business

ドローンの保険。国が加入を求めている場面と、求めていない場面

公開 2026-10-21 更新 2026-10-21 読了 約14分

ドローンの保険は義務なのか。この問いに一言で答えると、国土交通省の公式資料は「強制保険はなく、すべて任意保険である」と明言しています(教則 第5版 2.3.3)。自賠責保険のような、入らなければ飛ばせないという制度は存在しません。 ただし、それに続けて同じ段落が「一部の飛行にあたっては、第三者賠償責任保険に加入していることが求められる」と書いています。求められるのは総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合とレベル3.5飛行の場合の2つです。前者は2025年10月1日から始まった比較的新しい取扱いです。 この記事は、「義務か、任意か」という二択で語られがちなこの論点について、場面ごとに、どの公式資料が何と書いているかを引いて線を引きます。金額の目安や商品の比較は、公式に基準が示されていないため扱いません。

よく見る説明と、公式の記載
保険は、この分野で最も俗説が流通している論点のひとつです。「任意だから不要」と「入っていれば安心」という正反対の説明が、どちらも広く見られます。この記事で扱う範囲について、実際の一次ソースの記載と突き合わせます。
よく見る説明ドローンの保険はあくまで任意で、法律上の義務ではない。
公式にはこう教則第5版は「強制保険はなく、すべて任意保険である」としたうえで、続けて「総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合又はレベル3.5飛行の場合」には「十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していることが求められる」と書いています。
出典 教則 第5版 2.3.3 保険
よく見る説明カテゴリーⅢ飛行は保険の加入が必須要件になっている。
公式にはこうカテゴリーⅢ飛行の審査要領は「保険の内容(加入状況、保険会社名、商品名、補償金額)を記載すること。第三者賠償責任保険に加入していない場合は、賠償能力の有無等の情報を記載すること」と書いています。「加入していること」という書き方はされていません。
出典 審査要領(カテゴリーⅢ飛行)2-2-1(8)
よく見る説明ドローンの保険に入っておけば、万一のときは安心。
公式にはこう教則は保険を機体保険(機体やカメラ自体の損傷)と損害賠償責任保険(運航により起こる対物・対人の損害)に分けたうえで、「機体が見つからないと保険が適用されないケースがあるため注意すること」「荷物輸送においては、輸送物が保険対象に含まれるか確認すること」と注記しています。
出典 教則 第5版 5.1.4(1)の表

結論。加入そのものが求められるのは2つの場面

最初に全体像を示します。国土交通省の公式資料を横断して読むと、ドローンの保険に関する記述は3つのレベルに分かれています。混乱の原因は、この3つが同じ「保険」という言葉で語られてしまうことにあります。

レベル① 加入していることが要件になっている
総重量25kg以上の飛行(2025年10月1日から)/レベル3.5飛行。いずれもカテゴリーⅡ飛行の審査要領に「加入していること」と書かれています
レベル② 加入状況を「記載する」ことが求められている
カテゴリーⅡ・カテゴリーⅢを問わず、飛行の許可・承認の申請書に記載欄があります。未加入の場合は賠償能力の有無等を記載するという書き方で、様式にも未加入の選択肢が用意されています
レベル③ 加入が推奨・望ましいとされている
教則は「万一の場合の金銭的負担が大きいので、保険に加入しておくとよい」「自機の使用実態に即した保険に加入することが推奨される」としています。カテゴリーⅢのリスク評価に基づく保険も「必要な保険に加入することが望ましい」です
この記事は、①と②の線がどこにあるかを条文の文言で確かめていきます

この3段構えを押さえておくと、「義務か、任意か」という問いの立て方そのものが少し粗いことが分かります。航空法の条文には、保険の加入を義務づける規定も、未加入に対する罰則も置かれていません。加入が要件になっているのは、あくまで飛行の許可・承認を審査するための通達(審査要領)の中で、特定の飛行形態についてです。

総重量25kg以上。2025年10月1日から加入が要件になった

まず、最も明確に「加入していること」と書かれている場面です。無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)の4-3-1(19)が、次のように定めています。

総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合には、第三者の負傷や交通障害等の不測の事態が発生した場合に十分な補償が可能となる第三者賠償責任保険に加入していること。

4-3-1は「次に掲げる事項を遵守しながら無人航空機を飛行させることができる体制を構築すること」という柱書のもとに(1)から(19)までを並べた条項で、飲酒・薬物の禁止、飛行前の確認、飛行日誌、事故等の報告といった基本的な遵守事項と同じ列に、この保険加入が置かれています。この(19)は、一連の遵守事項の最後に追加されたものです。

施行日は2025年10月1日

いつから、という点は原本の附則で確認できます。審査要領の附則(令和7年3月19日 国空無機第100036号)は「この審査要領は、令和7年3月24日から施行する。ただし、2-2-1及び4-3-1の改正規定は、令和7年10月1日から施行する。」としています。つまり、25kg以上の保険加入要件(4-3-1(19))と、後述する申請書の記載要件(2-2-1(8))は、2025年10月1日から効力を持ちました。

国土交通省はこの改正について、別途チラシを出しています。そこには「2025年10月1日(水)以降に新たに提出する飛行許可・承認申請から、総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合は、「第三者賠償責任保険の加入」が必要です」と書かれ、注記として「「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」により、定められています」と明示されています(国土交通省 チラシ)。

この要件は「カテゴリーⅡ飛行の審査要領」の話です。 チラシの注記がわざわざ根拠通達の名前を挙げているとおり、この改正が入ったのはカテゴリーⅡ飛行の審査要領だけです。カテゴリーⅢ飛行の審査要領は令和5年2月7日の制定時の書きぶりのまま残っており、25kg以上についての加入要件は置かれていません。「25kg以上は保険が必須」という説明を、あらゆる飛行に横断的に当てはめると、根拠がずれます。

同じ改正で、申請書の記載要件(2-2-1(8))にも一文が足されています。通常は「加入状況、保険会社名、商品名、補償金額」を記載し、未加入なら参考として賠償能力の有無等を書けばよいところ、総重量25kg以上の場合と、移動中の車両・列車・船舶の上空を通過する飛行を行う場合は、「十分な補償が可能となる第三者賠償責任保険の内容を記載すること」とされました。未加入という選択肢が、この2つの場面については想定されていない書き方になっています。

25kgの境目について。 航空法と施行規則は一貫して「国土交通省令で定める総重量(25kg)を超えるもの」と書くのに対し、審査要領と教則は「総重量25kg以上」と書きます。ちょうど25.0kgの機体がどちらに入るかについて、公式の明示は確認できていません。重量区分が飛行の手続そのものにどう効くかは点検業務のドローンをどう選ぶか。重量区分・型式認証・限定変更の組み合わせで整理しています。

レベル3.5。保険は制度の入場券として置かれている

もうひとつがレベル3.5飛行です。こちらは25kg以上のように後から足されたものではなく、制度が新設された当初から、保険の加入が要件の一部として組み込まれています。

教則第5版は、レベル3.5飛行の成り立ちを次のように説明しています。「2023年12月に、デジタル技術の活用(機上カメラ)、無人航空機操縦者技能証明の保有及び保険への加入を条件として、レベル3飛行で従来求められていた立入管理措置のうち、補助者の配置や看板の設置等を機上カメラによる確認に代替し、移動中の車両等の上空の一時的な横断を伴う飛行が可能となる『レベル3.5飛行』が新設された」。そして実施に求められる3要件の3つ目として、「移動中の車両等との接触や交通障害等の不測の事態に備え、十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していること」を挙げています。

審査要領の側では、この要件は意外な場所に置かれています。5-4(目視外飛行)の(3)c)カ)(ⅲ)、つまり目視外飛行の追加基準の中の、立入管理区画に関する選択肢のひとつとしてです。原文は次のとおりです。

第三者賠償責任保険に加入したうえで、無人航空機操縦者技能証明を保有する者が、(中略)機体に取り付けられたカメラを活用することにより、補助者や看板の配置などの立入管理措置をせずに、移動中の車両、列車又は船舶の上空を通過する場合を含む道路、鉄道又は船舶航路を一時的に横断する飛行(レベル3.5飛行)を行い、かつ、以下の要件に適合すること。(中略)・第三者の負傷や交通障害等の不測の事態が発生した場合に十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していること。

柱書の冒頭と、要件の列挙の中と、同じ条項の中で2回、保険への加入が書かれています。補助者や看板といった物理的な立入管理措置を機上カメラで代替することを認める制度である以上、代替によって残るリスクを金銭的に引き受ける手当てとして保険が置かれているという構造が読み取れます。前述のチラシも、注記で「レベル3.5飛行を実施する場合も従前のとおり第三者賠償責任保険の加入が必須です」として、25kg以上の改正とは別系統の話であることを示しています。

レベル3.5がカテゴリーの区分とどう対応するのかはレベル1〜4とレベル3.5。カテゴリーの区分と一致しない理由で、物流・配送での使い方は物流・配送でドローンを使うのに必要な許可・承認。レベル3.5とカテゴリーⅢで扱っています。

カテゴリーⅢ。「加入していること」とは書かれていない

ここが、この記事で最も注意深く書くべき箇所です。第三者上空を飛ぶカテゴリーⅢ飛行こそ保険が必須だろう——直感的にはそう思えますし、そう書かれた説明も見かけます。しかし審査要領(カテゴリーⅢ飛行)の2-2-1(8)その他参考となる事項の原文は、次のとおりです。

無人航空機に係る第三者賠償責任保険への加入状況を把握するため、その保険の内容(加入状況、保険会社名、商品名、補償金額)を記載すること。第三者賠償責任保険に加入していない場合は、賠償能力の有無等の情報を記載すること。

これは加入状況を申告させる規定であって、加入そのものを一律に義務づける書き方ではありません。実際、カテゴリーⅢ飛行の申請様式にも「☐加入している(☐対人 ☐対物)」と並んで「☐加入していない → 賠償能力 ☐有 内容(  )☐無」という選択肢が用意されています。制度の側が、未加入という回答があり得ることを前提に設計されています。

一方で、教則第5版はカテゴリーⅢについてこう書いています。「飛行の許可・承認の審査において、無人航空機を飛行させる者が適切な保険に加入するなど賠償能力を有することの確認を行うこととしている」(5.1.3(2)、同旨が3.1.2(4)2))。さらにリスク評価との関係では、「その飛行の形態に応じたリスク評価を行い、その結果に基づき、必要な保険に加入することが望ましい」(5.1.4(3))としています。

「形式的な必須要件ではない」ことと「入らなくてよい」ことは、まったく別です。 カテゴリーⅢ飛行の審査は、運航の管理が適切に行われるかどうかをリスク評価の結果まで踏み込んで見るものです。審査の対象は「保険証券があるか」ではなく賠償能力があるかであり、教則が「適切な保険に加入するなど」と書いているのは、保険以外の方法で賠償能力を示す余地を残しているにすぎません。保険に入らずにカテゴリーⅢの許可・承認を受けた例があるかどうか、また未加入でどの程度の賠償能力の説明が求められるかについては、公式には示されていません。カテゴリーⅢ飛行の要件全体はカテゴリーⅢ飛行の要件。20開庁日前とリスク評価をご覧ください。

それ以外のカテゴリーⅡ飛行は「参考として」の扱い

25kg未満の機体で、レベル3.5にも当たらない——つまり大多数の飛行では、どうなっているか。カテゴリーⅡ飛行の審査要領2-2-1(8)は次のように書きます。

無人航空機に係る第三者賠償責任保険への加入状況を把握するため、その保険の内容(加入状況、保険会社名、商品名、補償金額)を記載すること。第三者賠償責任保険に加入していない場合は、参考として賠償能力の有無等の情報を記載すること。

カテゴリーⅢの条文と読み比べると、違いは「参考として」の4文字だけです。カテゴリーⅢでは未加入時の賠償能力の情報が端的に「記載すること」とされているのに対し、カテゴリーⅡでは「参考として」記載することとされています。同じ制度を作っている側が、この2つを意識的に書き分けていると読むのが自然です。

なお、申請様式の保険欄そのものは、カテゴリーⅡ・カテゴリーⅢで同一の書式です。「加入している(対人/対物)/保険会社名/商品名/補償金額(対人)(対物)」または「加入していない → 賠償能力 有(内容)/無」を書く形で、書式の上では区別がありません。違いは、様式ではなく審査要領の本文にあります。許可・承認の申請そのものの流れはドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドで、2025年12月の審査要領改正の内容は2025年12月の審査要領改正で何が変わったかで扱っています。

飛行計画の通報事項に、保険の有無が入っている

許可・承認の申請とは別に、もうひとつ保険が顔を出す場面があります。飛行計画の通報です。

特定飛行を行うときは、あらかじめ飛行計画を国土交通大臣に通報しなければなりません(航空法第132条の88第1項)。その通報事項を定める航空法施行規則第236条の83第1項の第12号が、次のように定めています。

無人航空機の事故等により支払うことのある損害賠償のための保険契約の有無及びその内容

ここで重要なのは、条文が「有無及びその内容」と書いていることです。保険契約が無いという通報も、制度上は成り立ちます。実際、飛行計画の通報要領(令和8年3月31日最終改正)が定める入力項目は、「保険会社名/商品名/対人保険金額/対物保険金額/保険未加入の場合の賠償能力 等」となっており、システムの側に未加入の欄が用意されています。

罰則が置かれているのは「通報しないこと」であって、「保険に入っていないこと」ではありません。 航空法第157条の10第1項第10号は、「第132条の88第1項の規定に違反して、通報をしないで、特定飛行を行つたとき」を30万円以下の罰金としています。保険の未加入それ自体を処罰する規定は、航空法に置かれていません。裏を返せば、保険に入っていないなら入っていないものとして、正確に申告する必要があるということです。飛行計画の通報がいつ必要かはドローンの飛行計画の通報はいつ必要かで整理しています。

場面ごとの一覧

ここまでを1枚に整理します。出典の欄に書かれている文言そのものが、その場面の性格を決めています。

場面公式資料の文言出典性格
総重量25kg以上
(カテゴリーⅡ飛行)
第三者賠償責任保険に加入していること 審査要領(カテゴリーⅡ飛行)
4-3-1(19)
2025年10月1日施行
加入が要件
レベル3.5飛行 第三者賠償責任保険に加入したうえで/十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していること 同 5-4(3)c)カ)(ⅲ)
教則第5版 3.1.2(2)4)c
加入が要件
移動中の車両・列車・船舶の上空を通過する飛行の申請 十分な補償が可能となる第三者賠償責任保険の内容を記載すること 同 2-2-1(8)
2025年10月1日施行
記載(未加入を想定しない書き方)
カテゴリーⅢ飛行 保険の内容を記載すること/加入していない場合は賠償能力の有無等の情報を記載すること 審査要領(カテゴリーⅢ飛行)
2-2-1(8)
記載+賠償能力の確認
上記以外の
カテゴリーⅡ飛行
保険の内容を記載すること/加入していない場合は参考として賠償能力の有無等の情報を記載すること 審査要領(カテゴリーⅡ飛行)
2-2-1(8)
記載(参考)
特定飛行の
飛行計画の通報
損害賠償のための保険契約の有無及びその内容 施行規則第236条の83
第1項第12号
申告(未加入も通報可)
すべての飛行の
一般的な心得
強制保険はなく、すべて任意保険/保険に加入しておくとよい/自機の使用実態に即した保険に加入することが推奨される 教則第5版 2.3.3 推奨
教則第5版で、この表の1行目が書き足されました。 教則は2026年7月に第5版へ改訂され、その改訂履歴の筆頭に「保険の付保範囲拡大の反映(第2章 2.3.3)」が挙げられています。改訂の実体は、2.3.3の括弧内が第4版の「レベル3.5飛行を参照」だけだったところに、「総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合又は」が加わったことです。新たな義務が生じたのではなく、2025年10月1日から審査要領で始まっていた取扱いを、教則の本文が追いかけたという関係になります。

機体保険と賠償責任保険は別物

ここまでの話は、すべて第三者賠償責任保険についてのものです。ドローンの保険にはもうひとつ機体保険があり、この2つは目的がまったく違います。教則第5版5.1.4(1)の表が、次のように整理しています。

種類教則が書いている特徴制度上の位置づけ
機体保険 機体やカメラ自体の損傷に対する保険
※機体が見つからないと保険が適用されないケースがあるため注意すること
※荷物輸送においては、輸送物が保険対象に含まれるか確認すること
審査要領・申請様式・飛行計画の通報のいずれにも登場しません。制度が要求しているのは機体保険ではありません
損害賠償責任保険
(第三者賠償責任保険)
無人航空機を運航したことによっておこる損害に対する保険(対物・対人) この記事で扱ってきた要件・記載事項・通報事項は、すべてこちらを指しています

教則の2つの注記は短いものですが、どちらも実務上の意味が重いものです。墜落した機体が回収できないケースは、山林や水面上の飛行では十分に起こり得ます。また、荷物を運ぶ飛行で運んでいる物そのものが補償の対象に含まれるかどうかは、契約の内容によって変わり得るという指摘です。

そして、この2つを揃えても賠償責任そのものが消えるわけではありません。人にけがをさせたり物を壊したりした場合に、民事・刑事・航空法のそれぞれでどのような責任が生じるかはドローンを落として人にけがをさせたときの責任。民事・刑事・航空法で扱っています。教則が「万一の場合に備え賠償能力を確保しておくことが望まれるが、その対応としては、損害賠償責任保険に加入しておくことが有効と考えられる」という書き方をしているとおり、制度が求めているのは賠償能力であって、保険はその手段のひとつという位置づけです。

補償金額の基準は、公式には示されていない

最後に、この記事で意図的に書かないことを述べておきます。いくらの補償額の保険に入ればよいのかという点です。

審査要領も教則もチラシも、一貫して「十分な補償が可能となる第三者賠償責任保険」という書き方をしており、具体的な金額の基準は示されていません。原本を全文検索しても、補償金額の下限や目安を示した記述は確認できませんでした。申請様式は「補償金額:(対人)(対物)」を記入させますが、いくら以上という条件は付されていません。

相場や目安として流通している金額には、公式の裏付けがありません。 本サイトは一次ソースで確認できた事実だけを書く方針のため、補償額の目安、保険料の相場、保険会社名や商品名の比較は扱いません。判断の材料になるのは、飛ばす場所・機体の重量・落下したときに下に何があるかという、自分の運航の中身です。教則が「自機の使用実態に即した保険に加入することが推奨される」と書いているのは、まさにこのことです。カテゴリーⅢについては、教則が「飛行の形態に応じたリスク評価を行い、その結果に基づき、必要な保険に加入することが望ましい」として、リスク評価と保険を結びつけています。

よくある質問

結局、ドローンの保険は義務なのですか。
場面によります。教則第5版は「強制保険はなく、すべて任意保険である」と明言しています。航空法の条文にも、保険の加入を義務づける規定や、未加入に対する罰則はありません。ただし総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合とレベル3.5飛行については、カテゴリーⅡ飛行の審査要領が「第三者賠償責任保険に加入していること」を求めており、飛行の許可・承認を受けるうえでの要件になっています。
25kg以上の保険加入は、いつから始まったのですか。
2025年10月1日からです。審査要領(カテゴリーⅡ飛行)の附則(令和7年3月19日 国空無機第100036号)が「この審査要領は、令和7年3月24日から施行する。ただし、2-2-1及び4-3-1の改正規定は、令和7年10月1日から施行する」としています。国土交通省のチラシも「2025年10月1日(水)以降に新たに提出する飛行許可・承認申請から」と案内しています。
カテゴリーⅢ飛行では保険が必須だと聞きました。
カテゴリーⅢ飛行の審査要領2-2-1(8)は、保険の内容を記載すること、加入していない場合は賠償能力の有無等の情報を記載することと定めており、「加入していること」という書き方はしていません。申請様式にも未加入の選択肢があります。ただし教則は「適切な保険に加入するなど賠償能力を有することの確認を行うこととしている」としており、審査で見られるのは賠償能力です。未加入でどの程度の説明が求められるか、未加入で許可された例があるかは、公式には示されていません。
保険に入っていない状態で、飛行計画を通報できますか。
条文上はできます。施行規則第236条の83第1項第12号は通報事項を「損害賠償のための保険契約の有無及びその内容」としており、飛行計画の通報要領が定める入力項目にも「保険未加入の場合の賠償能力」という欄があります。罰則が置かれているのは通報をしないで特定飛行を行ったとき(航空法第157条の10第1項第10号、30万円以下の罰金)であって、未加入それ自体ではありません。入っていないなら入っていないものとして、正確に申告することになります。
機体保険に入っていれば、要件を満たしますか。
いいえ。教則は保険を機体保険(機体やカメラ自体の損傷に対する保険)と損害賠償責任保険(運航により起こる対物・対人の損害に対する保険)に分けています。審査要領・申請様式・飛行計画の通報のいずれも求めているのは第三者賠償責任保険のほうです。なお教則は機体保険について「機体が見つからないと保険が適用されないケースがあるため注意すること」「荷物輸送においては、輸送物が保険対象に含まれるか確認すること」と注記しています。
補償金額はいくら以上が必要ですか。
公式に金額の基準は示されていません。審査要領・教則・国土交通省のチラシはいずれも「十分な補償が可能となる第三者賠償責任保険」という表現にとどめており、原本を確認しても補償金額の下限や目安の記載はありません。申請様式も「補償金額:(対人)(対物)」を記入させるだけで、条件は付されていません。教則が「自機の使用実態に即した保険」と書いているとおり、飛行の内容から考える形になります。
教則が第5版になって、保険のルールは変わったのですか。
ルールが変わったのではなく、教則の記述が審査要領に追いついたという関係です。第5版(令和8年7月7日)の改訂履歴の筆頭は「保険の付保範囲拡大の反映(第2章 2.3.3)」で、その実体は、2.3.3の括弧内が第4版では「レベル3.5飛行を参照」だけだったところに「総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合又は」が加わったことです。実際の取扱いは2025年10月1日の審査要領の改正から始まっています。
総重量がちょうど25.0kgの機体は、どちらに入りますか。
公式には明示されていません。航空法と施行規則は「国土交通省令で定める総重量(25kg)を超えるもの」と書き、審査要領と教則は「総重量25kg以上」と書いており、書きぶりが一致していません。25kgに近い機体を扱う場合は、重量の管理に余裕を持たせる設計にしておくほうが安全側に倒せます。重量区分が手続全体にどう効くかは点検業務のドローンをどう選ぶかで整理しています。
本記事は2026年9月28日時点の情報です。 保険に関する取扱いは、法律や政令ではなく審査要領という通達で定められている部分が大きく、通達は短い手続で改正され得ます。実際、総重量25kg以上の加入要件は2025年10月1日から、教則への反映は2026年7月の第5版からと、短い期間に動いています。補償金額の基準は公式に示されていません。実際の申請・飛行の前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

飛行前チェックリスト(無料)

その飛行がどの特定飛行に当たり、どの許可・承認が要るかを1枚で判定できるPDFです。

チェックリストを受け取る