包括申請の変更申請。機体・操縦者を追加する
包括申請で許可・承認を受けたあとに機体を買い足した、操縦者が入社した。このときに使う手続が変更申請です。DIPS2.0の操作マニュアルは変更申請を「既に受けている許可・承認の期間内に申請内容の一部を変更し、飛行を継続する申請」と説明しています。 ただし、審査要領が変更申請の対象として定めているのは4つの事項です。飛行の日時と提出先は変えられず、代表者氏名や保険内容の変更は変更申請に該当しません。さらに、DIPSの「機体情報」「操縦者情報」を編集しただけでは、すでに受けた許可には何も反映されません。 この記事は、変更申請で「できること」と「できないこと」の線引きと、機体・操縦者を追加するときの手順を、審査要領とDIPS2.0の操作マニュアルの記載に沿って整理します。包括申請そのものの仕組みは包括申請とは:個別申請との違いと使い分けを先にご覧ください。
DIPS2.0操作マニュアル p.10-4DIPS2.0操作マニュアル p.02-11DIPS2.0操作マニュアル p.02-10変更申請は「期間内に一部を変えて飛び続ける」手続
変更申請という申請区分は、国土交通省の審査要領(通達)に定められています。審査要領は申請の方法として、一括申請・包括申請・代行申請・更新申請と並べて、2-1(6)に変更申請を置いています。
この条文から読み取れるポイントは2つです。1つは、変更申請の対象が4つの事項に限って書かれていること。もう1つは、変更申請の実質的なメリットが「変わっていない事項は書かなくてよい、資料を付けなくてよい」という省略にあることです。
その前提として、審査要領3-4は「許可等を取得した後、申請内容に変更が生じた場合には、2-1に従って、改めて申請を行わせるものとする」と定めています。つまり、許可を受けたあとに申請内容が変わったら、何らかの申請をやり直すのが原則です。変更申請は、そのやり直しを4事項については軽くできるようにした仕組みだと整理できます。
包括申請の期間についても、この仕組みとつながっています。審査要領3-3は、1回の許可等の期間を原則3か月以内とし、「申請内容に変更を生ずることなく、継続的に無人航空機を飛行させることが明らかな場合」に1年を限度としています。1年の包括許可は「途中で中身が変わらない」ことを前提に出ているため、中身が変わるときは変更申請で申請内容を現実に合わせる必要があります。期間の設計は包括申請の更新。40開庁日前から10開庁日前までの窓でも扱っています。
変更申請で変えられる4事項、変えられないもの
DIPS2.0では、変更申請の画面で「変更申請事由」を選びます。審査要領の4事項と、DIPS上の事由の対応は次のとおりです。
| 項番 | 審査要領上の変更申請項目 | DIPS上の変更申請事由 | 典型的な場面 |
|---|---|---|---|
| 1 | 無人航空機の登録記号(又は試験飛行の届出番号) | 機体情報 | 機体の買い足し・入れ替え |
| 2 | 無人航空機の機体認証書番号又は機能及び性能に関する事項 | 機体情報 | 機体認証を取得した、機体の仕様が変わった |
| 3 | 無人航空機を飛行させる者の技能証明書番号又は飛行経歴・知識・能力に関する事項 | 操縦者情報 | 操縦者の追加、技能証明の取得 |
| 4 | 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制に関する事項 | 飛行マニュアル | 標準マニュアルから独自マニュアルへの切り替えなど |
一方で、変更申請では扱えないことが公式に明示されているものもあります。
| 変えたいもの | 変更申請で扱えるか | 公式の記載 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 飛行の日時(期間) | 扱えない | 「変更申請において、飛行の日時を変えて申請は出来ません。」 | DIPS2.0操作マニュアル p.02-11 |
| 提出先 | 扱えない | 「変更申請において、提出先を変えて申請は出来ません。」 | 同 p.02-11 |
| 代表者氏名 | 該当しない(新規申請) | 「代表者氏名の変更や、保険内容の変更については、変更申請には該当しません。変更を希望される場合は『新規申請』でお手続きをお願いいたします。」 | 同 p.02-10 |
| 保険内容 | 該当しない(新規申請) | 同上 | 同 p.02-10 |
| 飛行の目的・経路(範囲)・空域や飛行方法の追加 | 公式には明示されていない | 審査要領の変更申請の定義(4事項)には含まれていない。DIPSマニュアルは4事項を「変更申請が可能な主な申請内容」としている | 審査要領2-1(6)、DIPS2.0操作マニュアル p.02-4 |
保険内容が変更申請に該当しないという点は、見落とされがちです。審査要領は申請書の「その他参考となる事項」として第三者賠償責任保険の内容の記載を求めていますが、この項目は変更申請の4事項に入っていません。なお、更新申請の入力画面では第三者賠償責任保険の情報を入力する欄が設けられています(DIPS2.0操作マニュアルp.03-11)。保険の切り替えが決まっているなら、切り替えのタイミングを許可の更新の周期と合わせておくと、期間の途中で新規申請を検討する場面を減らせます。
変更・更新・複製・補正の違い
DIPS2.0の飛行許可・承認メニューには、似た名前の手続が並んでいます。どれを使うかで、期間・審査の単位・添付の省略範囲が変わります。
| 手続 | 使う場面 | 日時(期間) | 対象になる申請書 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 変更申請 | 許可の期間内に、4事項の一部を変えて飛行を継続する | 変えられない | 申請状況が「審査終了」または「手続終了」のもの | 審査要領2-1(6)/マニュアル p.02-4・02-9・02-11 |
| 更新申請 | 許可の期間を延ばす | 新しい期間を入力(1年が限度) | 現に有効な許可。満了日の40開庁日前から10開庁日前までに申請 | 審査要領2-1(5)/マニュアル p.03-10 |
| 申請書の複製 | 過去の申請書の内容を引き継いで、新しい申請書を作る | 入力し直せる | 作成中・審査中・手続終了の申請書 | マニュアル p.04-9・04-10 |
| 補正申請 | 審査で補正指示を受けた申請を直して出し直す | — | 「補正申請書作成中」の申請 | マニュアル 07.補正指示内容確認・補正申請方法 |
| 取り下げ | 提出した申請を取り下げる | — | 「審査待ち」「審査中」「補正申請書作成中」の申請 | マニュアル p.08-10 |
この表で押さえておきたいのは、変更申請の一覧には「審査終了」または「手続終了」の申請しか表示されない点です。元の申請がまだ審査中の段階では、変更申請を選ぶことができません。審査中に機体や操縦者の追加が決まった場合、DIPS2.0のよくある質問は、送信した申請書は申請者の側で訂正できないとしたうえで、「申請書の複製」で正しい内容を入力し直し、複製元の不要な申請は取り下げるという手順を案内しています。
補正指示を受けたときの対応はDIPS2.0で差戻しになる原因と、その直し方で整理しています。
DIPSの機体情報を直しても、許可には反映されない
変更申請でいちばん誤解が生まれやすいのが、DIPS2.0の「無人航空機情報の登録・変更」「操縦者情報の登録・変更」と、許可の「変更申請」の関係です。名前に同じ「変更」が入っていますが、役割はまったく別です。
| 機体情報・操縦者情報の登録・変更 | 変更申請 | |
|---|---|---|
| 何をするか | 申請書を作るための素材(マスタ)を登録・編集する | 許可・承認を受けた申請内容を変える申請を提出する |
| 審査 | なし(いつでも編集できる) | 提出先で申請内容の確認が行われる |
| 許可への反映 | 反映されない | 申請が認められれば反映される |
操作マニュアルp.10-4は、機体情報・操縦者情報は登録後にいつでも編集できるとしたうえで、次のように明記しています。
申請書を作っている途中でも同じです。マニュアルp.01-46・p.01-50は、申請書に機体・操縦者を追加した後で登録情報を変更しても申請書には自動で反映されず、いったん削除してから「機体追加」「操縦者追加」をやり直す必要があるとしています。
審査要領2-2-1(5)は「複数の無人航空機を飛行させる場合には、全ての機体について記載又は添付すること」と定めています。許可・承認は、申請書に記載された機体・操縦者・飛行マニュアルを前提に審査されたものです。DIPSのマスタに機体を足しただけの状態は、申請内容が変わっていない状態なので、追加した機体や操縦者は、変更申請が認められるまで許可の申請内容に含まれていないものとして扱うのが安全です。
機体を追加する
機体の追加は、変更申請事由の「機体情報」に当たります。DIPSで選べるのは、機体登録が完了して登録記号が発行されている機体です(マニュアルp.01-10)。買ったばかりの機体は、まず機体登録から始まります。
機体側で求められる資料
審査要領2-2-1(5)は、機体が4-1-1の基準に適合しているかを申請前に確認し、「無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書」(様式2)を作成して添付することを求めています。2025年3月24日施行の改正以降、基準への適合性は申請者自身が確認して原則「適・否」で示す方式となり、写真や取扱説明書等の添付は不要になりました(資料そのものは手元に備えておく必要があります)。
| 追加する機体 | 申請書での扱い | 確認すること |
|---|---|---|
| 型式認証機・機体認証機 | 認証書番号を記載すれば様式2の添付を省略できる | 申請する飛行の形態が使用条件等指定書又は無人航空機飛行規程の範囲内であること |
| 上記以外(総重量25kg未満) | 様式2+5.の基準への適合状況を自ら確認した結果の資料 | 申請する飛行形態での総重量。目視外飛行などでは追加装備(オプション)を記載した資料 |
| 上記以外(総重量25kg以上) | 様式2+4-1-2及び5.の基準への適合状況の確認結果の資料 | 25kg以上の機体に上乗せされる基準 |
| 他人が所有する機体(リース等) | 機体の所有者のアカウントから「機体情報の提供」を受ければ、提供先アカウントで申請に使える | 提供を依頼する相手は所有者本人。許可期間の経過後、所有者側で提供を解除できる |
機体の入れ替えでは、許可の変更申請とは別に機体登録そのものの手続も動きます。登録事項に変更があったときの届出は航空法第132条の8第1項に定められており、届出をしない又は虚偽の届出をした場合は30万円以下の過料の対象です(同法第161条第4号)。登録の有効期間は3年で、許可の期間とは別のサイクルで管理する必要があります。
操縦者を追加する
操縦者の追加は、変更申請事由の「操縦者情報」に当たります。手順は機体の追加と同じ流れで、事前に「操縦者情報の登録・変更」で操縦者を登録しておき、変更申請の機体・操縦者選択画面で「操縦者追加」を行います。求められる資料は、技能証明(国家資格)を持っているかどうかで大きく変わります。
| 技能証明を保有する操縦者 | 技能証明を保有しない操縦者 | |
|---|---|---|
| 申請書の記載 | 技能証明書番号・区分・限定事項(種類、飛行の方法)を記載 | 「飛行経歴・知識・能力確認書」(様式3)を作成・添付 |
| 省略できるもの | 様式3の添付と確認事項(飛行経歴・知識・能力)の記載。飛行形態が区分・限定の範囲内なら5.の基準への適合資料も省略可 | — |
| 基準 | 申請する飛行の形態が区分及び限定事項の範囲内であることを確認 | 機体の種類別に10時間以上の飛行経歴、航空法関係法令・安全飛行の知識、GPS等を使わない安定した離着陸・飛行の能力(審査要領4-2) |
| DIPSでの情報提供 | 他アカウントから情報提供を受けられる | 他アカウントからの情報提供は受けられない。利用者ごとに入力する |
DIPS2.0のよくある質問は「操縦者の他者からの情報提供は、無人航空機操縦者技能証明保持者の情報に限られます。その他の他者の情報は利用者ごとに入力してください」としています。協力会社の操縦者を自社の包括許可に加えるような場面では、相手が技能証明を持っているかどうかで作業量が変わります。
審査要領2-2-3(1)には、代行申請で、かつ変更申請であって飛行させる者に変更がない場合には、飛行させようとする者の氏名・住所・連絡先の記載又は添付を省略できるという規定もあります。逆に言えば、代行申請で操縦者を追加する変更申請では、この省略は使えません。
変更申請が使えないケース
変更申請は、元の許可がDIPS2.0で電子的に申請されていて、かつ現に有効であることを前提にしています。次のいずれかに当たると、変更申請の画面にたどり着いても手続が進みません。
| ケース | 扱い | 出典 |
|---|---|---|
| 元の許可を書面(紙)で申請していた | 「通常の新規申請として申請を行ってください」 | DIPS2.0操作マニュアル p.02-4 |
| 2025年12月18日以前に取得した許可で、ホームページ掲載無人航空機・技能認証を含む | 「複製」「変更申請」「更新申請」等ができない。新規申請が必要 | 国土交通省「今後の申請に係る注意事項」 |
| 許可の期間が満了している | 変更申請は「既に受けている許可・承認の期間内に申請内容の一部を変更し、飛行を継続する申請」と定義されている。期間が満了した後の取扱いは公式には明示されていない(2026年9月29日訂正) | DIPS2.0操作マニュアル p.02-4 |
| 元の申請がまだ審査中 | 変更申請の一覧に表示されない(「審査終了」「手続終了」のみ表示)。複製で作り直し、不要な申請は取り下げる | 同 p.02-9、DIPS2.0よくある質問 |
| 代表者氏名・保険内容を変えたい | 変更申請に該当しない。新規申請 | 同 p.02-10 |
| 提出先を変えたい(例:全国包括で申請者の住所が別の管轄に移った) | 変更申請では提出先を変えられない。別途の申請が必要になる | 同 p.02-11 |
2025年12月18日の改正について、国土交通省は「ホームページ掲載無人航空機及び技能認証を含まない申請は、12月18日以降もそのまま補正申請が可能です」「12月18日以降、新規申請頂いた申請書については、変更申請や更新申請等は可能です」とも案内しています。改正前の許可が一律に変更できなくなったわけではありません。影響の全体像は包括申請の更新の記事で整理しています。
全国包括(飛行経路を特定しない申請)は、申請者の住所を管轄する地方航空局・空港事務所が申請先になります。変更申請で提出先を変えられない以上、本社移転などで管轄が変わる場合は変更申請の範囲に収まらない点を、移転の計画段階で意識しておく必要があります。全国包括の構造は全国包括は取れるか。標準マニュアル02の使い方をご覧ください。
いつ出すか:期限の扱い
更新申請には「期間の満了の日の40開庁日前から10開庁日前まで」という専用の窓があり、審査要領2-1(5)はこれを「2-1(1)b)の規定にかかわらず」と書いて一般の期限と切り分けています。一方、変更申請の2-1(6)には、このような期限の特則が置かれていません。
一般の期限である2-1(1)bは「申請書については、当該申請に係る飛行開始予定日の10開庁日前までに…提出させる」と定め、国土交通省も手続ページで飛行開始予定日から3〜4週間程度の余裕をもった申請を求めています。ただし、変更申請の場合に「飛行開始予定日」を何と読むか(追加した機体・操縦者で飛ばし始める日なのか)は、審査要領にもDIPSのマニュアル・よくある質問にも明示されていません。
もうひとつの時間の制約が、元の許可の残り期間です。変更申請では飛行の日時を変えられないため、変更が認められても許可の終期はそのままです。満了が近い許可に変更申請を出すと、許可書が出た直後に更新の窓を迎えることになります。
機体の買い足しや人員の増加が年に何度も発生する事業者は、変更申請のたびに審査を待つことになります。包括申請の段階で、近く使う予定の機体・操縦者はあらかじめ申請に含めておくほうが手戻りは少なくなります。許可・承認の全体像はドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドで確認できます。