法人が従業員に国家資格を取らせるときの計画。等級と限定は、飛ばす内容から逆算する
会社でドローンの国家資格(無人航空機操縦者技能証明)を取らせるとき、最初に決めるべきは「どのスクールに通わせるか」ではありません。誰に、一等と二等のどちらを、どの限定(夜間・目視外・25kg以上)まで取らせるかです。そしてその答えは、会社が実際に行う飛行から逆算して決まります。 前提として、技能証明は個人に対して行われる資格で、法人の名義では取れません(航空法第132条の40・第132条の41)。また取得は義務ではなく、資格がなくても国土交通大臣の許可・承認を受ければ特定飛行はできます。 この記事では、資格が効いてくる場面を条文と国土交通省の資料で整理したうえで、等級・限定の決め方、人数の考え方、登録講習機関の初学者向け・経験者向けの講習時間、国に払う手数料、3年ごとの更新、退職時に分かっていることと分かっていないことを順に並べます。
航空法第132条の40・第132条の41・第132条の86 DIPS2.0 技能証明よくある質問航空法第132条の85・第132条の86 国土交通省 飛行許可・承認手続ページ国土交通省 無人航空機操縦者技能証明等 教則 第5版 p.10最初に押さえる3つの前提
前提1:技能証明は個人に付く。会社の名義では取れない
航空法は、技能証明を「申請により」行い(第132条の40)、「前条の申請をした者に」技能証明書を交付することによって行う(第132条の41)と定めています。申請するのも証明書を受け取るのも、操縦する本人です。
手続きの面でも同じです。DIPS2.0の技能証明のよくある質問は、「法人アカウントでの申請はできますか」という問いに「技能証明の各種申請は個人の方を対象としています。そのため、個人アカウントをご利用ください」と答えています。国土交通省のガイドラインも、アカウント開設時に「技能証明申請者は個人であることから、『個人のアカウントを開設する場合』を選択すること」としています。
会社の機体登録や飛行許可の申請は法人アカウントで行えますが(法人でドローンを登録するときの手続き)、社員の国家資格は社員本人の個人アカウントで進めることになります。なお、同じよくある質問は代理申請について「今後のリリースにて実施可能となります」としており、2026年9月16日時点では会社の担当者が代わりに申請する仕組みは用意されていません。
前提2:資格は義務ではない。資格なしでも許可・承認で回せる
国土交通省の技能証明のページは「無人航空機操縦者技能証明書の取得は、無人航空機の飛行において必須事項ではありません」と明記しています。2026年7月に公開された教則(第5版)も、次のように書いています。
(無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版 p.10)
資格を持たない操縦者で許可・承認を申請する場合は、審査要領4-2の基準(飛行させる無人航空機の種類別に10時間以上の飛行経歴、必要な知識、能力)に適合していることを「飛行経歴・知識・能力確認書」(様式3)で示します。2025年12月の審査要領改正以降は、民間の技能認証でこの飛行経歴を示すことはできなくなっています(2025年12月の審査要領改正で何が変わったか)。
つまり「資格を取らないと仕事ができない」わけではありません。計画の出発点は、資格がないと困る場面がどこにあるかを洗い出すことです。
前提3:資格が効くのは3つの場面
| 場面 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| ① 申請そのものが不要になる | DID上空・夜間・目視外・人又は物件から30m未満の飛行を、技能証明を受けた者が機体認証を受けた機体で、立入管理措置を講じ、総重量25kg未満で行う場合。規程(飛行マニュアル)の作成・遵守は必要。夜間・目視外は技能証明の限定変更も必要 | 航空法第132条の85第3項・第132条の86第4項、国土交通省 飛行許可・承認手続ページ |
| ② 申請の書類や訓練が軽くなる | 許可・承認を申請する場合、技能証明書番号・区分・限定事項を記載すれば様式3の添付を省略できる(飛行の形態が区分・限定の範囲内であることが前提)。航空局標準マニュアルでは、必要な限定解除を受けた技能証明の保有者は一部の操縦練習を省略できる | 審査要領2-2-1(6)、航空局標準マニュアル01・02 |
| ③ 資格が要件になっている飛行 | カテゴリーⅢ飛行(一等+第一種機体認証+許可・承認)、レベル3.5飛行(目視内飛行の限定解除を受けた技能証明が要件)、農薬等の空中散布で承認を不要にするルート(一等又は二等の技能証明と機体認証等が要件) | 航空法第132条の85第1項、教則 第5版 p.20、空中散布の通達 |
①と③は資格がなければ使えないルート、②は資格があれば楽になるルートです。どちらに当たる飛行を会社が抱えているかで、取らせる等級と限定、人数が変わります。①のルートと許可・承認のルートのどちらに寄せるかの比較は認証機体を買うか、許可・承認で回すかで詳しく扱っています。
飛ばす内容から逆算する早見表
会社で実際に行っている(行う予定の)飛行を並べ、それぞれに資格が何を求めるかを当てはめます。「資格を使う場合」の列は、前提3の①または③のルートを使うときに必要な等級・限定です。
| 飛行の内容 | 資格がない場合 | 資格を使う場合に必要なもの | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 特定飛行に当たらない飛行 | 許可・承認は不要 | 資格は不要 | 機体登録・リモートIDなどは別に必要 |
| DID上空/人又は物件から30m未満(昼間・目視内・25kg未満) | 許可・承認を申請 | 二等(基本)+第二種以上の機体認証+立入管理措置で申請不要にできる | 規程の作成・遵守、飛行計画の通報、飛行日誌は残る |
| 夜間飛行(25kg未満) | 承認を申請 | 二等+夜間の限定変更(昼間飛行の限定の解除)+機体認証+立入管理措置 | 基本の技能証明は昼間・目視内が前提 |
| 目視外飛行(25kg未満) | 承認を申請 | 二等+目視外の限定変更(目視内飛行の限定の解除)+機体認証+立入管理措置 | 申請不要ルートでも立入管理措置は必要 |
| レベル3.5飛行 | この飛行は技能証明が要件 | 飛行させる機体の種類・重量に対応し、目視内飛行の限定解除を受けた技能証明 | 機上カメラでの確認、第三者賠償責任保険への加入なども要件 |
| 空港等周辺/150m以上/催し場所上空/危険物輸送/物件投下 | 許可・承認を申請 | 資格と機体認証があっても許可・承認が必要 | 資格は書類の省略に使える(催し場所上空の飛行) |
| 総重量25kg以上の機体 | 許可・承認を申請 | 資格と機体認証があっても許可・承認が必要 | 書類の省略に資格を使うなら、飛行の形態が限定の範囲内であること(25kg以上の限定変更) |
| 第三者上空(立入管理措置なし) | 飛行できない | 一等+第一種機体認証+許可・承認 | 最も厳格な審査。事業として狙うかを先に判断 |
| 農地・森林での農薬等の空中散布 | 承認を申請 | 一等又は二等(種類の限定付き)+機体認証など、通達の要件を満たすと飛行の方法の承認が不要になり得る | DID上空の許可は外れない(農薬散布ドローンの特例) |
根拠は次のとおりです。航空法第132条の85第2項は、空港等周辺・150m以上などの空域と、DID上空でも立入管理措置を講じない場合や総重量が省令の上限を超える場合について、技能証明+機体認証に加えて大臣の許可を求めています。第132条の86第3項は、立入管理措置を講じ総重量が上限以下であっても、催し場所上空・危険物輸送・物件投下(第2項第4号〜第6号)によらない飛行には承認を求めています。これに対して夜間・目視外・30m(第1号〜第3号)は、第4項により省令で定める措置を講じればよい、という構造です。
等級の決め方──一等が必要になるのはどんなときか
一等と二等の違いは、航空法第132条の42が定めています。
| 項目 | 一等無人航空機操縦士 | 二等無人航空機操縦士 |
|---|---|---|
| 対象の飛行(第132条の42) | 立入管理措置を講ずることなく行う特定飛行 | 立入管理措置を講じた上で行う特定飛行 |
| 対応するカテゴリー(教則) | カテゴリーⅢ飛行 | カテゴリーⅡ飛行 |
| 組み合わせる機体認証 | 第一種機体認証 | 第二種機体認証(第一種でも可) |
| 登録講習機関の学科講習(初学者向け) | 18時間以上 | 10時間以上 |
| 実地講習・基本(初学者向け) | 50時間以上 | 10時間以上 |
| 身体検査の運転免許証での代替 | 25kg未満の限定をされるものに限り可 | 可 |
| 交付時の国の費用 | 手数料3,000円+登録免許税3,000円 | 手数料3,000円 |
判断の軸は単純で、第三者上空を立入管理措置なしで飛ばす事業(カテゴリーⅢ)を実際に行うかどうかです。カテゴリーⅢは一等だけでは足りず、第一種機体認証を受けた機体と、運航の管理について大臣の許可・承認がそろって初めて可能になります(航空法第132条の85第1項・第2項)。機体側の事情も確認が必要で、国土交通省の型式認証取得機体一覧(令和8年6月19日現在)で第一種型式認証を受けている型式は1件です(型式認証を取得している機体の一覧と、その見方)。
立入管理措置を講じて行う業務(補助者を置く、立入りを制限する区画を設けるなど)が中心なら、二等で①のルートと③の一部に届きます。一等は講習時間も身体検査の条件も重くなるため、「念のため全員一等」ではなく、カテゴリーⅢの事業計画がある部署・担当者に絞るのが筋です。
限定の決め方──夜間・目視外・25kg以上・機体の種類
技能証明には、航空法第132条の43に基づいて「無人航空機の種類」と「飛行の方法」の限定が付きます。限定をされた技能証明を受けた者は、その種類・飛行の方法でなければ特定飛行を行ってはならず(同条第2項)、教則はこれを「飛行の許可・承認を受けて特定飛行を行う場合を除く」と説明しています。
| 限定の区分 | 内容(教則 第5版) | 限定を外す(限定変更する)と |
|---|---|---|
| 無人航空機の種類(6種類) | 回転翼航空機(マルチローター)・回転翼航空機(ヘリコプター)・飛行機、それぞれ「重量制限なし」と「最大離陸重量25kg未満」 | 25kg以上の機体を扱える/種類を追加できる |
| 飛行の方法(3種類) | ①昼間飛行・目視内飛行 ②昼間飛行 ③目視内飛行 | 夜間飛行・目視外飛行ができる |
パワードリフト機(Powered-lift)は、マルチローターと飛行機の両方の種類の限定に係る資格が必要とされています(教則 第5版 p.28)。
限定は「案件の型」ごとに決める
| 会社で行う案件 | 取らせる限定 | 理由 |
|---|---|---|
| 昼間・目視内のDID上空、近接撮影など | 基本(限定変更なし) | 基本の技能証明で①のルートの対象になる |
| 日没後の作業、夜間の点検 | 夜間の限定変更 | 国土交通省は、夜間・目視外を許可・承認申請が不要な飛行として行う場合は「技能証明の限定変更が必要」と注記 |
| 自動航行の目視外、レベル3.5飛行 | 目視外の限定変更 | ①のルートに加え、レベル3.5飛行では目視内飛行の限定解除を受けた技能証明が要件 |
| 25kg以上の散布機・物流機 | 25kg以上の限定変更(許可・承認で回すなら書類省略のため) | 25kg以上は資格があっても許可・承認が必要。飛行の形態が限定の範囲内でないと書類省略が使えない |
| マルチ以外(ヘリコプター・固定翼) | その種類の限定 | 種類ごとに限定が付く。1回の申請・限定変更申請で扱えるのは1種類 |
国土交通省のレベル4ポータルは、最大離陸重量・飛行可能な時間帯・目視範囲の拡大は新規申請時から行うことができるとしています。夜間や目視外の案件が見込まれるなら、最初の講習で一緒に受けておくと、後から講習と限定変更申請(手数料2,850円)をやり直す手間を省けます。一方で、DIPS2.0のよくある質問によれば、技能証明の申請は1回につき1つの機体の種類のみで、1回の限定変更申請で複数の種類を同時に限定解除することもできません。
誰に取らせるか──人数と役割の考え方
ここからは法令が直接定めていない「会社としての設計」の話です。公式の要件と、そこから導かれる考え方を分けて書きます。
公式の要件として決まっていること
- ①のルート(申請不要)は「技能証明を受けた者が」飛ばす場合の規定なので、実際に操縦する人ごとに技能証明と必要な限定が要る
- 技能証明の申請は16歳に満たない者はできない(航空法第132条の45第1号)
- 包括申請などに操縦者を加える場合、技能証明の保有者なら技能証明書番号・区分・限定事項の記載で様式3を省略できる。DIPS2.0では、他のアカウントから操縦者情報の提供を受けられるのは技能証明の保有者の情報に限られる(包括申請の変更申請。機体・操縦者を追加する)
- 技能証明の有効期間は3年で、更新しないと効力を失う(航空法第132条の51)
そこから導かれる設計の考え方
| 観点 | 考え方 |
|---|---|
| 案件の型ごとに担当を2人以上 | 申請不要ルートに寄せた案件は、資格者が1人しかいないと、その人の休暇・退職・更新漏れ・効力停止で止まる。許可・承認に切り替えるには飛行開始の10開庁日以上前の申請が要るため、すぐには代わりが立たない |
| 一等は事業計画がある担当に絞る | カテゴリーⅢは機体側(第一種機体認証)と運航管理の審査も必要。資格だけ先行させても使えない |
| 包括許可で回す人は資格の優先度を下げてよい | 許可・承認で回す限り資格は義務ではない。資格は書類省略と訓練の省略に効くので、操縦者の入れ替わりが多い部署ほど効果が大きい |
| 取得時期を分散させる | 同じ時期に全員が取ると、3年後に全員の更新期間が重なる |
| 身体検査の条件を先に確認 | 一等で25kg以上を扱う担当は運転免許証で身体検査を代えられないため、医療機関での受検が前提になる |
計画シートに持つべき列
| 列 | 入れるもの |
|---|---|
| 案件の型 | 早見表の行(DID・夜間・目視外・催し・25kg以上・カテゴリーⅢなど) |
| 処理ルート | 申請不要ルート/包括申請/個別申請 |
| 必要な等級・種類・限定 | 一等/二等、マルチ/ヘリ/飛行機、25kg、夜間、目視外 |
| 担当者(主・副) | 氏名と、技能証明の保有状況(取得予定日) |
| 機体側の条件 | 機体認証の有無と区分(機体認証・型式認証とは) |
| 満了日・更新申請期限 | 技能証明の満了日と、その1か月前(更新申請の締切) |
取得の段取り──申請者番号から技能証明書の交付まで
取得のルートは2つあります。指定試験機関(一般財団法人日本海事協会)で身体検査・学科試験・実地試験をすべて受ける方法と、国の登録を受けた登録講習機関で講習を修了し、実地試験の免除を受ける方法です(航空法第132条の47・第132条の50)。会社で計画的に取らせる場合によく使われるのは後者で、国土交通省のレベル4ポータルの手順に沿うと次のようになります。
身体検査は運転免許証で代えられるか
国土交通省の「無人航空機操縦者技能証明における身体検査等実施要領」(令和7年12月9日一部改正)は、新規取得時の身体検査を次のように扱っています。
| 取得する資格 | 使える方法 | 身体検査の結果の有効期間 |
|---|---|---|
| 二等/一等(25kg未満の限定をされるもの) | 有効な身体検査合格証明書・航空身体検査証明書・既得の技能証明書・運転免許証・航空機操縦練習許可書の写しの提出、医師による申請前6か月以内の身体検査証明書、または検査項目の受検 | 1年、または提出した書類の有効期間のいずれか短い期間 |
| 一等(25kg未満の限定をしないもの) | 運転免許証では代えられない。医師又は医療機関での受検が必要(対応は機関ごとに異なる) |
運転免許証を提出した場合、その免許証に条件(眼鏡等)が付いていれば、その条件が技能証明にも付されるとされています。条件を付された技能証明を受けた者は、その条件の範囲内でなければ特定飛行を行えません(航空法第132条の44第2項)。
講習時間──初学者向けと経験者向け
登録講習機関の講習時間は、国土交通省の「登録講習機関の教育の内容の基準等を定める告示」(別表第一)で最低時間が定められています。初学者向けと経験者向けで時間が大きく違い、社員を何日現場から外すかの見積もりに直結します。
学科講習
| コース | 一等 | 二等 |
|---|---|---|
| 初学者向け | 18時間以上 | 10時間以上 |
| 経験者向け | 9時間以上 | 4時間以上 |
告示の注は、同じ資格の有効な修了証明書・学科試験合格証明書・技能証明書を持つ人は学科講習を免除できるとしています。すでに二等を持つ社員に夜間などの限定変更だけを受けさせる場合は、実地講習が中心になります。
実地講習
| 区分 | 一等 初学者 | 二等 初学者 | 一等 経験者 | 二等 経験者 |
|---|---|---|---|---|
| 基本(限定変更なし) | 50時間以上 | 10時間以上 | 10時間以上 | 2時間以上 |
| 目視外(目視内の限定変更) | 7時間以上 | 2時間以上 | 5時間以上 | 1時間以上 |
| 夜間(昼間飛行の限定変更) | 1時間以上 | 1時間以上 | 1時間以上 | 1時間以上 |
| 25kg以上(25kg未満の限定変更) | 2時間以上 | 2時間以上 | 1時間以上 | 1時間以上 |
たとえば二等の初学者に「基本+目視外+夜間」を受けさせるなら、実地講習だけで最低13時間、学科講習10時間と合わせて最低23時間です。これは告示の下限で、実際の日程は各機関のカリキュラムによります。告示の注は、修了審査の時間は講習時間に含めないこと、点検作業の時間は含められること、操縦シミュレーターでの講習は科目ごとの最低時間数の4割を上限に含められることも定めています。一等の講習時間には二等に相当する時間が含まれており、二等の修了証明書や技能証明書を持つ場合はその部分を免除できます(前述)。
「経験者」の定義は国が一律に決めていない
登録講習機関向けの公式のよくある質問は、「初学者、経験者の定義は一律に設けておりません」と答え、「経験者の最低講習時間数は初学者よりも短くなりますが、公平性を担保するため、最後の修了審査は同じ内容を受けていただく必要があります」としています。同じ質問集には「自信がある方は経験者向け、自信がない方は初学者向けを受講いただくことを想定しています。最終的には受講者が選択するものと考えております」という回答と、「初学者、経験者の定義は各登録講習機関の判断となります」という回答の両方があります。
民間資格を持っている社員については、「対象となる可能性がございます」(各機関の判断)とされ、また「経験者については民間資格の取得有無にかかわらず一定の経験を有する者を想定」とも書かれています。社内でどちらのコースに振り分けるかは、受講先の機関の基準を確認してから決めるのが確実です。修了審査は同じなので、飛行経験の浅い社員を短いコースに入れると、不合格で結局時間がかかるおそれがあります。
費用──国に払う手数料と、国が示していない費用
| 費目 | 金額 | 支払先・根拠 |
|---|---|---|
| 技能証明書の交付(新規) | 3,000円(一等・二等同額) | 国土交通省「技能証明書の交付手数料額」 |
| 限定変更申請 | 2,850円 | 同上。1回の申請で1つの機体の種類 |
| 更新申請 | 2,850円 | 同上(技能証明の更新) |
| 再交付申請 | 2,850円 | 同上 |
| 登録免許税 | 3,000円(一等のみ) | 二等は不要。更新の技能証明は除く |
| 登録講習機関の講習費用 | 国の資料に金額なし | 各機関が定める |
| 指定試験機関の試験・身体検査の費用 | 国の資料に金額なし | 指定試験機関が案内 |
国土交通省の技能証明のページは、「登録講習機関の無人航空機講習費用や指定試験機関の各試験の受験費用については、各機関にお問い合わせください」としています。予算を組むときは、国に払う手数料(1人あたり二等3,000円、一等6,000円)とは別に、各機関の見積もりと、講習・試験に社員が参加する日数分の工数を積み上げることになります。
3年ごとの更新を最初から計画に入れる
技能証明の有効期間は一等・二等とも3年です(航空法第132条の51第1項)。更新には登録更新講習機関の更新講習の修了と身体適性の基準を満たすことが必要で、申請できるのは満了日の6か月前から1か月前までです(航空法施行規則第236条の57)。
| 計画に入れること | 内容 |
|---|---|
| 申請の窓 | 満了日の6か月前〜1か月前。満了日まで出せるわけではない |
| 更新講習 | 通常は学科のみで一等75分・二等50分。申請日以前3か月以内に修了したものが使える |
| 身体適性 | 二等と25kg未満限定の一等は運転免許証で代えられる。一等25kg以上は医療機関での検査(申請前3か月以内) |
| 費用 | 更新手数料2,850円(登録免許税は不要)+講習の受講料 |
| 失効した場合 | 原則は新規申請。満了日から3年以内なら返納証明書交付者講習のルートがある |
会社としての要点は、取得時期をずらすことと、更新の締切(満了日の1か月前)を社内の台帳で持つことです。種類ごとに満了日がずれた場合の揃え方や、更新講習の中身は技能証明の更新。有効期間3年と更新講習、申請は満了日の1か月前までで詳しく扱っています。
退職・異動のときに分かっていること、いないこと
会社の費用で取らせた資格でも、技能証明そのものは本人に対して行われたものです。ここは公式に確認できたことと、確認できなかったことを分けて書きます。
| 論点 | 状況 |
|---|---|
| 技能証明は誰のものか | 確認できたこと:技能証明は申請した者に技能証明書を交付して行う(航空法第132条の41)。技能証明の申請は個人アカウントのみ |
| 退職時に会社側で行う手続き | 公式には明示されていない。技能証明の規定(航空法第132条の40〜第132条の55)に、法人への移転や勤務先の届出に関する定めは見当たらない |
| 包括許可に登録した操縦者が退職した場合の変更申請 | 公式には明示されていない。審査要領が定める変更申請の対象には操縦者に関する事項が含まれるが、操縦者を外す場合に変更申請が必要かどうかの記載は確認できなかった |
| 会社に残るもの | 機体登録(法人が所有者・使用者)、会社が取得した許可・承認、会社が作成した飛行マニュアル・規程、飛行日誌の記録。資格者が抜けると、その人に依存していた申請不要ルートの案件は、別の資格者を充てるか許可・承認に切り替える必要がある |
| 取得費用の負担や返還の取り決め | 航空法・国土交通省の資料では扱われていない。社内規程や雇用契約の側の問題 |
操縦者の入れ替わりがある場合は、許可・承認の申請窓口に取扱いを確認し、許可書に記載された内容と実態がずれないようにしておくのが確実です。飛行日誌には飛行させた者の氏名や技能証明書番号を記載するので(ドローンの飛行日誌の書き方)、誰がどの資格で飛ばしたかの記録は会社側に残ります。
計画の手順(まとめ)
よくある質問
- e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第132条の40〜第132条の45、第132条の47、第132条の50、第132条の51、第132条の85、第132条の86
- e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)第236条の54、第236条の57
- 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明等
- 国土交通省|無人航空機レベル4飛行ポータルサイト 無人航空機操縦者技能証明
- 国土交通省|無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版・令和8年7月7日)(PDF)
- 国土交通省|登録講習機関の教育の内容の基準等を定める告示【統合版】(PDF)
- 国土交通省|DIPS2.0【登録講習機関】よくある質問
- 国土交通省|DIPS2.0【技能証明】よくある質問
- 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明の申請等の事務処理に関するガイドライン(PDF)
- 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明における身体検査等実施要領(PDF・令和7年12月9日一部改正)
- 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明書の交付手数料額(PDF)
- 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)(PDF)
- 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続
- 国土交通省|型式認証を取得している無人航空機一覧(PDF・令和8年6月19日現在)