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認証機体を買うか、許可・承認で回すか

公開 2026-09-09 更新 2026-09-09 読了 約14分

機体認証を取るかどうかは、機体の良し悪しの話ではありません。これから何年、何回、飛行許可・承認の申請を出し続けるかという話です。 カテゴリーⅡ飛行のうち一定の条件をすべて満たす場合、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させることで、許可・承認そのものを不要にできます。条件を1つでも欠けば、申請は今までどおり残ります。 この記事は「許可・承認を取り続けるルートA」と「技能証明+機体認証で申請を不要にするルートB」を、国に納める手数料と申請の手間という2つの軸だけで比べます。機体の価格や性能の比較はしません。 先に結論だけ言うと、ルートBに移っても飛行計画の通報・飛行日誌・事故の報告は消えません。なくなるのは申請だけです。

あなたの飛行に、許可・承認は必要か

航空法の条文と国土交通省の資料に沿って、その場で判定します。入力は保存されず、どこにも送信されません。

バッテリー以外の取り外せる付属品(外付けリモートID機器を含む)は数えません。
トンネル内部やネット等で囲われた空間も「屋内」として扱われます。
人口集中地区は、私有地の上空であっても該当します。
「30m未満」の相手は第三者です。自社の操縦者や補助者は含みません。
補助者の配置、立入りを制限する区画の設定、看板・コーン等による表示など。
夜間・目視外を申請なしで行うには、その限定変更を受けている必要があります。
上の1〜6を選ぶと、ここに判定が出ます。

判定はあくまで航空法の許可・承認についてのものです。電波法・小型無人機等飛行禁止法・自治体の条例・施設管理者のルールは別に確認が必要です。

よく見る説明と、公式の記載
機体認証は制度としてまだ新しく、要件を丸めた説明が広く流通しています。この記事で扱う範囲について、一次ソースの記載と突き合わせます。
よく見る説明機体認証を取れば、もう飛行許可・承認の申請は要らなくなる。
公式にはこう不要にできるのはカテゴリーⅡ飛行の一部だけです。空港等周辺・高度150m以上・催し場所上空・危険物輸送・物件投下、および総重量25kg以上の飛行は、技能証明と機体認証があっても個別に許可・承認を受ける必要があります。
出典 国土交通省 飛行許可・承認手続ページ / 教則 第5版 3.1.1(2)5)a.
よく見る説明技能証明と機体認証が揃えば、夜間も目視外もそのまま申請なしで飛ばせる。
公式にはこう国土交通省は「夜間での飛行及び目視外での飛行をカテゴリーⅡ(飛行許可・承認申請が不要な飛行)として実施する場合は、技能証明の限定変更が必要となります」と注記しています。基本の技能証明は昼間・目視内が前提です。
出典 国土交通省 飛行許可・承認手続ページ 注記 / 航空法第132条の43
よく見る説明申請が不要になれば、飛行のたびの事務もまとめて消える。
公式にはこう消えるのは事前の許可・承認申請だけです。特定飛行である以上、飛行計画の通報(航空法第132条の88第1項)、飛行日誌の備付けと記載(同第132条の89第1項)、事故の報告(同第132条の90)はそのまま残ります。
出典 e-Gov 航空法 第132条の88〜90

この判断は「機体」ではなく「申請」の話

「機体認証は必要か」という問いは、実際には次の二択です。どちらも合法に飛ばすための道であり、優劣ではなくコスト構造の違いです。

ルートA:許可・承認を取り続けるルートB:技能証明+機体認証
飛ぶために必要なもの 飛行の内容に応じた国土交通大臣の許可・承認(包括申請または個別申請) 技能証明を受けた者が、機体認証を受けた無人航空機を飛行させること+立入管理措置+飛行マニュアル等
事前の申請 毎回必要。包括申請でも期間満了ごとに更新 条件を満たす飛行については不要
リードタイム 新規は飛行開始予定日の10開庁日前まで(実務上は3〜4週間の余裕が推奨) 認証・証明を取得済みなら飛行計画の通報のみ
期限の管理対象 許可・承認の満了日(原則3か月、継続は1年を限度) 機体認証の満了日(第一種1年/第二種3年)+技能証明の満了日(3年)
差戻しのリスク ある。不備があれば追加確認で飛行予定日に間に合わないことがある 申請自体がないため、飛行ごとの差戻しは発生しない
対象外の飛行 —(許可・承認を受ければ広く対応できる) 空港等周辺/150m以上/催し場所上空/危険物輸送/物件投下/25kg以上は対象外

表の最後の行が、この判断のいちばん重い制約です。ルートBは「すべての飛行が申請不要になる制度」ではありません。カテゴリーⅡ飛行のうち、リスクが相対的に低いとされる範囲だけが対象です。この範囲の外に出る案件を1本でも受けるなら、ルートAの体制は結局残ります。

用語の整理:カテゴリーⅡ飛行は、国土交通省の「無人航空機の飛行の安全に関する教則」(第5版)において、リスクの高いカテゴリーⅡA飛行(空港周辺/高度150m以上/催し場所上空/危険物輸送/物件投下/最大離陸重量25kg以上)と、それ以外のカテゴリーⅡB飛行に区分されています。ただしこの区分は教則(第5版)3.1.1(2)3)b で定義された区分であり、航空法の条文や審査要領には現れません。国土交通省の手続ページ側では「カテゴリーⅡ〔飛行許可・承認申請が必要な飛行〕/〔不要な飛行〕」という言い方が使われています。カテゴリーの全体像は立入管理措置とは:カテゴリーⅡとⅢを分ける線で扱っています。

許可・承認を不要にできる5条件

ここがこの記事の核です。国土交通省は、カテゴリーⅡ飛行のうち次のすべてを満たす場合に、許可・承認を不要とすることができるとしています。いずれか1つではなく、すべてです。

#条件ここで落ちやすい点
1 飛行が DID(人口集中地区)上空/夜間/目視外/人又は物件から30m未満 のいずれかであること 空港等周辺・高度150m以上・催し場所上空・危険物輸送・物件投下は除かれる。これらが1つでも混じる飛行は対象外
2 総重量25kg未満であること(施行規則第236条の73) 25kg以上の機体は、技能証明と機体認証があっても個別の許可・承認が必要
3 立入管理措置を講じること 補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置(施行規則第236条の70)。落下分散範囲も考慮し、看板・コーン等の表示が必要とされている
4 技能証明を受けた者が、機体認証を受けた無人航空機を飛行させること 人と機体の両方が要る。操縦者が技能証明を持っていても機体が未認証なら不可、逆も同じ
5 飛行マニュアルの作成等、安全確保に必要な措置を講じること(施行規則第236条の75) 申請が不要になっても、安全体制を定めた規程の作成と遵守という義務は残る
★ 夜間・目視外には、もう一段の条件があります。 国土交通省は次のように注記しています。「夜間での飛行及び目視外での飛行をカテゴリーⅡ(飛行許可・承認申請が不要な飛行)として実施する場合は、技能証明の限定変更が必要となります。」
技能証明には航空法第132条の43に基づく限定が付されており、飛行の方法についての限定は「昼間飛行・目視内飛行」「昼間飛行」「目視内飛行」の3種類です。つまり限定変更(限定解除)の対象は、夜間飛行・目視外飛行・最大離陸重量25kg以上の3つです。夜間案件や目視外案件で申請を不要にしたいなら、基本の技能証明だけでは足りず、該当する限定変更まで取得している必要があります。

条件4の「技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる」という言い回しは、条文由来です。航空法第132条の85第1項は、飛行禁止空域について「技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合(立入管理措置…を講ずることなく無人航空機を飛行させるときは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合に限る。)でなければ、無人航空機を飛行させてはならない」と定めています。立入管理措置を講じる前提であれば、二等技能証明+第二種機体認証の組み合わせで足ります。第一種・一等が必要になるのは、立入管理措置を講じない飛行(カテゴリーⅢ)です。

カテゴリーⅢ(立入管理措置を講じない特定飛行)は、この記事の対象外です。一等技能証明+第一種機体認証を揃えてもそれだけでは足りず、あらかじめ運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることが別途必要です(航空法第132条の85第2項)。カテゴリーⅢは「申請を不要にする」議論の外にあります。

ルートA:許可・承認を取り続ける

まず現状維持側のコストを、事務の量として並べます。

期間の設計

反復して飛行する事業者は通常、包括申請を使います。審査要領は包括申請を「同一の申請者が一定期間内に反復して飛行を行う場合又は異なる複数の場所で飛行を行う場合」の申請と定義しており、期間は原則3か月以内、申請内容に変更を生ずることなく継続的に飛行させる場合は1年を限度としています。

ただしこの「1年」には括弧書きの例外があります。審査要領の原文は「(5-2、5-3及び5-4に掲げる飛行を同時に行う場合を除く。)」としており、5-2はDID上空、5-3は夜間飛行、5-4は目視外飛行に対応する節です。つまりDID上空・夜間・目視外を同時に行う飛行を含む申請は1年上限の対象外で、原則3か月になります。年1回の更新で回る事業と、年4回の更新が発生する事業では、事務の量が単純に4倍違います。

締切とリードタイム

手続締切根拠
新規申請飛行開始予定日の10開庁日前まで(土日・祝日を除く)。実務上は3〜4週間の余裕が推奨されている審査要領2-1(1)b/国土交通省 手続ページ
更新申請期間の満了の日の40開庁日前から10開庁日前まで。早すぎても受け付けられない審査要領2-1(5)
補助者なし目視外等で
航空情報の発行を要する場合
飛行を行う日の1開庁日前までに飛行内容を通知審査要領5-4(4)

この「10開庁日前」が、受注のリードタイムをそのまま縛ります。急な依頼が入っても、包括申請の範囲外の飛行であれば最短で2週間、実務上の推奨に従えば3〜4週間先までしか着地できません。更新の窓は両側に締切がある特殊な形なので、詳細は包括申請の更新:40開庁日前から10開庁日前までの窓で扱っています。包括申請そのものの設計は包括申請とは:個別申請との違いと使い分けをご覧ください。

全国包括でも取れない飛行がある

経路を特定しない「全国包括」は便利ですが、航空局標準マニュアル02の安全体制で運用する必要があり、標準マニュアル02には空港等周辺・150m以上・催し場所上空が含まれていません。標準マニュアル01(場所を特定した申請に適用)にはこの3つが入っています。したがって全国包括を持っていても、空港周辺の案件や催し場所上空の案件は、別立ての申請になります。

2025年12月18日施行の審査要領改正の影響は、ルートAの側に残ります。 申請手続の一部省略を可能としていた「ホームページ掲載無人航空機」「ホームページ掲載講習団体等が行う技能認証(民間技能認証)」および「航空局ホームページに掲載されている団体等が定める飛行マニュアル」の運用は、いずれも廃止されました。
現在、申請書類の一部省略が認められるのは、機体側が型式認証機・機体認証機の場合、操縦者側が無人航空機操縦者技能証明を保有している場合に限られます。また、12月18日以前に取得した許可・承認のうち上記を含むものは「複製」「変更申請」「更新申請」等が行えず、新規申請が必要になります。

ルートB:技能証明+機体認証で申請をなくす

ルートBは、初期に手続を集中させて、その後の申請をゼロに近づける設計です。ただし「取れば終わり」ではなく、有効期間があります。

制度有効期間更新の条件根拠
機体認証(第一種) 1年 更新のたびに検査と手数料が発生する 教則 3.1.1(2)4)/航空法第132条の13第10項
機体認証(第二種) 3年 同上 同上
技能証明(一等・二等) 3年 身体適性基準を満たすことと、無人航空機更新講習の修了の両方が必要。更新講習は更新申請日以前3月以内に修了、更新申請は満了日の6月前から1月前まで(2026年9月13日訂正) 航空法第132条の51、施行規則第236条の56・第236条の57
機体登録 3年 機体認証とは別制度。満了日の1か月前から満了日までの手続が最適 航空法第132条の6、施行規則第236条の8・第236条の9

第一種機体認証の有効期間が1年である点は、事業設計に直接効きます。第一種はカテゴリーⅢ(立入管理措置を講じない飛行)に対応するための区分で、そこまで踏み込む事業者は毎年、機体ごとに更新の検査と手数料を見込む必要があります。一方、立入管理措置を講じる前提のカテゴリーⅡで足りるなら第二種で、こちらは3年です。

手数料は、型式認証を取得している型式かどうかで桁が変わります。第一種・新品の場合、型式認証取得済なら44,000円ですが、型式認証未取得の機体では1,481,200円から1,590,300円になります。第二種・新品でも、型式認証取得済は3,100円、未取得は重量区分に応じて284,900円から992,900円です。どの機体で認証を取るかによって、国に納める額が実質的に決まります。全区分の表は機体認証の手数料。型式認証の有無で桁が変わるにまとめました。型式認証を取得している型式の一覧は型式認証を取得している機体の一覧、機体認証制度そのものは機体認証とは:第一種・第二種の違いと検査の流れで扱っています。
「機体認証を取れば安くなる」とは書けません。 この記事が比較しているのは国に納める手数料と、申請にかかる事務の量だけです。機体の購入費、技能証明の取得にかかる試験手数料や講習の費用は、これとは別に発生します。とくに登録講習機関の受講料は国が金額を定めておらず、各機関が自由に設定しています(更新講習も「機関毎に定められた手数料額」と国土交通省資料に明記)。総額の比較をするなら、この記事の数字だけでは足りません。

どちらが向くか:4つの軸で分岐させる

飛行頻度・飛ぶ場所・機体の台数・組織の人数の4つで順に絞ると、判断がぶれません。

飛ぶ場所を確認する。受注案件に空港等周辺/高度150m以上/催し場所上空/危険物輸送/物件投下が含まれるか。1つでも含むなら、その飛行については技能証明と機体認証があっても個別の許可・承認が必要。ルートAの体制は残る
機体の総重量を確認する。25kg以上なら申請を不要にはできない。25kg未満であることが前提
立入管理措置を講じられるか確認する。補助者の配置や区画の設定が現場で成立しない業務なら、そもそもカテゴリーⅡの枠に入らない
飛行頻度で分ける。DID上空・夜間・目視外を同時に行う飛行を含み、包括が原則3か月で回っている=年4回の更新事務が発生している事業者は、ルートBの効き方が大きい
年に数回しか飛ばさず、飛行内容も安定しているなら、包括申請1本を年1回更新するほうが管理点は少ない。ルートAで足りる場合が多い
機体の台数を数える。機体認証は機体ごと。台数が多いほど初期の手数料と更新の管理が積み上がる。逆に、認証を取る機体を主力の1〜2機に絞れる事業者はルートBに寄せやすい
組織の人数を数える。技能証明は人ごと。誰が飛ばしても申請不要にしたいなら、飛ばす全員が技能証明(必要なら限定変更まで)を持つ必要がある
4軸のうち1つでも「対象外」に落ちる案件があるなら、ルートAとルートBの併用が現実解。ルートBは「申請の総量を減らす手段」であって「申請を全廃する手段」ではない
事業者像寄せる先理由
年に数回、DID上空の空撮のみ。機体1台・操縦者1名 ルートA 年1回の包括更新で回る。認証と証明の期限管理を増やす利得が小さい
夜間・目視外・DIDが混在し、包括が原則3か月で回っている。機体2台・操縦者2〜3名 ルートB寄り 更新事務が年4回発生している。ただし夜間・目視外は限定変更まで必要
催し場所上空の撮影や、空港周辺の点検を受注している ルートA必須(+必要に応じ併用) これらは申請を不要にできる範囲の外。標準マニュアル02でも扱えず、場所を特定した申請になる
総重量25kg以上の機体で散布・輸送を行う ルートA 25kg以上は対象外。危険物輸送・物件投下も対象外で、二重に外れる。ただし農地・森林内の空中散布は、別の特例(施行規則第236条の82第2号)の要件を満たせば、昼間・目視内・人又は物件から30m以上を保つ飛行に限り、25kg以上の機体でも危険物輸送・物件投下の承認が不要になり得る(この特例も技能証明と機体認証が前提)(2026年9月15日追記)
立入管理措置を講じない第三者上空の飛行を目指す いずれでもない(カテゴリーⅢ) 一等+第一種機体認証に加えて、大臣の許可・承認が別途必要。申請は不要にならない

台数×人数の掛け算で効き方が変わる

ルートBのコストは、機体の台数と操縦者の人数の掛け算ではなく、足し算で積み上がります。機体認証は機体ごと、技能証明は人ごとに必要だからです。ただし現場で申請を不要にできるのは「技能証明を持つ人」が「機体認証を受けた機体」を飛ばす組み合わせのときだけなので、運用上は掛け算で考えることになります。

単位必要なもの更新サイクル運用上の含み
機体1台につき 機体認証(第一種または第二種) 第一種1年/第二種3年 未認証の機体を現場に持ち出した瞬間、その飛行は申請が必要な扱いに戻る
操縦者1名につき 技能証明(+夜間・目視外は限定変更) 3年(更新講習の修了が必要) 証明を持たない者が飛ばす日は、その飛行だけ許可・承認が必要になる
組織全体で 飛行マニュアル等の規程、立入管理措置の運用 — 申請が不要でも、規程の作成と遵守という義務は残る

実務上いちばん壊れやすいのが「認証機体が現場に出ていない日」と「証明を持たない人が飛ばす日」です。認証機体が整備に入っている、あるいは別現場に出ているという理由で予備機を使えば、その飛行はルートBの条件4を満たしません。ルートBに寄せた組織ほど、予備機と代替要員の扱いを先に決めておく必要があります。

機体認証には、認証後の義務も付いてきます。航空法第132条の13第3項により、機体認証の際には「使用の条件」が指定され、使用条件等指定書として交付されます。同第132条の14は使用条件の遵守義務と整備の義務を定めており、第132条の15には整備命令や効力停止の規定が置かれています。認証は取得して終わりではなく、条件の範囲内で使い、整備を続けることが前提です。

ルートBでも残る義務

この記事でいちばん誤解が多い部分です。許可・承認の申請が不要になっても、特定飛行であることは変わりません。特定飛行に伴う義務は、申請の有無とは無関係に発生します。

残る義務内容根拠違反時
飛行計画の通報 特定飛行を行う場合はあらかじめ、日時・経路その他省令で定める事項を通報する。通報は電磁的方法により行う(実務上はDIPSの飛行計画通報機能)。他の無人航空機の飛行計画を確認したうえで通報し、日時・経路・高度のすべてが重複する場合は飛行中止又は当事者間の調整。所要時間は最大24時間 航空法第132条の88第1項、施行規則第236条の83 30万円以下の罰金(第157条の10第1項第10号)
飛行日誌 特定飛行を行う場合は飛行日誌を備える。飛行記録・日常点検記録・点検整備記録の3種で、機体ごとに備えて記載する。飛行時は紙媒体または電磁的記録により常時携行 航空法第132条の89第1項、施行規則第236条の84第1項 10万円以下の罰金(第157条の11第2号・第3号)
事故の報告 人の死傷、物件の損壊、航空機との衝突・接触等が起きたときは、直ちに飛行を中止して救護等の措置を講じ、国土交通大臣に報告する 航空法第132条の90 危険防止措置を講じなかった場合は2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(第157条の6)/報告をせず又は虚偽の報告は30万円以下の罰金(第157条の10第2項)
重大インシデントの報告 航空機との衝突・接触のおそれがあったと認めたとき、軽傷の負傷、制御不能、飛行中の発火 航空法第132条の91、施行規則第236条の86 報告義務違反の罰条が明文で引用しているのは第132条の90第2項(事故の報告)であり、第132条の91を引用する罰条は現行の航空法には置かれていません。ただし国土交通省の案内は両者をまとめて説明しており、実務上は必ず報告すべきです
緊急用務空域の確認 飛行を開始する前に、飛行させる空域が緊急用務空域に該当するか否かの別を確認しなければならない。緊急用務空域は許可の有無にかかわらず飛行できない 施行規則第236条の71第4項 —
機体登録・リモートID 機体認証とは別制度。登録の有効期間は3年で、登録記号の表示とリモートID機能の備付けが必要(免除類型あり) 航空法第132条の5、施行規則第236条の6 登録記号の表示等の措置を講じずに航空の用に供した場合は50万円以下の罰金(第157条の9第1号)

つまりルートBに移って消えるのは、事前の許可・承認申請だけです。飛行のたびの通報と記録はそのまま残り、むしろ申請という「関所」がなくなる分、社内で運用を自律的に回す設計が必要になります。飛行日誌の具体的な書き方は飛行日誌の書き方:3つの記録と保管の考え方で扱っています。

申請が不要になることを、記録が不要になることと取り違えないでください。 飛行日誌の記載および保管は、無人航空機が登録されている間は継続しなければならないとされています(飛行日誌の取扱要領)。認証機体で申請なしに飛ばす運用に切り替えた組織ほど、「許可書を持っていない=何も持たなくていい」という誤解が現場に生じやすくなります。

よくある質問

機体認証を取れば、飛行許可・承認の申請は完全に不要になりますか。
なりません。不要にできるのはカテゴリーⅡ飛行の一部で、DID上空・夜間・目視外・人又は物件から30m未満のいずれかであり、かつ総重量25kg未満、立入管理措置を講じ、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させ、飛行マニュアルの作成等の措置を講じる場合に限られます。空港等周辺・高度150m以上・催し場所上空・危険物輸送・物件投下・25kg以上は対象外で、これらは個別の許可・承認が必要です。
二等技能証明と第二種機体認証で足りますか。一等・第一種が要りますか。
立入管理措置を講じる前提(カテゴリーⅡ)であれば、二等技能証明+第二種機体認証の組み合わせで足ります。一等技能証明+第一種機体認証が要求されるのは、立入管理措置を講じない特定飛行(カテゴリーⅢ)です。ただしカテゴリーⅢは、その組み合わせを揃えたうえでさらに国土交通大臣の許可・承認が必要で、申請が不要になるわけではありません(航空法第132条の85第1項・第2項)。
夜間や目視外の案件で申請を不要にしたいのですが、基本の技能証明だけで足りますか。
足りません。国土交通省は「夜間での飛行及び目視外での飛行をカテゴリーⅡ(飛行許可・承認申請が不要な飛行)として実施する場合は、技能証明の限定変更が必要となります」と注記しています。技能証明の飛行の方法についての限定は「昼間飛行・目視内飛行」「昼間飛行」「目視内飛行」の3種類で、限定変更の対象は夜間飛行・目視外飛行・最大離陸重量25kg以上の3つです(航空法第132条の43)。
機体認証は一度取れば、あとは何もしなくてよいですか。
有効期間があります。第一種は1年、第二種は3年です(教則 3.1.1(2)4))。更新のたびに検査と手数料が発生します。加えて、認証時に指定される「使用の条件」の遵守義務と整備の義務があり(航空法第132条の14)、これに従わない場合は整備命令や効力停止の対象となり得ます(同第132条の15)。技能証明の有効期間は別に3年で、更新には無人航空機更新講習の修了が必要です。
認証機体が整備中で、予備機を使う日はどうなりますか。
その飛行は「機体認証を受けた無人航空機を飛行させる」という条件を満たさないため、申請を不要にできる範囲から外れます。予備機で特定飛行を行うなら、その飛行について許可・承認が必要になります。ルートBに寄せる場合は、予備機を認証するか、予備機での飛行に備えた包括申請を並行して維持するかを先に決めておくのが安全です。
申請が不要になれば、飛行のたびの手続もなくなりますか。
なくなりません。特定飛行である以上、飛行計画の通報(航空法第132条の88第1項、電磁的方法により行う)と飛行日誌の備付け・記載(同第132条の89第1項、機体ごと)は残ります。事故が起きたときの措置と報告(同第132条の90)、重大インシデントの報告(同第132条の91)、飛行開始前の緊急用務空域の該当性確認(施行規則第236条の71第4項)も同様です。緊急用務空域は、許可の有無にかかわらず飛行できません。
結局、費用はどちらが安いのですか。
この記事では総額の比較はしていません。比べているのは国に納める手数料と申請にかかる事務の量だけで、機体の購入費や技能証明の取得にかかる費用は別に発生します。とくに登録講習機関の受講料は国が金額を定めておらず、各機関が自由に設定しています。国に納める側の金額は、機体認証については機体認証の手数料。型式認証の有無で桁が変わるに全区分を掲載しています。型式認証を取得している型式かどうかで桁が変わるため、まずそこを確認してください。
民間のドローンスクールの資格を持っていれば、申請が省略できると聞きました。
2025年(令和7年)12月18日施行の審査要領改正により、申請手続の一部省略を可能としていた「ホームページ掲載無人航空機」「ホームページ掲載講習団体等が行う技能認証(民間技能認証)」および「航空局ホームページに掲載されている団体等が定める飛行マニュアル」の運用は、いずれも廃止されました。現在、申請書類の一部省略が認められるのは、機体側が型式認証機・機体認証機の場合、操縦者側が無人航空機操縦者技能証明を保有している場合に限られます。民間ライセンスの利点として残るのは、登録講習機関の経験者コースによる講習時間の減免であって、許可申請の省略ではありません。
本記事は2026年9月9日時点の情報です。 機体認証・型式認証は制度として新しく、公表される型式や手数料の区分、審査要領の運用が更新され続けている分野です。実際の判断の前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

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