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空港等の周辺でドローンを飛ばす。制限表面と、申請先の分かれ目

公開 2026-10-27 更新 2026-10-27 読了 約13分

空港等の周辺は、空港からの距離では区切られていません。飛行禁止空域を決めているのは、空港ごとに設定された 進入表面・転移表面・水平表面・延長進入表面・円錐表面・外側水平表面という6種類の「面」で、 その上に出るかどうかが航空法の許可の要否を分けます。国土交通省自身、 「飛行高度とその地点の標高の和が空港等の設定する制限高さを超えない場合、飛行許可申請は不要」と書いています。 そして、この空域の許可だけは地方航空局長ではなく空港事務所長に出します。 制限表面の中身と調べ方、空港等の設置者との調整、申請先の分かれ目までを、条文と通達の原文で整理します。

よく見る説明と、公式の記載
空港周辺の飛行は、距離・申請先・「了解」の3点で説明が食い違いやすい領域です。この記事で扱う範囲について、一次ソースの記載と突き合わせます。
よく見る説明空港から半径◯kmの範囲はドローン飛行が禁止。
公式にはこう航空法が禁止しているのは制限表面の上空です。国土交通省の資料は「飛行高度とその地点の標高の和が空港等の設定する制限高さを超えない場合、飛行許可申請は不要」と明記しています(後述の8空港等は例外)。
出典 国土交通省 001622559.pdf/001515201.pdf
よく見る説明ドローンの許可・承認申請は、どれも地方航空局長に出す。
公式にはこう空港等周辺・緊急用務空域・150m以上は空港事務所長宛てです。国土交通省は「昨今、申請先の誤りにより補正指示が発生する事例が頻発しております」と注意喚起しています。
出典 審査要領2-1(1)b)/国土交通省 飛行許可・承認手続ページ
よく見る説明空港の管理者や管制機関から了解をもらえば、飛ばしてよい。
公式にはこう了解は許可ではありません。国土交通省は「空域を管轄する機関から了解を得ただけでは、国土交通大臣の許可を受けたことになりません」としています。
出典 国土交通省 空域を管轄する機関ページ

「空港等の周辺」は距離ではなく面で決まる

禁止空域を定めているのは航空法第132条の85第1項第1号ですが、法文は「無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域」としか書いていません。中身を決めているのは航空法施行規則第236条の71第1項で、空港等に関係するのはその第1号・第2号・第3号の3本です(第4号が緊急用務空域、第5号が150m以上)。

号規則第236条の71第1項の原文(抜粋)実際に何を指すか
第1号
(1号告示空域)
航空機の離陸及び着陸が頻繁に実施される空港等で安全かつ円滑な航空交通の確保を図る必要があるものとして国土交通大臣が告示で定めるものの周辺の空域であつて、当該空港等及びその上空の空域における航空交通の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域 告示で名指しされた8空港。制限表面の上空に加え、進入表面・転移表面の下の空域と敷地の上空も入る
第2号 前号に掲げる空港等以外の空港等の周辺の空域であつて、進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第五十六条第一項の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域 8空港以外のすべての空港・ヘリポート等。制限表面の「上空」だけが対象
第3号 法第三十八条第一項の規定が適用されない飛行場(自衛隊の設置する飛行場を除く。)の周辺の空域であつて、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域 告示で名指しされた三沢飛行場・木更津飛行場・岩国飛行場の3か所

ここで押さえるべきは2点です。第一に、規則の条文に距離の数値が一切出てこないこと。半径◯kmという書き方はされていません。第二に、第2号の根拠条文が航空法第56条第1項であること。延長進入表面・円錐表面・外側水平表面を国土交通大臣が指定する権限を定めた規定です。第56条の3ではありません——そちらは同じ表面の上に建造物などを置いてはならないという物件制限の規定で、無人航空機の飛行禁止空域の根拠にはなりません。世の解説で条番号が混ざりやすい箇所です。

国土交通省の飛行ルールページも、同じ内容をこう説明しています。「空港等の周辺の空域は、空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域、(進入表面等がない)飛行場周辺の、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域です。」

「空港等」の範囲:航空法第2条第6項は「空港その他の飛行場」を「空港等」と定義しています。ヘリポートも含まれます。一方、国土交通省が公開している空港等設置管理者の連絡先一覧には「※ここに掲載がない航空機が離着陸している場所(米軍設置飛行場やヘリコプターの臨時離発着場等)は航空法で定める空港等の周辺に該当しませんが、当該場所で離着陸する航空機の運航に影響がないよう、必要に応じて当該場所の管理者や航空機の運航者とあらかじめ調整するなど配慮をお願いします」との注記があります。

制限表面6種。どこまで広がるのか

制限表面は、航空機が安全に離着陸するために障害物のない状態にしておく空間です。航空法は6種類を定めており、3種類はすべての空港に設定され、残り3種類は一部の空港にだけ指定できるという二層構造になっています。

すべての空港に設定される3種類

表面条文上の広がり根拠
進入表面 着陸帯の短辺に接続し、水平面に対し上方へ50分の1以上の勾配を有する平面。投影面は「進入区域」と一致する。進入区域は着陸帯の短辺の両端から中心線の延長3,000m(ヘリポートの着陸帯は2,000m以下)の点までで、その点における幅は中心線から左右375m(計器着陸装置等を利用する着陸の用に供する着陸帯は600m) 法第2条第8項
(進入区域は同第7項)
水平表面 空港等の標点の垂直上方45mの点を含む水平面のうち、その点を中心として4,000m以下で省令で定める長さの半径で描いた円周で囲まれた部分 法第2条第9項
転移表面 進入表面の斜辺を含む平面および着陸帯の長辺を含む平面で、勾配が外側上方へ7分の1(ヘリポートは4分の1以上)のもののうち、水平表面を含む平面との交線などで囲まれる部分。進入表面と水平表面のあいだを斜めにつなぐ面 法第2条第10項

国土交通省は、この3つの役割をそれぞれ「進入表面:進入の最終段階及び離陸時における航空機の安全を確保するために必要な表面」「水平表面:空港周辺での旋回飛行等低空飛行の安全を確保するために必要な表面」「転移表面:進入をやり直す場合等の側面方向への飛行の安全を確保するために必要な表面」と説明しています。滑走路の延長方向に細長く伸びるのが進入表面、空港を中心に円く広がるのが水平表面、その両者をつなぐ斜面が転移表面、というイメージです。

一部の空港にだけ指定できる3種類

航空法第56条第1項は、空港法第4条第1項第1号から第5号までに掲げる空港と、同項第6号の空港および地方管理空港のうち政令で定める空港について、延長進入表面・円錐表面・外側水平表面を指定することができると定めています。

表面条文上の広がり根拠
延長進入表面 進入表面を含む平面のうち、進入表面の外側底辺、斜辺の外側上方への延長線、および進入表面の内側底辺からの水平距離が15,000mである底辺に平行な直線により囲まれる部分 法第56条第2項
円錐表面 水平表面の外縁に接続し、標点を含む鉛直面との交線が水平面に対し外側上方へ50分の1以上の勾配を有する円錐面。投影面は標点を中心として16,500m以下の半径で水平に描いた円周で囲まれる 法第56条第3項
外側水平表面 円錐面の上縁を含む水平面。投影面は標点を中心として24,000m以下の半径で水平に描いた円周で囲まれる(水平表面・円錐表面の投影面と一致する部分を除く) 法第56条第4項

数字だけを見ると、外側水平表面は標点から最大24kmまで広がり得ます。ただし高さも標点からかなり上方にあり、しかも「航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要な部分」に限られます。投影面の半径がそのまま飛行禁止の範囲になるわけではありません。

対象になり得る空港:空港法第4条第1項第1号から第5号は成田国際・東京国際・中部国際・関西国際・大阪国際の5空港です。これに加えて航空法施行令第9条が、政令で定める空港として釧路・函館・仙台・新潟・松山・福岡・北九州・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・那覇の13空港を挙げています。
なお、国土交通省の教則(第5版)3.1.1(3)6)b と資料「進入表面等について」が挙げる政令空港の例示は、この施行令第9条の列挙と一致していません(大阪国際が政令空港側に置かれ、新潟・北九州が落ちています)。条文としての正解は施行令第9条です。加えて第56条第1項は「指定することができる」という規定なので、対象になり得ることと、実際に指定されていることは別です。個別の空港にどの表面が設定されているかは、その空港の設置管理者に確認してください。
制限表面は公示されています。航空法第40条は、空港の設置許可をしたときに「空港の位置及び範囲、着陸帯、進入区域、進入表面、転移表面、水平表面並びに供用開始の予定期日」について告示し、自動公衆送信により公衆の閲覧に供し、現地において掲示しなければならないと定めています。延長進入表面等の指定にも同じ手続が準用されます(第56条の2第2項)。制限表面は非公開の情報ではありません。

8空港だけは「面の下」と「敷地の上空」も禁止

第1号の「告示」の実体は、令和元年国土交通省告示第460号「無人航空機の飛行禁止空域等を定める告示」(令和元年8月23日、令和元年9月18日施行)です。国土交通省の改正経緯ページに原本PDFが掲載されています。

同告示第1条の表が挙げる空港等は、新千歳空港・成田国際空港・東京国際空港・中部国際空港・関西国際空港・大阪国際空港・福岡空港・那覇空港の8空港です。そして、これらについて定められた空域には、制限表面の「上空」に加えて進入表面若しくは転移表面の下の空域と空港の敷地の上空の空域が含まれています。

この8空港では「低く飛べば当たらない」が成立しません。他の空港は制限表面の上空だけが禁止空域なので、面の下を低く飛ぶ限りは該当しません。しかし8空港は、進入表面・転移表面の下の空域そのものが禁止空域に指定されています。国土交通省も「1点目に加え、…8空港においては、進入表面若しくは転移表面の下の空域、空港の敷地の上空の空域も無人航空機の飛行は原則禁止されています」と明記しています。該当区域は空港ごとの図面(紫色の部分)で公表されています。

告示の表をよく読むと、新千歳空港だけ書きぶりが異なります。新千歳は「進入表面、転移表面若しくは水平表面の上空の空域、進入表面若しくは転移表面の下の空域又は空港の敷地の上空の空域」で、延長進入表面・円錐表面・外側水平表面が入っていません。他の7空港はこれらを含みます。新千歳空港は空港法第4条第1項第1号から第5号の空港ではなく、航空法施行令第9条の列挙にも入っていないため、条文の構造と整合しています。

第3号の告示(同告示第2条)が挙げる飛行場は、三沢飛行場・木更津飛行場・岩国飛行場の3か所です。告示はそれぞれについて標点の緯度経度と標高を示し、勾配50分の1(三沢・岩国)または40分の1(木更津)の平面、標点の垂直上方45mの点を中心とする半径4,000m(三沢)・3,000m(木更津)・3,500m(岩国)の水平面、勾配7分の1の平面という形で空域を定義しています。進入表面等が告示されていない飛行場について、同じ考え方の面を告示で直接引いている、という構造です。

条番号のずれに注意:告示第460号の原本は「航空法施行規則第二百三十六条第一号/第三号」を引用しています。これは制定当時の条番号で、現行の施行規則では同じ規定が第236条の71第1項第1号・第3号に置かれています。告示を原本で読むときに、規則の条番号が一致しなくても別の規定ではありません。

制限高さを超えなければ、航空法の許可は要らない

ここがこの記事でいちばん実務に効く部分です。国土交通省は、8空港の飛行禁止空域を説明する資料のなかで、次のように書いています。

原文

「空港等の周辺には、航空機が安全に離着陸するための進入表面等の空域(制限表面)が設定されており、航空機の安全を確保するため、航空法において空港等周辺における無人航空機の飛行は原則禁止されています。飛行高度とその地点の標高の和が空港等の設定する制限高さを超えない場合、飛行許可申請は不要ですが、令和元年9月18日より、下表の8空港においては、進入表面若しくは転移表面の下の空域、空港の敷地の上空の空域も飛行禁止となっておりますので十分にご注意ください。」

別の資料でも同じ整理がされています。「飛行させようとするエリアが空港等の周辺の空域に該当する場合は、エリアごとに飛行させることが可能な高さが異なりますので、該当する空港等の管理者に対し、『制限高さ(飛行可能な高さ)』を確認してください」。そのうえで、

飛行高度が空港等の設定する制限高さを超えない場合 → 飛行許可手続きは不要(ただし、一部の空港については飛行許可申請が必要な空域あり)
業務都合によりやむを得ず、空港等が設定する制限高さを超える飛行を行う場合 → 空港等の管理者の了解を得たうえで、飛行許可申請を行う
判定式は「制限高さ」>「土地の標高」+「飛行高度」。右辺が制限高さを超えなければ、その地点では制限表面の上に出ていない

申請先の一覧を示すPDFでも、航空法第132条の85第1項第1号に当たる場面が「空港等の制限表面高さを超えて飛行させる場合」「地表または水面から150m以上の高さの空域を飛行させる場合」と説明されています。第1号は、空港との距離ではなく高さの超過で発動する規定だ、と国土交通省自身が書いているわけです。

ただし、この判定には2つの前提があります。ひとつは「土地の標高」を足すこと。制限高さは海抜で示されるため、標高の高い場所では対地10mでも超えることがあります。もうひとつは、上で触れた8空港と3飛行場の例外です。8空港では面の下と敷地上空も禁止空域なので、低く飛んでも該当します。

「許可が不要」なのは、あくまで空港等の周辺の空域(第1号)についてだけです。同じ場所がDIDにかかれば人口集中地区上空の許可が必要ですし、夜間・目視外・第三者から30m未満といった飛行の方法の承認は別に要ります。小型無人機等飛行禁止法、電波法、自治体の条例、土地・施設の管理者のルールも別です。

制限表面の調べ方。地理院地図と、空港等設置管理者

国土交通省が「空港等の周辺の空域」に該当するかの確認手段として案内しているのは、国土地理院の「地理院地図」です。飛行ルールページから、空港等の周辺の空域(航空局)のレイヤを表示した状態のURLが直接張られています。

地理院地図で位置を見る。飛行ルールページのリンクから開くと、空港等の周辺の空域(レイヤ名 kokuarea)と人口集中地区(did2020)が重ねて表示された状態で開きます。画面左メニュー「地図の種類」から、管制圏・情報圏、特別管制区、進入管制区、民間訓練試験空域も表示できます
その地点の標高を確認する。制限高さは海抜で示されます。標高+飛行高度が判定の左辺になります
空港等設置管理者に制限高さを問い合わせる。連絡先は国土交通省が地域別(北海道/東北/関東/中部/近畿/中国/四国 等)に公開しています。空港等の周辺に該当する場合、場所ごとに飛ばせる高さが違うため、この照会が必須の工程になります
必要なら管制機関にも照会する。調整先は空域の種類で分かれます。進入表面等は空港等設置管理者、管制圏等・進入管制区は関係する管制機関(空港事務所)、民間訓練試験空域は航空交通管理センター、それ以外で150m以上は東京・神戸・福岡の各航空交通管制部です
調整結果を踏まえて、申請書の「空域を管轄する関係機関」欄に記載して申請する

地図には限界があることも、国土交通省自身が書いています。「これらの図面には誤差が含まれている場合がありますので、境界付近で飛行させようとする場合には、飛行させようとする場所が『(A)空港等の周辺の空域』に該当する否かについては、必ず空港等設置管理者・空域を管轄する機関に確認をおこなってください」。8空港の飛行禁止空域図にも「※この図には誤差が含まれている場合や空港等の敷地が工事等により図と異なる場合がありますので、詳細は空港等の管理者にご確認ください」との注記があります。地図はあたりをつけるためのもので、最終判断は管理者への照会、という整理です。

DIPS2.0の地図でできること・できないこと:DIPS2.0の「申請用地図作成」画面は、場所を検索し、多角形・円・バッファラインで飛行経路や飛行範囲を描き、補助者や観客席等を配置する機能です(操作マニュアル「12.飛行経路作成時における地図作成方法」)。同マニュアルに、制限表面や空港等の周辺の空域を重ねて表示する機能の説明は見当たりません。空域の該当性は地理院地図と管理者への照会で確認し、DIPSでは経路を描いて緯度経度を取り出す、という使い分けになります。
国土交通省の事前照会方法の資料は、DIPSの申請画面で「特定の場所・経路で飛行する」を選んで申請先「空港事務所」を選択し、経路図を作成したうえでいったん中断、申請書一覧の「照会編集」から「別添資料1 飛行経路」を開いて緯度経度を取得し、①名前・連絡先 ②緯度経度 ③最高高度(海抜からの高度=標高+地表からの高度)をメールで関係機関に送る、という手順を案内しています。この資料は令和3年11月更新で、旧DIPSの画面を前提にしています。DIPS2.0での画面遷移が同一かどうかは公式には明示されていないため、現行のDIPS2.0操作マニュアルとあわせて確認してください。

空港等の設置者との調整。審査要領が求めること

制限高さを超えて飛ばす場合、許可の審査では空港等の設置管理者との調整が正面から要求されます。審査要領(カテゴリーⅡ飛行)5-1の追加基準の原文は次のとおりです。

審査要領 5-1(2)

「・空港等の運用時間外における飛行又は空港等に離着陸する航空機がない時間帯等での飛行であること。このため、空港設置管理者との調整を図り、了解を得ること。
・無人航空機を飛行させる際には、空港設置管理者と常に連絡がとれる体制を確保すること。
・飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。
・飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないよう注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。」

実務上いちばん重い条件は1つ目です。「運用時間外」または「離着陸する航空機がない時間帯」に限るという基準なので、日中の便が動いている時間帯に空港のそばで飛ばす前提の計画は、そもそも追加基準に適合しません。日程を空港の運用に合わせて組む必要があります。

調整先の表記は、1号告示空域の「進入表面及び転移表面の下の空域並びに敷地上空の空域」の場合が「空港設置管理者」、それ以外の空域と、第2号の進入表面等の上空の空域の場合が「空港設置管理者等」と使い分けられています。また同条(1)は、機体について「航空機からの視認をできるだけ容易にするため、灯火を装備すること又は飛行時に機体を認識しやすい塗色を行うこと」も求めています。

補助者については、目視外飛行で審査要領5-4(3)c)の基準に適合する場合などの例外があり、また立入管理区画を設定する場合は第三者への注意喚起の補助者に代えることができるとされています。

了解を得ることと、許可を受けることは別です。国土交通省は「空域を管轄する機関から了解を得ただけでは、国土交通大臣の許可を受けたことになりませんので、ご注意ください」と明記しています。逆に、事前照会の資料は「空域を管轄する関係機関の了解を得られていない空域・飛行高度での申請は認められません」ともしています。了解は許可の前提であって、代わりにはならないという関係です。事前調整の結果回答までは1週間前後を見込むよう案内されているため、10開庁日前という申請期限から逆算すると、調整に入るのはさらに前になります。
航空情報の発行という別の手続:審査要領5-1(3)は、1号告示空域(進入表面及び転移表面の下の空域並びに敷地上空の空域を除く)、その他空港等における進入表面等の上空の空域、緊急用務空域、150m以上の空域の申請を行った場合、航空情報の発行手続きが必要だとして、飛行を行う日の前日までに飛行日時・飛行経路(緯度経度(世界測地系)及び所在地)・飛行高度(下限及び上限の海抜高度)・機体数・機体諸元を管轄事務所長等へ通知する体制の構築を求めています。日時と空域を確定させて許可を取った後に飛行をやめた場合も、速やかに通知することとされています。許可の申請期限とは別枠の運用です。
なお、1号告示空域であっても進入表面・転移表面の下の空域と敷地上空の空域は、この通知の対象から除かれています。

もう1点。審査要領5-1の柱書は、1号告示空域のうち進入表面若しくは転移表面の下の空域または空港の敷地の上空の空域であって、その空域がDIDの上空にも当たる場合には、5-1の基準に加えて5-2(DID上空)の基準にも適合することとしています。8空港の周辺は市街地と重なることが多く、この二重適用は現実に起こります。

申請先の分かれ目。空港事務所長か地方航空局長か

申請先は、飛行禁止空域の「号」で分かれます。審査要領2-1(1)b)の表が原文です。

申請事項申請書の提出先(審査要領の原文)
法第132条の85第1項第1号に掲げる空域における飛行の許可
(1号告示空域、その他空港等における進入表面等の上空の空域、告示で定める飛行場周辺の空域、緊急用務空域、150m以上の空域)
当該飛行を行おうとする場所を管轄区域とする空港事務所長
法第132条の85第1項第2号に掲げる空域における飛行の許可
(DID上空)
当該許可を必要とする行為を行おうとする場所を管轄区域とする地方航空局長
法第132条の86第2項第1号から第6号までに掲げる方法によらない飛行の承認
(夜間・目視外・30m未満・催し場所上空・危険物輸送・物件投下)
当該承認を必要とする行為を行おうとする場所を管轄区域とする地方航空局長

この表の脚注が「※進入表面等とは、進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第56条第1項の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面を指す」と定義しています。規則第236条の71第1項第2号と同じ範囲です。

具体的な官署は、国土交通省の飛行許可・承認手続ページが名指しで示しています。

国土交通省の注意喚起

「昨今、申請先の誤りにより補正指示が発生する事例が頻発しております。
空港等周辺、緊急用務空域及び地上又は水上から150m以上の高さの空域を飛行させる場合には、その空域を管轄する東京空港事務所長又は関西空港事務所長(双方にまたがる場合は両空港事務所長)宛てに申請してください。
上記以外の場合は、飛行場所を管轄する東京航空局長又は大阪航空局長(双方にまたがる場合は申請者の住所を管轄する地方航空局長)宛てに申請してください。」

またがった場合の扱いが左右で違う点に注意してください。空港事務所側は両方に出す、地方航空局側は申請者の住所を管轄するほう1つに出すという書き分けです。

官署管轄区域受付
東京空港事務所
(東京都大田区羽田空港)
東日本:北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野、静岡 24時間
東京航空局
(東京都千代田区九段南)
平日 9:00〜17:00
関西空港事務所
(大阪府泉南郡田尻町泉州空港中)
西日本:富山、石川、福井、岐阜、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 24時間
大阪航空局
(大阪市中央区大手前)
平日 9:00〜17:00
国土交通省航空局
安全部無人航空機安全課
カテゴリーⅢ飛行は日本全国および公海上/カテゴリーⅡでも公海上の飛行 平日 9:00〜17:00

東日本・西日本の境目は新潟・長野・静岡までが東、富山・岐阜・愛知からが西です。空港事務所が2か所とも24時間対応なのは、空港周辺・150m以上・緊急用務空域という、時間帯を選ばざるを得ない飛行を扱う官署だからです。審査要領も、緊急を要する夜間等の執務時間外の申請は管轄事務所に電話で連絡を入れる運用としています。

カテゴリーⅢは、空港事務所でも地方航空局でもない

カテゴリーⅢ飛行は系統が別です。審査要領(カテゴリーⅢ飛行)2-1(1)b)は「当該申請に係る飛行開始予定日の20開庁日前までに、書面申請又はドローン情報基盤システム(DIPS)における飛行の許可・承認申請機能を利用したオンライン申請により国土交通大臣に申請するものとする。なお、申請書の提出先窓口は国土交通省航空局安全部無人航空機安全課とする」と定めています。手続ページも「カテゴリーⅢ飛行の申請先は国土交通大臣宛となります」としています。空港周辺のカテゴリーⅢ飛行であっても、空港事務所ではなく本省が窓口です。

レベル3.5飛行の事前相談も同様で、国土交通省は「通常の申請先である地方航空局ではなく、本省航空局が窓口となりますのでお間違いのないようお願い致します」と案内しています。

覚えておくと迷わない3つの補足:
① 経由申請ができます。航空法施行規則第243条第1項第2号により、許可・承認の申請は「最寄りの空港事務所長又は空港出張所長」を経由して行うことができます。審査要領もこれを明示しています。
② 公海上は国土交通大臣宛てです。審査要領2-1(1)b)ただし書。
③ 1件の飛行に許可と承認の両方が要る場合は「一括申請」にできます。空域の許可が空港事務所長、方法の承認が地方航空局長と提出先が分かれている点を、一括申請の運用が吸収します。複数の飛行や場所をまとめる包括申請とは別の概念です。

空港等周辺は、全国包括では取れない

審査要領は、飛行経路を特定しない申請について「飛行が想定される範囲を記載すること。ただし、5-1に掲げる飛行を行う場合、5-2及び5-3に掲げる飛行を同時に行う場合並びに趣味目的の場合は、当該範囲を可能な限り限定し記載するとともに、地図上に当該範囲を示した資料を添付すること」としています。5-1は空港等周辺・緊急用務空域・150m以上です。航空局標準マニュアル02を使った全国包括の副題にも空港等周辺は含まれていません。空港等の周辺は、場所を特定した申請になります。

小型無人機等飛行禁止法の「対象空港」とは別の話

空港周辺の規制をややこしくしているのが、航空法とは別の法律である小型無人機等飛行禁止法の存在です。国土交通省は両者を明確に切り分けています。「※小型無人機等飛行禁止法の対象空港の周辺地域における小型無人機等の飛行は原則禁止です。飛行させる場合には、空港管理者の同意や都道府県公安委員会への事前通報などが別途必要となります。航空法に基づく手続きとは別に手続きが必要となりますのでご注意ください。」

項目航空法(この記事の主題)小型無人機等飛行禁止法
空域の決まり方制限表面の上空(8空港は面の下・敷地上空も)対象空港の敷地・区域と、その周囲おおむね1,000mの地域の上空
重量の要件100g以上の無人航空機重さや大きさにかかわらず対象
必要な手続国土交通大臣の許可(空港事務所長宛て)空港管理者の同意+都道府県公安委員会等への事前通報
期限飛行開始予定日の10開庁日前まで(カテゴリーⅢは20開庁日前)通報は飛行を開始する時間の48時間前まで

対象空港は新千歳・成田国際・東京国際・中部国際・大阪国際・関西国際・福岡・那覇の8空港で、航空法の1号告示空域の8空港と同じ顔ぶれです。ただし空域の引き方も手続も別建てなので、「航空法の許可を取ったから大丈夫」にはなりません。詳しくは小型無人機等飛行禁止法の記事と事前通報の記事で扱っています。

よくある質問

空港から何km以内が飛行禁止ですか。
航空法の条文に距離の数値はありません。禁止されているのは制限表面の上空です(規則第236条の71第1項第2号)。制限表面は空港ごとに形も広がりも違うため、一律の距離では表せません。目安として、円錐表面の投影面は標点から16,500m以下、外側水平表面は24,000m以下の半径で定義されますが(航空法第56条第3項・第4項)、これは投影面の外縁であって、その範囲が一律に飛行禁止になるという意味ではありません。実際の該当性は地理院地図で確認し、制限高さは空港等設置管理者に照会してください。
制限高さはどこで調べられますか。
国土交通省は「該当する空港等の管理者等に飛行可能な高さをお問い合わせください」と案内しており、空港等設置管理者への照会が公式の方法です。連絡先は国土交通省が地域別に公開しています。地理院地図で空域に当たるかは分かりますが、その地点で何メートルまで飛ばせるかは地図からは読み取れません。判定式は「制限高さ」>「土地の標高」+「飛行高度」です。
空港の管理者から了解をもらえば、申請は不要になりますか。
なりません。国土交通省は「空域を管轄する機関から了解を得ただけでは、国土交通大臣の許可を受けたことになりませんので、ご注意ください」としています。逆に、了解がないまま申請しても「空域を管轄する関係機関の了解を得られていない空域・飛行高度での申請は認められません」とされています。了解は申請の前提条件であり、許可の代替ではありません。制限高さを超えない飛行であれば、そもそも第1号の許可自体が不要になる、という整理です。
申請先を間違えるとどうなりますか。
国土交通省は「昨今、申請先の誤りにより補正指示が発生する事例が頻発しております」と注意喚起しています。補正になれば審査は進まず、10開庁日前という期限の前提が崩れます。空港等周辺・緊急用務空域・150m以上は東京空港事務所長または関西空港事務所長、それ以外は東京航空局長または大阪航空局長です。空港事務所は双方にまたがる場合は両方に、地方航空局は双方にまたがる場合は申請者の住所を管轄するほうに出します。
ヘリポートの周りも「空港等の周辺」に当たりますか。
当たり得ます。航空法第2条第6項は「空港その他の飛行場」を「空港等」と定義しており、ヘリポートも含まれます。国土交通省も「空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面…の上空の空域」と説明しています。ヘリポートの着陸帯については、進入区域の延長が2,000m以下、転移表面の勾配が4分の1以上と、通常の空港とは別の数値が省令に委ねられています(航空法第2条第7項・第10項)。一方、ヘリコプターの臨時離発着場は、国土交通省の資料で「航空法で定める空港等の周辺に該当しません」とされています(ただし運航への配慮は求められています)。
空港等の周辺と150m以上の両方に当たる場合、申請は2件になりますか。
どちらも航空法第132条の85第1項第1号の空域なので、申請先は同じ空港事務所長です。1件の飛行に複数事項の許可等が必要な場合は一括申請ができます。ただし審査要領5-1の追加基準は、空港等周辺の場合(空港設置管理者との調整・了解)と150m以上の場合(空域を管轄する関係機関からの了解)で調整先が異なり、複数の事項に係る許可等を要する場合には原則それらの全ての追加基準に適合することとされています。調整は両方に必要です。
技能証明と機体認証があれば、空港周辺の申請は不要になりませんか。
なりません。国土交通省は「特定飛行のうち空港等周辺、150m以上の上空、催し場所上空、危険物輸送及び物件投下に係る飛行並びに総重量25kg以上の無人航空機の飛行については、立入管理措置を講じた上で、無人航空機操縦士の技能証明や機体認証の有無を問わず、個別に許可・承認を受ける必要があります」としています。申請を不要にできるのはDID上空・夜間・目視外・30m未満の4つだけです。詳しくは飛行許可・承認申請 完全ガイドで整理しています。
空港等の周辺を包括申請に含められますか。
場所を特定しない全国包括には含められません。審査要領は、経路を特定しない申請のうち5-1に掲げる飛行(空港等周辺・緊急用務空域・150m以上)については「当該範囲を可能な限り限定し記載するとともに、地図上に当該範囲を示した資料を添付すること」としています。航空局標準マニュアル02の適用範囲にも空港等周辺は入っていません。場所を特定した申請になります。
この記事の一次ソース
  1. e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)(第2条第6〜10項、第38条、第40条、第49条、第56条、第56条の2、第56条の3、第132条の85)
  2. e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)(第236条の71、第236条の74、第243条)
  3. e-Gov法令検索|航空法施行令(昭和二十七年政令第四百二十一号)(第9条)
  4. e-Gov法令検索|空港法(昭和三十一年法律第八十号)(第4条第1項)
  5. 国土交通省|無人航空機の飛行禁止区域等を定める告示(令和元年国土交通省告示第460号)(PDF)
  6. 国土交通省|無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法
  7. 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続
  8. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)(PDF)
  9. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)(PDF)
  10. 国土交通省|進入表面若しくは転移表面の下、空港の敷地の上空が飛行禁止となる空港(PDF)
  11. 国土交通省|地表又は水面から150m以上の空域での飛行/空港等周辺の空域での飛行(PDF)
  12. 国土交通省|許可・承認申請書の提出官署の連絡先(PDF)
  13. 国土交通省|進入表面等について(制限表面の概要・PDF)
  14. 国土交通省|空域を管轄する機関(進入管制区・民間訓練試験空域等)
  15. 国土交通省|航空交通管理センター・航空交通管制部への事前照会方法(PDF)
  16. 国土交通省|無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(PDF)
  17. 国土交通省|各制度に関する法律・政令・省令等の改正経緯
  18. 国土交通省|小型無人機等飛行禁止法に基づき小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定
  19. 国土地理院|地理院地図(空港等の周辺の空域・人口集中地区を表示)
本記事は2026年9月29日時点の情報です。 無人航空機に関する制度は改正が続いている分野です。また、制限表面や制限高さは空港ごとに異なり、工事等により変わることもあります。実際の飛行前に、必ず上記の一次ソースと、該当する空港等設置管理者・空域を管轄する機関への照会で最新の内容をご確認ください。

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