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警備でドローンを使うのに必要な許可・承認と、警備業法との関係

公開 2026-10-11 更新 2026-10-11 読了 約17分

警備の現場にドローンを持ち込むとき、確認しなければならない法律は2系統あります。ひとつは警備業法——その業務が「警備業務」に当たるなら、機体の話より前に都道府県公安委員会の認定(警備業法第4条)が入口になります。もうひとつは航空法——警備は夜間が本番になる業務なので、夜間飛行の承認が中核に来ます。 この2つは審査する役所も判断基準も別で、一方が通っても他方は通りません。 さらに、守る対象が官公庁・自衛隊施設・空港・原子力事業所のいずれかなら、小型無人機等飛行禁止法の「おおむね1,000m」の地域が重なります。 この記事は、警備業法側の条文をどう読むのか、航空法側で実際に踏む特定飛行はどれか、そして自動巡回する警備ドローンが要件上どこで詰まるのかを、一次ソースの文言に即して整理します。

よく見る説明と、公式の記載
警備×ドローンは、警備業法の側にも航空法の側にも「たしかに書いてあること」と「どこにも書かれていないこと」が混在する領域です。この記事で扱う範囲について、条文・通達の記載と突き合わせます。
よく見る説明ドローンで上から監視するだけなら、警備業法は関係ない。
公式にはこう警備業法第2条第1項は、警備業務を4類型の業務内容と「他人の需要に応じて行うもの」という2つの軸で定義しており、使う道具では範囲を区切っていません。むしろ警察庁の解釈運用基準は、雑踏警備業務の区域を特定する際に勘案する情報通信技術の例として「検定合格警備員が遠隔地の現場の状況を把握するためのカメラ、センサー及び小型無人機」を挙げています。
出典 警備業法第2条第1項 / 警備業法等の解釈運用基準 第17 2(10)
よく見る説明自分の会社の敷地をドローンで見回るのにも、警備業の認定が必要。
公式にはこう警備業務は「他人の需要に応じて行うもの」に限られます。解釈運用基準は、これを「他人との契約に基づき、他人のために行うこと」、「他人」とは「当該業務を行う者以外の個人、法人等」と説明し、該当しない例として「貸ビル業者が通常必要とされる範囲で自己の所有建物においてその建物自体の保全管理を行う業務」を挙げています(ただし賃借人との契約に基づくものは該当)。
出典 同基準 第2 1(1)
よく見る説明夜間の自動巡回も、包括申請で航空局の標準マニュアルを使えば回せる。
公式にはこう航空局標準マニュアル①②のいずれも「夜間飛行においては、目視外飛行は実施せず」と定めており、標準マニュアル②はさらに「(17)夜間の目視外飛行は行わない」と明記しています。目視外飛行も「双眼鏡等を有する補助者のもと」実施する前提です。
出典 航空局標準マニュアル②(令和7年12月26日版)(17)・3-3(1)・3-4(1)

警備業法と航空法は、別々に判定する

最初に構造を押さえます。ここを混ぜると、調べる順番から間違えます。

レイヤー判断する主体何を決めるか
①警備業法 都道府県公安委員会(申請は警察署経由) その業務を営めるか。認定(法第4条)、警備員の要件、教育、契約書面
②航空法 国土交通大臣(地方航空局長・空港事務所長) その飛行ができるか。特定飛行の許可・承認、飛行計画の通報、飛行日誌
③小型無人機等飛行禁止法 都道府県公安委員会等への通報/施設管理者の同意 その場所で飛ばせるか。対象施設周辺地域(おおむね1,000m)での飛行の可否
④施設管理者・土地の権原 発注者、施設オーナー、土地の所有者・占有者 現実に入って飛ばせるか。法令とは別の合意のレイヤー
⑤撮影映像の扱い ——(民事・刑事のリスク、個人情報保護法) 映像の保存・共有・公開の設計。総務省ガイドラインが考え方を示す
順番は①→②です。 ①で「そもそも他人の需要に応じて行う警備業務なのか」が決まらないと、認定が要るかどうかも、警備員教育の対象になるかも決まりません。一方②は、①の答えがどちらであっても飛ばす以上は必ず判定が必要です。自社の敷地を自社で見回る場合でも、夜間に飛ばせば夜間飛行の承認の話になります。

「警備業務」は、使う道具では決まらない

警備業法第2条第1項は、警備業務をこう定義しています。「この法律において『警備業務』とは、次の各号のいずれかに該当する業務であつて、他人の需要に応じて行うものをいう。」——つまり①4類型のどれかに当たる業務内容であることと、②他人の需要に応じて行うものであることの両方が必要です。ドローンを使うか、人が歩くか、固定カメラで見るかは、この定義に一切書かれていません。

号条文(要旨)通称ドローンでの当たり方
第1号 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(=警備業務対象施設)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務 施設警備 ここが本体。工場・物流拠点・太陽光発電所・資材置場などの巡回監視は、この号の当てはめになります
第2号 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務 雑踏警備/交通誘導警備 イベント会場の上空からの人流把握。航空法側では「催し場所上空」の承認に直結します
第3号 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務 輸送警備 車列の上空からの監視。移動する対象に追従するため、目視外と経路の設計が難しい類型です
第4号 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務 身辺警備 人に近接して飛ばすため、30m未満の承認と第三者上空の問題が同時に立ちます

そして「警戒し、防止する」の意味について、警察庁の警備業法等の解釈運用基準(令和6年6月27日付け警察庁丙生企発第240号)第2 1(5)は、次のように書いています。

「法第2条第1項各号中『警戒し、防止する』とは、事故又は危害の発生につながる情報を把握する目的を持った活動を行い、事故又は危害の発生につながる情報を把握した場合には、その発生を防止するために必要な措置を行い、事故又は危害が発生した場合には、その被害の拡大を防止するために必要な措置を執ることを含むものと解される。」

この一文の起点は「情報を把握する目的を持った活動」です。ドローンで上空から見回る行為は、まさにこれに当たる活動として読めます。同基準第2 1(2)も、第1号の「盗難等の事故」を広く捉えており、「当該施設における活動の正常な運行を妨げ、又は施設の正常な状態を損なうような、市民生活の安全と平穏に関する緊急の対処の必要な事象全般を含む」としています。

ただし、「ドローンで監視するだけで警備業務に当たるか」を正面から示した公式の記載は確認できていません。 解釈運用基準には「ドローン」「無人航空機」の語がなく、「小型無人機」が出てくるのは後述する1か所だけです。警察庁のサイトを探しても、この点についての解釈・通達・Q&Aは見つかりませんでした。したがって、ここは「条文と解釈運用基準の文言からはこう読める」までにとどめるべき領域です。判断が業務の可否に直結する場合は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署・公安委員会に事前に確認するのが確実です。
契約書の書き方で外せるものではない、という記載があります。 同基準第2 1(6)は、緊急通報サービスについて、業務委託契約書等で「警戒し、防止する」対象を病気・けが等に限定していても、そこに「盗難等の事故」や「危害」によるものが含まれる可能性があるため、「当該業務委託契約書等の内容、当事者の意思及び業務の実態に照らし」法第2条第1項第1号又は第4号に該当する業務を含む場合があることに留意せよ、としています。実態で見るという姿勢が明示されている箇所です。「監視データの提供サービス」という名前を付けたから警備業務ではない、という整理は、この記載とかみ合いません。

自社の敷地を自社で見回る場合。条文は「他人の需要に応じて」で区切っている

もう一方の軸が「他人の需要に応じて行うもの」です。解釈運用基準第2 1(1)は、これを次のように説明しています。

「法第2条第1項中『他人の需要に応じて行う』とは、他人との契約に基づき、他人のために行うことをいい、『他人』とは、当該業務を行う者以外の個人、法人等をいう。当該業務が『他人の需要に応じて行う』ものでない他の業務に包摂される場合には、警備業務に該当しないこととなるが、当該業務が警備業務以外の業務に付随して行われるからといって、直ちに『他人の需要に応じて行う』ものでないとはいえないことに留意すること。」

条文の文言に即して読めば、自社の敷地を自社の従業員が自社のドローンで見回る行為は、「他人のために」行うものではありません。同基準はこの考え方の当てはめとして、警備業務に該当しない業務をいくつか例示しています。警備の文脈で最も参考になるのは次の1行です。

解釈運用基準が「警備業務に該当しない」と例示するもの
貸ビル業者が通常必要とされる範囲で自己の所有建物においてその建物自体の保全管理を行う業務(賃借人との契約に基づいて事故の発生を警戒し、防止する業務は、警備業務に該当する)
運送業者が通常の運送業務の内容として必要とされる範囲内で自己の従業員を自己の車両に乗車させるなどして、運送品の積卸し等に伴って盗難等の事故の防止を行う程度の業務
倉庫業者が通常の倉庫業の業務の内容として必要とされる範囲で自己の従業員を倉庫等に配置して受託品の盗難等の事故の防止を行う程度の業務
建設業者が通常の建設業の業務の内容として必要とされる範囲で自己の従業員を配置して建設工事に伴う事故の防止を行う程度の業務
デパート等においてその従業員が通常必要とされる範囲で行う保安業務

括弧書きが重要です。同じ建物でも、「自分の建物を自分で守る」なら該当せず、「賃借人との契約に基づいて守る」なら該当する——分かれ目は建物でも道具でもなく、誰との契約に基づいて誰のために行うかだと示されています。ドローンによる巡回もこの軸で考えることになります。

その巡回・監視は、自社(自己)の施設・資産について、自社の判断で行うものか
はい → 「他人の需要に応じて行うもの」ではないため、条文上は警備業務に当たらないと読めます(自主警備)。ただし航空法の許可・承認は別に必要です
いいえ(発注者・テナント・入居者・他社のために行う) → 第2条第1項各号の業務内容に当たるかを1号〜4号で確認する
当たる場合 → 反復継続して営利の目的で行うなら「警備業」(法第2条第2項)。公安委員会の認定(法第4条)が入口になります
迷う形態(自社施設の一部を他社に貸している、グループ会社の施設を請け負う、監視映像だけを納品する 等)は、所轄警察署・公安委員会に事前確認する
「自社施設だから警備業法を気にしなくてよい」で終わらせないでください。 第2条第1項の但し書きに相当する部分で、同基準は「当該業務が警備業務以外の業務に付随して行われるからといって、直ちに『他人の需要に応じて行う』ものでないとはいえない」と念を押しています。自社施設の巡回という建前でも、実態として他社のために継続的に行っているなら、その実態で見られる余地があるという書きぶりです。

警察庁の解釈運用基準は、小型無人機を警備業務の手段として想定している

ここが、この分野でいちばん見落とされている一次ソースです。解釈運用基準第17(法第18条=特定の種別の警備業務の実施に関する部分)の2(10)は、警備員等の検定等に関する規則第2条の表の備考第2号で雑踏警備業務を行う区域を特定する際に勘案するとされている「情報通信技術」の例を、次のように列挙しています。

検定合格警備員が遠隔地の現場の状況を把握するためのカメラ、センサー及び小型無人機
警備員による状況把握、分析、判断等を補助するための画像認識、人工知能等のプログラム
警備員間の伝達のための通信機器

この記載から、条文の枠内で確実に言えることは次の2つです。

  • 警察庁は、小型無人機を「警備員が現場の状況を把握するための手段」として制度の中に位置づけている。ドローンを使うことが警備業法の外に出る事情として扱われているわけではありません
  • その位置づけが明記されているのは、あくまで雑踏警備業務(2号業務)で検定合格警備員を配置する区域の広さを決めるときという、限定された文脈です

同じ第17の2(4)には、空港保安警備業務について「ボディスキャナーや警備員が現場の状況を把握するためのカメラ等の技術の活用により、業務が効率化・省力化され、より広範囲について警備業務の実施の適正を確保できる場合には、一級検定合格警備員1人を隣接した2つの検査ゲートごとに配置することができる」という記載もあります。技術の活用によって「1人がカバーできる範囲」が広がり得るという考え方が、制度側に用意されているわけです。

逆向きに読まないでください。 これらは検定合格警備員の配置単位を決めるときの考慮要素として書かれているもので、「ドローンを入れれば警備員を減らせる」と一般に認めた規定ではありません。第17 2(10)が関わるのは検定規則第2条の表の四の項(雑踏警備業務)の区域の特定であり、対象となる種別も限られます。また、同基準第17 2(1)以降の実施基準は、検定合格警備員が警備業務を行っている間は常時その警備員が当該業務を実施していなければならないことを前提にしています。

警備業者としてドローンを使うときに条文で確認すること

その業務が警備業務に当たる(=他人の需要に応じて行う)場合、入口は法第4条の認定です。そこから先、ドローンを使うことで具体的に効いてくる条文を並べます。

項目根拠条文ドローンを使う場合の意味
認定 警備業法第4条
第5条第4項
都道府県公安委員会の認定を受けなければ警備業を営めません。認定の有効期間は5年(第5条第4項)。申請しないで、又は通知を受ける前に警備業を営んだ者は100万円以下の罰金(第57条第1号)
両罰規定 第59条 従業者が業務に関し違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、法人にも罰金刑が科されます
警備員の制限 第14条 18歳未満の者及び第3条第1号〜第7号に該当する者は警備員となれず、警備業者はこれらの者を警備業務に従事させてはなりません。操縦者だけ別扱いにする規定はありません
「警備員」の範囲 第2条第4項
解釈運用基準 第2 3
「従業者」には雇用契約以外の契約に基づき警備業務に従事する者も含まれ、指揮監督の下にあるか、労務の提供や対価の受領があるか等を総合的に判断するとされています。外部の操縦者に飛ばしてもらう形が「警備員」に当たり得るのはこの規定です
教育 第21条第2項
施行規則第38条
業務別教育(1号業務)の教育事項に「巡回の方法に関すること」「警報装置その他当該警備業務を実施するために使用する機器の使用方法に関すること」が入っています。ドローンはこの「機器」として教育に組み込む対象と読めます。時間数は新任で原則20時間、現任は毎年度10時間(区分により軽減あり)
指導教育責任者 第22条第1項 営業所ごと・警備業務の区分ごとに選任義務。選任しないと100万円以下の罰金(第57条第5号)
契約書面 第19条
施行規則第33条第1号ト
契約前に交付する書面に「警備業務を実施するために使用する機器又は各種資機材」を明記することとされています。ドローンを使うなら書面に書く前提の制度設計です
名義貸しの禁止 第13条 「警備業者は、自己の名義をもつて、他人に警備業を営ませてはならない」。違反は100万円以下の罰金(第57条第3号)
実施の基本原則 第15条 「この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」。カメラを積んで飛ばす業務では、この条文がそのまま撮影の設計に効きます
飛行部分だけを外部に切り出す形は、公式の整理が確認できていません。 解釈運用基準第18 1(3)は、警備業務の再委託について「他の警備業者に当該警備業務の全部又は一部を再委託する契約を締結する場合」という書き方をしており、再委託先を警備業者として想定しています。他方で、認定を受けていない事業者に飛行の部分だけを委託してよいかを示した記載は見つけられませんでした。第2条第4項の「従業者」に雇用契約以外の契約に基づく者が含まれること、第13条が名義貸しを禁じていることを併せて読むと、ここは自己判断で組まず、所轄警察署・公安委員会に事前確認すべき領域です。
「機械警備業務」に当たるかも、公式には明示されていません。 法第2条第5項の「警備業務用機械装置」は「警備業務対象施設に設置する機器により感知した盗難等の事故の発生に関する情報を当該警備業務対象施設以外の施設に設置する機器に送信し、及び受信するための装置」と定義され、施行規則第2条が「電話その他送信者の音声を送信し、及び受信するための装置以外の装置」としています。解釈運用基準第2 4は「各種センサー、非常通報装置等を用いた機器の全体」と説明し、受信機器が当該施設以外の施設に設置されている場合に限られるため「同一建造物の内部で完結しているような装置は警備業務用機械装置ではない」としています。飛行する機体が「施設に設置する機器」に当たるかを示した公式の記載は確認できませんでした。機械警備業務に当たれば基地局ごとの届出(第40条)、機械警備業務管理者の選任(第42条)、即応体制の整備(第43条)が加わるため、影響の大きい論点です。導入形態が固まった段階で確認してください。

航空法側。警備で当たる特定飛行の一覧

ここから航空法です。特定飛行は「空域」の類型(許可)と「方法」の類型(承認)に分かれます。警備業務での当たり方を1枚に整理します。

類型根拠条文警備業務での当たり方頻度
夜間飛行
(承認)
法第132条の86
第2項第1号
警備の本番はここです。日出から日没までの間以外の飛行。夜間巡回・閉門後の施設監視は、すべてこの承認の対象になります ほぼ常時
目視外飛行
(承認)
法第132条の86
第2項第2号
建物の裏側、資材の陰、広い敷地の反対側。モニターを見ながらの飛行はそれ自体が目視外飛行です。自動巡回はほぼ必然的にここに入ります 高い
人又は物件から
30m未満
(承認)
法第132条の86
第2項第3号
規則第236条の79
建物・フェンス・車両・設備に寄って確認する場面。身辺警備では人に近接するため確実に当たります 高い
DID上空
(許可)
法第132条の85
第1項第2号
規則第236条の72
市街地の施設警備・イベント警備。私有地内でもDIDならDIDです。ただし工業専用地域は2026年7月1日から対象外(国土交通省告示第435号)。臨海部の工場・物流施設の警備では用途地域を先に確認する価値があります 高い(都市部)
催し場所上空
(承認)
法第132条の86
第2項第4号
雑踏警備(2号業務)はここに直結します。祭礼・縁日・展示会・スポーツ大会などの上空。この飛行はカテゴリーⅡAに当たり、許可・承認を不要にできません。申請では日時及び範囲を可能な限り限定することとされています 中(イベント警備では必須)
150m以上
(許可)
法第132条の85
第1項第1号
規則第236条の71
第1項第5号
高層建築物や広域を俯瞰する運用。地上又は水上の物件から30m以内の空域はこの規制から除かれます 低〜中
空港等周辺
(許可)
法第132条の85
第1項第1号
規則第236条の71
第1〜3号
空港の施設警備、空港に隣接する敷地の警備。許可・承認を不要にできない類型で、場所を特定した個別申請になります 低(該当時は必須)
緊急用務空域
(飛行不可)
規則第236条の71
第1項第4号・第4項
許可があっても飛行できません。飛行開始前に該当性を確認する義務があります。災害時に警備の応援に入る場面ほど、この確認が必要になります 災害時
危険物輸送
物件投下
法第132条の86
第2項第5号・第6号
通常の警備業務では想定されにくい類型。ただし該当すると、使える飛行マニュアルが変わります 低

許可と承認の切り分けそのものはドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイド、催し場所上空の申請は催し場所上空の飛行。イベント撮影で最も落ちやすい申請、工業専用地域の除外は工業専用地域は、DIDの中でもDIDの飛行許可が要らなくなったで扱っています。

「目視」は操縦者本人の肉眼に限られます。 国土交通省の解釈通達は、「目視」とは操縦者本人が自分の目で見ることをいい、補助者による目視は該当せず、モニターや双眼鏡・カメラ等を用いて見ることも該当しないとしています。警備室のモニターで機体の映像を見ながら飛ばす運用は、その時点で目視外飛行です。補助者を立てても、操縦者本人が機体を見ていなければ目視外飛行です。

自動巡回する警備ドローン。補助者を置かない目視外飛行の要件

警備でドローンを導入する動機の多くは省力化です。そして省力化の理想形はあらかじめ設定した経路を自動で巡回し、人は映像を見るだけという運用です。これは航空法の言葉に翻訳すると、補助者を配置しない目視外飛行になります。

審査要領(カテゴリーⅡ飛行)の5-4は、目視外飛行の基準として、機体に自動操縦システムと機外を監視できるカメラを備えること、地上で位置と異常の有無を把握できること、フェールセーフ機能が正常に作動することを求め、さらに補助者を配置しない場合の追加基準を置いています。

審査要領5-4(1)d)の追加基準(補助者を配置しない場合)
ア)航空機からの視認を容易にするため、灯火を装備すること又は飛行時に機体を認識しやすい塗色を行うこと
イ)地上において、機体や地上に設置されたカメラ等により予定経路において他の航空機及び無人航空機の状況を随時把握できること
ウ)第三者に危害を加えないことを製造者等が証明した機能を有すること(立入管理区画を設定し、一定の方法で第三者の立入りがないことを確認できる場合を除く)
エ)地上において、針路、姿勢、高度、速度及び周辺の気象状況等を把握できること
オ)地上において、計画上の飛行経路と飛行中の機体の位置の差を把握できること
カ)想定される運用により、十分な飛行実績を有すること。この実績は機体の初期故障期間を超えたものであること

操縦者側にも、5-4(2)b)で「遠隔からの異常状態の把握、状況に応じた適切な判断及びこれに基づく操作等に関し座学・実技による教育訓練を少なくとも10時間以上受けていること」が求められます。体制面では5-4(3)c)ア)が「飛行経路には第三者が存在する可能性が低い場所を設定すること」とし、その場所を「山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するもの」と例示しています。市街地の施設警備には、素直には当てはまりません。

key

ただし、これらの基準にはすべて同じ但し書きが付いています

5-4(1)d)、(2)b)、(3)c)のいずれにも、次の一文が置かれています。

「ただし、4-3-2(3)b)に示す方法により、第三者の立入りを制限することが可能な場合は、この限りではない。」

そして4-3-2(3)b)が示す「立入管理区画の範囲を明示する方法の例」は、「塀やフェンス等の設置」、および「飛行範囲、周辺環境に応じ、関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等の設置」です。

ここが警備業務にとって決定的です。警備の対象になる施設は、もともと塀やフェンスで囲われ、門扉で出入りを管理しているのが通常です。つまり、立入管理区画を明示する条件が現場にあらかじめ備わっていることが多い。その場合、上の追加基準(製造者等による証明機能、10時間の教育訓練、第三者が存在する可能性が低い場所の設定など)は「この限りではない」と扱われる余地があります。

夜間側も同じ構造です。審査要領5-3(3)は、夜間飛行について飛行経路全体を見渡せる位置に補助者を配置することを求めた上で、「なお、4-3-2(3)b)に示す立入管理区画を設定する場合……には、補助者の配置を省略することができる」としています。

「フェンスがあるから何も要らない」ではありません。 但し書きが外すのは補助者を配置しない場合の追加基準であって、5-4(1)a)〜c)の機体側の基準(自動操縦システム、機外監視カメラ、地上での位置・異常把握、フェールセーフ機能)は残ります。夜間側も、灯火の装備(飛行範囲が照明等で十分照らされている場合を除く)、日中の事前確認、離着陸場所の照明は残ります。そして承認そのものが不要になるわけではありません。立入管理措置の設計は立入管理措置とは。現場で実際に何をするのかで扱っています。落下分散範囲を考慮して区画を設定することが求められている点も、あわせて確認してください。
「許可・承認そのものを不要にする」ルートの可否。 カテゴリーⅡ飛行の一部は、①飛行がDID上空・夜間・目視外・30m未満に収まる ②総重量25kg未満 ③立入管理措置を講じる ④技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる ⑤飛行マニュアルの作成等の措置を講じる、のすべてを満たせば許可・承認を不要にできます。夜間・目視外を含む場合は技能証明の限定変更が必要です。警備業務では①が成立する案件が多い一方、④の機体認証がボトルネックになります。また、催し場所上空・空港等周辺・150m以上が入る案件は、そもそもこの制度の対象外です。判断材料は認証機体を買うか、許可・承認で回すかで整理しています。

標準マニュアルでは「夜間の目視外飛行」ができない

反復性の高い警備業務では、場所や日時を特定しない包括申請で許可・承認を先に押さえておきたくなります。そのとき多くの事業者が使うのが航空局標準マニュアルですが、警備の本命である「夜間の自動巡回」については、ここで正面から詰まります。

航空局標準マニュアルの記載(令和7年12月26日版)警備業務への影響
標準マニュアル②(場所を特定しない申請)
(17)夜間の目視外飛行は行わない。
夜間の自動巡回は、このマニュアルのままでは実施できません
同②3-3(1)「夜間飛行においては、目視外飛行は実施せず、機体の向きを視認できる灯火が装備された機体を使用し、機体の灯火が容易に認識できる範囲内での飛行に限定する。」 夜間は「灯火が容易に認識できる範囲内」に限定されます。機体を目で追える範囲での運用になります
同②3-4(1)「飛行の前には、飛行ルート下に第三者がいないことを確認し、双眼鏡等を有する補助者のもと、目視外飛行を実施する」 補助者を置かない目視外飛行が前提になっていません(3-1(5)の立入管理措置により補助者の配置に代えられる旨の記載はあります)
同②(15)(16)人又は家屋が密集している地域の上空では夜間飛行・目視外飛行は行わない((16)には業務上やむを得ない場合の但し書きあり) 市街地の施設警備では、DIDとの組み合わせでさらに制約が重なります
標準マニュアル①(場所を特定した申請)3-7(1)・3-8(1)も同じ制限 場所を特定した申請に切り替えても、この2点は解決しません
結論として、夜間に目視外で巡回する警備運用は、独自の飛行マニュアルを用意する前提で設計してください。 標準マニュアルは「これを使えば審査が通りやすい」ものである代わりに、そこに書かれた制限を守ることが条件になります。守れない運用をするなら、審査要領の基準に沿って自前のマニュアルを作ることになります。考え方と作り方は独自の飛行マニュアルを作るべきときと作り方で扱っています。

包括申請そのものの制約も、警備の飛行形態と噛み合わない部分があります。審査要領は、飛行の経路を特定しない申請について「5-3(夜間)及び5-4(目視外)に掲げる飛行を同時に行う場合並びに補助者を配置しない5-4に掲げる飛行を行う場合は、飛行の範囲を可能な限り限定して記載するとともに、地図上に当該範囲を示した資料を添付すること」としています。さらに期間についても、原則3か月・継続的な飛行なら1年を限度としつつ、「5-2(DID)、5-3(夜間)及び5-4(目視外)に掲げる飛行を同時に行う場合を除く」という括弧書きが付いています。

市街地の夜間自動巡回は、この3つが同時に立つ飛行です。 DID上空+夜間+目視外。したがって、1年の期間を取ることも、範囲を広く取ることも、制度上は素直に通りません。警備の包括申請は「全国どこでも1年」ではなく、警備対象の敷地を範囲として明示し、地図を添えて出す形に寄っていくと考えるほうが実態に合います。包括申請の基本は包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準、範囲の限界は全国包括は取れるか。標準マニュアル02の使い方、更新の窓は包括申請の更新。40開庁日前から10開庁日前までの窓をご覧ください。

小型無人機等飛行禁止法。おおむね1,000mの地域と、同意・事前通報

警備の対象施設が国の重要な施設等・外国公館等・防衛関係施設・空港・原子力事業所のいずれかである場合、もしくはその近くにある場合、小型無人機等飛行禁止法が重なります。守る側の業務であっても、この法律の適用除外に当たらなければ飛ばせません。

項目内容
禁止の範囲 第10条第1項「何人も、対象施設周辺地域の上空において、小型無人機等の飛行を行ってはならない。」対象施設周辺地域は、対象施設の敷地又は区域及びその周囲おおむね1,000mの地域(2026年7月14日施行の改正で300mから拡大)
重量要件 ありません。航空法の100g以上という線引きとは対象範囲が違い、100g未満の機体も対象です
適用除外 第10条第2項。①対象施設の管理者又はその同意を得た者②土地の所有者若しくは占有者(正当な権原を有する者に限る)又はその同意を得た者が当該土地の上空で行う飛行③国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行
★除外の絞り込み 同項の括弧書き。対象防衛関係施設(第2条第1項第3号)及び対象空港(同第4号)の対象施設及びその指定敷地等の上空で行うものについては、①に掲げるものに限るとされています。②の土地の権原も③の公共業務も使えません
事前通報 第10条第3項。適用除外に当たる飛行を行おうとする者は、あらかじめ、対象施設周辺地域を管轄する都道府県公安委員会及び区分に応じた者(皇宮警察本部長/管区海上保安本部長/自衛隊施設の管理者/対象空港管理者)に通報しなければなりません
罰則 対象施設周辺地域(イエローゾーン)での違反は第14条で6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。対象施設及びその指定敷地等の上空(レッドゾーン)は第13条第1項で1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
警備業務の文脈では、①の同意が最も素直なルートになります。 対象施設の警備を請け負う立場であれば、施設管理者の同意を得ることは業務の前提です。ただし同意を得ていても第3項の通報は別に必要であり、通報先は施設種別で分かれます。制度の全体像は小型無人機等飛行禁止法。おおむね300mから1,000mへ拡大された2026年7月改正、通報の手続と期限は小型無人機等飛行禁止法の事前通報。48時間前と公安委員会で扱っています。1,000mへの拡大により、対象施設そのものを守る案件でなくても「隣が対象施設」という理由で該当する場面が増えています。警備対象の住所が決まった時点で、警察庁が公表する対象施設の指定状況を確認する価値があります。

撮影映像の扱いと、飛行のたびに発生する義務

撮影映像のプライバシー

警備ドローンはカメラを積んで飛ぶため、敷地の外が映ることが避けられません。総務省の「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン(平成27年9月・平成29年5月最終改定)は、撮影行為の違法性が「撮影の必要性(目的)、撮影方法・手段の相当性、撮影対象(情報の性質)等を基に、総合的かつ個別的に判断される」としています。同ガイドラインは、ドローンが「住居の塀よりも高い上空を飛行するのが一般的で、通常は塀によって人の視界に入らない映像等を撮影可能」であることから、プライバシー侵害の危険性は一段大きいとしています。

要点は3つです。①住宅地にカメラを向けない(角度・ズームを住宅に向けない、高層マンション等にカメラを水平に向けない、住宅地周辺ではライブストリーミング配信をしない)。②公開する場合は人の顔、ナンバープレート、表札、住居の外観等にぼかし処理を行う。③ぼかし加工しても加工前の映像を保存していれば個人情報に当たり得る。

このガイドラインは条番号をそのまま引用できません。 2017年の最終改定以降更新されておらず、引用されている個人情報保護法の条番号(第17条第1項等)や小型無人機等飛行禁止法の題名・条番号(第8条第1項)は、その後の改正で変わっています。考え方の部分だけを使い、条文は現行法で確認してください。また、警備業法第15条が「他人の権利及び自由を侵害し…てはならない」と定めていることを踏まえると、警備業者にとってこれは努力目標ではなく法第15条の履行の一部として設計すべき事項です。

飛行のたびに発生する義務

許可・承認は入口にすぎません。警備は反復回数が多いため、ここの運用設計が失念を防ぐ鍵になります。

義務根拠条文内容
飛行計画の通報 法第132条の88第1項
規則第236条の83
特定飛行を行う場合はあらかじめ通報が必要。実務上はDIPSの飛行計画通報機能を使います。立入管理措置の有無及びその内容や保険契約の有無及び内容も通報事項です。夜間巡回を毎日行う運用では、通報を日次の手順に組み込む必要があります
飛行日誌の備付け 法第132条の89
規則第236条の84
飛行記録・日常点検記録・点検整備記録の3つで構成され、機体毎に備えます。総飛行時間は前回の値に今回の飛行時間を加算して記載します
緊急用務空域の確認 規則第236条の71第4項 飛行を開始する前に、飛行空域が緊急用務空域に該当するか否かを確認する義務
事故の報告 法第132条の90 人の死傷・物件の損壊・航空機との衝突接触。「物件の損壊」は第三者の所有物を損傷させた場合の全てとされ、軽微なものも含まれます
重大インシデントの報告 法第132条の91
規則第236条の86
航空機との衝突接触のおそれ、軽傷、制御が不能となった事態、飛行中の発火
警備の現場では「対象施設に当ててしまった」が現実的なリスクです。 警備対象は多くの場合、発注者の建物や設備です。機体を接触させて塗膜を傷つけた、笠木を欠いた、というレベルの事象も報告の要否を検討する対象になり得ます。運用の回し方はドローンの飛行日誌の書き方。3種類の記録と、毎回の運用とドローンの飛行計画の通報はいつ必要か、事故が起きたときの責任の整理はドローンを落として人にけがをさせたときの責任。民事・刑事・航空法をご覧ください。

よくある質問

ドローンで施設を監視するだけなら、警備業の認定は要りませんか。
「ドローンだから要らない」という整理は、公式には示されていません。警備業法第2条第1項は警備業務を4類型の業務内容と「他人の需要に応じて行うもの」という軸で定義しており、使う道具で範囲を区切っていません。警察庁の解釈運用基準は「警戒し、防止する」を「事故又は危害の発生につながる情報を把握する目的を持った活動を行い…」と説明しており、監視行為はこの起点に当たるものとして読めます。他方で、ドローンによる監視だけで警備業務に当たるかを正面から示した公式の記載は確認できませんでした。要否が業務の可否に直結するため、所轄警察署・公安委員会への事前確認をおすすめします。
自社の工場を自社のドローンで夜間に見回ります。警備業法の手続は必要ですか。
警備業務は「他人の需要に応じて行うもの」に限られます(第2条第1項)。解釈運用基準はこれを「他人との契約に基づき、他人のために行うこと」とし、「他人」とは「当該業務を行う者以外の個人、法人等」としています。自社の施設を自社で見回る行為は、条文上は警備業務に当たらないと読めます。ただし航空法は別です。夜間飛行の承認は必要ですし、敷地がDIDならDIDの許可、モニターを見ながら飛ばすなら目視外飛行の承認が必要です。なお、敷地内にテナントが入っている場合など、賃借人との契約に基づいて守る形になると整理が変わり得ます。
警備で最初に取るべき許可・承認を1つ挙げるとしたら何ですか。
夜間飛行の承認(航空法第132条の86第2項第1号)です。警備は日出から日没までの間以外に本番が来る業務であり、閉門後の施設監視や夜間巡回はすべてここに当たります。実務上は、これに目視外飛行(同項第2号)と30m未満(同項第3号)、市街地ならDID上空(第132条の85第1項第2号)が続きます。イベント警備が入るなら催し場所上空(第132条の86第2項第4号)も別に必要です。
フェンスで囲まれた敷地なら、補助者を置かずに自動巡回させられますか。
審査要領5-4の補助者を配置しない場合の追加基準(1)d)、操縦者の10時間以上の教育訓練(2)b)、第三者が存在する可能性が低い場所の設定等(3)c)には、いずれも「ただし、4-3-2(3)b)に示す方法により、第三者の立入りを制限することが可能な場合は、この限りではない」という但し書きがあり、4-3-2(3)b)は立入管理区画の範囲を明示する方法の例として「塀やフェンス等の設置」を挙げています。夜間側の5-3(3)も、立入管理区画を設定する場合は補助者の配置を省略できるとしています。ただし承認自体が不要になるわけではなく、機体側の基準(自動操縦システム、機外監視カメラ、地上での位置・異常把握、フェールセーフ機能)と夜間の灯火等は残ります。個別の当てはめは申請時の審査事項です。
包括申請の標準マニュアルで、夜間の自動巡回は回せますか。
回せません。航空局標準マニュアル②(場所を特定しない申請)は「(17)夜間の目視外飛行は行わない」と明記し、3-3(1)で「夜間飛行においては、目視外飛行は実施せず…機体の灯火が容易に認識できる範囲内での飛行に限定する」としています。3-4(1)も目視外飛行を「双眼鏡等を有する補助者のもと」行う前提です。標準マニュアル①(場所を特定した申請)も3-7(1)・3-8(1)で同じ制限を置いているため、場所を特定する申請に切り替えても解決しません。夜間に目視外で巡回するなら、独自の飛行マニュアルを用意する設計になります。
ドローンの操縦だけを外部の事業者に委託する形は問題ありませんか。
公式の整理が確認できていない領域です。警備業法第2条第4項の「警備員」について、解釈運用基準は「従業者」に雇用契約以外の契約に基づき警備業務に従事する者も含まれるとし、指揮監督の下にあるか、労務の提供や対価の受領があるか等を総合的に判断するとしています。また同基準は警備業務の再委託について「他の警備業者に…再委託する契約を締結する場合」という書き方をしており、法第13条は自己の名義で他人に警備業を営ませることを禁じています。これらを併せて読むと、飛行部分だけを切り出せば警備業法の外に置ける、という前提で組むのは避けるべきです。契約形態が固まった段階で、所轄警察署・公安委員会に確認してください。
警備員にドローンの教育は必要ですか。
警備業法第21条第2項は、警備業者が警備員に対し内閣府令で定めるところにより教育を行う義務を定めています。施行規則第38条第3項の業務別教育(1号業務)の教育事項には「巡回の方法に関すること」「警報装置その他当該警備業務を実施するために使用する機器の使用方法に関すること」が挙げられており、ドローンはこの「機器」として教育に組み込む対象と読めます。教育時間数は、新たに従事させようとする警備員が原則20時間(基本教育及び業務別教育)、現に従事させている警備員が毎年度10時間で、合格証明書や指導教育責任者資格者証の保有等により3〜13時間に軽減される区分があります。
自衛隊施設に隣接する工場の警備です。何を確認すればよいですか。
対象防衛関係施設として指定されていれば、その敷地又は区域及び周囲おおむね1,000mの地域が対象施設周辺地域になります(2026年7月14日施行の改正で300mから拡大)。適用除外は第10条第2項の3類型ですが、対象防衛関係施設及びその指定敷地等の上空で行うものについては括弧書きにより「対象施設の管理者又はその同意を得た者」に限られ、土地の権原(第2号)や公共業務(第3号)は使えません。周辺地域側の飛行であれば土地の所有者・占有者の同意によるルートもありますが、いずれの場合も第10条第3項の事前通報は別に必要です。警備対象の住所が決まった時点で、警察庁が公表する指定状況を確認してください。
イベント警備で会場の上空から人流を見たいのですが、包括申請の範囲でできますか。
できません。多数の者が集合する催し場所の上空における飛行は法第132条の86第2項第4号の承認対象で、教則の区分ではカテゴリーⅡA飛行に当たるため、技能証明と機体認証があっても許可・承認を不要にできません。審査要領も、この飛行については飛行の日時及び範囲を可能な限り限定して記載し、地図上に範囲を示した資料を添付することとしています。航空局標準マニュアル②は催し場所上空を対象に含んでおらず、場所を特定した申請(標準マニュアル①)の側で扱うことになります。詳細は催し場所上空の飛行の記事で整理しています。
映像を警備室の外(本社や監視センター)に送って見る運用は、機械警備業務になりますか。
公式には明示されていません。法第2条第5項の「警備業務用機械装置」は「警備業務対象施設に設置する機器により感知した…情報を当該警備業務対象施設以外の施設に設置する機器に送信し、及び受信するための装置」と定義され、解釈運用基準は「各種センサー、非常通報装置等を用いた機器の全体」で、受信機器が当該施設以外の施設にある場合に限るため「同一建造物の内部で完結しているような装置は警備業務用機械装置ではない」としています。飛行する機体が「施設に設置する機器」に当たるかを示した記載は見つけられませんでした。該当すれば基地局ごとの届出(第40条)、機械警備業務管理者の選任(第42条)、即応体制の整備(第43条)が加わるため、導入形態が固まった段階での確認が必要です。
この記事の一次ソース
  1. e-Gov法令検索|警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)
  2. e-Gov法令検索|警備業法施行規則(昭和五十八年総理府令第一号)
  3. e-Gov法令検索|警備員等の検定等に関する規則(平成十七年国家公安委員会規則第二十号)
  4. 警察庁|警備業法等の解釈運用基準について(通達)令和6年6月27日付け警察庁丙生企発第240号(PDF)
  5. 警察庁|警察庁の施策を示す通達(生活安全局)
  6. e-Gov法令検索|重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成二十八年法律第九号)
  7. 警察庁|小型無人機等飛行禁止法関係
  8. e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)
  9. e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)
  10. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)令和8年9月29日最終改正(PDF)
  11. 国土交通省|無人航空機に係る規制の運用における解釈について(解釈通達・PDF)
  12. 国土交通省|航空局標準マニュアル①(令和7年12月26日版・PDF)
  13. 国土交通省|航空局標準マニュアル②(令和7年12月26日版・PDF)
  14. 国土交通省|無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(PDF)
  15. 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続
  16. 国土交通省|無人航空機の飛行ルール(飛行禁止空域・飛行の方法)
  17. 国土交通省|告示第435号(DIDから工業専用地域を除外・PDF)
  18. 国土交通省|無人航空機の飛行計画の通報要領(PDF)
  19. 国土交通省|無人航空機の飛行日誌の取扱要領(PDF)
  20. 国土交通省|無人航空機の飛行日誌の取扱要領に関するガイドライン(PDF)
  21. 国土交通省|無人航空機の事故等の報告要領(PDF)
  22. 総務省|「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン(PDF)
本記事は2026年9月27日時点の情報です。 警備業法等の解釈運用基準は通達として短い手続で改正され得るものであり(現行は令和6年6月27日付け)、無人航空機の制度も改正が続いています。また、この記事で「公式には明示されていない」と書いた論点——ドローンによる監視だけで警備業務に当たるか、飛行する機体が機械警備業務の「警備業務用機械装置」に当たるか、飛行部分のみの外部委託の扱い——は、いずれも事業の可否に直結します。実際の申請・飛行の前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容を確認し、警備業法側は主たる営業所の所在地を管轄する警察署・公安委員会にご確認ください。

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