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ドローンの導入に補助金は使えるか。制度の探し方と、申請の前に確認すること

公開 2026-10-23 更新 2026-10-23 読了 約16分

「ドローンの導入に使える補助金はありますか」という問いに、特定の制度名と金額で答える記事は、書かれた瞬間から古くなっていきます。実際、中小企業庁の公募情報を時系列で見るだけでも、この1年で「事業再構築補助金」は新規受付を終え、「新事業進出補助金」が立ち上がり、それが「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と統合されて新事業進出・ものづくり商業サービス補助金という別の名前になり、「IT導入補助金」の系譜はデジタル化・AI導入補助金という名称で公募されています。 そこでこの記事は、個別の公募回を追いかける代わりに、①公的な検索先はどこか ②ドローンが乗り得る制度はどういう枠組みか ③申請の前に必ず確認すべき共通ルールは何か、の3点に絞って整理します。 結論から言えば、補助金は機体に対してではなく事業に対して交付され、交付決定の前に発注した費用は対象になりません。そして支払いは後払いです。ここを外すと、制度を探す前の段階で計画が崩れます。

よく見る説明と、公募要領の記載
補助金は制度改正と公募回の入れ替わりが早く、古い説明や公募要領の原本に裏付けのない説明が広く流通しています。この記事で扱う範囲について、実際の公募要領・法令の記載と突き合わせます。
よく見る説明ドローンを買えば補助金が出る。機体代の何分の1かが戻ってくる。
公式にはこう補助金が出るのは事業に対してです。小規模事業者持続化補助金の公募要領は、機械装置等費について「通常の事業活動のための費用、単なる取替え更新の機械装置等の購入は補助対象外です」と明記しています。同じ要領は「補助事業遂行の際には自己負担が必要となり、補助金は後払いです」とも書いています。
出典 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募要領(第8版)
よく見る説明採択されたら、すぐ機体を発注してよい。
公式にはこう採択と交付決定は別の段階です。ものづくり補助金の公募要領は「交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費はいかなる理由があっても補助対象外となります」としています。
出典 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第23次公募要領 2.7.1
よく見る説明補助金で買った機体は、あとは自由に使ってよい。
公式にはこう補助金等適正化法第22条は、補助事業により取得した政令で定める財産を「各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない」と定めています。公募要領も、取得財産は「原則として専ら本補助事業に使用される必要があります」としています。
出典 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律 第22条

個別の制度名を覚えても、すぐ古くなる

補助金の記事がいちばん壊れやすいのは、「◯◯補助金は補助率3分の2、上限◯◯万円、締切は◯月◯日」と書いた瞬間です。補助率も上限額も締切も、公募回ごとに変わります。制度そのものが統廃合されることもあります。

これは抽象論ではありません。中小企業庁「補助金公募情報」の一覧を上から読むだけで、次のことが分かります(2026年9月28日時点の掲載内容)。

掲載日掲載されている見出し読み取れること
2026年2月6日 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第23次公募要領を公開しました この名称での公募が23回目まで来ている
2026年3月10日 デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました ITツール導入を支援する系譜の制度が、この名称で公募されている
2026年5月19日 新事業進出補助金の第4回公募の申請受付を開始しました 事業再構築系の後継として位置づけられる制度が動いている
2026年6月30日 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領を公開しました 上の2つが統合され、また別の名前になった
名前が変わっても、見るべき場所は変わりません。 制度名・補助率・上限額・締切は動きますが、①国の補助金は公的な検索サイトに集約されている ②電子申請にはGビズIDが要る ③補助対象経費・交付決定・実績報告・財産処分制限という骨格は補助金等適正化法に由来して共通している——この3点は、この数年ほとんど動いていません。覚えるべきはこちらです。

以下、この記事で制度名や金額に触れる場合は、どの制度の第何回公募の公募要領に、いつ時点で書かれていたかを必ずセットで示します。読者の方が読んでいる時点では、その数字は変わっている可能性があります。必ず公式サイトの最新の公募要領で確認してください。

公的な検索先は3つある。まずここを見る

民間の「補助金まとめサイト」は数多くありますが、掲載が遅れていたり、終了した公募回が残っていたりします。一次情報は次の3か所です。

検索先運営できること使いどころ
Jグランツ
jgrants-portal.go.jp
デジタル庁 国や自治体の補助金の検索と電子申請。同サイトは「個人事業主や中小企業等の法人はGビズIDを利用し、補助金・助成金を簡単に検索・申請できます」と説明しています まずここ。検索と申請が同じ場所にある。自治体の制度も拾える
ミラサポplus
mirasapo-plus.go.jp
中小企業庁 中小企業・小規模事業者向けの支援制度と事例の検索。制度の解説記事や公募の告知が集まる 制度の全体像をつかむとき。「どんな制度があるのか」を知る段階
中小企業庁 補助金公募情報 中小企業庁 同庁所管の補助金について、公募要領の公開と申請受付期間が時系列で並ぶ 次の公募回がいつ来るかを読むとき。過去の並びから周期が見える

分野によっては、所管省庁のサイトが本体になります。農林水産分野であれば農林水産省「農業支援サービス関係情報」に、スマート農業・農業支援サービスの導入を支援する事業が掲載されています。農業用ドローンについては農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会のページが窓口になります。

都道府県・市区町村の制度も見落とさないでください。 国の補助金は金額が大きい反面、事業計画の作成負担も相応に重くなります。一方、自治体には設備導入やデジタル化に対する小規模な補助制度があることがあり、金額の桁は小さくても、要件が実情に合う場合があります。Jグランツでは自治体の制度も検索できますが、すべての自治体制度が掲載されているとは限りません。事業所所在地の自治体の産業振興担当部署のページも併せて確認するのが確実です。

GビズIDプライムは、探す前に取っておく

国の補助金の多くは電子申請のみで、GビズIDのアカウントが必要です。小規模事業者持続化補助金の第20回公募要領は「申請には「GビズIDプライム」のアカウント取得が必要です。未取得の方は必ず事前に利用登録を行ってください」と明記しています。

GビズIDには3つの種別があります(GビズID公式)。

種別誰のものか作成方法補助金申請での位置づけ
プライム 法人代表者・個人事業主 審査を行って作成 補助金の電子申請で求められるのは通常こちら
メンバー 従業員 プライムによる作成 プライムの配下で使う。単独では取得できない
エントリー 誰でも 審査を行わず作成 利用できる行政サービスに大きな制限がある
プライムは審査があるため、締切直前に思い立っても間に合わないことがあります。 公募要領を読んで「使えそうだ」と判断してから取得に動くのではなく、候補を探す段階で並行して取っておくのが実務です。なお、ドローンの機体登録で使うDIPS2.0のアカウントとGビズIDは別物ですが、法人でDIPS2.0を使う場合はGビズIDが関係してきます。そちらは法人でドローンを登録するときの手続き。所有者と使用者、本人確認で整理しています。
GビズIDのアカウントとパスワードを第三者に渡してはいけません。 小規模事業者持続化補助金の第20回公募要領は「第三者の支援者等に「GビズIDプライム」もしくは「GビズIDメンバー」のアカウント及びパスワードを開示することは、GビズIDの利用規約第11条に反する行為ですので、ご注意ください」と明記しています。「こちらで入力しておきます」という申し出にIDを渡す運用は、この記載に正面から反します。

ドローンが乗り得る制度の「枠組み」

「ドローン専用の補助金」というものは、国の制度としては一般的ではありません。実際に使われるのは、設備投資・省力化・販路開拓・新事業といった目的で設計された制度の、補助対象経費の一区分として機械装置が入っているという構図です。したがって見るべきは「ドローンと書いてあるか」ではなく、「機械装置の購入が補助対象経費に入っているか」と「その事業目的に自社の計画が乗るか」です。

制度の枠組み何を支援する制度か機械装置の扱い公式サイト
新事業進出・
ものづくり商業サービス補助金
革新的な新製品・新サービスの開発、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、輸出体制の強化に係る設備投資等 補助対象経費の区分に機械装置・システム構築費が置かれています 中小機構
中小企業省力化投資補助金
(一般型)
人手不足に悩む中小企業等のIoT・ロボット等による省力化。個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築 ハードとソフトを組み合わせた省力化投資が想定されています 中小機構
小規模事業者持続化補助金
(一般型 通常枠)
小規模事業者が経営計画に基づいて行う販路開拓等と、それと併せて行う業務効率化 補助対象経費の第1区分が機械装置等費です。ただし「通常の事業活動のための費用、単なる取替え更新」は対象外 商工会議所地区
デジタル化・AI導入補助金 ITツール・デジタル技術の導入 ソフトウェア寄りの制度。機体そのものより解析・管理システム側が射程に入り得ます 中小企業庁 公募情報
農林水産分野の
スマート農業関連事業
スマート農業技術の現場実装、農業支援サービス事業者の育成 スマート農業機械の導入が射程。農業用ドローンは同分野の重点技術のひとつ 農林水産省
この表は「枠組み」であって、公募中であることを保証するものではありません。 補助率・補助上限額・申請受付期間・要件は公募回ごとに変わり、制度自体が統合・終了することもあります。上の表は2026年9月28日時点で各制度の公式サイトに掲載されていた内容にもとづく整理です。実際に申請する前に、必ずその回の公募要領の原本を読んでください。また、「ドローンは補助対象になる/ならない」と類型で示した公式の記載は確認できていません。対象になるかどうかは、制度の目的に自社の事業計画が乗るかどうかで決まります。

補助対象経費の考え方。「専ら本事業のために」がすべて

ここからが、制度を問わずほぼ共通する部分です。まず補助対象経費の定義。ものづくり補助金の第23次公募要領は、機械装置・システム構築費を次のように定義しています。

「①専ら本事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費。②専ら本事業のための使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費。③①若しくは②と一体で行う、改良・修繕又は据付けに要する経費。」

ドローンに引き寄せると、次のように読めます。

考えていること公募要領の記載からどう読めるか
今使っている機体が古くなったので買い替えたい 持続化補助金の公募要領は「単なる取替え更新の機械装置等の購入は補助対象外」としています。更新それ自体を目的にすると、補助事業として組み立てにくくなります
新しい点検サービスを始めるために機体とソフトを揃えたい 「専ら本事業のために使用される」機械・装置と専用ソフトウェアという定義には乗りやすい形です。事業計画のほうが本体で、機体はその手段という構成になります
買うのではなく、リースで導入したい 同要領は「借用」をリース・レンタルとしたうえで、交付決定後に契約したことが確認できるもので、補助事業実施期間中に要する経費のみとしています。契約期間が実施期間を超える場合は按分になります
自社の他の仕事でも使いたい 「専ら本事業のために使用される」という定義と、後述の目的外使用の論点に直結します。ここは設計段階で詰めておくべき点です
スクールの受講料も対象にしたい 経費区分に何が含まれるかは制度ごとに違います。機械装置費以外の区分に上限が設けられている制度もあり、区分の当てはめは公募要領で確認が必要です
金額の下限にも注意が必要です。 ものづくり補助金の第23次公募要領は「本補助事業では設備投資を行うことが必須です。設備投資は必ず単価50万円(税抜き)以上の機械装置等を取得して納品・検収等を行い、適切に管理を行ってください」としていました。単価の閾値が置かれている制度では、機体1台の価格帯によっては単独で要件を満たさないことがあります。また同要領は、単価50万円以上の物件等については「原則として2者以上から同一条件による見積りをとることが必要」ともしています。相見積りは採択後にあわてて集めるものではなく、申請の準備段階から動いておくものです。

交付決定の前に発注したものは対象外

補助金でいちばん多く、いちばん取り返しがつかないのがこれです。ものづくり補助金の第23次公募要領の一文を、そのまま引きます。

「交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費はいかなる理由があっても補助対象外となります。」

ポイントは、「採択」と「交付決定」が別の段階だということです。手続はおおむね次の順序で進みます。

公募要領の公開。この時点で要件・経費区分・スケジュールが確定します
申請(電子申請。GビズIDが必要)
採択。制度によっては「補助金交付候補者」の決定という言い方をします。まだ発注してはいけません
交付申請。見積書等を提出し、経費の内容が精査されます。ここで減額されることも、全額対象外になることもあります
交付決定。交付決定通知書の交付決定日から補助事業を開始できます。発注・契約・購入はここから
補助事業の実施(発注・納品・検収・支払)
実績報告 → 額の確定 → 請求 → 入金
さらに、その後も事業化状況の報告や財産処分の制限が続きます

持続化補助金の第20回公募要領も、補助事業の流れの説明で「審査の結果、補助金事務局から『交付決定通知書』が送付されます。交付決定通知書に記載の交付決定日から補助事業を開始できます」としたうえで、「交付決定には、採択後、詳細な見積書が速やかに提出された場合でも、採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があります」と注記しています。

機体の納期と、この順序がぶつかります。 補助金の採択が出てから交付決定まで1〜2か月、そこから発注してメーカーの納期、さらに操縦者の技能証明や機体登録の手続。「採択されたら年度内に飛ばせる」という前提で受注の約束をすると破綻します。逆に、納期を理由に先に発注してしまうと、その費用は補助対象から落ちます。先に発注するか、補助金を使うかは、二者択一として最初に決めておくべき論点です。

事業実施期間・実績報告・後払い

交付決定のあとには補助事業実施期間という時間の枠があり、その期間内に発注から支払いまでを完了させる必要があります。ものづくり補助金の第23次公募要領では、革新的新製品・サービス枠の補助事業実施期間が「交付決定日から10か月(ただし採択発表日から12か月後の日まで)」とされていました。長いようでいて、機体の納期と検収、支払処理を考えると余裕はありません。

期間内に事業が終わったら実績報告です。これは公募要領のローカルルールではなく、補助金等適正化法第14条に由来します。同条は「補助事業者等は、…補助事業等が完了したときは、補助事業等の成果を記載した補助事業等実績報告書に…書類を添えて各省各庁の長に報告しなければならない」と定めています。そして第15条により、報告を審査したうえで交付すべき補助金等の額が確定します。

段階根拠実務上の意味
実績報告の提出 適正化法第14条/各公募要領 ものづくり補助金の第23次公募要領では「補助事業を完了のうえ、その日から起算して30日を経過した日又は補助事業実施期間終了日のいずれか早い日まで」に提出とされていました
額の確定 適正化法第15条 報告内容が交付決定の内容と条件に適合するか調査されます。申請額がそのまま下りるとは限りません
支払い 各公募要領 ものづくり補助金の第23次公募要領は「原則として本事業終了後に補助事業実績報告書の提出を受け、補助金交付額の確定後の精算払」としています。持続化補助金の第20回公募要領も「補助金は後払いです」と明記
事業化状況の報告 各公募要領 ものづくり補助金の第23次公募要領では、事業完了年度の終了後5年間、毎会計年度終了後60日以内の報告が求められていました
「後払い」は資金繰りの問題です。 機体もソフトも、代金は自社が先に全額を支払います。補助金が入るのは、事業が終わり、実績報告が審査され、額が確定したあとです。補助率が3分の2であっても、その3分の2は最後にしか来ません。導入額の全額を一度立て替えられるかどうかを、申請を決める前に確認してください。なお、ものづくり補助金の第23次公募要領は、支払いを「補助事業者自らの名義で行った銀行振込の実績で確認をします(原則、現金払い及びクレジットカード払いは不可)」としていました。支払方法によっては経費として認められないことがあります。

買ったあとに残る制限。財産処分と目的外使用

補助金で取得した機体は、入金が終わったら自由になるわけではありません。ここが、ドローンのように可搬で、他の仕事にも転用しやすい機材では特に効いてきます。

法律上の根拠は補助金等適正化法第22条です。

「補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。」

公募要領の側では、これが処分制限財産というかたちで具体化されています。持続化補助金の第20回公募要領は「単価50万円(税抜き)以上の機械装置等の購入は「処分制限財産」に該当し、補助事業が終了し、補助金の支払を受けた後であっても、一定の期間において処分(補助事業目的外での使用、譲渡、担保提供、廃棄等)が制限されます」としています。承認を得ずに処分すれば、交付規程違反として補助金の交付取消・返還命令(加算金付き)の対象になるとも書かれています。

ものづくり補助金の第23次公募要領は、さらに踏み込んで「本補助事業により取得等した財産については、原則として専ら本補助事業に使用される必要があります。本補助事業以外で用いた場合、目的外使用と判断し、残存簿価相当額等を国庫納付いただく必要がございます」としています。

ドローンで特に問題になりやすい場面を挙げます。
  • 補助事業として申請した点検業務以外の、空撮の受注に同じ機体を使う
  • グループ会社や協力会社に機体を貸し出す
  • 機種更新にあたって、補助金で買った機体を下取りに出す・売却する
  • 墜落・全損により廃棄する

いずれも、処分制限期間内であれば事前の承認が要る類型に当たり得ます。「壊れたので捨てた」も処分です。補助金で機体を導入するときは、その機体の使途を社内でどう管理するかまで含めて設計してください。機体の選定そのものについては点検業務のドローンをどう選ぶか。重量区分・型式認証・限定変更の組み合わせも併せてご覧ください。

不正受給の罰則は重く、両罰規定もあります。 補助金等適正化法第29条第1項は「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定めています。同条第2項は「情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする」とし、第32条は法人の従業者等が業務に関して違反行為をしたときに法人にも各本条の罰金刑を科すとしています。また第30条は、第11条に違反して補助金等を他の用途に使用した者を三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金としています。

申請書類の作成を誰に頼めるか。2026年1月の法改正

補助金の申請は、事業計画書の作成を含めて負担が重く、外部の支援を受けたくなる場面です。ここで2026年1月1日に施行された改正行政書士法が関係してきます。

改正後の行政書士法第19条第1項は、行政書士・行政書士法人でない者は「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない」と定めています。第1条の3が定める業務は官公署に提出する書類の作成であり、その作成に代えて作成する電磁的記録も含まれます。補助金の交付申請は国等に対する申請ですから、その申請書類の作成は、この条文の射程に入ります。

やろうとしていること第19条第1項との関係
自社で申請する(本人申請) 制限はありません。第19条第1項は「他人の依頼を受け」た場合の規定であり、自分の事業のために自分で申請書類を作ることは対象外です。補助金の申請は、本来は自社でやるものです
商工会・商工会議所の支援を受ける 持続化補助金は、そもそも商工会・商工会議所による事業支援計画書(様式4)の発行を受けることが要件に組み込まれています
報酬を払って、書類の作成そのものを外部に任せる 行政書士・行政書士法人でない者がこれを業として行えば、第19条第1項に違反します。報酬の名目が「コンサルティング料」「成功報酬」「サポート料」であっても同じです
制度の一般的な説明・セミナーを受ける 書類の作成に踏み込まない一般的な情報提供は、第19条第1項が禁じる「書類の作成」には直ちには当たりません。ただし境界は薄く、ヒアリングして申請内容を一緒に作る段階に入れば、実質的に作成に当たり得ます
公募要領の側にも、第三者支援に関する規定が入っています。 持続化補助金の第20回公募要領は、「事業計画の検討に際して第三者の支援を受ける場合には、提供するサービスの内容と乖離した「高額なアドバイス料金」を請求される業者等にご注意ください」としたうえで、「第三者の支援(支援料金の支払いの有無に関わらず)を受けているにも関わらず、確認事項入力(様式2)「商工会・商工会議所を除く第三者からのアドバイスの有無」の項目でその相手方および支援に係る金額(着手金、成功報酬その他名目のいかんを問わず)の記載がない場合には、虚偽の報告として不採択・交付決定取消となります」と明記しています。誰に支援を受けたかは、申告事項です。

なお、よく見かける「2026年の改正で補助金申請の代行が独占業務になった」という説明は、正確ではありません。行政書士法の条文に「補助金」という語は出てきません。改正で条文に明示されたのは報酬の名目を問わないことであり、日本行政書士会連合会の会長談話も「これらは現行法においても変わりはなく」として、従来からの解釈の明確化であることを述べています。条文の読み方は無資格のドローン申請代行はなぜ違反になるのか、条文で確かめるで逐条的に整理しています。誰に頼むかの判断軸はドローンの飛行許可、2026年からは誰に頼めば適法なのかをご覧ください。

補助金と、航空法の手続は別のレイヤー

最後に、混同されやすい点を整理します。補助金が採択されても、飛ばせるようになるわけではありません。この2つは別の役所の、別の手続です。

レイヤー相手方内容タイミング
①補助金 各省各庁(事務局) 公募→申請→採択→交付申請→交付決定→実施→実績報告→精算払 公募回に縛られる。逃すと次の回まで待つ
②機体登録 国土交通大臣(DIPS2.0) 100g以上の無人航空機の登録。登録記号の表示とリモートID 機体が手元に来てから。交付決定→発注→納品の後
③飛行の許可・承認 国土交通大臣(DIPS2.0) 特定飛行に当たる場合の許可・承認。新規は飛行開始予定日の10開庁日前までに申請 機体登録の後。審査に数週間かかる前提で逆算する
④操縦者の資格 国土交通大臣/登録講習機関 技能証明(国家資格)を取る場合。学科・実地・身体検査 いちばん先に着手できる。補助金の可否と無関係に進められる
⑤発注者・施設側 発注者、施設管理者、土地所有者 飛ばしてよいかの同意。航空法とは別 実務上のクリティカルパスになりやすい
順序を意識すると、事業計画書が書きやすくなります。 補助金の事業計画書には、導入した設備でいつから何ができるようになるかを書くことになります。ドローンの場合、機体が届いてから実際に業務で飛ばせるまでに、機体登録と飛行許可・承認の時間が挟まります。この時間を計画に織り込んでいないと、補助事業実施期間の終盤で苦しくなります。許可・承認の全体像はドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイド、反復して飛ぶ場合の設計は包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準で扱っています。国家資格を従業員に取らせる場合の逆算は法人が従業員に国家資格を取らせるときの計画をご覧ください。

よくある質問

「ドローン補助金」という制度はありますか。
国の制度として、ドローンだけを対象にした補助金という枠組みは一般的ではありません。実際に使われているのは、設備投資・省力化・販路開拓・新事業といった目的で設計された制度の補助対象経費の一区分として機械装置が入っているという形です。したがって探すときは「ドローン」で検索するよりも、自社がやろうとしている事業の目的(省力化なのか、新サービスの開発なのか、販路開拓なのか)で制度を探すほうが早くなります。
どこで探すのが確実ですか。
国の制度であれば、まずデジタル庁が運営するJグランツ(検索と電子申請)、次に中小企業庁のミラサポplus(制度の全体像)と補助金公募情報(公募回の時系列)です。農林水産分野なら農林水産省のページが本体になります。加えて、事業所がある自治体の産業振興担当部署のページも確認してください。
採択されたので、納期の長い機体を先に発注してもいいですか。
やめたほうがよい、というより、やると補助対象から落ちます。ものづくり補助金の第23次公募要領は「交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費はいかなる理由があっても補助対象外となります」と書いています。採択と交付決定は別で、持続化補助金の第20回公募要領は交付決定まで採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があると注記しています。納期を優先して先に発注するか、補助金を使うかは、最初に決めておくべき二者択一です。
補助率が3分の2なら、自己負担は3分の1で済みますか。
最終的な負担割合はそうなり得ますが、資金繰りの話は別です。持続化補助金の第20回公募要領は「補助事業遂行の際には自己負担が必要となり、補助金は後払いです」と明記しています。ものづくり補助金の第23次公募要領も「補助金交付額の確定後の精算払」としています。つまり、いったんは全額を自社で支払う必要があります。さらに実績報告の審査で額が減ることもあり、申請額がそのまま入るとは限りません。
補助金で買った機体を、他の案件で使ってもいいですか。
制度と条件次第ですが、無条件ではありません。補助金等適正化法第22条は、補助事業で取得した政令で定める財産について、承認を受けないで交付の目的に反して使用・譲渡・交換・貸付け・担保供与をしてはならないと定めています。ものづくり補助金の第23次公募要領は、取得財産は「原則として専ら本補助事業に使用される必要があります。本補助事業以外で用いた場合、目的外使用と判断し」残存簿価相当額等を国庫納付する必要があるとしています。売却・貸出・廃棄も処分に当たり得ます。迷う使い方をする前に、事務局に確認してください。
申請にGビズIDは必ず必要ですか。
制度によりますが、国の補助金の多くは電子申請のみで、GビズIDプライムが求められます。持続化補助金の第20回公募要領は「申請には『GビズIDプライム』のアカウント取得が必要です。未取得の方は必ず事前に利用登録を行ってください」としています。プライムは審査があるため即日では発行されません。制度を探し始めた段階で並行して取得しておくのが実務です。また同要領は、第三者にプライムやメンバーのID・パスワードを開示することはGビズIDの利用規約第11条に反する行為だとしています。
申請書類の作成を業者に頼んでも問題ありませんか。
行政書士・行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として官公署に提出する書類(電磁的記録を含む)を作成することは、行政書士法第19条第1項に違反します。報酬の名目が「コンサルティング料」「成功報酬」であっても同じです。一方、自社で申請すること(本人申請)に制限はありません。また、持続化補助金の第20回公募要領は、第三者の支援を受けた場合にその相手方と金額を申告しないことを虚偽の報告として不採択・交付決定取消の事由としています。
補助金が採択されれば、すぐ飛ばせますか。
いいえ。補助金は各省各庁に対する手続で、飛ばすために必要な機体登録と飛行の許可・承認は国土交通大臣に対する別の手続です。100g以上の機体は登録が必要で、特定飛行に当たる場合の許可・承認は新規なら飛行開始予定日の10開庁日前までに申請することとされ、国土交通省は不備による追加確認を見込んで3〜4週間程度の余裕を推奨しています。交付決定→発注→納品→機体登録→飛行許可・承認という順序を、補助事業実施期間の中に収める必要があります。
この記事に補助率や上限額が書かれていないのはなぜですか。
公募回ごとに変わるからです。制度名そのものも統廃合で変わります。この記事で制度名や金額に触れている箇所は、すべてどの制度の第何回公募の公募要領に、いつ時点で書かれていたかを付記しています。読まれている時点では変わっている可能性が高いため、必ず公式サイトの最新の公募要領で確認してください。補助金の制度そのものをもう少し広く知りたい場合は、姉妹サイトの補助金採択ナビでも制度別の解説を扱っています。
本記事は2026年9月28日時点の情報です。 補助金は公募回ごとに要件・補助率・補助上限額・申請受付期間が変わり、制度そのものが統合・終了することもあります。この記事に登場する制度名・金額・期間は、すべて上記の公募要領を確認した時点の記載にもとづくものであり、現在の公募回の内容とは異なる可能性があります。また、ドローンが補助対象になるかどうかを類型で示した公式の記載は確認できていません。実際の申請の前に、必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。
補助金の制度そのものについて、もう少し広く知りたい場合。 補助金の制度別の解説や採択のプロセスについては、姉妹サイトの補助金採択ナビで扱っています。このサイトはドローンの手続に特化しているため、制度横断の情報はそちらのほうが厚くなります。

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