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会社としての運航管理体制の作り方。誰が何を持つかを決める

公開 2026-10-22 更新 2026-10-22 読了 約18分

「運航管理体制を作る」と言われて最初に探したくなるのは、組織図と規程のひな形です。ところが航空法を無人航空機の章までひととおり読むと、社内に役職を置くことを求めた条文は見当たりません。法律が名指ししているのは無人航空機を飛行させる者・使用者・所有者の3つで、法人が条文に出てくるのは第159条の両罰規定と、登録原簿の「所有者の氏名又は名称」「使用者の氏名又は名称」の欄くらいです。 だとすれば、体制の作り方は逆算になります。条文が誰の義務として書いているかを先に確定し、その義務を社内の誰に割り当てるかを決める。順番を逆にすると、立派な組織図があるのに、飛行日誌を書く人と許可書を持つ人が決まっていない、という状態になります。 この記事は、航空法・航空法施行規則の現行条文、審査要領、航空局標準マニュアルの原文から、会社として決めなければならない項目を洗い出します。ひな形や組織図の型は示しません。DIPS2.0の画面上でどう分担するかは複数人でDIPS2.0を運用するときの権限設計、飛行日誌を機体と人でどう回すかは機体が複数・操縦者が複数のときの飛行日誌の回し方で扱っています。この記事は、その手前にある「そもそも誰の義務か」の話です。

よく見る説明と、公式の記載
「体制」という語は抽象的で、他業種の安全管理規程の常識がそのまま持ち込まれがちです。この記事で扱う範囲について、航空法・施行規則・審査要領の原文と突き合わせます。
よく見る説明運航管理規程と組織図を作り、安全管理者を選任すれば、会社として航空法上の体制要件を満たす。
公式にはこう航空法・航空法施行規則の現行条文に、無人航空機について社内の役職の設置を義務づけた規定は見当たりません。「安全飛行管理者」は審査要領4-3-2(3)b)が飛行マニュアルの記載内容の例として挙げている語で、資格・人数・要件を定めた条文は確認できません。
出典 審査要領(カテゴリーⅡ飛行)4-3-2(3)b)
よく見る説明会社が許可・承認を取っていれば、飛ばす社員の側の手続は会社がまとめて果たせる。
公式にはこう飛行計画の通報は「無人航空機を飛行させる者」の義務(法第132条の88第1項)、飛行日誌の記載は「特定飛行を行う者」の義務(同第132条の89第2項)、許可書等の携行も「無人航空機を飛行させる者」(審査要領4-3-1(18))。これらを会社に移す規定は置かれていません。
出典 航空法第132条の88・第132条の89 審査要領4-3-1(18)
よく見る説明業務中の違反なら、罰則は会社にだけかかる(あるいは社員個人にしかかからない)。
公式にはこう第159条は「行為者を罰するほか、その法人に対して…罰金刑を…科する」と定めます。ただし同条第2号が列挙しているのは第157条の7第1項・第157条の9・第157条の10第1項・第157条の11で、第157条の6(危険防止措置)・第157条の8・第157条の10第2項(事故の報告)は列挙に入っていません。
出典 航空法第159条第2号(2025年12月1日施行版)

法令が名指ししている「誰か」は3つしかない

無人航空機に関する航空法の条文を、主語で並べ替えると見通しが良くなります。出てくる主体は、大きく①無人航空機を飛行させる者 ②使用者 ③所有者の3つです。これに、技能証明を持っている人だけにかかる義務が1つ加わります。

条文上の主体根拠条文何を義務づけているか
無人航空機を
飛行させる者
法第132条の86
第1項
①アルコール又は薬物の影響下で飛行させない ②飛行に支障がないこと等を確認した後に飛行させる ③航空機・他の無人航空機との衝突予防 ④他人に迷惑を及ぼす方法で飛行させない。この第1項は特定飛行に限らず、すべての飛行にかかります
無人航空機を
飛行させる者
法第132条の86
第2項・第3項
夜間・目視外・30m未満・催し場所上空・危険物輸送・物件投下の6つの方法。これらによらない飛行は、あらかじめその運航の管理が適切に行われることについて国土交通大臣の承認を受ける
無人航空機を
飛行させる者
法第132条の87
/第132条の88
/第132条の89第1項
/第132条の90
/第132条の91
第三者が立ち入ったときの即時停止/飛行計画の通報/飛行日誌の備付け/事故時の危険防止措置と報告/重大インシデントの報告。特定飛行の周辺にある義務は、ほぼすべてこの主体です
特定飛行を行う者 法第132条の89
第2項
航空の用に供し、又は整備・改造した場合に遅滞なく飛行日誌に記載する
技能証明を
受けた者
法第132条の54 特定飛行を行う場合に技能証明書を携帯する
機体認証機を
飛行させる者
法第132条の14
第1項
使用条件等指定書で指定された使用の条件の範囲内でなければ特定飛行を行わない
使用者 法第132条の7
/第132条の14第2項
/第132条の15
登録無人航空機の整備及び必要に応じた改造/機体認証機を安全基準に適合するように維持/整備命令の名宛人
所有者 法第132条の4
/第132条の5第1項
/第132条の8
登録の申請/登録記号の表示とリモートIDの措置/登録事項に変更があったときの15日以内の届出
所有者又は使用者 法第132条の9 是正命令の名宛人
法人 法第159条 代表者・代理人・使用人その他の従業者が業務又は財産に関して一定の違反行為をしたとき、行為者を罰するほか法人にも罰金刑
「無人航空機を飛行させる者」が誰を指すかは、条文に定義がありません。 ただし国土交通省の無人航空機の飛行計画の通報要領は、冒頭の「目的」で「無人航空機を飛行させる者(以下「操縦者」という。)」と言い換えています。少なくとも通報の場面では、現に飛ばす人を指すものとして運用されています。会社としての体制を組むときは、この主体を会社に読み替えられる条文はないという前提から始めるのが安全です。

この表を見て気づくのは、会社(法人)が条文に出てくるのは、登録原簿の名義欄と、罰則の両罰規定だけだということです。会社は義務の担い手というより、名義を持つ者と従業者の行為の結果を引き受ける者として現れます。運航管理体制とは、この構造の上で「誰にどの義務を割り当てるか」を決める作業です。

飛ばす人から外せない義務

まず、社内の誰かに移すことができない義務を確定させます。条文の主体が「無人航空機を飛行させる者」である以上、その日その機体を飛ばす人が負うという読み方になります。

飛行のたびに発生する義務根拠条文会社側で用意できること
飛行前の確認 法第132条の86
第1項第2号
規則第236条の77
確認事項は①機体の状況 ②飛行させる空域及びその周囲の状況 ③飛行に必要な気象情報 ④燃料の搭載量又はバッテリーの残量 ⑤リモートID機能の作動状況の5つ。さらに①と⑤については外部点検及び作動点検を行うことが第2項で求められます。会社ができるのは、この5項目を落とさない確認票を配ることまでです
アルコール・薬物 法第132条の86
第1項第1号
社内ルールとして検査や申告の仕組みは作れますが、飛行させないという義務そのものは本人に付いています。道路・公園・広場その他の公共の場所の上空でこれに違反した場合は1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金(法第157条の8)
飛行計画の通報 法第132条の88
第1項
規則第236条の83
通報事項に飛行させる者の氏名・技能証明書番号・許可又は承認の番号・立入管理措置の有無及びその内容・保険契約の有無及びその内容が含まれます。誰が画面を操作するかは決められますが、義務の主体は変わりません
飛行日誌の備付けと記載 法第132条の89
第1項・第2項
備付けは「飛行させる者」、記載は「特定飛行を行う者」。記載は遅滞なく。帳簿そのものは機体ごとに備えるという整理です
許可書・承認書の携行 審査要領
4-3-1(18)
「飛行の際には、無人航空機を飛行させる者は許可書又は承認書の原本又は写しを携行すること」。会社が取った許可でも、当日持っているべきなのは飛ばす人です
技能証明書の携帯 法第132条の54 技能証明を受けた者が特定飛行を行う場合。携行(許可書)と携帯(技能証明書)で、持ち物が2種類あります
緊急用務空域の確認 規則第236条の71
第4項
飛行を開始する前に、飛行させる空域が緊急用務空域に該当するか否かを確認する義務。事務所が前日に見ただけでは足りません
事故時の措置と報告 法第132条の90
第1項・第2項
直ちに飛行を中止し、負傷者を救護するなど危険を防止するために必要な措置を講じる。加えて大臣への報告。措置を講じなかった場合は2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(法第157条の6)
会社が用意できるのは「条件」であって「履行」ではありません。 確認票を配る、許可書の写しを持たせる、DIPS2.0のアカウントを作る——これらはすべて、飛ばす人が義務を果たせる状態を整える行為です。果たすのは本人です。したがって体制設計の第一歩は、現場に出る人ごとに「この日、この人は、この7〜8項目を自分の責任で行う」と認識させる仕組みを持つことになります。逆に言えば、会社の側でいくら承認フローを重ねても、現場でこの列が埋まらなければ体制として機能しません。

第132条の86第1項について1点だけ補足します。同条第2項が特定飛行に対応する規定であるのに対し、第1項は飛行の範囲を限定していません。アルコール、飛行前確認、衝突予防、迷惑飛行の4つは、特定飛行に当たらない飛行でも守る必要があるという構造です。社内ルールを「特定飛行のときだけ」の形で書くと、この4つが抜けます。

会社に張り付く義務は「使用者」と「所有者」の欄にある

では会社の側には何が残るのか。ここで効いてくるのが、機体登録のときに入力する2つの名義です。法第132条の4第1項は、登録原簿に記載する事項として第5号「所有者の氏名又は名称及び住所」と第7号「使用者の氏名又は名称及び住所」を挙げています。この2つの欄に会社名を書いた瞬間、次の義務が会社に付きます。

名義条文義務の中身
使用者 法第132条の7 登録無人航空機の整備をし、及び必要に応じ改造をすることにより、登録を受けられないものや、登録記号の表示・リモートIDの措置が講じられていないものとならないように維持する
使用者 法第132条の14第2項
規則第236条の20
機体認証を受けた機体について、必要な整備により安全基準に適合するように維持する。具体的には①製造者等の技術的資料に準拠した整備 ②発生した不具合の適切な是正 ③整備作業の結果を適確に記録し、保存すること ④その他必要な整備
使用者 法第132条の15第1項 安全基準に適合しない等と認められたときの整備命令の名宛人
所有者 法第132条の5第1項
規則第236条の6
登録記号の表示(25kg未満は文字高3mm以上、25kg以上は25mm以上)とリモートID機能を備える措置。措置を講じずに航空の用に供すると50万円以下の罰金(法第157条の9第1号)
所有者 法第132条の8第1項 所有者・使用者・省令で定める事項に変更があったときは、その事由があった日から15日以内に届け出る。使用者が変わった場合でも、届け出るのは所有者です
所有者又は使用者 法第132条の9 是正命令の名宛人。命令に違反して航空の用に供すると50万円以下の罰金(法第157条の9第2号)

整理すると、機体の状態を維持する責任は使用者、名義と表示の責任は所有者です。法人で機体を登録する場合、DIPS2.0の登録に関するよくある質問は、法人所有の機体について「基本的には使用責任も当該法人になるものと思われるため、使用者は同一法人を使用者として登録してください」としています。所有者・使用者をどう入れるかは法人でドローンを登録するときの手続き。所有者と使用者、本人確認で扱っています。

「15日以内」は、体制設計でいちばん落ちやすい期限です。 本店移転、担当者の異動、機体の社内異動、リース契約の切替え——いずれも登録事項の変更に当たり得ます。所有者が届け出るべき期限は事由があった日から15日で、更新や許可の期限(次章以降)とは桁が違います。総務側の異動手続のチェックリストに、機体登録の変更届出を1行入れておくかどうかで結果が変わります。機体登録を切らした場合にどうなるかは機体登録を失効させたらどうなるか。登録記号も変わるを参照してください。

罰条の並びが示す、法人が一緒に問われる範囲

会社としての体制を考えるとき、避けて通れないのが両罰規定です。航空法第159条は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を…科する」と定めています。

問題は「次の各号」の中身です。無人航空機に関係する罰条を、第159条第2号の列挙と突き合わせると、入っているものと入っていないものがあります。

罰条対象となる違反法定刑第159条第2号の
列挙にあるか
第157条の6 第132条の90第1項違反(事故時に危険を防止するために必要な措置を講じなかった) 2年以下の拘禁刑
又は100万円以下の罰金
列挙されていない
第157条の7
第1項第1号
第132条の2違反(登録を受けていない機体を航空の用に供した) 1年以下の拘禁刑
又は50万円以下の罰金
列挙されている
第157条の8 第132条の86第1項第1号違反(アルコール等の影響下で道路・公園・広場その他の公共の場所の上空を飛行) 1年以下の拘禁刑
又は30万円以下の罰金
列挙されていない
第157条の9 飛行禁止空域(第132条の85)、飛行の方法(第132条の86第2項)、使用条件の範囲外の飛行、第三者立入時の措置を講じなかった等 50万円以下の罰金 列挙されている
第157条の10
第1項
第10号=飛行計画を通報しないで特定飛行、第11号=大臣の指示に従わない 等 30万円以下の罰金 列挙されている
第157条の10
第2項
第132条の90第2項違反(事故の報告をせず、又は虚偽の報告) 30万円以下の罰金 列挙されていない
第157条の11 技能証明書の不携帯、飛行日誌を備えなかった、記載せず又は虚偽の記載 10万円以下の罰金 列挙されている
列挙にないことは、法人が一切の責任を負わないという意味ではありません。 ここで確認したのは、第159条第2号が条文としてどの罰条を挙げているかという一点だけです。民事上の損害賠償、使用者責任、安全配慮義務、発注者との契約上の責任は、まったく別の法領域にあります。事故を起こしたときの責任の全体像はドローンを落として人にけがをさせたときの責任。民事・刑事・航空法で整理しています。体制設計上の意味は「列挙にあるものは、会社としても罰金の対象になり得る構造になっている」という点にあります。

この表から読み取れる実務上の含意は2つあります。1つめは、空域・方法の違反(第157条の9)、飛行計画の未通報(第157条の10第1項)、飛行日誌(第157条の11)という、日常の運航で最も起きやすい3類型が、いずれも両罰の対象として列挙されていることです。会社が「現場に任せている」で済ませにくい範囲が、ここに集中しています。

2つめは、第159条が「業務又は財産に関して」という要件を置いていることです。従業員が私的に飛ばした場合まで会社に及ぶ構造ではありません。裏を返せば、業務としての飛行と私的な飛行の線引きを社内で明確にしておくことに意味があります。会社の機体を私用で持ち出せる状態にしておくと、その線引きが曖昧になります。

申請する人と、実際に飛ばす人がずれるとき

許可・承認の申請書に書くのは、申請を出した人ではありません。施行規則第236条の74第1号・第236条の81第1号は「氏名、住所及び電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先」とだけ書いていますが、審査要領2-2-1(1)がこれを具体化しています。

審査要領2-2-1(1):「無人航空機を飛行させようとする者の氏名、住所及び電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先を記載すること。」「代行申請の場合には、代行申請者の氏名、住所及び電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先を記載すること。なお、代行申請者は、無人航空機を飛行させようとする者に関する情報として、本項(1)~(8)に関する内容をとりまとめた資料を申請書に記載又は添付すること。」

つまり申請書の基本形は「申請者=飛ばそうとする者」です。この前提からずれる場合のために、審査要領2-1は申請の枠を用意しています。

会社の形使う枠審査要領の定め
1社が、自社の複数の機体・複数の操縦者で反復して飛ぶ 包括申請 2-1(3)「同一の申請者が一定期間内に反復して飛行を行う場合又は異なる複数の場所で飛行を行う場合の申請は、包括して行わせることができる」。申請者は1者で、機体と操縦者を申請書に載せます
申請者が複数いる飛行をまとめる 代行申請 2-1(4)前段「複数の申請者による飛行をとりまとめて行う場合の申請は、それらの飛行をとりまとめる者を代表者として、代行して行わせることができる」
元請けが、委託先の飛行について申請する 代行申請 2-1(4)後段「飛行の委託を行っている者が受託者の飛行について行う場合の申請は、飛行の委託を行っている者に、代行して行わせることができる」
操縦者が増えた/機体が増えた 変更申請 2-1(6)。変更の対象には「無人航空機を飛行させる者の…技能証明書番号又は…飛行経歴並びに…知識及び能力に関する事項」が含まれます。3-4は、申請内容に変更が生じた場合は改めて申請させるとしています
1個の飛行に複数の許可・承認が要る 一括申請 2-1(2)「一個の飛行について、複数の事項の許可等が必要な場合の申請は、一括して行わせることができる」

社内の複数の操縦者をまとめるのは、通常は包括申請です(申請者は会社1者)。代行申請は、申請者そのものが複数いる場合や、委託関係がある場合の枠であり、社内の部署間の分担のために使うものではありません。人が増えるたびに何をするかは包括申請の変更申請。機体・操縦者を追加する、包括申請そのものの設計は包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準で扱っています。

外部の人に申請書類の作成を頼む場合は、別の法律の話になります。 2026年1月1日施行の改正行政書士法により、報酬を得て業として官公署に提出する書類を作成する行為が行政書士の業務であることが条文に明記されました。依頼先の資格についてはドローンの飛行許可、2026年からは誰に頼めば適法なのかと無資格のドローン申請代行はなぜ違反になるのか、条文で確かめるで扱っています。社内の従業員が会社の業務として自社の申請を作ることは、これとは別の話です。

飛行マニュアルに書く「体制」とは何か

許可・承認の申請書には、施行規則第236条の74第7号・第236条の81第7号により「無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制に関する事項」を書きます。この欄の実体が、飛行マニュアルです。審査要領4-3-2は、そこに書くべき事項を3本柱で示しています。

審査要領4-3-2の柱下位項目記載内容の例として挙げられているもの
(1)
無人航空機の
点検・整備
a) 方法
b) 記録の作成方法
定期的又は日常的な点検・整備の項目/点検・整備の時期/点検・整備記録の作成手順/様式
(2)
飛行させる者の
訓練
a) 習得
b) 維持
c) 飛行記録
d) 遵守事項
基本的な飛行経歴・知識・能力および飛行形態に応じた能力を習得するための訓練方法/業務のために適切な能力を有しているかどうかを確認するための方法/日常的な訓練の内容/飛行記録(訓練も含む)の作成手順・様式・記録の管理方法
(3)
安全を確保する
ために必要な体制
a) 飛行前の安全確認
b) 安全管理体制
c) 事態の対応・連絡体制
気象状況の確認項目及び手順/機体の状態の確認項目及び手順/安全飛行管理者の選定/飛行形態に応じた補助者の役割分担及び配置数/補助者の選定方法/立入管理区画の設定方法/緊急時の連絡体制/非常時の連絡体制/最寄りの警察及び消防機関の連絡先/報告先の連絡先

ここが、この記事の中心です。「安全飛行管理者」という語は、審査要領のこの箇所に記載内容の例として現れます。選定を義務づけた条文はなく、資格・人数・要件を定めた規定も確認できません。それでも、申請書に添付する飛行マニュアルに書く項目として例示されている以上、会社として誰にするかを決めておく実益はあります。

航空局標準マニュアルを使うと、役職名は書面に残らない

多くの事業者は、独自にマニュアルを作らず航空局標準マニュアル①を使います。その構成は、審査要領4-3-2の3本柱と対応しています。「1.無人航空機の点検・整備」「2.無人航空機を飛行させる者の訓練及び遵守事項」「3.安全を確保するために必要な体制」です。

ところが、令和7年12月26日版の標準マニュアル①(全10ページ)を機械検索すると、次のようになります。

  • 「安全飛行管理者」……0件
  • 「責任」……0件
  • 「役割」……0件
  • 「運航者」……2件(表紙の記入欄と、冒頭の「本マニュアルについて」)
  • 「管理者」……6件(いずれも施設管理者・鉄道の管理者・空港設置管理者等、社外の相手方)
  • 「操縦者」……11件

記入欄も、表紙の「運航者名:」1か所だけです。個人名や役職名を書く欄はありません。つまり、標準マニュアルを選んで申請する限り、社内で誰がどの役割を担うかは、提出書類のどこにも現れません。マニュアルは「補助者を配置する」「補助者は必要な助言を行う」という形で行為を書きますが、その補助者が誰で、誰が選び、誰が運航の可否を判断するかは書かれていないのです。

これは標準マニュアルの欠陥ではなく、設計の分担です。 標準マニュアル①の冒頭は「本マニュアルに記載される手順等は、無人航空機の安全な飛行を確保するために少なくとも必要と考えられるものであり、運航者は、本マニュアルの遵守に加え、…飛行のリスクを事前に検証した上で、追加的な安全上の措置を講じるなど、無人航空機の飛行の安全に万全を期さなければならない」としています。誰が何を持つかは、提出書類の外で会社が決めるものという建て付けです。役割分担まで書面に落としたい場合は、独自の飛行マニュアルを作ることになります。作るべき場面と作り方は独自の飛行マニュアルを作るべきときと作り方で扱っています。

「役割分担」が省令の文言になっている唯一の場所

もう1つ押さえておきたい条文があります。技能証明と機体認証を揃え、立入管理措置を講じて許可・承認なしで飛ばすルート(法第132条の85第3項・第132条の86第4項)では、施行規則第236条の75が「規程」の作成と遵守を求めています。その記載事項6号は次のとおりです。

一 使用する無人航空機の定期的な点検及び整備に関する事項
二 無人航空機を飛行させる者の技能の維持に関する事項
三 当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整っていることの確認に関する事項
四 無人航空機を飛行させる者及び補助者の役割分担その他無人航空機の飛行に係る安全管理体制に関する事項
五 無人航空機の事故等が発生した場合における連絡体制の整備その他必要な措置に関する事項
六 その他飛行の特性に応じた措置に関する事項

第4号に「役割分担」が省令の文言として書かれている点が重要です。許可・承認を取るルートでは「体制に関する事項」という包括的な言葉にとどまり、役割分担は審査要領の例示に降りていました。許可・承認を不要にするルートでは、役割分担が省令本文に上がってくる。許可を取らない設計に移るほど、社内の分担を文書で決めておく必要が上がるという構造です。なお、「飛行マニュアル」という語は航空法・航空法施行規則の本文には現れず、省令上の語は「規程」です。

カテゴリーⅢの運航管理体制は、要求の水準が変わる

立入管理措置を講じずに行う飛行(カテゴリーⅢ飛行)になると、求められる「運航の管理」の内容が具体的になります。法第132条の85第2項は「国土交通大臣がその運航の管理が適切に行われるものと認めて許可した場合でなければ」と書いており、この「運航の管理」の中身を示しているのが審査要領(カテゴリーⅢ飛行)4-3-2です。

そこでは、リスク評価の結果に基づくリスク軽減策を記載した飛行マニュアルを作成・提出することとし、考慮すべき事項として次を挙げています。

  • a) 運航計画(飛行の日時/飛行する空域及びその地域/飛行させる者及び運航体制/使用する無人航空機/飛行の目的/飛行の方法)
  • b) 地上リスク及び空中リスク
  • c) 電波環境(無線通信ネットワークを利用して操縦を行う場合に限る)
  • d) 使用条件等指定書で指定された使用の条件等、使用する無人航空機の情報
  • e) 技能証明及び訓練の内容
  • f) 補助者等を含めた運航体制

そして飛行マニュアルの記載事項の例として、安全体制の項に「運航判断を行う運航責任者の明確化」「組織としてのリスクマネジメント」「安全飛行管理者の選定」「緊急時の連絡体制」が、事故等への対応の項に「緊急着陸場所の設定」「非常時の連絡体制」「最寄りの警察及び消防機関の連絡先」が並びます。カテゴリーⅡでは「安全飛行管理者の選定」だけだった箇所に、「運航責任者の明確化」と「組織としてのリスクマネジメント」が加わるのが違いです。

教則第5版も、3.1.2(4)2)「カテゴリーⅢ飛行を行う場合の運航管理体制[一等]」で同じことを書いています。「無人航空機を飛行させる者は、第三者上空飛行に当たり想定されるリスクの分析と評価を実施し、非常時の対処方針や緊急着陸場所の設定などの必要なリスク軽減策を講じることとし、当該のリスク評価結果に基づき作成された飛行マニュアルも含めて、運航の管理が適切に行われることを申請する」(教則第5版 3.1.2(4)2))。

カテゴリーⅢは、期限の設計も変わります。 申請は飛行開始予定日の20開庁日前まで、提出先は国土交通省航空局安全部無人航空機安全課。更新は満了日の40開庁日前から10開庁日前まで。変更申請の対象には「安全を確保するために必要な体制に関する事項」が明記されており、体制を変えたら申請し直す構造になっています。要件の全体像はカテゴリーⅢ飛行の要件。20開庁日前とリスク評価で扱っています。

期限を誰が持つか。4種類の満了日が別々に走る

体制が壊れる原因として、義務の割り当てミスと同じくらい多いのが期限切れです。無人航空機の制度では、有効期間の異なる4種類の書類が、別々の満了日で走ります。

対象有効期間手続の窓根拠
許可・承認 一回の許可等の期間は原則3か月以内。申請内容に変更を生ずることなく継続的に飛行させることが明らかな場合は1年を限度 更新申請は満了日の40開庁日前から10開庁日前まで。新規は飛行開始予定日の10開庁日前まで 審査要領3-3/2-1(5)/2-1(1)b)
技能証明 3年(法第132条の51第1項) 更新申請は有効期間が満了する日の6月前から1月前までの間(教則第5版 3.1.2(5)3))。更新講習は申請日以前3月以内 法第132条の51/教則第5版
機体登録 3年(規則第236条の8第1項) 起算日は通知の日。ただし満了日の1月前から満了日までに新たな通知がされる場合は満了日の翌日が起算日(規則第236条の9ただし書) 法第132条の6/規則第236条の8・9
機体認証 第一種は1年、第二種は3年(規則第236条の18) 起算日は機体認証書の交付日。ただし満了日の1月前から満了日までに新たに交付する場合は満了日の翌日(規則第236条の19ただし書) 法第132条の13第10項/規則第236条の18・19
「早めに出す」が正解になる書類と、損になる書類があります。 許可・承認の更新は40開庁日前から受け付けられるので、早めに動くほど安全です。一方、機体登録と機体認証は、満了日の1月前より早く手続を済ませると、新しい期間が前倒しで始まります。規則第236条の9・第236条の19のただし書が「満了日の1月前から満了日まで」に交付・通知された場合に限って満了日の翌日を起算日としているためです。同じ「更新」でも、最適なタイミングが逆になります。詳しくは機体登録の更新。満了日の1か月前から、が損しないと包括申請の更新。40開庁日前から10開庁日前までの窓を参照してください。

ここで体制設計上の論点になるのが、この期限を誰が持つかです。公式資料に管理主体の定めはありません。定められているのは申請の窓と起算日だけです。それでも、次の理由から会社側に寄せる合理性があります。

  • 機体の期限は機体の数だけ増える。登録3年と機体認証1年(第一種)が機体ごとに走り、機体が10台あれば満了日は最大20個になります
  • 技能証明の期限は人の数だけ増える。3年ごとに、しかも「6月前から1月前まで」という5か月の窓の中で処理する必要があります。更新の流れは技能証明の更新。有効期間3年と更新講習、申請は満了日の1か月前までで扱っています
  • 許可・承認の期限は申請の本数だけ増える。包括申請を複数持っている事業者では、それぞれに40〜10開庁日前の窓があります
  • DIPS2.0の通知は、登録されたメールアドレス1つに届く。更新期限通知も補正依頼も同じ宛先です。担当者が退職したままのアドレスだと、誰も読みません

最後の点は、体制の設計というより事故防止の話です。DIPS2.0のアカウントと通知の宛先をどう設計するかはDIPS2.0の法人アカウントと個人アカウントの使い分けで扱っています。

訓練と点検を、誰が回して誰が記録するか

審査要領4-3-2(2)は、飛行マニュアルに訓練の方法を書かせます。内容は「習得(a)」「維持(b)」「記録(c)」「遵守事項(d)」の4つで、技能証明を持っていればすべてが不要になるわけではありません。

審査要領4-3-2(2)ただし書:「飛行させる者が飛行させる無人航空機に対応した現に有効な無人航空機操縦者技能証明(飛行にあたって必要な限定解除を受けたものに限る。)を保有している場合であって、飛行経歴、知識及び能力をすでに確保していると認められるときには、飛行マニュアルに記載したa)に掲げる事項の訓練を省略することができる。」
→ 省略できると書かれているのはa)の習得の訓練だけです。b)の維持、c)の飛行記録の作成方法、d)の遵守事項は、ただし書の対象として挙げられていません。

標準マニュアル①の書きぶりも同じです。2-1(8)は「現に有効な無人航空機操縦者技能証明(飛行にあたって必要な限定解除を受けたもの。)の保有者は、操縦技量の維持に努めるものとし、その知識及び能力が適切に確保されている場合にあっては、(1)、(2)及び(4)から(6)の操縦練習を省略することができる」としています。省略の対象から外れている(3)は「操縦技量の維持」の項です。

標準マニュアル①の定め内容会社として決めること
2-1(1)
基本的な操縦技量
離着陸・ホバリング・左右方向の移動・前後方向の移動・水平面内での飛行ができるようになるまで10時間以上の操縦練習。「操縦練習の際には、十分な経験を有する者の監督の下に行うものとする」 誰が「十分な経験を有する者」か。訓練場所は許可等が不要な場所か、訓練のために許可等を受けた場所に限られます
2-1(2)
業務に必要な技量
対面飛行、飛行の組合せ、8の字飛行 習得したと判定する人と、その記録の残し方
2-1(3)
技量の維持
「定期的に操縦練習を行う」 「定期的」の頻度は書かれていません。社内で決める項目です
2-1(4)〜(7)
形態別の練習
夜間/目視外(補助者あり)/目視外(補助者なし。座学・実技で少なくとも10時間以上)/物件投下(5回以上の実績) 形態ごとに、誰が修了しているかの管理。3-7(3)は「操縦者は、夜間飛行の訓練を修了した者に限る」、3-8(2)は「目視外飛行の訓練を修了した者に限る」と書いています
1-1
点検・整備
飛行前の点検5項目/飛行後の点検4項目/20時間の飛行毎の点検4項目 「20時間毎」を誰が数えるか。飛行記録の総飛行時間と突き合わせる担当が要ります
1-2
記録
飛行の前後及び20時間の飛行毎に点検・整備を行った際は、取扱要領に従い点検・整備記録を作成し管理する 使用者の義務である規則第236条の20第3号「整備作業の結果を適確に記録し、保存すること」と重なる部分です
3-10
非常時の連絡体制
「あらかじめ、飛行の場所を管轄する警察署、消防署等の連絡先を調べ」。執務時間外の報告は24時間運用されている空港事務所に電話 現場ごとに事前に調べる作業が発生します。案件の準備工程に入れるか、現場任せにするかで抜けやすさが変わります

「夜間飛行の訓練を修了した者に限る」「目視外飛行の訓練を修了した者に限る」という書き方は、誰が修了しているかを会社が把握していなければ守れません。技能証明を持っている人については限定変更の有無で判断できますが、技能証明によらずに飛ばしている操縦者については、社内の記録がそのまま根拠になります。審査要領4-3-2(2)c)が「飛行記録(訓練も含む。)の作成方法」と、わざわざ訓練を含めているのはこのためだと読めます。訓練の記録も含めた日誌の運用はドローンの飛行日誌の書き方。3種類の記録と、毎回の運用を参照してください。

従業員に技能証明を取らせる計画そのものは、飛ばす内容から等級と限定を逆算する話になります。法人が従業員に国家資格を取らせるときの計画で扱っています。

決めるべき項目の一覧

ここまでを、会社として決める項目に落とします。順番には意味があります。名義を決めてから、義務を割り当て、最後に期限の管理を決めるという流れです。

機体の名義を決める。登録原簿の所有者(表示・リモートID・15日以内の変更届出)と使用者(整備・改造・安全基準適合の維持・記録の保存)を誰にするか。機体ごとに決まります
申請者を決める。許可・承認の申請者は「無人航空機を飛行させようとする者」。会社名義なら包括申請(審査要領2-1(3))、委託関係があるなら代行申請(2-1(4))
飛ばす人ごとに、外せない義務の一覧を渡す。飛行前確認5項目+外部点検・作動点検、アルコール、飛行計画の通報、緊急用務空域の確認、飛行日誌の記載、許可書の携行、技能証明書の携帯、事故時の措置と報告
飛行マニュアルを選ぶ。標準マニュアルを使うなら、役職名は書面に残らない前提で社内の分担を別に決める。書面に残したいなら独自マニュアル(審査要領4-3-2が骨子)
安全管理体制の項目を埋める。安全飛行管理者を誰にするか/補助者の役割分担と配置数/補助者の選定方法/立入管理区画の設定方法/緊急時の連絡体制(4-3-2(3)b)の例示)
連絡体制を現場単位で決める。非常時の連絡体制/最寄りの警察・消防の連絡先(標準マニュアル3-10は「あらかじめ…調べ」)/報告先の連絡先。審査要領4-3-1(15)は「あらかじめ設定されていること」を体制の要件としています
訓練と点検の担当を決める。習得訓練を監督する「十分な経験を有する者」/技量維持の頻度/夜間・目視外の訓練修了者の管理/20時間ごとの点検を数える人/記録の保存
期限の管理者を決める。許可・承認(3か月〜1年、40〜10開庁日前)/技能証明(3年、6月前〜1月前)/機体登録(3年、1月前〜満了日)/機体認証(第一種1年・第二種3年、1月前〜満了日)。早く出すと損になるものがあります
体制を変えたら、許可・承認の変更申請の要否を確認する。「安全を確保するために必要な体制に関する事項」は変更申請の対象です(審査要領2-1(6))
この一覧には、法令が名前を付けた役職が1つも出てきません。 出てくるのは「所有者」「使用者」「飛行させる者」「安全飛行管理者(審査要領の例示)」「補助者」だけです。社内でどんな役職名を付けるかは自由ですが、役職名を決めても、上の①〜⑨が埋まらなければ何も決まっていません。逆に、役職名がなくても①〜⑨に人の名前が入っていれば、体制としては成立しています。

よくある質問

会社としてドローンを使う場合、「運航管理責任者」を置くことは法律上の義務ですか。
航空法・航空法施行規則の現行条文に、無人航空機について社内の役職の設置を義務づけた規定は見当たりません。条文が名指ししているのは「無人航空機を飛行させる者」「使用者」「所有者」で、法人が出てくるのは登録原簿の名義欄と第159条の両罰規定です。「安全飛行管理者」は審査要領4-3-2(3)b)が飛行マニュアルの記載内容の例として挙げている語で、資格・人数・要件を定めた規定は確認できません。カテゴリーⅢ飛行の審査要領には記載事項の例として「運航判断を行う運航責任者の明確化」も挙がっています。置くこと自体が義務だと断定できる根拠は見当たりませんが、飛行マニュアルの記載事項として例示されている以上、決めておく実益はあります。
会社が許可を取れば、社員は何も手続をしなくてよいのですか。
いいえ。飛行計画の通報は「無人航空機を飛行させる者」(法第132条の88第1項)、飛行日誌の記載は「特定飛行を行う者」(同第132条の89第2項)、許可書又は承認書の携行は「無人航空機を飛行させる者」(審査要領4-3-1(18))、技能証明書の携帯は「技能証明を受けた者」(法第132条の54)の義務です。飛行前の確認(法第132条の86第1項第2号、規則第236条の77)も同じで、会社が代わって果たす仕組みは条文に置かれていません。会社にできるのは、果たせる状態を整えることです。
社員が違反したとき、会社も罰金を科されるのですか。
航空法第159条は、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が「その法人又は人の業務又は財産に関して」一定の違反行為をしたとき、行為者を罰するほか法人にも罰金刑を科すと定めています。同条第2号が列挙しているのは第157条の7第1項、第157条の9、第157条の10第1項、第157条の11で、飛行禁止空域・飛行の方法の違反、飛行計画の未通報、飛行日誌の不備は、いずれも列挙に含まれています。一方、第157条の6(事故時の危険防止措置)、第157条の8(アルコール等の影響下での公共の場所上空の飛行)、第157条の10第2項(事故の報告)は列挙に入っていません。ただしこれは条文の列挙内容であって、民事上の責任など他の法領域の話は別です。実際に誰がどう責任を問われるかは個別の事情によります。
機体は会社の資産ですが、整備は外部に出しています。使用者の義務は果たせていますか。
法第132条の7は、登録無人航空機の使用者が「整備をし、及び必要に応じ改造をする」ことにより維持しなければならないと定めています。機体認証を受けた機体については、法第132条の14第2項と規則第236条の20が、①製造者等の技術的資料に準拠した整備 ②不具合の適切な是正 ③整備作業の結果を適確に記録し、保存すること ④その他必要な整備を挙げています。作業を外部に委託できるかどうかについて条文に明示はありませんが、条文上の名宛人は使用者のままです。記録と保存が使用者の手元に残る運用になっているかを確認してください。整備命令(法第132条の15第1項)の名宛人も使用者です。
標準マニュアルを使って申請しました。社内の役割分担は別に文書にすべきですか。
標準マニュアル①(令和7年12月26日版)に「安全飛行管理者」「責任」「役割」の語はなく、記入欄は表紙の「運航者名:」1か所だけです。別に文書を作ることを義務づけた規定は見当たりません。ただし、マニュアル冒頭は「本マニュアルの遵守に加え、…追加的な安全上の措置を講じるなど、無人航空機の飛行の安全に万全を期さなければならない」としており、誰が何を担うかは提出書類の外で決める建て付けです。なお、技能証明と機体認証で許可・承認を不要にするルートでは、規則第236条の75第2項第4号が「無人航空機を飛行させる者及び補助者の役割分担その他…安全管理体制に関する事項」を規程の記載事項として明記しています。
操縦者を1人追加しました。何をすればよいですか。
許可・承認を受けて飛ばしているなら、審査要領2-1(6)の変更申請の対象に「無人航空機を飛行させる者の…技能証明書番号又は…飛行経歴並びに…知識及び能力に関する事項」が含まれます。3-4は、申請内容に変更が生じた場合には改めて申請を行わせるとしています。加えて社内側では、その人が飛行前確認から事故報告までの義務を自分で負うこと、夜間や目視外を含むなら該当する訓練を修了しているか(標準マニュアル3-7(3)・3-8(2))、飛行計画の通報を自分で行うならDIPS2.0のアカウントが要ることを確認します。手続の詳細は包括申請の変更申請。機体・操縦者を追加するにまとめています。
許可・承認や技能証明の期限は、まとめて早めに更新しておけばよいですか。
書類によって逆になります。許可・承認の更新申請は満了日の40開庁日前から10開庁日前までなので、早めに動くほど安全です。一方、機体登録と機体認証は、満了日の1月前より早く新しい通知・交付を受けると、その日から新しい期間が始まります(規則第236条の9・第236条の19のただし書は、満了日の1月前から満了日までに交付・通知される場合に限って満了日の翌日を起算日としています)。技能証明の更新申請は、教則第5版によれば有効期間が満了する日の6月前から1月前までの間です。「全部まとめて早めに」は、一部で損をします。
補助者は誰でもよいのですか。資格は要りますか。
補助者の資格要件を定めた条文は確認できません。施行規則第236条の70は、立入管理措置を「補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置」としています。審査要領4-3-2(3)b)は飛行マニュアルの記載内容の例として「飛行形態に応じた補助者の役割分担及び配置数」「補助者の選定方法」を挙げており、選定方法を自分で書かせる形です。標準マニュアル①3-1(5)は「安全を確保するために必要な人数の補助者を配置し、相互に安全確認を行う体制をとる」とし、立入管理区画を明示して第三者の立入りを確実に制限できる場合は配置に代えられるとしています。3-7(4)・3-8(3)は、夜間・目視外では「補助者についても、飛行させている無人航空機の特性を十分理解させておくこと」としています。
体制を作り直したら、申請もやり直しですか。
審査要領2-1(6)は、許可等を取得した後に「無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制に関する事項」の内容の一部を変更する場合の申請について、変更がない事項の記載や資料の添付を省略させることができるとしています。3-4は、申請内容に変更が生じた場合には2-1に従って改めて申請を行わせるとしています。カテゴリーⅢ飛行の審査要領でも、変更申請の対象に「安全を確保するために必要な体制に関する事項」が挙げられています。飛行マニュアルを差し替えるなら、変更申請の要否を先に確認してください。
特定飛行に当たらない飛行なら、社内ルールは要りませんか。
法第132条の86第1項は、飛行の範囲を限定していません。①アルコール又は薬物の影響下で飛行させない ②飛行に支障がないこと等を確認した後に飛行させる ③航空機・他の無人航空機との衝突予防 ④他人に迷惑を及ぼす方法で飛行させない、の4つは、特定飛行に当たらない飛行でもかかります。②の確認事項は規則第236条の77が5項目を定め、機体の状況とリモートID機能の作動状況については外部点検及び作動点検も求めています。社内ルールを「特定飛行のときだけ」の形で書くと、この4つが抜けます。また、100g以上の機体を登録せずに航空の用に供すると法第157条の7第1項第1号(1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)で、こちらは第159条第2号の列挙に含まれています。
本記事は2026年9月28日時点の情報です。 航空法・航空法施行規則は e-Gov法令検索の現行条文(航空法は2025年12月1日施行版、施行規則は2026年7月1日施行版)で確認しています。審査要領・標準マニュアル・教則はいずれも通達等として改正され、標準マニュアルは「航空法等の改正に伴い随時内容が更新されます」と案内されています。また、第159条の両罰規定についてここで示したのは条文がどの罰条を列挙しているかという事実であり、個別の事案でどのような責任が生じるかを述べるものではありません。実際に体制を決める前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

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