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物流・配送でドローンを使うのに必要な許可・承認。レベル3.5とカテゴリーⅢ

公開 2026-10-06 更新 2026-10-06 読了 約18分

荷物を運ぶ飛行では、どこを飛ぶか・どう飛ぶかに加えて、「積んでいる荷物そのもの」と「荷物の渡し方」が許可・承認の要否を動かします。 ここで最初に切り分けておくべき論点が1つあります。「荷物を運ぶこと」と「機体から物を落とすこと」は、航空法では別の話です。物件投下の承認(航空法第132条の86第2項第6号)は、あくまで「投下」に当たる場合の規制であり、解釈通達は着陸して荷物を地表に置く行為や、落下させずに人に受け渡す行為は物件投下に該当しないと明記しています。 一方、荷物が危険物に当たれば、それだけで個別の承認が必ず必要な類型(カテゴリーⅡA)に入ります。 この記事は、配送業務で踏む特定飛行を条文単位で洗い出し、レベル3.5で済む範囲とカテゴリーⅢに入る境界、そして貨物利用運送事業法・貨物自動車運送事業法との関係について一次ソースで確認できた範囲を整理します。

よく見る説明と、公式の記載
ドローン物流は制度の動きが速く、2023年12月に新設されたレベル3.5をめぐる説明に混乱が見られます。この記事で扱う範囲について、実際の一次ソースの記載と突き合わせます。
よく見る説明ドローンで荷物を運ぶなら、物件投下の承認が必要になる。
公式にはこう解釈通達は「対象物件を地表等に落下させることなく地上の人員に受け渡す行為や輸送した物件を地表に置く行為は物件投下には該当しない」としています。着陸して置く/手渡すなら、投下の承認の話ではありません。
出典 無人航空機に係る規制の運用における解釈について 3(10)
よく見る説明レベル3.5を取れば、補助者も看板もなしに第三者の上空を飛べる。
公式にはこう国土交通省の資料は「レベル3.5飛行は、『カテゴリーⅢ飛行』ではありません」「立入管理措置そのものが不要となるわけではありません」「歩行者等が飛行経路下に存在する状態(=有人地帯上空)の飛行は行えません」としています。
出典 カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について p.9・p.10
よく見る説明ドローン配送を事業でやるには、貨物利用運送事業や貨物自動車運送事業の許可・登録が必要になる。
公式にはこう国土交通省のドローン物流ガイドライン(法令編)が挙げる関係法令は、航空法・道路交通法・河川法・自然公園法・国有林野法・港則法・土地改良法・条例・民法・小型無人機等飛行禁止法・電波法・薬機法・信書の送達です。貨物利用運送事業法・貨物自動車運送事業法についての記載は、同ガイドライン本文には見当たりません。要否のいずれも公式には明示されていません。
出典 ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0 第2部 法令編

「荷物を運ぶ」と「機体から物を落とす」は別の話

配送の相談でいちばん最初に混ざるのがこの2つです。「荷物を積んで飛ぶこと」自体を規制する条文は、航空法にはありません。規制されているのは、①どの空域を飛ぶか(法第132条の85第1項)と、②どういう方法で飛ばすか(同第132条の86第2項)です。荷物は、②の第5号(危険物の輸送)と第6号(物件投下)にひっかかるときだけ問題になります。

そして第6号の「物件投下」について、国土交通省の解釈通達(無人航空機に係る規制の運用における解釈について)は、次のように書いています。

3.(10) 物件投下の禁止
「ここで、水や農薬等の液体を散布する行為は物件投下に該当し、対象物件を地表等に落下させることなく地上の人員に受け渡す行為や輸送した物件を地表に置く行為は物件投下には該当しない。」

この一文が、配送の設計を大きく分けます。同通達は物件投下を規制する理由として、投下された物が地上の人に危害をもたらすおそれと、投下によって機体のバランスを崩し制御に支障が出るおそれの2つを挙げています。着陸して荷物を置く・手渡す形態は、そのどちらも生じないという整理です。

荷物の渡し方物件投下(法第132条の86第2項第6号)に当たるか
着陸して、荷物(輸送容器)を地表に置いて離陸する 当たりません。通達が明記する「輸送した物件を地表に置く行為」です
着陸せず、ホバリングしながら地上の人に荷物を手渡す 当たりません。「地表等に落下させることなく地上の人員に受け渡す行為」です。ただし人に近づく以上、30m未満の論点は残ります
上空からパラシュート等を付けて落とす 当たります。物件投下の承認が必要です
ウインチで吊り下げて降ろし、途中で切り離す 公式に明文の線引きはありません。国土交通省のドローン物流ガイドラインは「物件投下用のウインチ機構で吊り下げる場合」を物件投下の節で扱っています。投下として扱う前提で設計するのが安全側です
液体を散布する(農薬・水など) 当たります。同通達が明記しています

国土交通省のドローン物流ガイドラインも、荷物の受取方法を①ドローンから輸送容器を取り外す、②輸送容器から取り出した荷物をサービス利用者へ受け渡す、③ドローンからの物件投下により受け取るの3つに整理しています。①②と③は、航空法上の扱いが別になるということです。

条文上、投下の「軽微な場合」の例外は用意されていません。 法第132条の86第2項第6号は「地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと」という書き方をしています。ところが、現行の航空法施行規則を通して確認した限り、この「国土交通省令で定める場合」を定めた規定は見当たりません(施行規則で「投下」の語が現れるのは、有人の航空機についての第196条の2ほかだけです)。「軽いものだから」「低いところからだから」という理由で投下が第6号の対象外になる、という道筋は条文上用意されていないことになります。投下の高度を1m以下にできるのは、承認を得た上で補助者の配置を省略するための基準(審査要領5-8)であって、承認そのものを不要にするものではありません。

投下するなら、承認は避けられない

③の物件投下を選ぶと、後述のカテゴリーⅡAに入ります。同ガイドラインは「物件投下については、必ず国土交通大臣の承認が必要である」と書いており、技能証明と機体認証を揃えても手続を省略できません。審査要領(カテゴリーⅡ飛行)5-8は、次の基準を課しています。

  • 機体について、不用意に物件を投下する機構でないこと
  • 飛行させる者について、5回以上の物件投下の実績を有し、投下の前後で安定した機体の姿勢制御ができること(実績がない場合は、第三者が立ち入らないよう措置された場所で訓練を実施すること)
  • 投下しようとする場所に、常に監視できる補助者を配置し、第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと
  • 補助者を配置せずに投下する場合は、投下する際の高度を原則1m以下とし(立入管理区画内に投下可能であることを実証飛行等で確認できた場合を除く)、投下場所とその周辺に立入管理区画を設定して第三者が立ち入らないための対策を行うこと
「原則1m以下」は、事実上の設計制約です。 補助者を置かずに投下するなら、機体は荷受け地点の1m上まで降りることになります。それなら着陸して置いたほうが早い、という判断になる現場も多いはずです。投下を選ぶ理由は、着陸スペースが取れない・着陸のたびの離着陸で航続距離とバッテリーを消耗させたくない、といった運航上の事情にあります。ガイドラインも、投下によって「配送先でのドローンの離着陸が不要となるとともに、バッテリーの消耗の低減による航続距離の延伸、当該機体の配送頻度の向上等の効果が期待できる」と書いています。投下は承認と訓練実績のコストを払って運航効率を買う選択と捉えると、判断がぶれません。

荷物が「危険物」に当たるかは、10の類型で決まる

荷物のほうの論点です。危険物の輸送は法第132条の86第2項第5号で禁止され、承認の対象になります。では何が危険物かというと、条文の構造はやや変わっています。

航空法施行規則第236条の80第1項
「第百九十四条第一項の規定は、法第百三十二条の八十六第二項第五号の国土交通省令で定める物件について準用する。この場合において、第百九十四条第一項第八号中『航空機』とあるのは、『無人航空機』と読み替えるものとする。」
同第2項
「前項の規定にかかわらず、無人航空機の飛行のため当該無人航空機で輸送する物件は、…第五号の国土交通省令で定める物件に含まれないものとする。」

つまり、有人の航空機について定められた輸送禁止物件のリスト(規則第194条第1項)をそのまま持ってきているということです。そのリストは次の10類型です。

号類型規則第194条第1項の定義(要旨)
一火薬類火薬、爆薬、火工品その他の爆発性を有する物件
二高圧ガス摂氏50度で絶対圧力300kPaを超える蒸気圧を持つ物質等のうち、引火性ガス・毒性ガス・その他のガス(液化ガス又は摂氏20度でゲージ圧力200kPa以上となるもの)
三引火性液体引火点が摂氏60度以下の液体(一定の例外を除く)又は引火点が摂氏60度を超える液状の物質
四可燃性物質類可燃性物質/自然発火性物質/水反応可燃性物質
五酸化性物質類酸化性物質/有機過酸化物
六毒物類毒物/病毒を移しやすい物質(病原体及び病原体を含有し、又は付着していると認められる物質)
七放射性物質等放射性物質及びこれによって汚染された物件(告示で定める物質及び物件を除く)
八腐食性物質化学作用により皮膚に不可逆的な危害を与える物質等
九その他の有害物件前各号以外で人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのあるもの(告示で定めるものに限る)
十凶器鉄砲、刀剣その他人を殺傷するに足るべき物件

第7号と第9号は告示に委ねられており、これを受けているのが「無人航空機による輸送を禁止する物件等を定める告示」(平成27年11月17日 国土交通省告示第1142号)です。同告示の原文は、第7号を「航空機による放射性物質等の輸送基準を定める告示 第1条の2各号に掲げるもの」、第9号を「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示 別表第1の品名の欄に掲げるもの(分類番号が9のものに限る。)」と定めています。

告示の原文には、条ズレがあります。 告示第1142号は根拠規定を「規則第236条の5第1項において準用する規則第194条第1項第7号及び第9号」と書いています。しかし現行の施行規則で無人航空機の危険物を定めるのは第236条の80です(2022年12月の改正で条番号が移動しました)。告示側の引用は制定当時のままで、解釈通達は現行の「第236条の80」と告示第1142号を並べて示しています。原本を検索するときは、両方の条番号で当たる必要があります。

除外されるのは「その機体が飛ぶために積んでいるもの」だけ

第236条の80第2項の除外について、解釈通達はこう具体化しています。「当該飛行に必要不可欠であり、飛行中、常に機体と一体となって輸送される等の物件」として、①無人航空機の飛行のために必要な燃料や電池、②業務用機器(カメラ等)に用いられる電池、③安全装備としてのパラシュートを開傘するために必要な火薬類や高圧ガスが挙げられています。

この除外は「機体の電池」の話で、「荷物としての電池」の話ではありません。 自機のリポバッテリーや、搭載カメラの電池は危険物に含まれません。しかし、顧客に届けるモバイルバッテリーや電池製品は、機体の飛行のために積んでいるものではないため、この除外には当たりません。その荷物が第194条第1項のどの類型に当たるかを、品目ごとに確認する必要があります。
また、条文の構造として、第236条の80が準用しているのは第194条「第1項」だけです。有人機について第194条第2項が定める除外(告示の技術上の基準に従って輸送する場合など)は準用されていないと読めます。この点について公式の解説は確認できていないため、「有人機の貨物室で運べる包装なら大丈夫」という類推はしないほうが安全です。

公式に品名を挙げて「航空法上の危険物」と示した例として確認できたのは、国土交通省のドローン物流ガイドラインの次の1か所です。冷凍・冷蔵が必要な荷物の温度管理についての記述です。

3.4.2 配送時の品質管理
「冷凍・冷蔵・温蔵が必要な荷物等を配送する場合には、保冷剤(※ドライアイスは航空法上の危険物のため、同法に基づく承認が必要)や断熱材を使用し、適切に温度管理することが望ましい。」

保冷のために入れたドライアイスで、その便が危険物輸送になる。これは食品配送の実務で相当に効く指摘です。逆に言えば、公式が「ドローンで運べない荷物リスト」として品名を列挙した資料は、この記述以外には確認できていません。アルコール類、スプレー缶、電池製品、塗料、農薬などについては、上の10類型と告示に当てはめて個別に判断することになります。「電池はすべて危険物」「スプレーはすべて危険物」と一般化した公式の記載は見当たりません。

危険物輸送に当たると、承認は避けられなくなります。 危険物の輸送はカテゴリーⅡA飛行に分類され、技能証明と機体認証を揃えていても個別の許可・承認が必要です。さらに審査要領5-7は、体制の基準として「真に必要と認められる飛行であること」を挙げています。危険物を積む必要が本当にあるのかを説明できなければ、この基準を満たしません。保冷剤をドライアイスから蓄冷剤に替える、といった荷物側の設計変更で類型から外れるなら、そのほうが早いという判断になります。

配送の飛び方で当たる特定飛行の一覧

荷物の論点を離れて、飛び方の論点に移ります。配送は拠点から配送先まで距離を飛ぶ業務なので、点検や空撮とは当たり方が違います。特定飛行は「空域」の類型が許可、「方法」の類型が承認の対象です。

類型根拠条文物流・配送での当たり方頻度
目視外飛行
(承認)
法第132条の86
第2項第2号
配送の本体。拠点から配送先まで距離を飛ぶ以上、操縦者の肉眼から外れます。解釈通達は「目視」を操縦者本人が自分の目で見ることに限り、モニターによる監視や補助者による目視は該当しないとしています ほぼ常時
人又は物件から
30m未満
(承認)
法第132条の86
第2項第3号
規則第236条の79
荷受け地点で人や家屋に寄る場面。離着陸地点の周囲に第三者の物件(家屋・電線・車両)があれば当たります 高い
DID上空
(許可)
法第132条の85
第1項第2号
規則第236条の72
市街地への配送。2026年7月1日から用途地域「工業専用地域」の区域は対象外になりました(国土交通省告示第435号)。臨海部の物流拠点では確認の価値があります 高い(都市部)
物件投下
(承認)
法第132条の86
第2項第6号
投下で渡す場合のみ。着陸して置く・手渡すなら当たりません(s1) 選択次第
危険物の輸送
(承認)
法第132条の86
第2項第5号
規則第236条の80
+告示第1142号
荷物次第。ドライアイスを保冷剤に使う場合を含みます(s2) 荷物次第
夜間飛行
(承認)
法第132条の86
第2項第1号
夕方以降の配送、医薬品の緊急配送。国土交通省のガイドラインも「日中に働いている消費者にとっては、夕方以降の買い物等のドローンの活用のニーズがある」としています 中
150m以上
(許可)
法第132条の85
第1項第1号
規則第236条の71
第1項第5号
山越え・離島間のルート。地上又は水上の物件から30m以内の空域は除かれますが、尾根を越える経路は物件から離れるため該当し得ます 中(山間・離島)
空港等周辺
(許可)
法第132条の85
第1項第1号
規則第236条の71
第1項第1〜3号
空港近傍の拠点、空港連絡橋を越える経路。場所を特定した申請が必要 低(該当時は必須)
緊急用務空域
(飛行不可)
規則第236条の71
第1項第4号・第4項
許可があっても飛行できません。飛行開始前の該当性確認が義務です。災害時の物資輸送で最も当たる場面です 災害時
催し場所上空
(承認)
法第132条の86
第2項第4号
イベント会場への配送。経路と日時を特定した申請になり、催しの主催者等との調整結果を記載する必要があります 低

許可と承認の切り分けそのものはドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイド、反復して飛ぶ場合の申請の組み方は包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準で扱っています。工業専用地域の扱いは工業専用地域は、DIDの中でもDIDの飛行許可が要らなくなったにまとめました。

申請書には「輸送・宅配」という目的の選択肢があります。 審査要領(カテゴリーⅡ飛行)の様式1は、飛行の目的として「☐業務」の下に「☐空撮 ☐報道取材 ☐警備 ☐農林水産業 ☐測量 ☐環境調査 ☐設備メンテナンス ☐インフラ点検・保守 ☐資材管理 ☐輸送・宅配 ☐自然観測 ☐事故・災害対応等」を並べています。物流は制度上、独立した目的類型として想定されています。

荷受人は「第三者」なのか。30m未満の当てはめ

配送に固有の難しさがここにあります。荷物を渡す相手は、必ず機体のそばに来ます。この人が「第三者」なら、30m未満の承認が必要ですし、その人の上を飛べばカテゴリーⅢの領域に入ります。

解釈通達6.(1)は「第三者」を次のように定義しています。第三者とは、無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与していない者です。直接関与者は操縦者・補助者など安全確保に必要な要員で、これに加えて「間接関与者」という枠があります。

解釈通達6.(1)② 間接関与者
「飛行目的について操縦者と共通の認識を持ち、次のいずれにも該当する者とする。
a)操縦者が、間接関与者について無人航空機の飛行の目的の全部又は一部に関与していると判断している。
b)間接関与者が、操縦者から、無人航空機が計画外の挙動を示した場合に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている。…
c)間接関与者が、無人航空機の飛行目的の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができる。」
例:映画の空撮における俳優やスタッフ、学校等での人文字の空撮における生徒 等
公式の例示に、荷受人は入っていません。 解釈通達・教則第5版・ドローン物流ガイドラインはいずれも同じ3要件を示しますが、例示されているのは俳優・スタッフ・生徒です。「荷受人は間接関与者である」と明示した公式の記載は確認できていません。
一方で、同ガイドラインは物件投下の項で「荷受人に対しては、事前に投下範囲と受け取り手順について十分に説明し、理解してもらうように対応する必要がある」「投下が完了するまでは荷受人が投下範囲に近寄らないようにする必要がある」と求めています。これは要件b)の「明確な指示と安全上の注意」に近い運用ですが、それで荷受人が第三者から外れると公式に整理されたわけではありません。注文した本人が受け取りに来る形(要件c)の「自ら決定」に近い形)と、家族や近隣の人が代わりに受け取る形では、当てはめも変わります。荷受人を第三者として扱い、30m未満の承認を前提に設計しておくのが安全側です。

なお、30mの相手が第三者に限られること自体は、同通達が第132条の86第2項第3号を「第三者から30mの距離を保つこと」と言い換えていることから確認できます。したがって現場に立つ自社の補助者や配達員との距離だけを理由に承認が必要になるものではありません。効いてくるのは、荷受人と、荷受け地点の周囲にある第三者の家屋・車両・電線です。第三者の定義と立入管理の実務は立入管理措置とは。現場で実際に何をするのかで整理しています。

補助者を配置しない目視外と、レベル3.5の要件

配送は距離を飛ぶ業務なので、経路全体に補助者を置くのは現実的ではありません。そこで補助者を配置しない目視外飛行(いわゆるレベル3飛行)が必要になります。審査要領(カテゴリーⅡ飛行)5-4は、この場合に機体・操縦者・体制の3方向から基準を上乗せします。

対象補助者を配置しない目視外飛行で求められること(審査要領5-4)
機体
(5-4(1)a〜c)
自動操縦システムを装備し機体のカメラ等で機外の様子を監視できること/地上で位置及び異常の有無を把握できること(不時着した場合を含む)/不具合発生時にフェールセーフ機能が正常に作動すること(電波断絶時の自動帰還又は位置保持、GPS等の異常時の位置保持・安全な自動着陸、電池異常時の発煙発火防止 等)
機体の追加基準
(5-4(1)d)
灯火の装備又は認識しやすい塗色/他の航空機・無人航空機の状況を随時把握できること/第三者に危害を加えないことを製造者等が証明した機能/針路・姿勢・高度・速度・気象状況を把握できること/計画経路と実位置の差を把握できること/機体の初期故障期間を超えた十分な飛行実績
操縦者
(5-4(2)b)
モニターを見ながら意図した経路を維持して飛ばせることに加え、遠隔からの異常状態の把握・判断・操作に関する座学・実技による教育訓練を少なくとも10時間以上受けていること
経路
(5-4(3)c ア)
第三者が存在する可能性が低い場所(山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するもの)を設定すること。やむを得ない場合は幹線道路・鉄道や都市部以外の交通量が少ない道路・鉄道を横断する飛行と家屋上空における一時的な飛行に限り可能。また、やむを得ず人又は家屋の密集している地域の上空を飛行経路として設定する場合には、第三者及び物件への危害を防ぐための十分な安全確保措置を講じること(2026年10月1日訂正:令和8年9月29日の審査要領改正でこの文言が変わりました。改正前は「人又は家屋の密集している地域以外の家屋上空における離着陸時等の一時的な飛行に限り可能」でした)
立入管理区画
(5-4(3)c オ)
飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画とし、経路の設定基準を準用して設定すること
航空情報
(5-4(4))
航空機の状況を常に確認できない場合は航空情報の発行手続が必要で、飛行を行う日の1開庁日前までに管轄地方航空局長へ飛行日時・経路(緯度経度)・高度・機体数・機体諸元・問い合わせ先を通知すること

レベル3.5は、看板と補助者を機上カメラに置き換える制度

上の表の「経路」の行が、配送の最大の壁でした。山・河川・森林・農用地を選んで飛ぶと言われても、拠点と配送先の間には必ず道路が挟まります。道路・鉄道を横断するたびに補助者や看板が要るとなれば、人件費が事業を潰します。

これを解いたのがレベル3.5飛行です。国土交通省の資料は、その趣旨を「無人航空機による物資輸送やインフラ点検業務等の事業化促進を目的として、(2023年)12月に『レベル3.5飛行』制度を新設しました」と説明しています。制度の中身は、審査要領5-4(3)c カ)(ⅲ)に次のとおり書かれています。

審査要領5-4(3)c)カ)(ⅲ)
「第三者賠償責任保険に加入したうえで、無人航空機操縦者技能証明を保有する者が、…機体に取り付けられたカメラを活用することにより、補助者や看板の配置などの立入管理措置をせずに、移動中の車両、列車又は船舶の上空を通過する場合を含む道路、鉄道又は船舶航路を一時的に横断する飛行(レベル3.5飛行)を行い、かつ、以下の要件に適合すること」
機上カメラと地上モニター等の設備により、進行方向の飛行経路の直下及びその周辺に第三者の立入りが無いことを確認できることを事前に確認していること
操縦者が、飛行させる機体の種類・重量に対応し、かつ目視内飛行の限定解除を受けた現に有効な技能証明を保有していること(一等・二等の種別は問わない)
移動中の車両等との接触や交通障害等の不測の事態に備え、十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していること
道路・鉄道・船舶航路への墜落を避けるための緊急着陸地点の選定等、運航上の安全対策を設けていること
満たす → 補助者や看板なしで、道路・鉄道・船舶航路を一時的に横断できます(移動中の車両・列車・船舶の上空の通過を含む)
満たさない → 横断地点ごとに補助者の配置等が必要です

技能証明の等級は問われませんが、「目視内飛行の限定解除」は必須です。二等の技能証明を目視内の限定付きで取っただけでは、レベル3.5の要件を満たしません。限定解除を含めた資格取得の計画の立て方は法人が従業員に国家資格を取らせるときの計画で扱っています。保険については、国土交通省の資料が「具体的な補償金額については飛行の内容等によっても異なると考えられることから、必要な補償額を検討の上、実施事業者にて設定下さい」としており、国が金額基準を示しているわけではありません。

手続は、運航概要宣言書を出してから

レベル3.5は申請手続も通常と異なります。国土交通省の資料が示す流れは2段階です。

  1. 「運航概要宣言書」を航空局に提出する。実施しようとするレベル3.5飛行の概要、操縦ライセンスの保有、保険への加入、機上カメラ等について、飛行に必要な要件を満たしていることを申請事業者自らが担保し、航空局に宣言する書面です。内容に変更がない限り、以降はこの段階を省略できます
  2. 航空局から送付される「レベル3.5飛行用申請様式」と「レベル3.5飛行マニュアル」を用いて、東京航空局または大阪航空局へ申請する(DIPS2.0での電子申請に対応)
提出が不要になる資料も、作って持っておく必要があります。 国土交通省の資料は「提出が不要となる一方で、申請にあたっては事業者で同等の資料を作成し、具備しておく必要がありますのでご注意下さい」と明記し、別途求めがあれば提出が必要としています。具備すべきものとして挙げられているのは、運航条件等を設定した資料/機体の機能・性能及び飛行形態に応じた追加基準の適合状況を示せる資料/操縦者の過去の飛行実績又は訓練実績/飛行範囲及び落下距離の範囲内を立入管理区画として地図上に示した資料/機体の初期故障期間を超えた十分な飛行実績を示せる資料です。宣言書は書類を減らす制度であって、実体の要件を減らす制度ではありません。
機上カメラでの確認は、承認を取らない運用でも使えます。 解釈通達5.は、審査要領5-4(1)d)ウ)(ⅲ)に基づき機上カメラを活用して補助者を配置せずに目視外飛行を行う場合について、「技能証明を有する者が機体認証を受けた機体を飛行させる場合であって、国土交通大臣の承認を受けずに同等の飛行を行う場合を含む」と括弧書きし、機上カメラによる確認をもって立入管理措置が行われているものとみなすとしています。つまり、技能証明と機体認証が揃っていて、飛行の内容がカテゴリーⅡBに収まるなら、承認を受けない運用でもこの立入管理措置の考え方を使えるということです。

第三者上空を通るならカテゴリーⅢ

レベル3.5でも足りないのは、歩行者などの第三者の上空を通る場合です。国土交通省の資料は「レベル3.5飛行は、『カテゴリーⅢ飛行』ではありません」「レベル3飛行と同様に歩行者等の第三者の上空の飛行を認めるものではありません」と、二度にわたって線を引いています。

立入管理措置を講じずに特定飛行を行うもの、すなわち第三者上空における特定飛行がカテゴリーⅢ飛行です(法第132条の85第2項・第132条の86第3項)。ここに入ると、要件が段違いになります。

項目レベル3.5(カテゴリーⅡ)カテゴリーⅢ
第三者上空 飛べません。道路・鉄道・船舶航路の一時的な横断のみ 飛べます。これが制度の目的です
技能証明 一等・二等を問わない(目視内飛行の限定解除は必要) 一等無人航空機操縦士
機体 機体認証は必須ではない(認証があれば手続が軽くなる) 第一種機体認証。使用条件等指定書の範囲内であることの確認も必要
申請先 東京航空局または大阪航空局 国土交通大臣(窓口は国土交通省航空局安全部無人航空機安全課)
提出期限 カテゴリーⅡの通常どおり(新規は飛行開始予定日の10開庁日前まで) 飛行開始予定日の20開庁日前まで
添付書類 飛行マニュアル(レベル3.5飛行用) 飛行マニュアルに加えてリスクの分析及び評価の結果(規則第236条の74第1項第8号・第236条の81第1項第8号)

カテゴリーⅢの要件、20開庁日前の意味、リスク評価の進め方はカテゴリーⅢ飛行の要件。20開庁日前とリスク評価で詳しく扱っています。ここでは配送に固有の2点だけ押さえます。

「第三者上空」は、直上だけではない

教則第5版は、第三者上空を「第三者の直上だけでなく、飛行させる無人航空機の落下距離(飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離)を踏まえ、当該無人航空機が落下する可能性のある領域に第三者が存在する場合は、当該無人航空機は当該第三者の上空にあるものとみなす」としています。経路の真下に人がいなくても、落下距離の範囲に人が入っていればカテゴリーⅢです。住宅地の上を飛ばない経路であっても、落下距離が数十メートルある機体なら、道沿いに人がいるだけで該当し得ます。

一方で、みなさない場合も定められています。①第三者が遮蔽物に覆われており、遮蔽物に機体が衝突した際に保護される状況にある場合(屋内、移動中でない車両等の内部など)、②第三者が移動中の車両等(衝突した際に保護される状況にある場合に限る)の中にある場合であって、必要な要件を満たした上でレベル3.5飛行に規定される飛行として一時的にその上空を飛行するときです。ただし「第三者が遮蔽物に覆われず、無人航空機の衝突から保護されていない状況になった場合には、無人航空機が『第三者上空』にあるとみなされる点に留意する必要がある」とも注記されています。車から降りた瞬間に、その人は第三者上空の対象に戻ります。

カテゴリーⅢは、レベル4と同じではありません。 国土交通省の手続ページは「レベル4飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)を含むカテゴリーⅢ飛行は…」と書いており、レベル4はカテゴリーⅢの一部という関係です。教則第5版も「カテゴリーによる分類とレベルによる分類は厳密には一致しない場合があるため注意が必要である」と注記しています。物流の文脈では「レベル4」という呼び方が定着していますが、条文が動くのはカテゴリーⅢという枠のほうです。なお、ドローン物流によるレベル4飛行の最初の許可・承認は、2023年3月17日に日本郵便株式会社に対して行われたことが国土交通省の報道発表で公表されています。

条文上、カテゴリーⅢは即時停止義務の対象から外れている

細かいが重要な点です。法第132条の87は、特定飛行を行う場合に機体の下に人の立入り又はそのおそれを確認したときは直ちに飛行を停止し、経路変更・着陸等の措置を講じることを義務づけています。この条文には「立入管理措置を講ずることなく飛行を行う場合を除く」という括弧書きがあり、カテゴリーⅢ飛行は条文上この即時停止義務の対象から除かれています。第三者上空を飛ぶことを前提に許可された飛行だからです。逆に言えば、レベル3.5で飛んでいる間は、この即時停止義務の対象のままです。機上カメラで人を見つけたときに何をするかを、運航条件として先に決めておく必要があります。

許可・承認を不要にできる範囲と、絶対にできない類型

配送は同じ経路を毎日飛ぶ業務なので、申請の手間が積み上がります。そこで検討したくなるのが、技能証明と機体認証による手続の省略です。教則第5版は、この分岐を次のように書いています。

教則第5版 3.1.1(2)5)a
「カテゴリーⅡB飛行に関しては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合には、特段の手続き等なく飛行可能である。この場合、…飛行マニュアルを作成し遵守しなければならない。カテゴリーⅡA飛行に関しては、…技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合であっても、あらかじめ③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることにより可能となる。」

カテゴリーⅡAは、空港周辺・高度150m以上・催し場所上空・危険物輸送・物件投下・最大離陸重量25kg以上です。配送に当てはめると、判定はこうなります。

その便で危険物を積むか(ドライアイスの保冷剤を含む)→ 積むなら必ず承認
荷物を投下して渡すか → 投下するなら必ず承認
経路に空港等周辺・150m以上・催し場所上空が入るか → 入るなら必ず許可・承認
機体の最大離陸重量が25kg以上か → 以上なら必ず許可・承認(あわせて第三者賠償責任保険への加入が必要)
残るのがDID上空/夜間/目視外/30m未満だけか → そうなら、技能証明(二等以上)+機体認証(第二種以上)+飛行マニュアルの作成等で手続を省略できます。ただし夜間・目視外を含むなら技能証明の限定変更が必要です
第三者上空を通る → カテゴリーⅢ(一等技能証明+第一種機体認証+許可・承認)
配送では、①と②で結論が決まることが多いです。 荷物の中身と渡し方が便ごとに変わる業務では、「この便はⅡB、この便はⅡA」と日々切り替わります。荷物の受付段階で危険物の該当性を判定する仕組みがないと、現場で判断することになります。実務的には、包括申請で危険物輸送・物件投下まで含めた承認を先に取っておき、使う便だけで使うという設計のほうが事故が起きにくいです。ただし危険物輸送については審査要領5-7が「真に必要と認められる飛行であること」を求めるため、何を運ぶために必要なのかを説明できる範囲でしか取れません。

機体認証・型式認証の考え方は機体認証・型式認証とは。第一種と第二種の違い、認証機体を買うか許可・承認で回すかの判断は認証機体を買うか、許可・承認で回すかで扱っています。場所を特定しない申請の限界は全国包括は取れるか。標準マニュアル02の使い方をご覧ください。

係留の特例は、物件投下まで外れる

意外に配送で使える余地があるのが係留です。教則第5版は「十分な強度を有する紐等(30メートル以下)で係留し、飛行可能な範囲内への第三者の立入管理等の措置を講じて無人航空機を飛行させる場合は、人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、第三者から30メートル以内の飛行及び物件投下に係る手続き等が不要である」としています。物件投下が入っているのが配送にとっての意味です。

ただし、この特例に危険物の輸送は入っていません。解釈通達も「特に、危険物に該当する農薬の空中散布には、引き続き危険物輸送のための飛行の承認が必要である」と書いています。また紐の長さは30m以下で、その範囲内の立入管理も要るため、使えるのは実質的に拠点内・敷地内での短距離の受け渡しに限られます。詳しくは30m以下の係留で許可・承認が不要になる範囲で整理しています。

貨物利用運送事業法・貨物自動車運送事業法との関係

ここが、この分野でいちばん断定的な説明が流通している論点です。結論から書くと、公式には明示されていません。

国土交通省がドローン物流について出している網羅的な一次資料は「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0」(2023年3月)です。その第2部が「法令編」として、ドローン配送に関係する法令を章立てで並べています。目次はこうなっています。

章内容
1.航空法に基づく安全の確保(登録/レベル4に向けた制度改正/順守事項/特定飛行/機体認証/技能証明/許可・承認/飛行計画の通報・飛行日誌/事故等の措置/捜索救助等の特例)
2.公共施設等の上空の飛行(道路交通法及び道路法/河川法/自然公園法/国有林野の管理経営に関する法律/港則法及び海上交通安全法/土地改良法/地方公共団体が定める条例)
3.第三者の土地の上空の飛行(民法第207条)
4.重要施設の上空の飛行の禁止(小型無人機等飛行禁止法)
5.電波の使用(電波法第4条・第39条)
6.医薬品の配送(薬機法/ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン)
7.信書の送達(郵便法/民間事業者による信書の送達に関する法律)

貨物利用運送事業法・貨物自動車運送事業法は、この一覧に入っていません。同ガイドライン本文(全177ページ)を通しても、これらの法律名や「利用運送」の語は見当たりません。したがって「ドローン配送には貨物利用運送事業の登録が必要」とも、「不要」とも、公式には書かれていない状態です。この記事でも、どちらとも断定しません。事業の形態(自社の荷物を運ぶのか、他人の荷物を有償で運ぶのか、他の運送事業者の輸送を利用するのか)によって当てはめが変わる領域であり、実際に事業を組むときは、国土交通省の物流を所管する部門に直接確認するのが確実です。

代わりに、明確に書かれているのが「信書の送達」です。 同ガイドライン第2部7.は「信書とは、郵便法第2条第2項に規定する『特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書』である。具体的には書状、請求書の類、会議招集通知の類、許可書の類、証明書の類、一部のダイレクトメールである。他人の信書の送達は、通信の秘密の保護のため、郵便法第4条及び民間事業者による信書の送達に関する法律第3条の規定により、原則として、日本郵便株式会社及び総務大臣の許可を受けた信書便事業者のみが行うことができる」としています。
(2026年10月1日訂正)条番号について補足します。上の「郵便法第2条第2項」は同ガイドラインの表記のまま引用したものです。信書の定義を置いているのは、正確には郵便法第4条第2項です。同ガイドライン巻末の関係法令抄録自身も、郵便法第2条は「(郵便の実施)郵便の業務は…会社が行う」、第4条第2項は「…他人の信書(特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。以下同じ。)の送達を業としてはならない」と載せており、民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第1項も「この法律において『信書』とは、郵便法第四条第二項に規定する信書をいう」と定めています。条番号で引くときは郵便法第4条第2項を使ってください。
さらに同ガイドラインは、活用方策を検討する段階の記述で「宅配便・郵便(※信書の送達については規制があることに留意)」と注記しています。ドローン配送で規制が明示されているのは、貨物ではなく「文書」のほうです。役所の書類や証明書を運ぶ実証を組もうとするなら、ここが最初に当たります。

そのほか、ガイドラインが明示している周辺法令

論点ガイドラインの記載(要旨)
医薬品の配送 「品質の確保、患者本人への確実な授与など、一般貨物以上にその取り扱いに慎重を期す必要があり」薬機法その他の関係法令を遵守する必要がある。具体は「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン(2023年3月 厚生労働省・国土交通省)」に従う
電波 電波法第4条に基づき無線局の免許又は登録を受ける必要がある(極めて微弱な無線局や技術基準に適合する小電力無線局は不要)。「携帯電話を用いてドローンの運用を行う場合は、携帯電話事業者に携帯電話の上空利用に必要な手続きを確認すること」
道路の上空 工事・作業や一般交通に著しい影響を及ぼす撮影等でなければ、「道路の上空をドローンが飛行するということのみをもっては、現行制度上、道路使用許可を要しない」
土地の上空 民法第207条の所有権が及ぶ範囲は「利益の存する限度」とされ、「第三者の土地の上空において無人航空機を飛行させるに当たって、常に土地所有者の同意を得る必要がある訳ではないものと解される」。具体的範囲は「一律に設定することは困難」で事案ごとの判断
河川・公園・国有林・港・農業用施設 河川法/自然公園法/国有林野の管理経営に関する法律/港則法及び海上交通安全法/土地改良法と、自治体の条例。河川上空や国有林を通る経路は、航空法とは別に管理者側の手続がある
重要施設 小型無人機等飛行禁止法により原則禁止。対象施設の管理者等の同意と、都道府県公安委員会等への事前通報が必要

無線については5.7GHz帯のドローンを使うには。無線局免許と第三級陸上特殊無線技士、国有林の入林手続は国有林でドローンを飛ばすときの入林届と、森林管理署への確認、土地の上空については私有地の上空、所有権はどこまで及ぶのかで扱っています。重要施設周辺の事前通報は小型無人機等飛行禁止法の事前通報。48時間前と公安委員会をご覧ください。

ガイドライン自身が、制度の記述は古い可能性があると書いています。 同ガイドライン4.4は「なお、以下に示すこれら飛行に必要な措置は2023年3月時点のため、これら飛行方法を実施する場合は、最新の『無人航空機の飛行の安全に関する教則』及び『無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領』を確認すること」と注記しています。実際、レベル3.5は2023年12月の新設なので本文には反映されていません。航空法の手続の細目は教則第5版と審査要領(令和8年9月29日最終改正)を、物流固有の論点(受取方法・信書・品質管理・保険)はガイドラインを、と読み分けるのが正確です。

飛行のたびに発生する義務

許可・承認は入口です。配送は1日に何便も飛ぶ業務なので、ここの運用設計が失念を防ぐ鍵になります。

義務根拠条文内容
飛行計画の通報 法第132条の88第1項
規則第236条の83
特定飛行を行う場合はあらかじめ通報が必要。通報は電磁的方法によるものとされ、実務上はDIPSの飛行計画通報機能を使います。立入管理措置の有無及びその内容や保険契約の有無及び内容も通報事項です
飛行日誌の備付け 法第132条の89
規則第236条の84
飛行記録・日常点検記録・点検整備記録の3つで構成され、機体毎に備えます。1飛行ごとに記載し、総飛行時間は前回値に今回の飛行時間を加算します
緊急用務空域の確認 規則第236条の71第4項 飛行を開始する前に、該当するか否かを確認する義務。災害時の物資輸送で最も必要になる確認です
飛行前の確認 法第132条の86第1項第2号 機体の外部点検・作動点検、空域と周囲の状況、気象情報、燃料又はバッテリーの残量、リモートID機能の作動状況。教則第5版は「飛行自粛要請空域の該当の有無」も挙げています
事故の報告 法第132条の90 人の死傷・物件の損壊・航空機との衝突接触。「物件の損壊」は第三者の所有物を損傷させた場合の全てとされ、軽微なものも含まれます
重大インシデントの報告 法第132条の91
規則第236条の86
航空機との衝突接触のおそれ、軽傷、制御が不能となった事態、飛行中の発火
荷物の落下は、「物件の損壊」の入口になります。 ドローン物流ガイドラインは保険について「飛行中の航空機や他のドローンとの接触又は衝突、ドローンや輸送貨物の落下等により、第三者に対して損害を与えた場合の賠償に備えて資力を確保する必要があり」としており、輸送貨物の落下を明示的にリスクとして挙げています。保険期間についても「飛行開始から飛行完了までを漏れなくカバーする必要がある」と注意しています。落下した荷物が第三者の車や屋根を傷つければ、事故報告の要否を検討する事象です。飛行日誌の運用はドローンの飛行日誌の書き方。3種類の記録と、毎回の運用、複数機・複数操縦者で回すときの設計は機体が複数・操縦者が複数のときの飛行日誌の回し方、賠償責任の全体像はドローンを落として人にけがをさせたときの責任で扱っています。

荷物の積載についても、ガイドラインは運航側の基準を示しています。①不用意に荷物が落下しない機構であること(機体への荷物の確実な固定)②過積載を防止すること(荷物重量の事前計測、過積載センサーの利用等)③安全な飛行を損なうおそれがある荷物を配送しないこと(例:強い磁力を発する荷物等)④安全な飛行を損なうおそれがある荷物の積み方をしないこと(例:ドローンの重心を著しく偏らせる積み方等)。③の「強い磁力を発する荷物」は、危険物の10類型には現れませんが、磁気コンパスへの影響という別の理由で避けるべきものです。航空法上の危険物に当たらない荷物でも、運航上運べない荷物があるということです。

飛行計画の通報のタイミングと範囲はドローンの飛行計画の通報はいつ必要かで整理しています。

よくある質問

ドローンで荷物を運ぶには、物件投下の承認が必要ですか。
渡し方によります。解釈通達は「対象物件を地表等に落下させることなく地上の人員に受け渡す行為や輸送した物件を地表に置く行為は物件投下には該当しない」としています。したがって着陸して荷物を置く形、ホバリングしながら手渡す形は、物件投下の承認の対象ではありません。上空からパラシュート等で落とす場合は物件投下に当たり、承認が必要です。なおウインチで吊り下げて途中で切り離す形態については公式に明文の線引きがなく、国土交通省のドローン物流ガイドラインはこれを物件投下の節で扱っているため、投下として扱う前提で設計するのが安全側です。
リチウムイオン電池やモバイルバッテリーは配送できますか。
その荷物が航空法施行規則第194条第1項の10類型(火薬類/高圧ガス/引火性液体/可燃性物質類/酸化性物質類/毒物類/放射性物質等/腐食性物質/その他の有害物件/凶器)のどれかに当たるかで決まります。「その他の有害物件」は告示第1142号により「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示 別表第1の品名の欄に掲げるもの(分類番号が9のものに限る)」とされているため、原本の別表で品名を確認する必要があります。なお、機体の飛行に必要な燃料や電池、搭載カメラ等の業務用機器に用いる電池は、規則第236条の80第2項により危険物に含まれません。ただしこれは「機体が積んでいる電池」の話で、「荷物として運ぶ電池」には及びません。公式に「ドローンで運べない荷物リスト」として品名を挙げた資料は、ドライアイス以外には確認できていません。
冷蔵の食品を運びます。保冷剤に注意すべき点はありますか。
あります。国土交通省のドローン物流ガイドラインは「保冷剤(※ドライアイスは航空法上の危険物のため、同法に基づく承認が必要)や断熱材を使用し、適切に温度管理することが望ましい」と注記しています。荷物そのものが危険物でなくても、保冷のために入れたドライアイスで、その便が危険物輸送になります。危険物輸送はカテゴリーⅡA飛行で、技能証明と機体認証を揃えても承認が必要です。蓄冷剤への変更で類型から外れるなら、荷物側を替えるほうが手続は軽くなります。
レベル3.5があれば、住宅地を通る配送ができますか。
いいえ。国土交通省の資料は「レベル3.5飛行は、『カテゴリーⅢ飛行』ではありません」「レベル3飛行と同様に歩行者等の第三者の上空の飛行を認めるものではありません」「立入管理措置そのものが不要となるわけではありません」としています。レベル3.5で可能になるのは、補助者や看板の配置に代えて機上カメラで確認することと、道路・鉄道・船舶航路を一時的に横断する飛行(移動中の車両・列車・船舶の上空の通過を含む)です。歩行者が飛行経路下にいる状態の飛行は行えません。住宅地の上を通すならカテゴリーⅢです。
レベル3.5に必要な資格と保険は何ですか。
技能証明は一等・二等の種別を問いませんが、飛行させる機体の種類・重量に対応し、かつ目視内飛行の限定解除を受けたものである必要があります。保険は「移動中の車両等との接触や交通障害等の不測の事態に備え、十分な補償が可能な第三者賠償責任保険」への加入が要件です。ただし補償金額について、国土交通省の資料は「飛行の内容等によっても異なると考えられることから、必要な補償額を検討の上、実施事業者にて設定下さい」としており、国が金額基準を示しているわけではありません。このほか、機上カメラと地上モニター等で進行方向の経路直下及びその周辺に第三者の立入りがないことを確認できることを事前に確認しておく必要があります。
荷物を受け取る人は「第三者」に当たりますか。
公式に明示されていません。解釈通達6.(1)は第三者を「飛行に直接的又は間接的に関与していない者」と定義し、間接関与者の3要件(飛行目的についての共通認識、操縦者からの明確な指示と安全上の注意、関与するかを自ら決定できること)を示していますが、例示は映画の空撮における俳優やスタッフ、学校等での人文字の空撮における生徒で、荷受人は挙げられていません。ドローン物流ガイドラインは荷受人に対する事前説明を求めていますが、それで間接関与者に当たると整理した記載は確認できていません。荷受人を第三者として扱い、30m未満の承認を前提に設計しておくのが安全側です。
ドローン配送に貨物利用運送事業や貨物自動車運送事業の許可・登録は必要ですか。
公式には明示されていません。国土交通省の「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0」の法令編は、関係法令として航空法・道路交通法及び道路法・河川法・自然公園法・国有林野の管理経営に関する法律・港則法及び海上交通安全法・土地改良法・条例・民法第207条・小型無人機等飛行禁止法・電波法・薬機法・信書の送達を挙げていますが、貨物利用運送事業法・貨物自動車運送事業法についての記載は同ガイドライン本文に見当たりません。必要とも不要とも公式に書かれていない状態です。事業の形態で当てはめが変わる領域のため、実際に事業を組むときは国土交通省の物流を所管する部門に直接確認するのが確実です。なお、同ガイドラインが明確に規制を指摘しているのは「信書の送達」で、書状・請求書の類・証明書の類などの他人の信書の送達は、郵便法第4条及び民間事業者による信書の送達に関する法律第3条により、原則として日本郵便株式会社及び総務大臣の許可を受けた信書便事業者のみが行えるとされています。
同じ経路を毎日飛びます。毎回申請が必要ですか。
カテゴリーⅡであれば、同一の申請者が一定期間内に反復して飛行を行う場合や異なる複数の場所で飛行を行う場合は包括して申請できます。期間は原則3か月以内で、申請内容に変更を生ずることなく継続的に飛行させる場合は1年を限度としますが、DID上空・夜間・目視外を同時に行う場合は1年上限の適用外です。カテゴリーⅢの審査要領にも包括申請の規定はありますが、様式の注記は飛行の日時と経路を「特定」して記載することを求めており、場所を特定しない包括を想定した記載はなく、実績も公表されていません。カテゴリーⅢは飛行ごとの許可・承認に近い運用と考えておくほうが安全です。
技能証明と機体認証を揃えれば、配送の申請は不要になりますか。
便の内容によります。カテゴリーⅡB飛行(DID上空・夜間・目視外・30m未満だけで収まる飛行)であれば、技能証明を受けた者が機体認証を受けた機体を飛行させる場合は特段の手続なく飛行できます(飛行マニュアルの作成・遵守は必要で、夜間・目視外を含むなら技能証明の限定変更も必要です)。しかし危険物輸送・物件投下・空港等周辺・150m以上・催し場所上空・最大離陸重量25kg以上のいずれかが入るとカテゴリーⅡA飛行になり、技能証明と機体認証を揃えていても個別の許可・承認が必要です。配送では、荷物の中身と渡し方で便ごとに結論が変わります。
この記事の一次ソース
  1. e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)
  2. e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)
  3. 国土交通省|無人航空機に係る規制の運用における解釈について(解釈通達・令和8年4月1日最終改正・PDF)
  4. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)令和8年9月29日最終改正・国空無機第86784号(PDF)
  5. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)(PDF)
  6. 国土交通省|カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について(PDF)
  7. 国土交通省|無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(令和8年7月7日公布/7月14日適用・PDF)
  8. 国土交通省|ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0(PDF)
  9. 国土交通省|物流分野におけるドローンの活用
  10. 国土交通省|無人航空機による輸送を禁止する物件等を定める告示(平成27年国土交通省告示第1142号・PDF)
  11. 国土交通省|航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示(PDF)
  12. 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続
  13. 国土交通省|無人航空機の飛行ルール(飛行禁止空域・飛行の方法)
  14. 国土交通省|エリア単位でのカテゴリーⅢ飛行(レベル4飛行)における留意事項、事例集等(第2版・PDF)
  15. 国土交通省|無人航空機のレベル4飛行に係る初の許可・承認(令和5年3月17日 報道発表)
  16. 国土交通省|無人航空機の飛行計画の通報要領(PDF)
  17. 国土交通省|無人航空機の飛行日誌の取扱要領(PDF)
  18. 国土交通省|無人航空機の事故等の報告要領(PDF)
  19. 国土交通省|標準マニュアル(レベル3.5飛行・機上カメラで立入管理措置)(PDF)
  20. 国土交通省告示第435号(人口集中地区からの工業専用地域の除外・PDF)
本記事は2026年10月1日時点の情報です。 無人航空機の制度は改正が続いており、解釈通達・審査要領も通達として短い手続で改正され得ます。とくにレベル3.5の運用と、危険物の該当性の当てはめは動きやすい領域です。また、貨物利用運送事業法・貨物自動車運送事業法との関係については、この記事で参照した国土交通省の一次資料に記載が見当たらないことを述べたものであり、適用の有無を判断したものではありません。実際の申請・飛行・事業化の前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

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