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30m以下の係留で許可・承認が不要になる範囲

公開 2026-09-15 更新 2026-09-15 読了 約13分

ドローンを十分な強度を有する紐等(長さ30m以下)で係留し、その範囲内に物件がなく、第三者の立入りを管理する措置を講じれば、航空法の許可・承認のうち5つが不要になります。人口集中地区(DID)上空の許可と、夜間・目視外・人や物件から30m未満・物件投下の承認です(航空法施行規則第236条の76、第236条の82第1号)。 一方で、空港等の周辺・緊急用務空域・地表や水面から150m以上の空域・催し場所の上空・危険物の輸送は、係留しても不要になりません。また国土交通省の解釈通達は、車両などに紐を固定する飛ばし方は「えい航」であり、一般に係留とは認められないとしています。 この記事では、条文と解釈通達を並べて「どこまでが不要になり、どこからが残るのか」を整理します。係留したときの飛行計画の通報と飛行日誌の扱いについては、公式の資料で確認できた範囲だけを書きます。

よく見る説明と、公式の記載
係留の特例は「紐でつなげば許可不要」と短く紹介されがちです。この記事で扱う範囲について、条文と国土交通省の資料の記載と突き合わせます。
よく見る説明ドローンを紐でつないで飛ばせば、許可も承認も一切いらない。
公式にはこう不要になるのはDID上空・夜間・目視外・30m未満・物件投下の5つだけです。空港等の周辺、緊急用務空域、150m以上の空域、催し場所の上空、危険物の輸送は残ります。紐の長さに加えて、範囲内に物件がないことと立入管理の措置も要件です。
出典 航空法施行規則 第236条の76・第236条の82
よく見る説明紐でつないでいれば、車に結んで走りながら飛ばしても係留になる。
公式にはこう解釈通達は「車両、航空機等に連結索を固定するものは、えい航であり、一般に係留とは認められない」としています。教則は、人が紐を持って移動しながら飛ばすことも係留に当たらないと書いています。
出典 解釈通達 4.(1)/教則 第5版 3.1.2(2)3)c.
よく見る説明係留なら特定飛行ではないので、飛行計画の通報も飛行日誌もいらない。
公式にはこう係留の条文が適用しないとしているのは、飛行禁止空域と飛行の方法の条文の「前三項」です。通報と日誌の条文には触れていません。係留した飛行で通報・日誌が不要になると公式に明示した資料は確認できませんでした。
出典 航空法 第132条の85第4項・第132条の86第5項・第132条の92

条文はどう書いているか

係留の特例は、航空法の本体に「係留」という言葉が書かれ、要件の中身が施行規則に委ねられている構造です。空域(許可)の側と、飛行の方法(承認)の側で、別々の条文になっています。

空域の側:DID上空の許可

航空法第132条の85第4項
「前三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。一 係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で行う飛行その他の航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保することができるものとして国土交通省令で定める方法による飛行を行う場合」
航空法施行規則第236条の76
「…次のいずれにも該当する方法とする。
一 法第百三十二条の八十五第一項第二号に掲げる空域において飛行させること。
二 十分な強度を有する紐等(長さが三十メートル以下のものに限る。)で係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で飛行させること。
三 前号の範囲内に地上又は水上の物件が存しない場合に飛行させること。
四 補助者の配置その他の第二号の範囲内において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者の立入りを管理する措置を講じて飛行させること。」

ポイントは第1号です。航空法第132条の85第1項は、第1号で空港等の周辺・緊急用務空域・150m以上の空域を、第2号で人又は家屋の密集している地域(DID)を定めています。規則第236条の76第1号が挙げているのは第2号の空域だけです。つまり係留で外れる「許可」はDID上空の許可のみで、第1号の空域は対象になりません。

飛行の方法の側:夜間・目視外・30m未満・物件投下の承認

航空法第132条の86第5項
「前三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。一 係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で行う飛行その他の…国土交通省令で定める方法による飛行を行う場合」
航空法施行規則第236条の82(第1号)
「一 法第百三十二条の八十六第二項第四号及び第五号に掲げる方法であつて、第二百三十六条の七十六第二号から第四号までのいずれにも該当するものであること。」

第132条の86第2項は、第1号 日中に飛ばす、第2号 目視で常時監視する、第3号 人又は物件との間に30mを保つ、第4号 催し場所上空を飛ばない、第5号 危険物を輸送しない、第6号 物件を投下しない、の6つの方法を定めています。規則第236条の82第1号は、第4号(催し場所上空を飛ばない)と第5号(危険物を輸送しない)は守ったうえで、紐の長さ・物件なし・立入管理の3要件(第236条の76第2号〜第4号)を満たすことを求めています。

この結果、係留で外れる承認は夜間(第1号)・目視外(第2号)・30m未満(第3号)・物件投下(第6号)の4つになります。なお方法の側では、第236条の76第1号(DIDで飛ばすこと)は引用されていません。DID以外の場所で係留して夜間に飛ばす場合も、この特例の対象です。

条番号の書き方について:e-Gov法令検索の現行条文では、施行規則第236条の76と第236条の82はいずれも項が1つだけの条文です。そのため本記事では「第236条の82第1号」と書いています。国土交通省の解釈通達は同じ条文を「第236条の82第1項第2号」のように項番号を付けて引用しており、指している規定は同じです。

不要になる5つ、残るもの

国土交通省の解釈通達4.(1)は、係留によって「以下の個別の許可・承認が不要となる」として、次の5つを挙げています。残るものと並べると次のとおりです。

区分飛行根拠係留した場合
許可人口集中地区(DID)上空法第132条の85第1項第2号不要になる
承認夜間飛行法第132条の86第2項第1号不要になる
承認目視外飛行同第2号不要になる
承認第三者から30m以内の飛行同第3号不要になる
承認物件投下同第6号不要になる
許可空港等の周辺法第132条の85第1項第1号残る
許可緊急用務空域同上残る(緊急用務空域は、空港周辺・150m以上・DIDの許可があっても飛行できない)
許可地表・水面から150m以上同上残る
承認催し場所の上空法第132条の86第2項第4号残る
承認危険物の輸送同第5号残る

解釈通達は危険物について、とくに「危険物に該当する農薬の空中散布には、引き続き危険物輸送のための飛行の承認(法第132条の86第2項第5号)が必要である」と書いています。散布は物件投下に当たり、物件投下の承認は係留で外れますが、農薬を運ぶこと自体の承認は残る、という整理です。

催し場所の上空は、解釈通達4.(1)の列挙に入っていません。審査要領5-6には「機体に飛行範囲を制限するための係留装置を装着している場合」に一部の基準を緩める記載がありますが、これは承認を受ける際の審査基準の話で、承認そのものが不要になるわけではありません。詳しくは催し場所上空の飛行。イベント撮影で最も落ちやすい申請で整理しています。

DIDかどうかの判定も確認してください。2026年7月1日から、DIDのうち都市計画法の「工業専用地域」内の区域は「人又は家屋の密集している地域」から除かれています(国土交通省告示第435号)。工業専用地域で飛ばす場合、DID上空の許可はもともと不要です。詳しくは工業専用地域は、DIDの中でもDIDの飛行許可が要らなくなったをご覧ください。

3つの要件を解釈通達で読む

方法の側の特例(第236条の82第1号)が求めるのは、第236条の76の第2号〜第4号の3要件です。空域の側(第236条の76)では、これに第1号(DIDでの飛行)が加わります。第2号〜第4号を、解釈通達の記載と合わせて読みます。

要件1:十分な強度を有する紐等で、長さ30m以下

解釈通達は、係留を「十分な強度を有する紐等(長さ30m以内)で地表又は固定物に係留することにより、紐等の長さの範囲外に無人航空機が飛行することを物理的に防止できる」ものと説明しています。係留が特例になる理由は、機体が紐の長さより遠くへ行けないことにあります。

長さは、施行規則が「三十メートル以下のものに限る」、解釈通達が「30m以内」と書いています。どちらも30mちょうどを含む表現です。

「十分な強度」とは何kgの荷重に耐えることか、という数値基準は、施行規則・解釈通達・審査要領・教則のいずれにも示されていません。本記事でも数値は示しません。実務では、使う機体の重量と出力、想定する風の強さで紐が切れたり結び目や固定具が外れたりしないかを確認し、その考え方を記録しておくことになります。紐が切れれば、その瞬間から係留ではなくなります。

要件2:範囲内に地上・水上の物件が存しない

第236条の76第3号は、紐で制限した範囲内に地上又は水上の物件が存しない場合に限っています。30mの紐なら、係留地点から紐が届く範囲の中に物件がないことが前提です。

ここでいう「物件」の範囲は、公式には明示されていません。 解釈通達3.(7)は、30mの距離を保つべき「物件」を、車両等や建築物その他の相当の大きさを有する工作物のうち、操縦者及びその関係者が所有又は管理する物件以外のもの(第三者の物件)と定義し、土地や樹木などの自然物は含まないとしています。ただしこの定義は第132条の86第2項第3号(30m)についての記載で、係留要件の「物件」に同じ定義が当てはまるかは、通達4.(1)に書かれていません。
安全側に考えるなら、紐の届く範囲に車両・建物・電柱・電線などの工作物がない場所を係留地点に選ぶことになります。

要件3:立入りを管理する措置

第236条の76第4号は、紐で制限した範囲内で、操縦者と補助者以外の者の立入りを管理する措置を求めています。解釈通達4.(1)は、その具体例と追加の事項を次のように書いています。

解釈通達4.(1)の記載現場での意味
補助者による監視及び口頭警告 範囲に近づく人を見て、声をかけて止める人を置く
関係者以外の立ち入りを制限する旨の看板やコーン等による表示 範囲の外縁を、立入禁止だと分かる形で示す
無人航空機、係留地点、立入りを管理する措置を講じた外縁等に、操縦者と常に連絡の取れる連絡先を明示 機体・係留地点・外縁の看板などに、つながる連絡先を書いておく。係留の項に置かれた記載で、見落としやすい
必要に応じて周囲の理解を得るよう努める 近隣や施設利用者への事前の周知など

そのうえで解釈通達は、2つのことを書いています。1つは、措置が機能せず機体の下に人の立入りやそのおそれを確認したときは、直ちに飛行を停止し、飛行経路の変更や安全な場所への着陸その他の必要な措置を講じなければならないこと。もう1つは次の一文です。

解釈通達 4.(1)
「また、立入制限が機能しない場合は、航空法施行規則第236条の76第4号の措置を適切に講じているとは認められないため、係留をしていたとしても、飛行させる空域・方法により必要な許可・承認がなければ、飛行させることはできない。」

つまり、紐でつないでいても、人が範囲に入ってくる状態を放置していれば特例の前提が崩れます。そのとき許可・承認を持っていなければ、DID上空や夜間の飛行は続けられません。立入管理措置の組み立て方は立入管理措置とは。現場で実際に何をするのかで詳しく扱っています。

要件を欠いたまま飛ばした場合:特例に当たらない飛行は、通常どおり飛行禁止空域・飛行の方法の規定の対象になります。許可なくDID上空を飛ばした場合は航空法第157条の9第9号、承認なく夜間・目視外・30m未満で飛ばした場合は同条第14号、承認なく物件を投下した場合は同条第16号に当たり得て、いずれも50万円以下の罰金とされています。

移動しながらの係留と、ガイドレール方式

業務で係留を考えるとき、よく出てくるのが「紐の端を動くものに固定したらどうなるか」という問いです。ここは解釈通達と教則に明確な記載があります。

車両などに固定するもの:えい航であり、係留ではない

解釈通達 4.(1)
「車両、航空機等に連結索を固定するものは、えい航であり、一般に係留とは認められない。」

教則(第5版)3.1.2(2)3)c.
「自動車、航空機等の移動する物件に紐等を固定して又は人が紐等を持って移動しながら無人航空機を飛行させる行為(えい航)は、係留には該当しない。」

解釈通達は係留を「地表又は固定物に係留」するものと説明しており、紐の端が動くものは想定していません。教則はさらに、人が紐を持って歩きながら飛ばす場合も係留に当たらないとしています。車に紐を結んで道路沿いを撮影する、紐を手に持って歩きながら飛ばす、といった飛ばし方は係留の特例に乗りません。DID上空や夜間など特定飛行に当たる場合は、通常どおり許可・承認が必要です。

通達の文言は「一般に係留とは認められない」です。停車中の車両に固定する場合のように、個別の事情でどう扱われるかまでは書かれていません。本記事では、動くもの・動かせるものに固定する方法を係留として扱う前提は取りません。

主索・ガイドレールと連結索:係留と認められる

一方、解釈通達は、物件に沿って張ったロープやレールを使う方式を係留として認めています。

解釈通達 4.(1)
「物件等に沿って配置する主索やガイドレール等と、無人航空機を繋ぐ連結索により係留される場合、飛行範囲が物件から30m以内に物理的に制限されるため、その趣旨に照らして係留と認められる。この場合に、30mの上限規定は連結索のみに適用される。なお、連結索の長さによらず、主索をたわませる等により無人航空機が物件から30m以上離れることがあってはならない。」

固定した主索やガイドレールに沿って連結索が動く形なら、主索そのものは30mより長くてもよく、30m以下であることが求められるのは機体と主索をつなぐ連結索だけです。ただし主索のたわみなどで、機体が物件から30m以上離れる状態になってはいけません。

この方式と「範囲内に物件が存しない」要件の関係は、公式には説明されていません。 通達は「物件等に沿って配置する」主索を係留と認める一方、施行規則第236条の76第3号は範囲内に物件が存しないことを要件にしています。沿わせる物件が操縦者側の所有・管理する物件である場合をどう扱うかなど、両者の関係は通達に書かれていません。この方式で特例に乗せる場合は、飛行前に管轄の地方航空局等へ確認するのが確実です。

係留しても残るルール

係留の条文が適用しないとしているのは、第132条の85の第1項〜第3項と、第132条の86の第2項〜第4項です。それ以外のルールは係留しても残ります。

ルール係留した場合根拠
アルコール・薬物の影響下での飛行禁止/飛行前の確認/衝突予防/他人に迷惑を及ぼす飛行の禁止 残る。第132条の86第5項が外すのは第2項〜第4項で、第1項は外れない 法第132条の86第1項
飛行開始前の緊急用務空域の確認 残る。無人航空機を飛行させる者に課された確認義務 規則第236条の71第4項
機体登録・登録記号の表示 残る(100g以上の機体) 法第132条の2、規則第236条の6第1項第1号
リモートID機能 搭載義務が免除される。飛行前確認の「リモートID機能の作動状況」も除かれる 規則第236条の6第2項第2号、第236条の77第1項第5号
事故・重大インシデントの措置と報告 係留の条文はこれらの規定を外していない 法第132条の90・第132条の91
航空法以外(小型無人機等飛行禁止法、電波法、条例、施設管理者のルール等) 残る。係留は航空法の中の特例 各法令

リモートIDの免除は、「十分な強度を有する紐等(長さ30m以下)で係留して飛行範囲を制限した飛行」を条件にした別の規定です。解釈通達は、この免除の「係留」も4.(1)と同じく解釈するとしています。免除されるのはリモートIDの搭載だけで、登録記号の表示は免除されません。登録制度全体は無人航空機の登録制度 完全ガイドで整理しています。

重要施設の周辺を規制する小型無人機等飛行禁止法は、航空法とは別の法律です。係留していても、対象地域では同法の規制がかかります。対象範囲は小型無人機等飛行禁止法。おおむね300mから1,000mへ拡大された2026年7月改正をご覧ください。

飛行計画の通報と飛行日誌はどうなるか

係留で許可・承認が不要になった飛行について、飛行計画の通報(第132条の88)と飛行日誌(第132条の89)の義務がかかるかどうかは、公式には明示されていません。解釈通達、飛行計画の通報要領、飛行日誌の取扱要領、教則、国土交通省の手続・飛行ルール・通報と日誌の案内ページを確認しましたが、係留した飛行の通報・日誌の要否を直接書いた記載は見つかりませんでした。

そのうえで、条文と公式資料から確認できる事実を並べます。

確認できる事実出典
通報と日誌の義務は、いずれも「特定飛行を行う場合には」かかる。特定飛行は「第132条の85第1項各号に掲げる空域における飛行又は前条第2項各号に掲げる方法のいずれかによらない飛行」と定義されている 航空法第132条の87〜第132条の89
係留の条文が適用しないとしているのは各条の「前三項」。第132条の87〜第132条の89には触れていない 航空法第132条の85第4項・第132条の86第5項
捜索・救助の特例は、「第132条の85、第132条の86(第1項を除く。)及び第132条の87から第132条の89までの規定は…適用しない」と、通報・日誌まで明示して外している 航空法第132条の92
機体認証の使用の条件、技能証明の限定・条件の各条文は、「…でなければ、第132条の87に規定する特定飛行を行つてはならない。ただし、第132条の85第4項及び第132条の86第5項に該当する場合は、この限りでない。」と書いている 航空法第132条の14第1項・第132条の43第2項・第132条の44第2項
DIPS2.0の飛行計画通報の入力項目「立入管理措置等」に、「係留飛行の有無」がある 飛行計画の通報要領 5.
特定飛行を行わない場合でも、飛行計画の通報は「推奨」、飛行日誌の記載も「推奨」とされている 通報要領 4.(2)/飛行日誌の取扱要領 1./国土交通省「飛行計画の通報・飛行日誌の作成」

条文の書き方を見ると、捜索・救助の特例は通報と日誌の規定まで名指しで外しているのに対し、係留の特例はそこまで書いていません。また機体認証や技能証明の条文は、係留の場合を「特定飛行」に対する制限のただし書きとして扱っています。こうした書き分けからは、係留した飛行でも通報・日誌の規定は外れていないと読む余地があります。ただし、国土交通省がこの点を説明した資料は確認できていないため、本記事では結論を断定しません。

実務では、通報と日誌を行っておくのが安全側です。 義務の有無が公式に明示されていない以上、通報しなかったことや日誌を備えなかったことが後で問題になる余地を残すより、通報・記録しておくほうがリスクは小さくなります。通報は特定飛行でなくても「推奨」とされ、DIPS2.0には「係留飛行の有無」を入力する項目もあります。なお通報せずに特定飛行を行った場合は航空法第157条の10第1項第10号で30万円以下の罰金、特定飛行で飛行日誌を備えなかった場合は第157条の11で10万円以下の罰金とされています。通報の手順はドローンの飛行計画の通報はいつ必要か、日誌の書き方はドローンの飛行日誌の書き方で扱っています。

現場での確認手順

係留の特例に乗せるかどうかを、飛行前に順番に確認します。1つでも外れたら、特例ではなく通常の許可・承認で考えます。

飛行場所が空港等の周辺・150m以上の空域に当たらないかを確認する。当たるなら係留しても許可が必要
飛行開始前に、緊急用務空域に当たるかを確認する(規則第236条の71第4項)。当たれば飛ばさない
催し場所の上空ではないか、危険物(農薬等)を運ばないかを確認する。どちらかに当たるなら、その承認は必要
係留の方法を確認する。地表または固定物に固定しているか。車両に固定したり人が持って動いたりする「えい航」になっていないか。紐等は30m以下か(主索方式なら連結索が30m以下か)。紐と固定具の強度は機体に対して十分か
紐の届く範囲に車両・建物・電柱・電線などの物件がある → 係留地点を移すか、通常の許可・承認で飛ばす
立入管理の措置を置く。補助者による監視と口頭警告、看板やコーンによる表示。機体・係留地点・外縁に操縦者の連絡先を明示する
飛行計画を通報し、飛行日誌を備える。義務の有無が公式に明示されていないため、安全側で行う。通報では「係留飛行の有無」も入力する
飛行中、範囲に人が入ったら直ちに飛行を停止し、安全な場所へ着陸させる。立入制限が機能しない状態で飛行を続けると、特例の前提が崩れる
飛行後、飛行日誌に記録する。立入管理の措置の写真や配置図も残しておくと、後から措置の内容を説明しやすい

使える場面と、使いにくい場面

施行規則第236条の76・第236条の82第1号の要件には、技能証明や機体認証は含まれていません。係留の特例は、国家資格や認証機体がなくても条文上使えるルートです。ただし要件の性質上、向く飛行と向かない飛行がはっきり分かれます。

場面係留の特例との相性理由
DID内の広い空き地や敷地での定点撮影 使いやすい 紐の届く範囲に物件がなく、外縁を管理しやすい
夜間の定点での照明・撮影 使いやすい 夜間の承認が外れる。DID以外でも対象
移動しながらの空撮(車両や人に紐を固定) 使えない えい航であり、係留に当たらない(解釈通達・教則)
農薬の空中散布 一部のみ 物件投下の承認は外れるが、危険物輸送の承認は残る。空中散布には別の特例(規則第236条の82第2号)がある
構造物に近づく点検 要確認 「範囲内に物件が存しない」が要件。一方で通達は物件に沿った主索・ガイドレール方式を係留と認めており、両者の関係は公式に説明されていない
イベント会場の上空 使えない 催し場所の上空の承認は外れない

構造物の点検で係留を使うことについては、インフラ点検でドローンを使うのに必要な許可・承認で、「範囲内に物件が存しない」要件から使いにくい可能性を指摘しています。一方、本記事で確認した解釈通達の主索・ガイドレール方式の記載は、物件に沿った飛行を係留として想定したものです。この方式と第3号の要件がどう両立するかは公式に説明されていないため、点検で係留の特例に乗せる計画なら、事前に地方航空局等へ確認してください。

係留で外れない飛行や、要件を満たせない現場では、許可・承認を取ることになります。全体像はドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドで整理しています。

よくある質問

係留すれば、ドローンの許可・承認はすべて不要になりますか。
なりません。不要になるのは、DID上空の許可と、夜間・目視外・第三者から30m以内・物件投下の承認の5つです(解釈通達4.(1))。空港等の周辺・緊急用務空域・150m以上の空域の許可と、催し場所の上空・危険物の輸送の承認は残ります。施行規則第236条の76第1号は外れる空域をDID(法第132条の85第1項第2号)に限り、第236条の82第1号は催し場所上空を飛ばない・危険物を輸送しないことを前提にしているためです。
紐の長さが30mちょうどでも大丈夫ですか。
条文上は含まれます。施行規則は「長さが三十メートル以下のものに限る」、解釈通達は「長さ30m以内」と書いており、どちらも30mちょうどを含む表現です。ただし主索やガイドレールと連結索で係留する方式では、30mの上限は連結索だけにかかり、主索のたわみなどで機体が物件から30m以上離れてはならないとされています。
車に紐を結んで、走りながら飛ばすのは係留になりますか。
なりません。解釈通達は「車両、航空機等に連結索を固定するものは、えい航であり、一般に係留とは認められない」としています。教則(第5版)も、自動車・航空機等の移動する物件に紐等を固定する場合と、人が紐等を持って移動しながら飛ばす場合を、係留に該当しない「えい航」としています。DID上空や夜間など特定飛行に当たる場合は、通常どおり許可・承認が必要です。
紐はどのくらいの強度が必要ですか。
条文と解釈通達は「十分な強度を有する紐等」と書くのみで、破断荷重などの数値基準は、施行規則・解釈通達・審査要領・教則のいずれにも示されていません。係留は、紐等の長さの範囲外に機体が飛ぶことを「物理的に防止できる」ことが前提です(解釈通達4.(1))。使う機体の重量・出力・想定する風に対して、紐と固定具が切れたり外れたりしないかを確認し、その根拠を記録しておくことになります。
係留すれば、補助者や看板はいりませんか。
いります。立入りを管理する措置は、係留の特例の要件そのものです(施行規則第236条の76第4号)。解釈通達は具体例として補助者による監視及び口頭警告と、関係者以外の立ち入りを制限する旨の看板やコーン等による表示を挙げ、さらに機体・係留地点・外縁等に操縦者と常に連絡の取れる連絡先を明示するよう求めています。立入制限が機能しない場合は、係留していても必要な許可・承認がなければ飛行させることはできないとされています。
係留した飛行でも、飛行計画の通報と飛行日誌は必要ですか。
公式には明示されていません。係留の条文(航空法第132条の85第4項・第132条の86第5項)が適用しないとしているのは各条の「前三項」で、通報(第132条の88)と日誌(第132条の89)の規定には触れていません。捜索・救助の特例(第132条の92)が通報・日誌まで明示して外しているのとは書き方が異なります。DIPS2.0の通報項目には「係留飛行の有無」があり、特定飛行でない場合も通報と日誌の記載は「推奨」とされています。実務では、通報と日誌を行っておくのが安全側です。
係留すればリモートIDは不要ですか。
リモートID機能の搭載義務は免除されます。施行規則第236条の6第2項第2号が、十分な強度を有する紐等(長さ30m以下)で係留して飛行範囲を制限した飛行について、リモートIDの規定(同条第1項第2号)を適用しないとしています。飛行前確認の「リモートID機能の作動状況」も除かれます(第236条の77第1項第5号)。ただし機体登録と登録記号の表示は免除されません。
25kg以上の機体でも係留の特例は使えますか。
施行規則第236条の76と第236条の82第1号の要件には、総重量の定めは書かれていません。係留の条文は、総重量が上限を超える場合の許可・承認を定める規定を含めて、各条の「前三項」を適用しない形になっています。ただし解釈通達4.(1)は重量に触れておらず、25kg以上の機体での係留の扱いを明示した公式の案内は確認できませんでした。大型機で係留の特例に乗せる計画なら、事前に地方航空局等へ確認してください。
国家資格(技能証明)がなくても、係留すれば夜間に飛ばせますか。
航空法の承認については、要件を満たせば不要になります。係留の特例(施行規則第236条の82第1号)の要件に、技能証明や機体認証は含まれていません。技能証明と機体認証によって申請を不要にするルートでは夜間・目視外に技能証明の限定変更が必要ですが、係留の特例はそれとは別の条文です。ただし係留の要件(十分な強度の紐等30m以下・範囲内に物件なし・立入管理の措置)はすべて満たす必要があり、催し場所上空や危険物輸送に当たる場合は承認が残ります。
本記事は2026年9月15日時点の情報です。 係留の要件は施行規則に、その具体的な解釈は解釈通達と教則に置かれており、通達は法令より短い手続で改正され得ます。とくに係留した飛行の飛行計画の通報・飛行日誌の扱い、紐の強度、主索・ガイドレール方式の扱いには公式に明示されていない点が含まれるため、実際に飛行する前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容を確認してください。

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