DIPS2.0で飛行計画を通報する手順。入力項目と、つまずきやすい所
飛行計画の通報は、DIPS2.0の「飛行計画の登録」から、決められた項目を入力して「登録」を押すまでの一連の操作です。入力欄はDIPSが勝手に決めたものではなく、航空法施行規則第236条の83第1項の各号がそのまま画面の項目になっています。 つまずきやすいのは決まった場所です。他人が取った包括許可に基づく飛行は、許可番号がプルダウンに出ないので手入力すること。飛行の開始は時刻の到来で自動、終了は「飛行終了」ボタンを押す操作であること。所要時間は5分単位のプルダウンで最大24時間であること。そして事後の通報が認められるのは、省令上「システムに障害が発生した場合」に限られること。 この記事は、DIPS2.0操作マニュアル飛行計画通報編(表紙 ver2026/9/28)と飛行計画の通報要領(令和8年3月31日最終改正)の原本に沿って、入力項目ごとに何を書くかを並べます。
航空法施行規則 第236条の83第5項・第4項DIPS2.0 飛行計画通報 よくある質問 操作マニュアル P.01-29操作マニュアル P.05-5/P.06-11/P.06-12入力欄は条文でできている。省令の号とDIPSの項目の対応
DIPS2.0の飛行計画の入力画面は、項目数が多くて面食らいます。ただ、並んでいる欄は法律と省令が「明らかにしなければならない」と定めた事項をそのまま画面にしたものです。対応が分かると、どの欄が飛ばせないかが判断できます。
航空法第132条の88第1項は、通報すべき飛行計画に「当該特定飛行の日時、経路その他国土交通省令で定める事項」を記載するよう求めています。日時と経路は法律側にあり、残りが航空法施行規則第236条の83第1項の13の号です。
| 根拠 | 条文の文言 | DIPS2.0の入力項目 |
|---|---|---|
| 法第132条の88第1項 | 当該特定飛行の日時 | 開始日時/所要時間(終了日時は自動計算)/定期・複数日指定 |
| 同 | 当該特定飛行の経路 | 飛行経路/飛行範囲(地図上に作図) |
| 規則 第1項第1号 | 無人航空機の登録記号及び種類 | 機体情報(登録済みの機体を選択すると紐付く) |
| 同 第2号 | 無人航空機の型式(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る) | 機体情報(同上) |
| 同 第3号 | 無人航空機を飛行させる者の氏名 | 操縦者情報(登録済みの操縦者を選択すると紐付く) |
| 同 第4号 | 同人の無人航空機操縦者技能証明書番号(交付を受けている場合に限る) | 操縦者情報(同上) |
| 同 第5号 | 許可又は承認の番号(受けている場合に限る) | 飛行許可番号(プルダウン選択または手入力) |
| 同 第6号 | 飛行の目的、高度及び速度 | 飛行目的/飛行高度/飛行速度 |
| 同 第7号 | 飛行させる飛行禁止空域及び飛行の方法 | 飛行空域/飛行方法 |
| 同 第8号 | 出発地 | 出発地 |
| 同 第9号 | 目的地 | 目的地 |
| 同 第10号 | 目的地に到着するまでの所要時間 | 所要時間(5分単位のプルダウン) |
| 同 第11号 | 立入管理措置の有無及びその内容 | 立ち入り管理措置の有無/補助者人数/係留飛行の有無 |
| 同 第12号 | 無人航空機の事故等により支払うことのある損害賠償のための保険契約の有無及びその内容 | 保険に関する情報(保険会社名・商品名・対人保険金額・対物保険金額・未加入の場合の賠償能力 等) |
| 同 第13号 | その他参考となる事項 | その他情報 |
通報要領(令和8年3月31日最終改正)の4.(3)も、同じ順で通報事項 a)〜n) を並べています。1つだけ条文にない補足があり、登録記号の欄について「試験飛行機等で登録記号を受けていない場合は、当該試験飛行に係る届出番号。離着陸場所管理団体の飛行届出要領(令和7年3月17日制定 国空無機第98696号)に基づく飛行の場合は、当該要領に基づく識別番号」としています。
通報の前に済ませておく2つの登録
飛行計画の画面で機体と操縦者は選ぶものであって、その場で打ち込むものではありません。操作マニュアルは通報手順の前に「05.事前準備(無人航空機情報の管理)」「06.事前準備(操縦者情報の管理)」の2章を置いています。飛行計画通報メインメニューの「無人航空機情報の登録・変更」と「操縦者情報の登録・変更」から行います。
ここで効くのが、飛行許可・承認申請の側で登録した情報がそのまま使えることです。DIPS2.0のよくある質問は「(飛行許可・承認申請機能)において、機体及び操縦者の初期登録を行っているが、当機能でも再度実施する必要があるか?」に対して「飛行許可・承認申請と情報を連動しているため、再度の登録は不要です」と答えています。
| 準備するもの | 公式の記載 | 詰まりやすい点 |
|---|---|---|
| DIPS2.0のアカウント | ログインIDは英字3文字+数字6文字(例:ABC123456)。ログイン後、ポータル画面の右上にアカウントの氏名が表示される | 個人か法人かでアカウントの種類が違う。法人の担当者欄は1名分しかない |
| 機体情報 | 機体を選ぶと登録記号等/無人航空機の種類/機体認証書番号/製造者/型式/最大離陸重量/飛行可能時間が紐付く(通報要領5.(2)b) | 他人名義の機体は自分で入力するのではなく、所有者側で「機体情報の提供」の操作をしてもらう |
| 操縦者情報 | 操縦者を選ぶと技能証明書番号/氏名/住所/電話番号/メールアドレスが紐付く(同5.(2)c)。住所は「地名、番地、建物、部屋番号まで」、電話番号は「ハイフンなしで数字のみ」 | 他アカウントからの操縦者情報の提供は技能証明の保持者に限られる。それ以外は利用者ごとに入力する |
| 保険等の情報 | 保険会社名・商品名・対人保険金額・対物保険金額。未加入なら賠償能力を入力する欄がある | 証券を見ないと金額が出てこない。先に控えておく |
| 許可・承認書 | 準備物として飛行許可番号/許可書発行日/許可の期間(開始・終了年月日)/カテゴリー区分情報が挙げられている(P.01-6) | 自分のアカウントで取った許可ならプルダウンで済むが、そうでなければこの4点を手で入れる |
アカウントを誰の名義で作るか、社内で何人が触るかという設計は、通報の回数が増えるほど効いてきます。そこはDIPS2.0の法人アカウントと個人アカウントの使い分けと複数人でDIPS2.0を運用するときの権限設計で扱っています。
通報の手順(許可・承認を受けている飛行の場合)
操作マニュアルの「01.飛行計画の通報方法」は、Ⅰ. 飛行許可・承認申請済の飛行を行う場合とⅡ. 飛行許可・承認申請を省略、または不要の飛行を行う場合に分かれ、それぞれに①新規に飛行計画を作成すると②過去の飛行計画を流用して作成するがあります。まずⅠ①の6ステップです。ボタン名はマニュアルの記載どおりに書いています。
②の「過去の飛行計画を流用して作成する」は、飛行計画一覧で対象の行の「複写」ボタンを押します。開いた作成ページには「以前の飛行計画通報時に入力された情報が反映されます」(P.01-64)。ステップは5つになり、飛行許可番号を入れる工程がなくなります。複写元が認定USPのシステムから登録された飛行計画の場合は、DIPS2.0上で複写できません(P.01-63)。
入力項目ごとに、何を書くか
ここがこの記事の本体です。操作マニュアルの説明文と、通報要領5.(2)の入力の定めを並べ、項目ごとに書く内容と落とし穴を示します。通報要領は「通報システムへの入力は原則選択形式」とし、時刻は日本標準時(JST)、時刻及び時間は分の単位までを数字で表示すると定めています。
名称と、経路の流用
| 入力項目 | 公式の説明 | 書き方と注意 |
|---|---|---|
| 飛行計画名称 | 「作成する飛行計画に付与する任意の名称」「当情報は他の利用者へは公開されません」「入力可能文字数は30文字以内」(P.01-32) | 公開されないので、社内で探せる名前にする。案件名+現場名+日付のように決め打ちしておくと、一覧から複写するときに間違えない |
| 参照飛行経路保存名称 | 「DIPS2.0にて飛行許可・承認申請時に飛行経路を作成した場合、飛行範囲の形状を流用可能です。流用するには飛行許可・承認申請時の『参照飛行経路保存名称』を選択してください」(P.01-33) | 許可申請の経路図をDIPS2.0で作っていれば、同じ形を引っ張れる。申請時に保存名称を分かる名前にしておくと、ここで効く |
飛行許可番号──プルダウンで出ないときの扱い
最初の関門です。マニュアルは「『許可番号』は飛行許可・承認申請済みの『許可番号』をプルダウンで選択します。(ご自身のアカウントで飛行許可・承認申請を行った場合に限ります)」と書いています。プルダウンに出ないケースは公式に2つ示されています。
| 状況 | 公式の記載 | 出典 |
|---|---|---|
| 他人が取った包括許可に基づいて飛ぶ | 「自分以外が包括で申請した飛行許可・承認申請に基づく飛行計画を通報することは可能ですか。」→「可能です。許可・承認書を確認し、飛行計画通報時の「飛行許可番号」に内容を手入力してください。」 | 飛行計画通報 よくある質問 |
| 旧システムで取った古い許可(飛行開始日が令和4年12月4日以前) | 「上記、『許可番号』欄のプルダウンで選択できる情報は、令和4年12月5日以降を飛行開始日とする許可承認番号です。…旧ドローン情報基盤システムにて飛行許可承認を取得した飛行計画を通報する場合、『飛行許可番号』を押下し、飛行許可番号入力エリアが表示されたのち、航空局から発行された飛行許可承認書の内容をもとに必要な項目を入力してください。」 | 操作マニュアル P.01-29 |
手入力する場合に必要な項目は、マニュアルの準備物一覧(P.01-6)に挙がっている飛行許可番号/許可書発行日/許可の期間(開始・終了年月日)/カテゴリー区分情報です。現場で許可書を探し始めると詰みます。審査要領は、飛行の際に許可書又は承認書の原本又は写しを携行することを求めていますから、どのみち手元に要ります。
機体・操縦者・目的・空域・方法
この4つは、いずれもボタンを押すと入力エリアが開き、選んで「登録」を押す形式です。選択肢は通報要領が列挙しているので、事前に決めておけます。
| 入力項目 | 選択肢・紐付く情報 | 注意 |
|---|---|---|
| 機体情報 | 登録記号等/無人航空機の種類/機体認証書番号/製造者/型式/最大離陸重量/飛行可能時間が紐付く | 予備機に差し替えれば登録記号も変わる。当日使う可能性のある機体は全部選ぶのか、1機に絞るのかを先に決めておく |
| 操縦者情報 | 技能証明書番号(受けている場合に限る)/氏名/住所/電話番号/メールアドレスが紐付く | 当日の交代を織り込むなら交代者も選ぶ。連絡先の自動入力にも使うので、電話番号の形式(ハイフンなし)に注意 |
| 飛行目的 | 業務=空撮/報道取材/警備/農林水産業/測量/環境調査/設備メンテナンス/インフラ点検・保守/資材管理/輸送・宅配/自然観測/事故・災害対応等/その他。業務以外=趣味/研究開発/その他 | 許可・承認申請に書いた目的と揃える。業務か業務以外かで区分が分かれている点に注意 |
| 飛行空域 (法第132条の85第1項関係) |
空港等周辺/地表又は水面から150m以上の高さの空域/人又は家屋の密集している地域の上空/上記空域の飛行は行わない | 該当しないときに空欄ではなく「上記空域の飛行は行わない」を選ぶという設計。選び忘れると先に進めない |
| 飛行方法 (法第132条の86第2項関係) |
夜間/目視外/地上又は水上の人又は物件から30m未満/催し場所上空/危険物輸送/物件投下/上記方法の飛行は行わない | 同じく該当なしの選択肢がある。許可・承認で取っている範囲と、その日に実際に行う内容は別物。その日に行うものだけを選ぶ |
保険に関する情報
「保険に関する情報」ボタンを押すと入力エリアが開きます(P.01-39)。通報要領5.(2)d)エ)が挙げる項目は保険会社名/商品名/対人保険金額/対物保険金額/保険未加入の場合の賠償能力 等です。未加入の場合の欄が用意されていることからも分かるとおり、加入していなければ通報できないという作りではありません。通報事項は「保険契約の有無及びその内容」(規則第236条の83第1項第12号)だからです。
立ち入り管理措置・補助者・係留
条文の第11号は「立入管理措置の有無及びその内容」ですが、DIPS2.0では有無の選択と、補助者の人数、係留飛行の有無に分かれています。
| 入力項目 | 公式の説明 | 注意 |
|---|---|---|
| 立ち入り管理措置 | 「無人航空機の飛行について、第三者の上空を飛行させることのないよう、補助者の配置や立入管理区画を設定することにより飛行エリア内への第三者の立ち入りを管理する措置を指します。多数の者の集合する催し場所の上空における飛行を行う場合は、「立入禁止区画」を設定してください。」(P.01-40) | 「有」で通報した以上、当日その措置を実際に講じていなければ通報内容と現場が食い違う。立入管理措置とは。現場で実際に何をするのか |
| 補助者人数 | 「補助者の配置を行う場合は人数を入力してください。補助者の配置を行わない場合は0を入力してください」(P.01-42) | 空欄ではなく0。なお通報要領は、広範囲な飛行経路の通報には「操縦者及び補助者の人数から一定の距離を計算することによる制限」がかかるとしている。人数は経路の描画可能範囲に効く |
| 係留飛行の有無 | 「『係留飛行』の有無について選択してください」(P.01-41) | 30m以下の係留で許可・承認が不要になる範囲がある。30m以下の係留で許可・承認が不要になる範囲 |
出発地・目的地──書式が指定されている
ここは自由記述ですが、書き方が決まっています。操作マニュアルと通報要領が同じ文言で、「地名の場合は都道府県名+市区郡名+町村名(必要に応じ丁目・番地等のより詳細な情報)を、固有名詞の場合は○○運動場、○○公園、○○工場等の情報を入力」としています(P.01-43/通報要領5.(2)d)カ)キ))。
同じ地点に戻る運用でも、目的地の欄は埋めます。条文が第8号と第9号で別々に求めているためです。飛行日誌の離着陸場所とも突き合わせられる書き方にしておくと、記録の整合が取りやすくなります(ドローンの飛行日誌の書き方)。
時間まわり──3つの「時間」を取り違えない
DIPS2.0には時間に関する欄が3つあり、意味がそれぞれ違います。ここが最もつまずく箇所です。
| 欄 | 何を入れるか | 形式 |
|---|---|---|
| 飛行可能時間 | 「飛行させる機体の諸元値から飛行可能時間を入力してください。(最大飛行時間)」「複数機体飛行させる場合は、飛行させる機体のうち最大値を入力」「バッテリー交換等により連続して飛行させる場合においても諸元値を入力」(P.01-44) | 機体のスペック。当日の予定時間ではない |
| 所要時間 | 「飛行計画全体の所要時間を入力してください。開始日時と所要時間から終了日時は自動で設定されます」(P.01-45)。通報要領は「飛行開始時刻から飛行終了時刻までの時間」と定義 | 5分単位のプルダウン。最大24時間。超える部分は別の飛行計画に分割する |
| 開始日時 | 「yyyy/mm/dd横の『▼』を押すとカレンダーが表示されるので、飛行の開始日付を選択」「プルダウンで飛行の開始時間を選択」(P.01-46) | プルダウンは1日/1時間/5分単位。終了日時は自動計算で、直接は入れない |
「飛行可能時間」を当日の作業時間だと思って入れてしまうのが典型的な取り違えです。バッテリーを何本回しても、入れるのは機体の諸元値だとマニュアルが明記しています。
複数日にわたる現場では「定期・複数日指定」が使えます。「同一の飛行計画を複数登録する場合、『定期・複数日指定』を押すとカレンダーが表示されるので、登録する日付を選択し、『登録』ボタンを押してください。選択は入力日から起算して最長90日先まで可能です」(P.01-47)。通報要領も「複数日の飛行計画を1回の操作によりまとめて通報することができる」としています。所要時間の上限が24時間であることと、この機能は矛盾しません。1日あたりの計画を、日付だけ変えて一度に作る仕組みです。
速度と高度──単位と基準が指定されている
| 欄 | 通報要領の定め | 操作マニュアルの説明 |
|---|---|---|
| 飛行速度 | 「巡航速度等、当該飛行で多用する速度又は最大速度で対地速度(GS)とし、単位はキロメートル毎時(km/h)」。「参考情報として欄外にノット(kt)換算されたものが自動表示される」 | 「当該飛行で多用する速度(2拠点間移動の場合は巡航速度)または最大速度を入力してください」(P.01-48) |
| 飛行高度 | 「巡航高度等、当該飛行で多用する高度又は最大高度で対地高度(AGL)とし、単位はメートル(m)」 | 「最大高度『地表等からの高度』で入力してください。『地表等からの高度』とは、無人航空機を飛行させる地表又は水面からの高さを指します」(P.01-49) |
高度は海抜ではなく対地です。山間部や河川敷で機体側の表示と取り違えると、150m以上の空域に当たるかどうかの判断がずれます。許可・承認の条件を超える値を入れないことも当然の前提です。
連絡先──ここで選んだメールアドレスは公開される
見落とされがちな欄です。操作マニュアルは「当飛行計画に対する連絡先を入力してください。『自アカウントの情報』、『飛行許可・承認申請書記載の情報』、『操縦者』のいずれかを選択することで、事前登録済みの情報に関しては自動で入力されます」としたうえで、続けてこう書いています。
通報要領5.(2)d)ス)も、連絡先の氏名・住所・電話番号・メールアドレスについて「これらの事項は、他の飛行計画と重複する場合の当事者間での調整の際に使用する」としています。実際、調整掲示板で他の通報者の飛行計画アイコンをクリックすると、表示される情報に「通報者メールアドレス」が含まれます(P.07-13)。誰のメールアドレスを載せるかは、見知らぬ相手から連絡が来る前提で決めてください。
3つの選択肢のうちどれが適切かは、社内の運用によります。当日その場で調整に応じられるのは操縦者ですが、操縦中はメールを見られません。事務所側で受けるなら「自アカウントの情報」が現実的です。選択肢があること自体が、通報者と操縦者が同一人でない運用を制度が想定していることの表れでもあります。
飛行経路の描画
作図方法は、通報要領が「①多角形、②円形(半径を指定)、③線形の3種類」としています。操作マニュアルの画面説明では同じ選択肢が「多角形、円、バッファライン」と表記されており(P.01-14)、呼び方が一致していません。対応関係は公式には明示されていませんが、画面上は3種類から選ぶ点で共通しています。
描いた経路については、通報要領が「作図された飛行経路を基に緯度経度(世界測地系)の情報を通報システム内で自動保持する(特に画面表示はなし)」と書いています。座標は画面に出ないが保持されている、という前提を押さえておいてください。
地図には飛行禁止エリアを重ねて表示できます(「禁止エリア表示」ボタン)。マニュアルが挙げているのは次のエリアです。
| 関係法令等 | エリア名称 | マニュアルのエリア説明 |
|---|---|---|
| 航空法 | 空港等の周辺空域 | 進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域、(進入表面等がない)飛行場周辺の、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域 |
| 人口集中地区 | 5年毎に実施される国勢調査の結果から一定の基準により設定される地域 | |
| 緊急用務空域 | 警察、消防活動等緊急用務を行うための航空機の飛行が想定される場合に、無人航空機の飛行を原則禁止する空域 | |
| 有人機離発着エリア | 有人機運航者が設定する有人機離発着エリア | |
| 試験飛行届出エリア | 試験飛行を行うエリア | |
| リモートID特定区域 | リモートID適用除外の空域 | |
| 小型無人機等 飛行禁止法 | レッドゾーン | 重要施設の敷地、区域の上空(①国の重要な施設等②外国公館等③防衛関係施設④空港⑤原子力事業所) |
| イエローゾーン | レッドゾーンの周囲おおむね1,000メートルの上空 | |
| その他 | 条例等で定めるエリア | 地方自治体が所管する条例で設定するエリア |
イエローゾーンがおおむね1,000メートルと書かれている点は、2026年7月の小型無人機等飛行禁止法の改正を反映した記載です(小型無人機等飛行禁止法。おおむね300mから1,000mへ拡大された2026年7月改正)。
許可・承認がない飛行を通報するとき
操作マニュアルのⅡは「飛行許可・承認申請を省略、または不要の飛行を行う場合」です。機体認証と技能証明で許可・承認が不要になる飛行、そもそも許可・承認が要らない飛行がここに当たります。入力画面はⅠとほぼ同じで、違いは2つだけです。
- 「『飛行許可番号』を押すと飛行許可番号入力エリアが表示されますが、飛行許可・承認申請を省略、または不要の飛行を行う場合は各項目の入力は不要です。未入力のまま次の項目入力へ進んでください」(P.01-102)
- 「『参照飛行経路保存名称』への項目入力は不要です」(P.01-103)
通報要領5.(2)a)ア)も「許可又は承認を受けていない場合は特に入力は行わない」としています。
なお、特定飛行に当たらない飛行でも通報は推奨されています。よくある質問は「特定飛行を行わない場合においても、航空機と無人航空機、無人航空機間における安全確保のため、登録のご協力をお願いします」としており、通報要領4.(2)も「飛行計画の通報が義務付けられない場合(特定飛行を行わない場合)であっても、本要領に沿って飛行計画の通報を行うことが推奨される」と書いています。
「登録」を押したあとに出る2つのメッセージ
最後に「登録」を押したところで、マニュアルは2種類の注意事項を挙げています。どちらも通報が終わったあとに追加の行動を求めるもので、読み飛ばすと手順が途中で止まります。
| # | どんなときに出るか | 公式の指示 |
|---|---|---|
| ① | 他のユーザーの飛行計画と重複していた場合 | 「重複しないように飛行計画を変更するか、飛行計画の登録後に相手ユーザーと飛行計画の調整を実施してください。」(P.01-55) |
| ② | 登録した飛行計画が特定の飛行条件に該当する場合 | 「はいを選択した場合:通知メールの内容に従って、関係組織への通知を行ってください。※有人機関連団体へはDIPS2.0を通じて自動で通知されます。いいえを選択した場合:通知メールの内容に従って、関係組織および有人機関連団体への通知を行ってください。」(P.01-55) |
②は、DIPS2.0の外で自分が連絡を取らなければならない場合があることを示しています。何が「特定の飛行条件」なのかは、P.01-55に載っている「確認事項」ダイアログの画面そのものに書かれています(2026年10月11日訂正)。ダイアログの文面は「入力された飛行計画はカテゴリーⅡ(レベル3、3.5)又はカテゴリーⅢ飛行に該当するため、有人機関連団体(※1)および関係組織(※2)への通知を行う必要があります。DIPS2.0を通じて有人機関連団体への通知を行いますか。(関係組織へは通報者自身で報告する必要があります)」で、注記として「※1:航空機の運航者が所属する団体」「※2:救急医療用ヘリコプターの運航者および、官公庁の航空機運航者」が付いています。つまり特定の飛行条件=カテゴリーⅡ(レベル3、3.5)又はカテゴリーⅢ飛行で、「関係組織」が誰かもここで定義されています。このメッセージが出たら、届いたメールを最後まで読んでから現場に出てください。
登録が終わったら、飛行計画一覧から登録済みの飛行を選び、飛行計画詳細(通報者)画面で「登録情報及びカテゴリー判定結果」を確認します(P.01-57)。入力内容に確認事項がある場合は、「登録」を押した時点でカテゴリー判定結果と該当項目に関する確認文が表示され、確認・修正のうえ再度「登録」を押す必要があります(P.01-58)。1回押しただけで通報が終わったと思い込まないことです。カテゴリーⅢに判定される飛行の要件はカテゴリーⅢ飛行の要件。20開庁日前とリスク評価で扱っています。
重複したときの調整
通報要領4.(4)は、自分の飛行計画が他の無人航空機の飛行計画の情報(飛行日時、経路、高度の全て)と重複する場合には、飛行の中止または当事者間での調整により重複のない飛行計画を通報しなければならない、と定めています。3要素の「すべて」が重なったときが対象なので、高度をずらす、時間帯をずらすといった調整で外せる場合があります。
調整の場として、DIPS2.0には飛行計画調整掲示板があります(2024年3月25日のメンテナンス以降に追加された機能です)。手順は次のとおりです。
ここで押さえておきたいのは、掲示板では自由入力ができないことです。マニュアルは「自由入力によるメッセージの作成はできません」「調整したい内容が選択肢にない場合は『メールで調整を行いたい』のメッセージを調整相手へ送信した後で、ドローン情報基盤システムの調整掲示板を使用せず、個別にメールでの調整を実施してください」としています(P.07-16/P.07-29)。送れるのは選択肢から選ぶ定型文だけです。また同じ画面には「飛行計画を編集する」ボタンも置かれており、掲示板からそのまま自分の飛行計画の変更に入れます(P.07-16)(2026年10月11日訂正)。掲示板での調整の進め方は「飛行計画が他機と重なったとき。掲示板での調整と、譲り合いのルール」で詳しく扱っています。
よくある質問は、調整の手段として「飛行計画調整掲示板又は通報者とのメールを用いて個別に調整を実施してください」としており、掲示板を使わずメールで直接やり取りする方法も認めています。重複メッセージの内容についても「飛行当日、近隣を飛行予定の無人航空機の操縦者の連絡先等になります」と説明しています。
飛行の開始と終了、変更と削除
通報したら終わりではありません。操作マニュアルは「05.飛行の開始方法」「06.飛行の終了方法」を独立した章として置いています。開始と終了は、操作の重みが違います。
| 場面 | 操作 | 公式の記載 |
|---|---|---|
| 飛行の開始 | 操作は不要 | 「飛行計画通報時に入力した飛行開始時間到来に伴い、自動で開始されます」(P.05-5/P.05-11)。飛行計画一覧で対象計画の「飛行状況」ボタンを押すと「開始終了」ページが開き、「開始日時」から起算された「飛行時間」を確認できる |
| 飛行の終了 | 「飛行終了」ボタンを押す | 「『飛行終了』ボタンを押すと、飛行の終了を通報します。確認ダイアログを確認後、『OK』ボタンを押してください」(P.06-11) |
| 終了操作を忘れた | 自動で終了が通報される | 「『飛行終了』ボタンを押さずに『終了日時』を超過した場合、飛行計画一覧より『飛行状況』ボタンが押せなくなり、自動で飛行の終了を通報します」(P.06-12) |
| 飛行中の有人機接近 | 画面とメールで通知 | 「飛行中、飛行計画通報時に入力した飛行経路/飛行範囲に対して、有人航空機が接近している場合、当該画面でのアラート通知が掲載されます。また、別途メールにて通報者宛てに航空機接近警告通知が送付されます」(P.05-12/P.06-13) |
自動終了の仕組みがあるからといって、終了操作を省いてよいという話ではありません。早く終わったのに終了日時まで「飛行中」のまま表示され続ければ、他の通報者から見た空域の状況が実態とずれます。飛行計画の通報は他機との重複を避けるための情報共有の仕組みなので、実態に合わせるのが筋です。なお、終了操作を忘れたこと自体に罰則が置かれているわけではありません。航空法第157条の10第1項第10号が罰するのは「通報をしないで、特定飛行を行つたとき」です。
変更・中止・削除
予定が変わったときの扱いは、条文と要領の両方に定めがあります。
| 場面 | 根拠と内容 | DIPS2.0の操作 |
|---|---|---|
| 内容が変わった | 規則第236条の83第3項「通報した飛行計画を変更する場合には、第一項各号に掲げる事項のうち、無人航空機の登録記号及び変更しようとする事項を通報すれば足りる」。通報要領4.(6)も同旨 | 飛行計画一覧で対象の「更新」ボタン →「飛行計画詳細(通報者)」ページで入力し直す(P.02-10/P.02-11) |
| 飛行開始前に中止した | 通報要領4.(6)「飛行開始前に、飛行計画を通報した飛行を中止する場合には、飛行の中止が判明した時点で速やかに当該飛行計画の通報を取り消すものとする」 | 飛行計画一覧で対象の「削除」ボタン →確認ポップアップで「OK」(P.03-11) |
| 複数日ぶんまとめて消す | — | 複数選択して「一括削除」。「全チェック」「全クリア」ボタンもある(P.03-12/P.03-13) |
| 大臣から変更等の指示が来た | 航空法第132条の88第2項。通報要領4.(7)は、無人航空機安全課長から「当該飛行計画の通報者又は操縦者に対し、指示を行う」としている | 指示に従わずに飛行させた場合は30万円以下の罰金(第157条の10第1項第11号) |
雨で中止したときの「取り消し」は、忘れられがちですが要領に明記された手順です。飛ばさないのに飛行計画が残っていると、その空域を他の通報者に対してふさぎ続けます。
他機の飛行計画を確認する
通報要領4.(2)は、通報の前に飛行経路に係る他の無人航空機の飛行計画の情報を通報システムで確認することを求めています。これは登録画面とは別の機能です。メインメニューの「飛行計画の参照」から、「開始日時」「終了日時」を指定して「検索」を押します。「検索可能な期間に関して、検索実施日の前日より起算して翌年の当日までの指定が可能です」(P.04-10)。抽出された飛行計画はアイコンで表示され、クリックすると開始時間、飛行時間、緯度、経度、高度、速度が表示されます。
案件の日程を決める段階でここを一度見ておくと、重複に気づいてから動かす余地が残ります。
事後の通報が認められる場合と、罰則
通報は「あらかじめ」が原則です(航空法第132条の88第1項)。ただし書きがあり、「あらかじめ飛行計画を通報することが困難な場合として国土交通省令で定める場合」には事後でもよいとされています。問題は、その省令が何を定めているかです。
航空法施行規則第236条の83第5項の全文はこうです。
「法第百三十二条の八十八第一項ただし書の国土交通省令で定める場合は、飛行計画に係るシステムに障害が発生したことにより、飛行を開始するまでの間において飛行計画を通報する手段のない場合とする。」
認められるのはシステム障害の場合だけです。さらに同条第4項が「特定飛行を開始後速やかに通報しなければならない」と定めています。通報要領4.(2)b)も同じ書き方で、よくある質問の「DIPS2.0がメンテナンス中で通報ができません」という項目も、この場合に当たるものとして同じ説明をしています。
通報が要らない場合と、通報システムを使わない特例
| 場面 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 国・地方公共団体またはその依頼を受けた者が、捜索又は救助の目的で行う飛行 | 飛行計画の通報は要しない | 通報要領4.(2)b) |
| 専ら公益を図る目的の飛行で、飛行計画を秘匿する特段の必要性があり、共有されると業務実施に著しい支障が生じると無人航空機安全課長が認めた場合 | 通報システムによる通報に替えて、無人航空機安全課長に対し飛行計画の通報を行うことができる。この場合、自らの飛行計画が通報システムに表示されないことに鑑み、特段の注意をもって飛行経路周辺における他の無人航空機及び航空機の有無等を確認し、安全確保に努める | 通報要領4.(9) |
後者について、国土交通省の手続ページは「※専ら公益を図る目的であって、飛行計画を秘匿する特段の必要性がある飛行について通報を行う場合は、『国土交通省 航空局 安全部 無人航空機安全課 飛行計画通報担当』までお問い合わせください」と案内しています。自分で判断して通報を省略する仕組みではなく、課長が認めた場合の代替手段である点に注意してください。
罰則──飛行日誌の罰条と混同しない
| 違反の内容 | 罰条 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 飛行計画を通報せずに特定飛行を行った | 航空法第157条の10第1項第10号 | 30万円以下の罰金 |
| 大臣の変更等の指示に従わないで飛行させた | 同第1項第11号 | 30万円以下の罰金 |
| 飛行日誌を備えなかった/記載すべき事項を記載しなかった・虚偽記載 | 航空法第157条の11第2号・第3号 | 10万円以下の罰金 |
条も金額も別です。国土交通省の手続ページも「飛行計画の通報をせずに特定飛行を行った場合、航空法第157条の10に従い、30万円以下の罰金」「飛行日誌を備えない…場合、航空法第157条の11に従い、10万円以下の罰金」と書き分けています。飛ぶ前の手続きのほうが重く見られているという構造です。
よくある質問
- 国土交通省|ドローン情報基盤システム 操作マニュアル 飛行計画通報編(表紙 ver2026/9/28・PDF)
- 国土交通省|無人航空機の飛行計画の通報要領(令和8年3月31日最終改正 国空無機第351405号・PDF)
- e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第132条の88、第157条の10、第157条の11
- e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)第236条の83
- 国土交通省|DIPS2.0 飛行計画通報に係るよくある質問
- 国土交通省|飛行計画の通報・飛行日誌の作成
- 国土交通省|無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(PDF)
- 国土交通省|DIPS APP 使い方マニュアル
- 国土交通省|ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)ポータル