地理院の長は技術的助言を行うものとし、測量計画機関は助言を受けた後でなければ公共測量を実施してはならない
第36条の2
(実施の公示)
公共測量
規定なし(第39条で第14条を準用していた) 新設。技術的助言を受けた測量計画機関が、実施しようとする地域・期間等を国土地理院の長に通知。終了時も通知。国土地理院の長が遅滞なく公示
第38条
(国土地理院が実施する
公共測量)
第33条、第35条、第36条、第37条第3項・第4項は適用しない 適用除外が「第35条から第36条の2まで」に拡大(第36条の2も除外)。第2項を新設し、この場合は第14条を準用
第39条
(基本測量に関する
規定の準用)
「第14条から第26条までの規定は、公共測量に準用する」 「第15条から第26条までの規定は、公共測量について準用する」(読替えの内容は同じ)
第60条
(事務の区分)
冒頭に「第14条第3項(第39条において準用する場合を含む。)」があり、都道府県が処理する第一号法定受託事務として挙げられていた この部分が削られる(都道府県の公示事務がなくなるため)

国土地理院は改正の概要を3つに整理しています。①通知・公示の廃止(第14条、第39条関係)、②公示等に関する規定の整備(第14条、第36条第2項、第36条の2、第38条第2項関係)、③その他所要の改正です。ここでいう「整備」に、第36条第2項という新しい禁止規定が含まれている点が見落としやすいところです。

第36条第2項。技術的助言を受ける前は実施できない

新設される第36条第2項の原文は次のとおりです。

「国土地理院の長は、前項の規定による求めがあつたときは、技術的助言を行うものとし、測量計画機関は、当該技術的助言を受けた後でなければ、公共測量を実施してはならない。」(2026年12月3日施行)

現行の第36条第1項も、計画書の提出を「あらかじめ」と定めています。つまり、助言を求めるタイミングは前から実施前でした。改正で加わるのは、次の2つです。

  • 国土地理院の長の側に「技術的助言を行うものとし」という規定が入る
  • 測量計画機関の側に「助言を受けた後でなければ実施してはならない」という明文の禁止が入る

国土地理院長の通知も、留意事項として「公共測量を実施する地方公共団体その他の測量計画機関においては、法第36条第2項の規定により、国土地理院の長の技術的助言を受けた後でなければ公共測量を実施することができないことに留意されたいこと」と書いています。

効いてくるのは「計画書を出した」ではなく「助言を受けた」が起点になる点です。 現行の運用でも、計画書は所管の地方測量部・支所に提出します。ただ、国土地理院の「公共測量を実施するために必要な手続の解説」は、作業規程の承認については「通常14日~20日程度」と期間を書いている一方、技術的助言に要する期間は書いていません(2026年9月27日時点)。2026年12月3日以後は、助言が返ってこないうちは着手できないため、助言の往復に要する日数を工程表に入れておく必要が出てきます。年度末に集中する案件では、ここが効きます。

なお、第36条第2項に違反した場合の罰則はありません。未施行版の罰則(第61条から第66条まで)を全文検索しても、第36条・第36条の2を引く罰則の規定は置かれていません。義務ではあるが、罰則で担保する形ではないという建て方です。

第36条の2。通知先が国土地理院の長になる

もう1つの柱が、第36条の2の新設です。原文は3項からなります。

第36条の2(実施の公示)「前条第二項の規定による技術的助言を受けた測量計画機関は、その実施しようとする公共測量の地域、期間その他必要な事項を国土地理院の長に通知しなければならない。
2 測量計画機関は、公共測量の実施を終わつたときは、その旨を国土地理院の長に通知しなければならない。
3 国土地理院の長は、前二項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、これを公示しなければならない。」(2026年12月3日施行)

現行では、この実施・終了の通知は第39条で準用する第14条が根拠で、相手は関係都道府県知事でした。知事が通知を受けて公示する、という2段構えです。施行後は、通知の相手と公示をする者がどちらも国土地理院の長になります。内閣府の資料は、この流れを図で示しています。

2026年12月2日まで2026年12月3日から
基本測量 国土地理院 →(通知)→ 都道府県 →(公示)→ 関係地域の住民 国土地理院 →(公示)→ 関係地域の住民
公共測量 測量計画機関 →(通知)→ 都道府県 →(公示)→ 関係地域の住民 測量計画機関 →(通知)→ 国土地理院 →(公示)→ 関係地域の住民
根拠 第14条第1項〜第3項(公共測量は第39条で準用) 基本測量は第14条第1項・第2項。公共測量は第36条の2

条文の書き方にも注意点があります。第36条の2第1項の主語は「前条第二項の規定による技術的助言を受けた測量計画機関」です。つまり、この通知の義務は技術的助言を受けた後に発生する建て方になっています。第36条第2項の禁止と合わせると、助言 → 実施の通知 → 実施という順序が条文の側から固定されることになります。

施行前と施行後で、順序と提出先はこう変わる

公共測量の手続を、作業の順番に並べます。施行日は2026年12月3日です。左が現行、右が施行後です。

順2026年12月2日までの手続2026年12月3日からの手続変わるか
1 作業規程を定め、あらかじめ国土交通大臣の承認を得る(第33条第1項)。申請先は所管の地方測量部等。国土地理院の案内では承認まで通常14日~20日程度 同じ 変わらない
2 あらかじめ、目的・地域・期間・精度・方法を書いた計画書を提出し、国土地理院の長の技術的助言を求める(第36条) 同じ(第36条第1項) 変わらない
3 (条文上、助言を待つことを明示した規定はない) 技術的助言を受けるまで、公共測量を実施できない(第36条第2項・新設) 追加
4 実施前に、作業種類・作業期間・作業地域などを関係都道府県知事に通知(第39条で準用する第14条第1項)。知事が公示 実施前に、地域・期間その他必要な事項を国土地理院の長に通知(第36条の2第1項)。国土地理院の長が公示 相手が変わる
5 測量標に公共測量の測量標であることと測量計画機関の名称を表示(第37条第1項)。永久標識を設置したら国土地理院の長に通知(同条第3項) 同じ 変わらない
6 終了したら、その旨を関係都道府県知事に通知(第39条で準用する第14条第2項)。知事が公示 終了したら、その旨を国土地理院の長に通知(第36条の2第2項)。国土地理院の長が公示 相手が変わる
7 測量成果を得たら、遅滞なくその写しを国土地理院の長に送付(第40条第1項) 同じ 変わらない

整理すると、作業規程の承認(国土交通大臣)と成果の送付(国土地理院の長)は動きません。動くのは4と6の相手先で、3が新しく増えます。これらはいずれも測量計画機関の手続です。ドローンを飛ばす測量作業機関の義務ではありませんが、着手できる日が助言の到着に左右されるため、作業機関の工程にも跳ね返ります。

誰の手続かの区別は、改正後も変わりません。 作業規程の承認・計画書の提出・実施と終了の通知・成果の送付は、いずれも測量計画機関(発注する国・地方公共団体・独立行政法人など)が行います。公共測量に技術者として従事する者が測量士又は測量士補でなければならないこと(第48条第1項)、測量業を営むには測量業者の登録が要ること(第55条第1項)も変わりません。公共測量そのものの枠組みは測量でドローンを使うのに必要な許可・承認と、公共測量のルールで整理しています。

基本測量の側(第14条)と、国土地理院自身の公共測量(第38条)

第14条は、基本測量の公示の仕組みそのものが変わる

第14条は、国土地理院が行う基本測量の実施の公示の規定です。現行は「あらかじめその地域、期間その他必要な事項を関係都道府県知事に通知しなければならない」で、通知を受けた知事が公示します。改正後は、国土地理院の長が自分で公示します。第2項(終了時)には「遅滞なく」が加わり、第3項(知事の公示)は削除されます。

改正法の改め文は、第14条第1項について「『あらかじめ』を削り」とも書いています。2026年12月3日から、基本測量の側は都道府県を経由しません。公共測量の側は、第36条の2という新しい条で「計画機関 → 国土地理院 → 公示」に組み替わります。どちらも、都道府県知事が手続の途中に入らなくなる、という同じ方向の改正です。

第38条。国土地理院自身が公共測量をする場合

第38条は、国土地理院が自ら公共測量を実施する場合の適用除外です。現行は第33条(作業規程)・第35条(調整)・第36条(計画書の助言)・第37条第3項・第4項を外しています。改正後は、除外の範囲が「第35条から第36条の2まで」に広がります。自分が自分に技術的助言を求め、自分に通知することはできないためです。

そのうえで第2項が新設され、この場合は第14条を準用します。つまり国土地理院が自ら行う公共測量では、国土地理院の長が直接公示する形になります。基本測量と同じ扱いにそろえる改正です。

第39条の準用範囲と第60条。土地への立入りは変わらない

第39条は、基本測量についての規定を公共測量に準用する条です。現行は「第14条から第26条まで」、改正後は「第15条から第26条まで」になります。第14条が準用の対象から外れるのは、公共測量の公示が第36条の2に移るからです。読替えの中身(「国土地理院の長」を「測量計画機関」と読むなど)は変わりません。

第15条は、引き続き公共測量に準用されます。 準用の起点が第14条から第15条に変わるだけで、第15条(土地の立入及び通知)が公共測量に準用されることは変わりません。測量計画機関又はその命を受けた者・委任を受けた者が、公共測量のために必要なときに国有・公有・私有の土地に立ち入れること、宅地やかき・さく等で囲まれた土地はあらかじめ占有者に通知すること、身分証明書を携帯・呈示することも同じです。立入りを拒み・妨げた者に対する罰則(第63条第2号、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金)も変わりません。

あわせて、第15条が対象にしているのは「土地に立ち入る」ことで、他人の土地の上空をドローンで飛ぶことには触れていません。この点も改正では動きません。上空の扱いについて、政府は同意が必要となる高さに一律の基準は存在しないと整理しています。詳しくは私有地の上空、所有権はどこまで及ぶのかをご覧ください。

第60条は「事務の区分」の規定です。現行は、第14条第3項(第39条で準用する場合を含む)による都道府県の公示事務を第一号法定受託事務として挙げています。都道府県が公示をしなくなるため、この部分が削られます。第21条第2項(永久標識等に関する通知)や第55条の12第1項(測量業者の登録簿の閲覧)に関する都道府県の事務は残ります。

なぜ変わるのか。地方からの提案に基づく改正

この改正は、測量の精度や安全のための改正ではありません。地方分権改革の提案募集方式から出てきたものです。

内閣府の「第16次地方分権一括法の概要」は、趣旨を「地方からの制度改正を求める提案を受け、規制緩和等の地方分権改革を実施」「令和7年の提案等への対応のうち、法律改正により措置すべき事項について、閣議決定を踏まえ、関係法律の整備を行う」としています。閣議決定は「令和7年の地方からの提案等に関する対応方針」(2025年12月23日)です。

その対応方針の該当部分(p.136)は、次のように書いています。

「測量法に基づく基本測量(4条)及び公共測量(5条)については、国土地理院の長及び測量計画機関から関係都道府県知事に対して行う実施の通知(14条1項及び2項(39条で準用する場合を含む。))を廃止するとともに、都道府県知事の公示に係る事務(14条3項(39条で準用する場合を含む。))を廃止し、国土地理院の長が公示することとする。」

一括法の概要では、この項目は「3.地方公共団体の業務の簡素化・効率化等」の中の⑩「基本測量・公共測量に係る都道府県による公示の廃止〔測量法〕※廃止後は、国土地理院が公示」として挙げられ、効果は「都道府県の事務負担の軽減」と書かれています。全体では11事項・17法律の改正です。

つまり、起点は都道府県の事務負担の軽減です。第36条第2項という新しい禁止規定は、公示の仕組みを「計画機関 → 国土地理院 → 公示」に組み替えるうえで、通知の起点をはっきりさせるために置かれたものと読めます。公示自体がなくなるわけではありません。公示をする者が都道府県知事から国土地理院の長に替わります。

まだ公式に明示されていないこと

条文と通知は出ていますが、運用の細かいところは確認時点で公表されていません。断定できない点を分けて書きます。

論点2026年9月27日時点の状況
第36条の2の通知の様式 公式には明示されていません。測量法施行令・測量法施行規則について、e-Govのリビジョン一覧を確認したところ、2026年12月3日施行の未施行改正はありません(どちらも直近は2025年4月1日施行)。様式を省令で定める動きは確認できません
国土地理院の長が行う公示の方法 公式には明示されていません。第14条・第36条の2は「公示しなければならない」とだけ定め、方法や媒体を国土交通省令に委ねる文言もありません。どこに掲載されるかは公表されていません
国土地理院
「公共測量を実施するために必要な手続の解説」
まだ改訂されていません。ページ上は「2025年4月1日改訂」のままで、実施前・終了時の通知先を「都道府県知事」と説明しています。2026年12月3日施行の改正(第36条第2項・第36条の2)への言及はありません
作業規程の準則第6条 準則(最終一部改正 令和7年3月31日国土交通省告示第240号)第6条は、計画機関が行う手続として「法第39条において読み替えて準用する法第14条第1項、同条第2項(実施の公示)」を挙げています。施行後は第39条が第14条を準用しなくなるため、この引用は条文の建て方と合わなくなります。準則の改正は公表されていません
技術的助言に要する期間 公式には明示されていません。国土地理院の案内は、作業規程の承認については「通常14日~20日程度」と書いていますが、計画書の技術的助言については期間を書いていません
国土地理院の案内は、ページによって状態が違います。 改正そのものについては、「測量法の一部改正について」という専用ページがあり、改正概要・改正法(抜粋)・新旧対照条文(抜粋)・通知の4点が掲載されています。一方、実務の入口になる「公共測量を実施するために必要な手続の解説」は、2026年9月27日時点で改訂されていません。改正の内容は前者、現在の窓口や運用は後者、という状態です。年末をまたぐ案件では、所管の地方測量部・支所に確認するのが確実です。

航空法の許可・承認は、測量法とは別立て

ドローン測量の実務で一番気になるのはここだと思います。結論から書くと、この改正で航空法の飛行の許可・承認の要否は変わりません。

  • 第16次地方分権一括法が改正する17の法律に航空法は含まれていません(内閣府の施行日一覧で確認)
  • 国土地理院長の通知(国地総政第7号)は全5ページで、航空法への言及はありません
  • 航空法にも航空法施行規則にも「測量」という語はなく、測量を理由に許可・承認の規定を外す条文はありません。要否は飛び方(人口集中地区の上空、目視外飛行、人又は物件から30m未満など)で決まります

測量法の手続と航空法の手続は、主体も相手先も別です。測量法の手続は測量計画機関が国土交通大臣・国土地理院の長に対して行います。航空法の許可・承認は無人航空機を飛行させる者が国土交通大臣(地方航空局長・空港事務所長)に申請し、電子申請はDIPS2.0で行います。どちらか一方を済ませても、もう一方は済みません。飛び方ごとの当てはめは測量でドローンを使うのに必要な許可・承認と、公共測量のルール、申請そのものの流れはドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドで扱っています。

年末の工程で重なるのは、日付だけです。 2026年12月3日は測量法の施行日です。航空法の側で同じ日に何かが変わるわけではありません。ただ、年度末に向けた案件では、測量法の助言待ちと、航空法の申請の審査期間が同じ時期に並びます。航空法の許可・承認の申請は飛行開始予定日の10開庁日前までが原則で、国土交通省は3〜4週間程度の余裕を勧めています。複数の現場をまとめて回す設計は包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準を参照してください。

12月3日をまたぐ案件の段取り

施行日をまたぐ案件の扱いは、改正法の附則ではなく国土地理院長の通知に書かれています。改正法の附則にあるのは、第1条(施行期日)と第3条(罰則に関する経過措置)だけで、手続についての経過措置は置かれていません。

国地総政第7号 第三 留意事項4「改正法施行前に着手した公共測量については、施行後における第36条及び第36条の2の適用関係は、原則として改正後の規定に基づく手続によるものとして取り扱うこと。」

同じ通知の留意事項3は、測量計画機関に対して「公共測量の実施前及び実施後には、法第36条の2の規定に基づき、国土地理院の長への通知が必要となることから、実施計画の策定、事業着手及び完了報告に係る事務処理体制をあらかじめ整備されたいこと」としています。作業機関の側から見ると、発注者がこの体制を整えているかどうかが、着手日に効いてきます。

その測量は公共測量ですか。費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担・補助して実施する測量などが公共測量です(第5条)。建物に関する測量や小規模・低精度の測量は政令で除かれます。公共測量でなければ、第36条・第36条の2は関係しません(2へ)。公共測量なら3へ
公共測量でない測量でも、基本測量又は公共測量の成果を使い、大規模又は高精度の測量なら、あらかじめ国土交通大臣への届出が必要です(第46条第1項)。この届出は今回の改正の対象ではありません
実施(着手)はいつですか。2026年12月2日までに終わるなら現行の手続です。12月3日以後にかかるなら4へ
国土地理院の長の技術的助言は受けましたか。受けていなければ、12月3日以後は助言を受けるまで実施できません(第36条第2項)。計画書の提出から助言までの日数を工程に入れます
実施前の通知の相手を確認します。12月3日以後は国土地理院の長です(第36条の2第1項)。様式は確認時点で公表されていないため、所管の地方測量部・支所に確認します
終了の通知の相手も国土地理院の長です(第36条の2第2項)。12月2日までに実施を終えた測量の終了通知をどちらに出すかは、留意事項4の「原則として改正後の規定に基づく手続」を踏まえ、所管の地方測量部・支所に確認します
作業規程の承認(第33条)、測量標の表示と永久標識の通知(第37条)、測量成果の写しの送付(第40条第1項)は変わりません。ここは現行のまま進めます
航空法の側は別に進めます。飛び方から特定飛行に当たるかを判定し、許可・承認、飛行計画の通報、飛行日誌の運用を組みます。測量法の手続とは工程表に並べて管理します

飛行計画の通報は特定飛行のたびに必要で、複数日にまたがる計測の扱いはドローンの飛行計画の通報はいつ必要かで整理しています。現場での立入りの管理は立入管理措置とは。現場で実際に何をするのかをご覧ください。

よくある質問

測量法の改正は、いつから効力を持つのですか。
2026年12月3日です。改正したのは第16次地方分権一括法(令和8年法律第27号)の第11条で、成立は2026年5月27日、公布は2026年6月3日です。施行日の根拠は同法附則第1条第3号「公布の日から起算して六月を経過した日」です。e-Gov法令検索では、この日付のリビジョンの状態は確認時点で「未施行」です。同じ一括法のほかの項目は多くが2026年9月3日施行なので、日付を混同しないよう注意してください。
ドローン測量の飛行許可の取り方は変わりますか。
変わりません。第16次地方分権一括法が改正した17の法律に航空法は入っておらず、国土地理院長の通知にも航空法への言及はありません。飛行の許可・承認の要否は、これまでどおり飛び方(人口集中地区の上空、目視外飛行、人又は物件から30m未満など)で決まります。測量を理由に許可・承認を外す条文は、航空法にも航空法施行規則にもありません。
変更点は「通知先が都道府県知事から国土地理院の長に変わる」ことだけですか。
いいえ。e-Govの現行版と2026年12月3日施行版を条ごとに突き合わせると、本文で変わるのは6か条です。第14条(基本測量の公示を国土地理院の長が直接行う形に変更、第3項削除)、第36条(第2項を新設)、第36条の2(新設)、第38条(適用除外の拡大と第2項の新設)、第39条(準用の起点が第14条から第15条に)、第60条(都道府県の公示事務の記述を削除)です。改正法第11条の改め文と、国土地理院が公表している新旧対照条文(抜粋)でも同じ6か条が確認できます。
「技術的助言を受けた後でなければ実施してはならない」は、今までと何が違うのですか。
現行の第36条第1項も、計画書の提出を「あらかじめ」と定めているため、助言を求めるのは実施前でした。2026年12月3日から加わるのは、国土地理院の長が「技術的助言を行うものとし」と定められることと、測量計画機関について「助言を受けた後でなければ実施してはならない」という明文の禁止が置かれることです。国土地理院長の通知も、この点を留意事項として明示しています。なお、この規定に対する罰則はありません(未施行版の第61条から第66条までを検索しても、第36条・第36条の2を引く罰則はありません)。
12月3日より前に着手した公共測量は、どちらの手続になりますか。
国土地理院長の通知(国地総政第7号)の留意事項4が「改正法施行前に着手した公共測量については、施行後における第36条及び第36条の2の適用関係は、原則として改正後の規定に基づく手続によるものとして取り扱うこと」としています。改正法の附則には、罰則に関する経過措置(附則第3条)のほかに手続の経過措置は置かれていません。個別の案件でどう扱うかは、所管の地方測量部・支所に確認してください。
新しい通知の様式はどこにありますか。
2026年9月27日時点で公式には明示されていません。測量法施行令・測量法施行規則には、2026年12月3日施行の未施行改正がありません(e-Govのリビジョン一覧で確認。どちらも直近は2025年4月1日施行です)。国土地理院の「公共測量を実施するために必要な手続の解説」も「2025年4月1日改訂」のままで、通知先を都道府県知事と説明しています。改正の内容は国土地理院の「測量法の一部改正について」に掲載されていますが、様式や運用の詳細は掲載されていません。
国土地理院はどこに公示するのですか。
公示の方法や媒体は公式には明示されていません。第14条も第36条の2第3項も「公示しなければならない」とだけ定めており、方法を国土交通省令に委ねる文言もありません。現在は都道府県知事が公示しているため、施行後にどこで見られるようになるかは、国土地理院の案内が出るのを待つことになります。
作業規程の準則も改正されるのですか。
2026年9月27日時点で、準則の改正は公表されていません。現行の準則(平成20年国土交通省告示第413号、最終一部改正 令和7年3月31日国土交通省告示第240号)第6条は、計画機関が行う手続として「法第39条において読み替えて準用する法第14条第1項、同条第2項(実施の公示)」を挙げています。2026年12月3日以後は第39条が第14条を準用しなくなるため、この引用は条文の建て方と合わなくなります。UAV写真測量・UAV点群測量・UAVレーザ測量の作業内容そのものは、今回の改正と関係ありません。
土地への立入りの規定は残りますか。
残ります。第39条の準用の起点が第14条から第15条に変わるだけで、第15条(土地の立入及び通知)は引き続き公共測量に準用されます。測量計画機関又はその命を受けた者・委任を受けた者が土地に立ち入れること、宅地やかき・さく等で囲まれた土地はあらかじめ占有者に通知すること、身分証明書を携帯・呈示することも同じです。立入りを拒み・妨げた者に対する罰則(第63条第2号)も変わりません。なお第15条の対象は「土地に立ち入る」ことで、他人の土地の上空をドローンで飛ぶことには触れていません。
なぜこの改正が行われたのですか。
地方分権改革の提案募集方式から出た改正です。内閣府の資料は、第16次地方分権一括法の趣旨を「地方からの制度改正を求める提案を受け、規制緩和等の地方分権改革を実施」とし、「令和7年の地方からの提案等に関する対応方針」(2025年12月23日閣議決定)を踏まえた法整備だと説明しています。測量法の項目は「地方公共団体の業務の簡素化・効率化等」に分類され、効果は「都道府県の事務負担の軽減」とされています。測量の精度や安全の基準を変えるための改正ではありません。
民間の測量(公共測量でない測量)にも影響はありますか。
第36条・第36条の2は公共測量の規定なので、直接の影響はありません。公共測量でない測量でも、基本測量又は公共測量の成果を使い、大規模又は高い精度を必要とする測量であれば、あらかじめ国土交通大臣への届出が必要です(第46条第1項)。この届出は今回の改正の対象ではありません。
法令の改正を追うとき、何を見れば確実ですか。
e-Gov法令検索で、その法令の現行版と未施行版を並べて条文を比べるのが確実です。未施行版には施行日が付いているため、「いつから」を取り違えずに読めます。あわせて、改正法そのものの条文(改め文)と、所管官庁が出す通知・新旧対照表を見ると、何をどう直したのかが分かります。通達レベルの改正も多い分野なので、日付の突き合わせは欠かせません。同じ手順で航空法側の改正を整理した例として2025年12月の審査要領改正で何が変わったかがあります。
本記事は2026年9月27日時点の情報です。 ここで扱った測量法の改正は2026年12月3日施行で、公開時点では未施行の条文です。施行に合わせて、国土地理院の案内ページや様式、作業規程の準則が改訂される可能性があります。とくに「通知の様式」「公示の方法」「技術的助言に要する期間」は、確認時点で公式に明示されていません。実際の手続の前に、上記の一次ソースと所管の地方測量部・支所で最新の内容をご確認ください。

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