技能証明の限定と限定変更。夜間・目視外・25kg以上で何が変わるか
無人航空機操縦者技能証明には限定が付きます。実務では「限定変更は夜間・目視外・25kg以上の3種類」と説明されることが多く、結論としてはそのとおりです。 ただし条文の建てつけは違います。航空法施行規則第236条の40を読むと、「25kg以上」という独立した限定は存在せず、機体の種類の限定の中に「最大離陸重量25キログラム未満」が組み込まれています。 そして飛行の方法についての限定は昼間と目視内の2つだけです。つまり夜間飛行をするのは「夜間の限定を付ける」ことではなく「昼間の限定を外す」こと、25kg以上を飛ばすのは「25kg以上の限定を付ける」ことではなく「重量の限定が付かない種類の技能証明を取る」ことになります。 この記事では、限定の条文構造、限定を外すと申請がどこまで要らなくなるか(そして25kgを超える機体では要らなくならないこと)、限定を超えて飛ばしたときの罰則と行政処分、限定変更の手続きと講習時間、国に納める額、有効期間との関係を、条文と国土交通省の資料で整理します。
航空法施行規則 第236条の40第1項・第2項航空法 第132条の85第2項・第3項/第132条の86第3項・第4項、施行規則 第236条の73航空法施行規則 第236条の51第2項、航空法関係手数料令 第16条第1項条文の建てつけ──「限定変更3種」は条文の言葉ではない
出発点は航空法第132条の43第1項です。「国土交通大臣は、技能証明につき、国土交通省令で定めるところにより、無人航空機の種類又は飛行の方法についての限定をすることができる。」──限定は2系統しかありません。種類と飛行の方法です。
種類の限定は6つ。うち3つに重量が入っている
その省令が施行規則第236条の40第1項で、無人航空機の種類を次の6つと定めています。
| 号 | 条文の書きぶり | 読み方 |
|---|---|---|
| 第1号 | 最大離陸重量二十五キログラム未満の回転翼航空機(ヘリコプター) | 重量の限定が組み込まれている側。この限定のままでは、25kg以上の機体で特定飛行を行えない |
| 第3号 | 最大離陸重量二十五キログラム未満の回転翼航空機(マルチローター) | |
| 第5号 | 最大離陸重量二十五キログラム未満の飛行機 | |
| 第2号 | 回転翼航空機(ヘリコプター) | 重量の限定が付かない側。実務で「25kg以上の限定変更」と呼ばれているのは、こちらへ移ること |
| 第4号 | 回転翼航空機(マルチローター) | |
| 第6号 | 飛行機 |
条文のどこにも「25kg以上」という限定は出てきません。25kg未満という限定が付いているか、付いていないかという二択です。だから正確には「25kg以上の限定を付ける」のではなく「重量の限定が付いていない第2号・第4号・第6号の種類について技能証明を受ける」ことになります。
飛行の方法の限定は、条文では2つ
同条第2項は、飛行の方法についての限定を次の2つと定めています。
- 第1号:法第132条の86第2項第1号に掲げる方法(=日出から日没までの間において飛行させること=昼間)
- 第2号:法第132条の86第2項第2号に掲げる方法(=目視により常時監視して飛行させること=目視内)
つまり条文上、「夜間」や「目視外」という限定があるのではありません。昼間・目視内という限定が付くのです。夜間に飛ばしたければ昼間の限定を外し、目視外で飛ばしたければ目視内の限定を外す。これが限定変更の正体です。
限定は「どの機体で、どう飛んで試験を受けたか」で決まる
同条第3項が、この制度のいちばん実務的な条文です。
「法第百三十二条の四十三第一項の無人航空機の種類についての限定及び飛行の方法についての限定は、実地試験に使用される無人航空機及び当該実地試験における飛行の方法により行う。」
限定は申請書で選ぶものではなく、実地試験の実態がそのまま限定になるという書き方です。25kg未満の機体で試験を受ければ、重量の限定が付いた技能証明になります。昼間に目視内で試験を受ければ、昼間・目視内の限定が付きます。機体の選定と資格の設計が切り離せないのはこのためで、点検業務のドローンをどう選ぶかでも同じ論点を扱っています。
そして限定を受けた者の義務が法第132条の43第2項です。「その限定(第百三十二条の五十二第一項の規定により変更された場合にあつては、その変更後の限定)をされた種類の無人航空機又は飛行の方法でなければ、…特定飛行を行つてはならない。ただし、第百三十二条の八十五第四項及び第百三十二条の八十六第五項に該当する場合は、この限りでない。」──ただし書が、係留等の例外に当たる飛行と、許可・承認を受けた飛行を外しています。
限定を外すと何ができるようになるか
限定変更は、資格の見た目を豪華にする手続きではありません。効くのは「許可・承認の申請が要らない飛行」の範囲と、申請するときの書類の2か所です。
申請が要らなくなるルートの条件
人口集中地区・夜間・目視外・人又は物件から30m未満の飛行について、許可・承認に代えて「規程(飛行マニュアル)の作成と遵守」で足りる道があります(法第132条の85第3項・第132条の86第4項)。ただし条件は積み重なっています。
国土交通省の飛行許可・承認手続のページも、注記で「夜間での飛行及び目視外での飛行をカテゴリーⅡ(飛行許可・承認申請が不要な飛行)として実施する場合は、技能証明の限定変更が必要となります」と明記しています。二等を取っただけでは、夜間と目視外はこのルートに乗りません。
| 飛ばしたい内容 | 必要な限定の状態 | 限定を外していない場合 |
|---|---|---|
| 人口集中地区/30m未満(昼間・目視内・25kg以下) | 基本の技能証明のままで足りる | —— |
| 夜間(25kg以下) | 昼間の限定を外す | 承認を受ければ飛行できる |
| 目視外(25kg以下) | 目視内の限定を外す | 承認を受ければ飛行できる |
| レベル3.5飛行 | 種類・重量が対応し、かつ目視内飛行の限定解除を受けた技能証明が要件 | このルート自体を使えない(レベル1〜4とレベル3.5) |
| 25kgを超える機体 | 重量の限定が付かない種類の技能証明 | 許可・承認を受ければ飛行できる。限定変更しても申請は消えない(次章) |
| マルチ以外の機種(ヘリ・飛行機) | その種類の限定 | その種類では特定飛行を行えない(許可・承認を受ける場合を除く) |
限定変更しなくても、許可・承認で飛べる
前章のただし書のとおり、許可・承認を受けて行う特定飛行は、限定の外でも行えます。教則(第5版)も「技能証明を受けた者は、その限定をされた種類の無人航空機又は飛行の方法でなければ特定飛行を行ってはならない(飛行の許可・承認を受けて特定飛行を行う場合を除く。)」と書いています。
したがって「夜間の案件が来たから、まず限定変更を受けないと仕事にならない」という順序ではありません。夜間の承認を取れば飛べます(ドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイド)。限定変更が効くのは、申請の手間を繰り返し省きたい場合と、申請の書類を軽くしたい場合です。申請を反復する設計と比べるなら包括申請とは、機体側の費用と比べるなら認証機体を買うか、許可・承認で回すかを合わせて読んでください。
25kgを超える機体では、限定変更しても申請は消えない
ここが、限定変更をめぐって最も誤解されている点です。重量の限定が付かない種類の技能証明を取り、機体認証も受けたとしても、総重量が25kgを超える機体では「申請が不要になるルート」に乗れません。
根拠は条文の括弧書きです。まず総重量の値が施行規則第236条の73で25kgと定められ、これが法律の4つの項に同時に効いています。
| 条文 | 括弧書き | 結論 |
|---|---|---|
| 法第132条の86 第3項(承認) |
「同項各号に掲げる方法のいずれか(立入管理措置を講じた上で無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる場合にあつては、同項第四号から第六号までに掲げる方法のいずれか)によらずに…」 | 承認の対象が催し・危険物・物件投下だけに絞られるのは、25kgを超えない機体の場合だけ |
| 同 第4項(規程で足りる) |
「…無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる者は、…国土交通省令で定める措置を講じなければならない。」 | 夜間・目視外・30m未満を規程で回せるのも、25kgを超えない機体だけ |
| 法第132条の85 第2項(許可) |
「(立入管理措置を講ずることなく…又は立入管理措置を講じた上で国土交通省令で定める総重量を超える無人航空機を飛行させる場合に限る。)」 | 人口集中地区は、25kgを超えると許可に戻る |
| 同 第3項(規程で足りる) |
「…無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる者は、…」 | 人口集中地区を規程で回せるのも、25kgを超えない機体だけ |
この分岐は重量だけで決まっており、技能証明の限定や機体認証の有無では動きません。だから「25kg以上の限定変更」は、申請を無くすための手続きではありません。効くのは次の2つです。
- その機体で特定飛行を行えるようにすること。重量の限定が付いたままでは、25kg以上の機体での特定飛行は法第132条の43第2項に触れます(許可・承認を受ける場合を除く)
- 許可・承認を申請するときに、様式3の添付を省略できるようにすること。飛行の形態が限定の範囲内でなければ、この省略は使えません
限定を超えて飛ばしたときに何が起きるか
限定の範囲を超えて特定飛行を行った場合、罰則と行政処分の両方が用意されています。
| 区分 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 罰則 | 第132条の43第2項の規定に違反して特定飛行を行ったときは、50万円以下の罰金 | 航空法第157条の9第7号 |
| 行政処分 | 点数表「限定をされた技能証明を受けた者による限定外の種類・方法での特定飛行」=14点 | 無人航空機操縦者技能証明に係る行政処分に関する基準(令和7年1月6日制定・国空無機第76233号)別表1「点数表」4。教則 第5版 3.1.2(3)5)「行政処分等」も同じ表を掲げています(2026年10月1日訂正:出典を通達に差し替え、教則の節番号を 3.1.2(5)5) から 3.1.2(3)5) に改めました) |
| 処分の重さ | 処分等区分表は 1〜2点=口頭注意/3〜5点=文書警告/6〜8点=効力の停止3月/9〜11点=効力の停止6月/12〜14点=技能証明の効力の停止1年/15点〜=効力の取消 | 同上 |
14点は、加重も軽減もなければ効力の停止1年に当たる区分です。同じ基準の「個別事情による加減表」は、重大な悪意又は害意に基づく行為に加重3点を定めていますから、態様によっては取消の区分(15点以上)に届き得ます。技能証明の効力が停止されれば、その間は資格を前提にした運用が成り立たなくなり、更新のときの講習も重くなります(技能証明の更新)。
ここで押さえておきたいのは、限定外の飛行は「資格が足りない」という話ではなく、条文上の禁止規定に対する違反として扱われているということです。点数表では、条件付きの技能証明を受けた者が条件(眼鏡等)の範囲外で特定飛行を行った場合も同じ14点とされています。
限定変更の手続き──2つのルート
条文の根拠と、どこまでが「限定変更」か
根拠は航空法第132条の52です。第1項は「限定に係る技能証明については、…申請により、当該限定を変更することができる」、第2項は「第百三十二条の四十七から第百三十二条の五十までの規定は、前項の規定により限定の変更を行う場合について準用する」。つまり試験(身体検査・学科試験・実地試験)と、登録講習機関の講習修了による試験免除の仕組みが、そのまま働きます。手続としては施行規則第236条の60により技能証明限定変更申請書を提出します。
国土交通省の事務処理要領は、限定変更申請に当たるものを「現に有効な技能証明を有している者が当該資格区分において、無人航空機の種類又は飛行方法の限定を変更するための申請」と定義し、例として次の3つを挙げています。
| 例 | 事務処理要領の書きぶり |
|---|---|
| 飛行の方法 | マルチコプターの二等技能証明を有する者が、二等技能証明においてマルチコプターで目視外飛行が可能となる限定変更を行うための申請 |
| 種類の追加 | マルチコプターの一等技能証明を有する者が、新たにヘリコプターの一等技能証明を取得するための申請 |
| 一等保有者の二等 | 25kg未満に限定を付されたマルチコプターの一等技能証明を有する者が、25kg以上の機体での飛行が可能となる二等技能証明を取得するための申請 |
3つ目が分かりにくいところです。事務処理要領は「一等技能証明は同限定の二等技能証明を包含するため、現に有効な一等技能証明を保有する者が二等技能証明に係る…限定を変更するための申請は、…限定変更申請に含める」としています。一等を持っている人が二等の側だけ限定を外す、という手続きがあり得るということです。DIPS2.0のよくある質問も「一等を保有していますが、二等のみ限定解除することは可能ですか」に「可能です。限定変更申請にて二等のみ限定解除することができます」と答えています。
ルートA:登録講習機関の講習を修了して実地試験の免除を受ける
国土交通省のガイドラインは、限定変更申請について「『4 技能証明の新規申請』での事前準備は不要なため、『4.1.2 登録講習機関での講習受講』〜『4.1.5 技能証明の新規申請』に準じて」行うとしています。すでに技能証明申請者番号を持っているので、アカウント開設と番号の取得からやり直す必要はありません。
ルートB:指定試験機関で実地試験を受ける
登録講習機関の講習は必須ではありません。国土交通省のレベル4飛行ポータルサイトも「必ずしも登録講習機関の無人航空機講習を受講する必要はありませんが、修了した無人航空機講習の内容に応じた実地試験が免除となりますのでご検討ください」としています。講習を受けない場合は、指定試験機関で限定変更の実地試験を受けます。手数料は後述のとおり政令・省令で定まっています。
旧技能証明書の返納を忘れない
施行規則第236条の68第2項第1号は、限定の変更がされた技能証明を受けたときは、交付を受ける技能証明書と引換えに、旧技能証明書を返納しなければならないとしています。ガイドライン6.1も「手続完了後、速やかに旧技能証明書を…郵送し返納する」「返納に当たって技能証明申請システムにおける手続は不要である」と書いています。DIPSの「返納申請」ボタンを押す手続きではない点に注意してください。
講習時間──告示が定める最低時間
登録講習機関の講習時間は、国土交通省の「登録講習機関の教育の内容の基準等を定める告示」(別表第一)が最低時間として定めています。限定変更の実地講習は、基本の課程とは別立てです。
| 実地講習の区分 | 一等 初学者 | 二等 初学者 | 一等 経験者 | 二等 経験者 |
|---|---|---|---|---|
| 基本(限定変更なし) | 50時間以上 | 10時間以上 | 10時間以上 | 2時間以上 |
| 限定変更(目視内)=目視外の解除 | 7時間以上 | 2時間以上 | 5時間以上 | 1時間以上 |
| 限定変更(昼間飛行)=夜間の解除 | 1時間以上 | 1時間以上 | 1時間以上 | 1時間以上 |
| 限定変更(最大離陸重量25kg未満)=25kg以上の解除 | 2時間以上 | 2時間以上 | 1時間以上 | 1時間以上 |
告示の注は、修了審査の時間は講習時間に含めないこと、点検作業の時間は含められること、操縦シミュレーターでの講習は履修科目ごとの最低時間数の4割を上限として含められることを定めています。また一等の限定変更の時間には二等に相当する時間が含まれており、対応する二等の修了証明書・技能証明書を持つ場合はその部分を免除できるとされています。
学科講習については、告示の注が「同じ資格の有効な修了証明書・学科試験合格証明書・技能証明書を有する者は学科講習を免除できる」としています。すでに同じ等級の技能証明を持っている人が限定変更だけを受ける場合、実地講習が中心になるのはこのためです。
国に納める額
限定変更でかかる費用のうち、国が額を定めているものと定めていないものを分けます。
技能証明書に係る手数料は2,850円
航空法関係手数料令第16条第2項が、限定の変更を申請する者が技能証明書に関し納付する手数料を2,850円と定めています。一等・二等とも同額です。DIPS2.0のよくある質問も「限定変更申請:2,850円(一等/二等どちらも同額)」としています。
試験の手数料も、政令と省令で決まっている
見落とされやすいのですが、試験の手数料は各機関が自由に決めているものではありません。航空法第135条第1項は「実費を勘案して政令で定める額の手数料を国(指定試験機関が試験事務を行う場合にあつては、指定試験機関)に納めなければならない」とし、同条第2項で「指定試験機関に納められた手数料は、指定試験機関の収入とする」としています。納め先が指定試験機関になるだけで、額は法令で固定されています。
限定変更の実地試験の額は、航空法関係手数料規則第9条と別表第三〜第八が定めています。よくあるケースを抜き出すと次のとおりです(いずれも実地試験の手数料で、技能証明書の2,850円とは別)。
| 限定変更の内容 | 機体の種類 | 一等 | 二等 |
|---|---|---|---|
| 25kg未満の限定を外す (種類の限定のみ変更) | マルチローター | 20,800円 | 19,800円 |
| ヘリコプター | 21,200円 | 20,300円 | |
| 飛行機 | 22,400円 | 20,900円 | |
| 夜間だけ、または目視外だけ (飛行の方法の限定のみ変更) | マルチローター | 20,800円 | 19,800円 |
| ヘリコプター | 21,200円 | 20,300円 | |
| 飛行機 | 22,400円 | 20,900円 | |
| 夜間と目視外を同時に外す (どちらも残っている場合) | マルチローター | 41,600円 | 39,600円 |
| ヘリコプター | 42,400円 | 40,600円 | |
| 飛行機 | 44,800円 | 41,800円 | |
| 重量の限定が付かない種類を 新たに追加する場合 (同じ種類の25kg未満限定を持っていないとき) | マルチローター | 43,000円 | 40,200円 |
| ヘリコプター | 43,800円 | 41,200円 | |
| 飛行機 | 46,200円 | 42,400円 |
表の1段目と4段目の差が大きいのは、別表が「同じ種類の25kg未満の限定をされた技能証明をすでに持っているか」で額を分けているためです。マルチローターの25kg未満限定を持っている人が重量の限定を外すのは二等19,800円ですが、ヘリコプターを一から追加するのは二等41,200円になります。夜間と目視外を同時に外す場合も、どちらか一方をすでに外していれば片方分の額で済みます。
身体検査の手数料と、運転免許証が使えない場合
身体検査の手数料は、手数料令第16条第1項が新規取得のときと同じ額を引いており、手数料規則第8条第1項が「施行規則第236条の47第2項の規定による身体検査(医師の身体検査証明書の提出による書類の確認)は5,200円、それ以外の身体検査は19,900円」と定めています。
限定変更で注意が必要なのは、一等で25kg未満の限定を外す場合です。施行規則第236条の47第3項第1号は、書類の確認をもって身体検査とすることができる場合を2つに分け、25kg未満の限定をされた一等・二等で合格した身体検査は、25kg未満の限定をしない一等(=当該限定の変更をされるものを含む)には使えない構造にしています。条文の括弧書きが明示的に「当該限定の変更をされるものを含む。」と書いており、限定変更を想定した規定です。
ガイドラインも、運転免許証で身体適性の書類に代えられるのは「一等技能証明(最大離陸重量25キログラム未満についての限定をされるものに限る。)及び二等技能証明に限る」としています。したがって一等で25kg以上を扱うための限定変更では、運転免許証は使えず、医師・医療機関での受検が前提になります。医療機関の予約が必要になるため、講習の日程と合わせて早めに段取りするのが現実的です。
| 費目 | 額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 技能証明書(限定変更) | 2,850円(一等・二等同額) | 手数料令第16条第2項 |
| 限定変更の実地試験 | 上表のとおり。講習修了で免除を受ければ不要 | 手数料令第16条第1項、手数料規則第9条・別表第三〜第八 |
| 身体検査 | 書類の確認による場合5,200円/それ以外19,900円 | 手数料規則第8条第1項 |
| 学科試験 | 限定変更の手数料として政令に置かれていない | 手数料令第16条第1項(身体検査と実地試験のみ) |
| 登録免許税(一等) | 公式には明示されていない(下記) | 登録免許税法 別表第一 第32号(30)ワ |
| 登録講習機関の講習料 | 国の定めなし | 国土交通省「各機関にお問い合わせください」 |
有効期間──限定だけが別に切れるわけではない
「限定変更を受けると、そこから3年に延びるのか」という疑問が出ますが、条文はそういう建てつけになっていません。
航空法第132条の51第1項は「技能証明の有効期間は、三年とする」と定め、第2項が「その満了の際、申請により更新することができる」としています。有効期間が動くのは更新のときで、限定の変更によって有効期間が新たに起算されるという規定は、航空法にも施行規則にも置かれていません。第132条の52も「当該限定を変更することができる」と書くにとどまります。
有効期間の起算日について明文があるのは、次の2つだけです。
| 条文 | 内容 | 起算日 |
|---|---|---|
| 施行規則 第236条の58 | 二以上の種類についての限定をされた技能証明の更新を同時に申請する場合、申請により起算日をそろえられる | それぞれの更新後の起算日のうち最も早く到来する日 |
| 施行規則 第236条の59 | 更新期間の全期間を通じて海外に滞在する人の前倒し申請、更新期間前の他の種類の同時申請 | 技能証明書が交付された日(同条第4項・第5項) |
ここから読めることは2つあります。ひとつは、夜間や目視外の限定を外すだけの限定変更で、技能証明の満了日が動くという規定はないということ。もうひとつは、第236条の58が「二以上の種類についての限定をされた技能証明」の起算日をそろえる規定をわざわざ置いていることから、種類ごとに満了日がずれ得ることが制度の前提になっているということです。
更新のときにもう一点。限定の内容は、更新で使える身体適性の書類を左右します。運転免許証で代えられるのは二等と25kg未満限定の一等だけなので、一等で25kg以上の限定変更を受けた人は、更新のたびに医療機関での身体適性検査が必要になります。期限の横断管理は期限を切らすと何が起きるかにまとめています。
新規取得時にまとめて取るか、後から取るか
国土交通省のレベル4飛行ポータルサイトは、限定変更について次のように書いています。
「限定変更を行うことで、操縦する無人航空機(ヘリコプター/マルチローター/飛行機)の追加、最大離陸重量の拡大(25kg以上)、昼間飛行に加えて夜間飛行、目視内飛行に加えて目視外飛行が可能になります。なお、最大離陸重量、飛行可能な時間帯、飛行の際の目視範囲の拡大は、技能証明書の新規申請時から行うことができます。」
つまり「まず基本を取ってから、あとで限定変更」という順序は必須ではありません。最初の実地試験の段階で、夜間・目視外・重量の限定が付かない状態を目指せます。判断材料を整理します。
| 観点 | 新規取得時にまとめる | 後から限定変更する |
|---|---|---|
| 国に納める額 | 技能証明書の手数料3,000円のみ(実地試験を受ける場合の額は種類と方法で決まる) | 限定変更のたびに2,850円+(実地試験を受けるなら上表の額) |
| 講習 | 基本の課程に限定変更の課程を足して一度に受講できる | 改めて受講申込みをする。学科講習は免除され得るが、実地講習は必要 |
| 手続きの回数 | 1回 | 限定変更申請は1回につき1つの機体の種類。複数の種類を同時に限定解除することはできない |
| 身体検査 | 一等で25kg以上を狙うなら、最初から医療機関での受検が必要 | 後から25kgの限定を外す段階で、改めて医療機関での受検が必要になる |
| 実際に使うか | 使わない限定にも講習時間と費用がかかる | 案件が見えてから投資できる |
整理すると、夜間・目視外は「見込みがあるなら最初にまとめる」判断が立ちやすい一方、25kgの限定は、機体を先に決める必要があるという違いがあります。限定は実地試験に使った機体で決まりますし(施行規則第236条の40第3項)、そもそも25kgを超える機体では申請が消えません。機体の選定と資格の計画を同じ表で管理するのが現実的です。
よくある質問
- e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第132条の42〜第132条の45、第132条の47、第132条の50〜第132条の52、第132条の54、第132条の85、第132条の86、第135条、第157条の9
- e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)第236条の38、第236条の40、第236条の41、第236条の47、第236条の51、第236条の52、第236条の54、第236条の57〜第236条の60、第236条の68、第236条の73
- e-Gov法令検索|航空法関係手数料令(平成九年政令第二百八十四号)第13条、第16条
- e-Gov法令検索|航空法関係手数料規則(平成九年運輸省令第五十八号)第8条、第9条、別表第一〜別表第八
- e-Gov法令検索|登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)別表第一 第32号(30)
- 国土交通省|無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(令和8年7月7日公布・7月14日適用)(PDF)
- 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明に係る行政処分に関する基準(令和7年1月6日制定・国空無機第76233号。別表1「点数表」・別表2「処分等区分表」・別表3「個別事情による加減表」・別表4)(PDF)
- 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明に関する事務処理要領(PDF・令和7年12月9日改正)
- 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明の申請等の事務処理に関するガイドライン(PDF・令和7年12月9日一部改定)
- 国土交通省|登録講習機関の教育の内容の基準等を定める告示の一部を改正する告示【統合版】(PDF)別表第一
- 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明における身体検査等実施要領(PDF・令和7年12月9日一部改正)
- 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明等
- 国土交通省|無人航空機レベル4飛行ポータルサイト 無人航空機操縦者技能証明
- 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続
- 国土交通省|DIPS2.0【技能証明】よくある質問
- 国土交通省|DIPS2.0【登録講習機関】よくある質問
- 国土交通省|無人航空機操縦者技能証明書の交付手数料額一覧(PDF)