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送電線・電力設備の点検でドローンを使うのに必要な許可・承認。150m以上と目視外

公開 2026-10-08 更新 2026-10-08 読了 約17分

鉄塔・架空送電線・変電所の点検は、ドローンの特定飛行のなかでいちばん複数の類型が同時に重なる作業です。鉄塔は高いので150m以上の空域に届き、設備に寄るので30m未満になり、線に沿って飛ばすので目視外になります。 このうち150m以上については、施行規則が「地上又は水上の物件から30m以内の空域」を禁止空域から除いており(航空法施行規則第236条の71第1項第5号)、国土交通省の教則は「煙突や鉄塔などの高層の構造物」を名指しでその例に挙げています。ただし同じ一文が「当該構造物の関係者による飛行を除き…当該飛行の方法に関する手続き等は必要となる」と続きます。除外されるのは空域(許可)の側だけで、方法(承認)の側は残るという構造です。 そしてもう一点。補助者を置いて機体を見張らせても、操縦者本人が見ていなければ目視外飛行です。解釈通達は「補助者による目視は該当せず」と書いています。線状構造物に沿って飛ばす点検では、ここが最も踏みやすい落とし穴です。 この記事は、送電線・電力設備という高くて細長くて他人の土地の上を通っている対象に固有の論点を、条文と通達の原文で整理します。橋梁・プラントを含む点検業務全般の入口はインフラ点検でドローンを使うのに必要な許可・承認で扱っています。

よく見る説明と、公式の記載
送電線の点検は「高さ」と「目視」の2点で説明が混乱しやすい領域です。この記事で扱う範囲について、一次ソースの原文と突き合わせます。
よく見る説明鉄塔から30m以内なら、150m以上でも手続きはいらない。
公式にはこう教則第5版は、鉄塔などの構造物から30m以内の空域が飛行禁止空域から除外されるとしたうえで、「ただし、当該構造物の関係者による飛行を除き、第三者又は第三者の物件から30メートル以内の飛行に該当することから、当該飛行の方法に関する手続き等は必要となる」と続けています。許可が外れても承認の話は残ります。
出典 教則 第5版 3.1.2(2)3)b
よく見る説明補助者が双眼鏡で機体を追っていれば目視内なので、目視外の承認は不要。
公式にはこう解釈通達は「『目視』とは、操縦者本人が自分の目で見ることをいうものとする。このため、補助者による目視は該当せず」としています。教則も「補助者による監視は含まない」と書いています。
出典 解釈通達 3.(6) 教則 第5版 3.1.2(2)2)b
よく見る説明送電線は電力会社の設備なので、30mを保つべき「物件」には当たらない。
公式にはこう解釈通達は「物件」の例に変電所、鉄塔、電柱、電線を名指しで挙げています。そこから除かれるのは「操縦者及びその関係者…が所有又は管理する物件」であり、設備所有者が「関係者」に当たるかは通達6.(1)の要件次第で、一律には決まりません。
出典 解釈通達 3.(7)・6.(1)

鉄塔と架空送電線では、3つの類型が同時に来る

まず、なぜこの業種が他と違うのかを押さえます。橋梁やビル外壁の点検は「対象に寄る」ことだけを考えれば設計できます。ところが送電設備は、高さ・細長さ・他人の土地の上という3つの性質を同時に持っています。

設備の性質そこから生まれる特定飛行手続の種類
高い(超高圧の鉄塔は100mを超えるものがある) 地表又は水面から150m以上の高さの空域 許可(空域)
寄らないと見えない(碍子・金具・圧縮スリーブ・素線切れ) 地上又は水上の人又は物件から30m未満 承認(方法)
細長い(1径間で数百m、路線で数十km) 目視外飛行 承認(方法)
市街地も通る(変電所・配電設備は住宅地の中にある) DID上空 許可(空域)
停電できない時間帯がある 夜間飛行 承認(方法)
この5つのうち「150m以上」だけが、他と性質が違います。 150m以上は空港事務所長が扱う許可であり、場所を特定しない包括申請では扱えないことが多い類型です。さらに審査要領は、150m以上の飛行について「空域を管轄する関係機関から当該飛行について了解を得ること」と、航空情報(NOTAM)の発行手続のため飛行の前日までに空港事務所長等へ通知する体制を求めています。30m未満・目視外・夜間・DIDを包括で先に押さえてあっても、150m以上が絡むと別立ての段取りになります。ここを混ぜて考えると、現場日程が崩れます。

150m以上の許可から「物件から30m以内」が除かれる仕組み

この記事の中核です。まず条文から確認します。航空法施行規則第236条の71第1項第5号の現行条文は、飛行禁止空域を次のように定めています。

「前四号に掲げる空域以外の空域であつて、地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域(地上又は水上の物件から三十メートル以内の空域を除く。)」

括弧書きが除外規定です。物件から30m以内であれば、高度150mを超えていても飛行禁止空域ではないということになります。

次に、この除外がどういう趣旨かを国土交通省の教則(第5版)が説明しています。3.1.2(2)3)b「高度150メートル以上の空域の例外」の原文です。

「地表又は水面から150メートル以上の高さの空域に関しては、航空機の空域と分離する観点から原則として飛行が禁止されているが、煙突や鉄塔などの高層の構造物の周辺は、航空機の飛行が想定されないことから、高度150メートル以上の空域であっても、当該構造物から30メートル以内の空域については、無人航空機の飛行禁止空域から除外されている。ただし、当該構造物の関係者による飛行を除き、第三者又は第三者の物件から30メートル以内の飛行に該当することから、当該飛行の方法に関する手続き等は必要となる。」

「鉄塔」が名指しで出てくるのがこの記事の出発点です。趣旨も明快で、鉄塔のすぐ横は有人機が飛んでくる場所ではないから、150m以上の空域として管理する必要がないという理屈です。

さらに、架空送電線そのものについては解釈通達が踏み込んで書いています。2.(2)の原文です。

「また、高構造物をつなぐ送電線等も物件にあたることから、当該送電線等から30m以内の空域についても除外される。」
「なお、対象物件については、150m以上に限定していないことから、物件から30m以内に地表又は水面から150m以上の高さの飛行の禁止空域がある場合には、当該空域は除外される。」
「当該空域が人口集中地区の上空にあたる場合には、航空法第132条の85第1項第2号の飛行にかかる許可は必要である。」

ここから、送電線点検の設計に直結する4つのことが確定します。

確定すること根拠実務での意味
①鉄塔の直近も、径間の電線沿いも、150m以上の禁止空域から除かれ得る 通達2.(2)「高構造物をつなぐ送電線等も物件にあたる」 鉄塔だけでなく電線に沿って飛ぶ区間も除外の射程に入ります。鉄塔から鉄塔へ渡る飛行を、電線から30m以内に収めて組めるかが設計の焦点になります
②物件の高さは150m以上でなくてよい 通達2.(2)「対象物件については、150m以上に限定していない」 高さ60mの鉄塔でも、地形の起伏で電線の対地高度が150mを超える山岳線では除外が効き得ます。谷をまたぐ径間がこれに当たります
③除外されるのは150m以上の許可だけ 教則3.1.2(2)3)b の「ただし」以下 30m未満の承認は残ります。物件から30m以内に入るということは、その物件が第三者の物件であれば30m未満の飛行そのものです
④DIDの許可は別に必要 通達2.(2)末尾 市街地を通る線路や変電所では、150m以上の除外が効いてもDIDの許可は独立して要否を判断します
「当該構造物の関係者による飛行を除き」の読み方。 教則の一文には、承認が残る場合の例外として「当該構造物の関係者による飛行」が置かれています。これは解釈通達3.(7)が、30mを保つべき「物件」から「操縦者及びその関係者…が所有又は管理する物件」を除いていることと対応します。設備の所有者・管理者が「関係者」に当たるなら、その設備は30mの対象物件ではなくなり、30m未満の承認も要らないという道筋です。ただし「関係者」に当たるかどうかは一律には決まりません。この点は第4章で詳しく扱います。

経路のどこが許可の対象に戻るか

除外規定は「点検箇所は除外に当たる」ことを保証しても、「そこへ行く経路も除外に当たる」ことは保証しません。送電線点検では、飛行経路の大半が設備から離れた空中になる場面が普通にあります。

経路上のその地点は、鉄塔・電線・変電設備から30m以内か(水平距離ではなく、機体と物件との直線距離で見る)
30m以内 → その空域は150m以上の禁止空域から除かれる(規則第236条の71第1項第5号の括弧書き)。ただし30m未満の承認の要否は別に判断する
30mを超える → その地点の地表又は水面からの高さが150m以上になるか
150m以上になる → 150m以上の飛行の許可が必要。審査要領は「空域を管轄する関係機関から当該飛行について了解を得ること」を求め、航空情報の発行手続のため飛行前日までの通知体制も要求している
見落としやすいのはここ。離着陸地点から鉄塔頂部までの上昇経路/鉄塔間を渡る移動/径間中央で電線から離れる往復/突風で流されたときの復帰経路/帰還時の直線ショートカットを、すべて①から通す
経路の一部でも「30mを超えて、かつ150m以上」の区間があれば、その飛行は150m以上の許可を要する飛行として設計する
山岳線では、地形のほうが先に効きます。 対地高度は真下の地表からの高さで決まります。谷をまたぐ径間では、鉄塔の根元では対地10mでも、径間中央では対地200mを超えることがあります。電線から30m以内に張り付いていればその空域は除外されますが、電線から離れた瞬間に150m以上の空域に出ます。同じ1回の飛行のなかで、除外区間と規制区間が交互に現れるのが山岳送電線の特徴です。飛行経路図を高度断面つきで作り、どの区間がどちらなのかを図面上で説明できる状態にしておくのが実務的です。

電線・電柱・鉄塔・変電所は、通達が名指しで「物件」に挙げている

30m未満の承認の側を見ます。距離の相手方については、解釈通達3.(7)が定義と具体例を置いています。

「『物件』とは、次に掲げるもののうち、操縦者及びその関係者(無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与している者)が所有又は管理する物件以外のもの(第三者の物件)をいう。a)中に人が存在することが想定される機器(車両等)b)建築物その他の相当の大きさを有する工作物」
具体例として挙げられているもの:「工作物:ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯 等」
該当しないもの:「a)土地(田畑用地及び舗装された土地(道路の路面等)、堤防、鉄道の線路等であって土地と一体となっているものを含む。)b)自然物(樹木、雑草 等)」
出典 解釈通達 3.(7)

電力設備の点検にとって重要なのは、変電所・鉄塔・電柱・電線が例示の4つを占めていることです。つまり電力設備は、条文の当てはめとして典型的な「物件」です。第132条の86第2項第3号は、これらから30mの距離を保つことを飛行の方法として求めています(距離の30mは施行規則第236条の79)。

「関係者が所有又は管理する物件」に当たるかは、一律には決まらない

では、電力会社の設備を、その電力会社から受託して点検する場合はどうか。定義上、「操縦者及びその関係者が所有又は管理する物件」は30mの対象から外れます。関係者には「間接的に関与している者」が含まれ、その要件は解釈通達6.(1)②に置かれています。

間接関与者の要件(通達6.(1)②)電力設備の点検に当てはめると
前提として、飛行目的について操縦者と共通の認識を持つ 点検を発注しているのですから、この前提は満たしやすい場面です
a)操縦者が、その者について飛行の目的の全部又は一部に関与していると判断している 設備の所有者として点検の目的そのものを共有している、という説明は成り立ち得ます
b)操縦者から、計画外の挙動を示した場合に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている ここが実質的な分かれ目です。立会者に対する指示と注意は成立させられますが、「設備を管理している組織」という抽象的な相手に対して成立させるのは別の話になります
c)その者が、飛行目的の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができる 発注者であれば満たしやすい要件です
通達の例示は「映画の空撮における俳優やスタッフ、学校等での人文字の空撮における生徒 等」で、設備の所有者・管理者を挙げた例示はありません。 電力会社を間接関与者と位置づけて「送電設備は第三者の物件ではない」と整理できるかは、公式には明示されていません。要件の当てはめは個別判断であり、一律に決まるものではありません。実務では、30m未満の承認を取る前提で設計しておくのが安全側です。この解釈が効くのは承認を不要にするところではなく、「誰との距離を管理対象として数えるのか」を飛行計画のうえで明確にできるところです。判断に迷う案件では、飛行の前に国土交通省へ確認するのが確実です。
近接すると必ず出てくるのが、隣接設備と地物です。 点検対象の鉄塔が仮に「関係者の物件」に整理できたとしても、併架されている他事業者の通信線、交差する配電線、線下の住居や工場、道路上の車両、鉄道車両は別の物件です。通達は鉄道の線路そのものは物件に当たらないとしていますが、鉄道車両・軌道車両は物件として例示されています。列車が通る時刻と飛行時刻の関係は、距離の管理として見る対象です。また樹木は物件に当たらないとされているため、支障木の離隔調査で樹冠に寄ること自体が30m未満になるわけではありません。ただし接触すれば機体が落ちます。

線に沿って飛ばすと目視外になる。補助者を置いても同じ

送電線点検で最も頻度が高く、最も誤解されているのが目視外飛行です。根拠は航空法第132条の86第2項第2号。そして「目視」の定義を解釈通達3.(6)が置いています。

「ここで、『目視』とは、操縦者本人が自分の目で見ることをいうものとする。このため、補助者による目視は該当せず、また、飛行状況を専らモニターを用いて見ることまた双眼鏡やカメラ等を用いて見ることは、視野が限定されるため『目視』にはあたらない。」
「なお、安全な飛行を行うためにバッテリー残量を確認する目的等で無人航空機から一時的に目を離し、モニターを確認する等は目視飛行の範囲内とする。」
出典 解釈通達 3.(6)

教則第5版も同じことを書いています。「『目視により常時監視』とは、飛行させる者が自分の目で見ることを指し、双眼鏡やモニター(FPV(First Person View)を含む。)による監視や補助者による監視は含まない(眼鏡やコンタクトレンズの使用は『目視』に含まれる)」(3.1.2(2)2)b)。

補助者の配置は、目視外飛行の承認の「要件」であって、目視外を目視内にするものではありません。 ここが逆に理解されていることがあります。国土交通省の標準マニュアル①(インフラ点検等)3-7は、目視外飛行を行う際の体制として「飛行の前には、飛行ルート下に第三者がいないことを確認し、双眼鏡等を有する補助者のもと、目視外飛行を実施する」と書いています。つまり補助者を置いたうえで行う目視外飛行が前提です。補助者がいるから承認が要らない、ではありません。

送電線点検で目視外になる場面は、構造的に避けられません。

場面目視外になる理由
1径間を端から端まで飛ばす 径間長は数百mに及びます。操縦者の立ち位置から機体の姿勢を肉眼で識別できる距離を超えた時点で目視ではありません
鉄塔の裏側・腕金の下側に回り込む 構造物に隠れます。碍子や圧縮部の点検はまさにここを見る作業です
山林の中を通る線路を追う 立木・尾根・地形に遮られます。巡視路から見通せる範囲は限られます
FPVや機上カメラの映像を見ながら寄せる モニターを見ながらの飛行は、それ自体が目視外飛行です
補助者を数百m先に立てて双眼鏡で追わせる 補助者による目視は「目視」に該当しません。操縦者本人が見ていなければ目視外飛行です
逆に、目視内で回せる作業もあります。 通達は「バッテリー残量を確認する目的等で一時的に目を離し、モニターを確認する等は目視飛行の範囲内」としています。鉄塔1基の外観を、操縦者が真下近くに立って肉眼で機体を追いながら撮る運用は、目視内に収まり得ます。1基点検と径間点検で目視外の要否が分かれるため、作業の単位ごとに判定を分けると申請の設計がすっきりします。

補助者を置かない目視外と、送電線ルートの相性

長距離の線状設備を1人で追うには、補助者を置かない目視外飛行(いわゆるレベル3、そしてレベル3.5)が視野に入ります。送電線の巡視ルートは、実はこの要件と相性がよい側です。審査要領5-4(3)c)ア)の原文を見ます。

「飛行経路には第三者が存在する可能性が低い場所※を設定すること。ただし、飛行経路を設定する上でやむを得ない場合には、幹線道路・鉄道や都市部以外の交通量が少ない道路・鉄道を横断する飛行(道路・鉄道の管理者が主体的又は協力して飛行させる場合は、この限りでない。)及び家屋上空における一時的な飛行に限り可能とする。
また、やむを得ず人又は家屋の密集している地域の上空を飛行経路として設定する場合には、第三者及び物件への危害を防ぐための十分な安全確保措置を講じること。」
「※第三者が存在する可能性が低い場所は、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するもの。」
出典 審査要領(カテゴリーⅡ飛行) 5-4(3)c)ア)(令和8年9月29日最終改正)
(2026年10月1日訂正)この項は令和8年9月29日に改正されました。 改正前は「人又は家屋の密集している地域以外の家屋上空における離着陸時等の一時的な飛行に限り可能とする」という書き方で、密集地域の上空については何も定めていませんでした。改正後は(ⅰ)家屋上空の一時的な飛行から「密集している地域以外」「離着陸時等」という限定が外れ、(ⅱ)やむを得ず密集地域の上空を飛行経路に設定する場合の「十分な安全確保措置」を講じる義務が新たに加わりました。国土交通省は改正の趣旨を「補助者を配置しない目視外飛行における飛行経路の設定について、やむを得ず人又は家屋の密集している地域上空を飛行経路として設定する場合の取扱いを明確化するため」と説明しています。送電線のように経路を自由に引けない線状設備では、密集地域を避けきれない区間が必ず出てきます。その区間を経路に含めること自体は排除されなくなった一方で、その区間について安全確保措置を具体的に設計して申請に書くことが求められる形になりました。ただし「十分な安全確保措置」の具体的な内容は審査要領の本文に例示がなく、新旧対照表も公開されていません。
出典 国土交通省|無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール(2026.09.29 お知らせ)/改正前の文言は同URLの令和7年12月12日最終改正版との原文比較

山地・森林・河川を通る送電線は、この「第三者が存在する可能性が低い場所」の列挙にそのまま重なります。一方で、送電線は必ずどこかで道路と鉄道を越えます。ここが難所です。

ルートの条件補助者なし目視外との関係
山地・森林・河川・農用地を通る区間 「第三者が存在する可能性が低い場所」に当たり得る区間です。ルートの大半をここに収められるかが第一の分かれ目になります
交通量の少ない道路・鉄道の横断 「飛行経路を設定する上でやむを得ない場合」に、都市部以外の交通量が少ない道路・鉄道の横断に限り可能とされています
幹線道路・鉄道の横断 原則としてこの枠には入りません。ただし道路・鉄道の管理者が主体的又は協力して飛行させる場合は括弧書きで外されています
移動中の車両・列車の上空を一時的に通過する レベル3.5飛行の枠です。第三者賠償責任保険への加入と、目視内飛行の限定解除を受けた技能証明の保有、機上カメラで進行方向の飛行経路の直下とその周辺に第三者の立入りがないことを確認できること、道路・鉄道への墜落を避けるための緊急着陸地点の選定等が要件です(審査要領5-4(3)c)カ)(ⅲ))
経路の一部で対地150mを超える 審査要領5-4(3)c)イ)は、150m以上の空域を含む場合に「一時的に150mを超える山間部の谷間における飛行など航空機との衝突のおそれができる限り低い空域や日時を選定」することを求めています
市街地・住宅地を通る区間 「第三者が存在する可能性が低い場所」ではありません。補助者を置く前提に切り替える区間として扱うのが素直です。なお令和8年9月29日改正で、やむを得ず人又は家屋の密集している地域の上空を飛行経路に設定する場合には「第三者及び物件への危害を防ぐための十分な安全確保措置」を講じることという定めが加わりました(2026年10月1日訂正)。密集地域の上空を含む経路を補助者なしで組むのであれば、この措置の内容を飛行マニュアルと申請書に落とす必要があります
機上カメラで立入管理措置を代替できる場合があります。 解釈通達5は、審査要領5-4(1)d)ウ)(iii)に基づき機体に取り付けたカメラを活用して補助者を配置せず目視外飛行を行う場合について、「機体に取り付けられたカメラにより進行方向の飛行経路の直下及びその周辺への第三者の立ち入りが無いことを確認することを以て、立入管理措置が行われているものとみなす」としています。数十kmの線路に沿って看板とコーンを並べることは現実的ではないため、長距離の巡視ではこの枠の活用可能性を早めに見たほうがよい領域です。立入管理措置そのものの考え方は立入管理措置とは。現場で実際に何をするのかで整理しています。

なお、これらの体制は飛行マニュアルに書き込む必要があります。標準マニュアル①(インフラ点検等)は補助者を置く目視外を前提にしているため、補助者を置かない運用や、機上カメラで立入管理措置を代替する運用を行うなら、対応する標準マニュアルを選ぶか独自の飛行マニュアルを用意することになります。この使い分けはインフラ点検専用の標準マニュアルがある。一般版との違いと独自の飛行マニュアルを作るべきときと作り方で扱っています。

DID・空港等周辺・緊急用務空域

DID上空(人口集中地区の上空)

航空法第132条の85第1項第2号、施行規則第236条の72。配電設備・市街地の変電所・都市部を貫く送電線は、DIDに当たる前提で考えるのが現実的です。解釈通達は「人口集中地区内の私有地内における飛行であっても…人口集中地区内である限り、飛行の禁止空域に該当する」としており、電力会社の変電所構内であってもDIDならDIDです。ただし2026年7月1日から、用途地域が「工業専用地域」の区域はDIDの対象から除かれました(国土交通省告示第435号)。臨海部の発電所や工場地帯の受電設備では、用途地域を先に確認する価値があります。対象は工業専用地域だけで、工業地域・準工業地域は含まれません。詳しくは工業専用地域は、DIDの中でもDIDの飛行許可が要らなくなったをご覧ください。

空港等の周辺

航空法第132条の85第1項第1号、施行規則第236条の71第1項第1号から第3号。空港に隣接する変電所や、進入表面・転移表面にかかる配電線の点検は、この許可の対象になります。空港設置管理者等との調整を図り、了解を得ることが審査要領の追加基準であり、また空港等の運用時間外または離着陸する航空機がない時間帯での飛行であることが求められます。場所を特定しない包括申請では扱えないため、案件ごとの個別申請になります。

150m以上の飛行で求められる体制

審査要領5-1(2)d)は、150m以上(物件から30m以内の空域を除く)の飛行について「空域を管轄する関係機関から当該飛行について了解を得ること」と関係機関との連絡体制の確保を求めています。標準マニュアル①(インフラ点検等)3-4は、その関係機関を「空港事務所・航空交通管制部」と具体化し、飛行日時・飛行高度(上限、下限)・機体数・機体諸元を空港事務所の求めに応じて連絡することとしています。

送電線沿いには、有人機が低く飛んでくる可能性があります。 教則第5版3.1.1(3)3)「航空機の飛行高度」は、150m以下を飛ぶ航空機の例として、捜索救助の公的機関やドクターヘリと並べて「低空での飛行の許可を受けた航空機(物資輸送・送電線巡視・薬剤散布)」を挙げています。有人機による送電線巡視そのものが、低空飛行の類型として教則に書かれているということです。自社が地上からドローンを上げている同じ線路の上を、別の巡視ヘリが飛ぶ可能性がある空域だと理解しておく必要があります。飛行計画の通報は、この観点でも意味を持ちます(ドローンの飛行計画の通報はいつ必要か)。
緊急用務空域は、許可があっても飛行できません。 災害・事故の発生時、捜索救助等の緊急用務を行う航空機の安全確保のため、国土交通大臣が緊急用務空域を指定することがあります(施行規則第236条の71第1項第4号)。同条第4項は、飛行を開始する前に、飛行させる空域が緊急用務空域に該当するか否かの別を確認する義務を課しています。台風・地震のあとの停電復旧は、まさにこの確認が必要になる場面です。 なお審査要領5-1(2)c)は、緊急用務空域における飛行の追加基準の第一に「災害時等の報道取材やインフラ点検・保守など、緊急用務空域の指定の変更又は解除を待たずして飛行させることが真に必要と認められる飛行であること」を挙げています。復旧のための設備点検が、緊急用務空域での飛行が認められ得る類型として明記されているということです。ただし空港事務所および緊急用務空域を飛行する航空機の運航者等との連絡体制の確保、航空機接近時に直ちに降下させること、関係機関の中止・変更指示に従うことなど、追加基準は重くなります。災害時に走り出してから読む資料ではありません。

送電線・電力設備の点検で当たる特定飛行の一覧

ここまでを1枚に整理します。特定飛行は「空域」の類型(許可)と「方法」の類型(承認)に分かれます。

類型根拠条文送電線・電力設備での当たり方頻度
人又は物件から
30m未満
(承認)
法第132条の86
第2項第3号
規則第236条の79
点検作業の本体。通達3.(7)が「変電所、鉄塔、電柱、電線」を物件の例に挙げています ほぼ常時
目視外飛行
(承認)
法第132条の86
第2項第2号
径間に沿う飛行・鉄塔の裏側・山林区間。補助者による目視は目視に当たりません 非常に高い
150m以上
(許可)
法第132条の85
第1項第1号
規則第236条の71
第1項第5号
鉄塔・山岳線の径間中央。物件から30m以内の空域は除かれますが、除外は空域の側だけです 高い
DID上空
(許可)
法第132条の85
第1項第2号
規則第236条の72
市街地の配電設備・変電所。構内でもDIDならDID。工業専用地域は2026年7月1日から対象外 高い(都市部)
夜間飛行
(承認)
法第132条の86
第2項第1号
停止時間帯に合わせる点検、停電復旧時の夜間作業 中
空港等周辺
(許可)
法第132条の85
第1項第1号
規則第236条の71
第1項第1〜3号
空港の制限表面にかかる送配電設備。場所を特定した個別申請になります 低(該当時は必須)
緊急用務空域
(飛行不可)
規則第236条の71
第1項第4号・第4項
飛行開始前の該当性確認が義務。審査要領は「インフラ点検・保守」を認められ得る類型に挙げています 災害時
物件投下
危険物輸送
(承認)
法第132条の86
第2項第5・6号
通常の点検では想定されにくい類型。該当すると使える飛行マニュアルが変わります 低

許可・承認を不要にできるか

カテゴリーⅡ飛行の一部は、条件を満たせば許可・承認を受けずに行えます。送電線点検では成立しにくいのが結論になりがちです。

飛行がDID上空/夜間/目視外/人又は物件から30m未満に収まっているか(空港等周辺・150m以上・催し場所上空・危険物輸送・物件投下は対象外)
機体の総重量が25kg未満か(施行規則第236条の73)
立入管理措置を講じるか(施行規則第236条の70。補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置)
技能証明を受けた者(二等以上)が機体認証を受けた無人航空機(第二種以上)を飛行させるか
飛行マニュアルの作成等、安全確保に必要な措置を講じるか(施行規則第236条の75)
送電線点検では①で落ちやすい。鉄塔・山岳線で150m以上が絡む案件は、この時点で対象外です
150m以上が入る案件では、国家資格と機体認証を揃えても申請は残ります。 さらに、夜間・目視外を含むなら技能証明の限定変更も別途必要です。現実的には、30m未満・目視外・夜間・DIDを包括申請で押さえ、150m以上と空港等周辺を案件ごとに個別で足すという二層構造になります。包括申請の考え方は包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準、場所を特定しない申請の限界は全国包括は取れるか。標準マニュアル02の使い方、許可と承認の切り分け全体はドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイドで扱っています。認証機体を買うか許可・承認で回すかの比較は認証機体を買うか、許可・承認で回すかをご覧ください。

電気事業法の側から見た位置づけ

航空法の手続とは別に、点検そのものが電気事業法の枠のなかにある作業です。ここは義務の所在を条文で押さえるにとどめ、ドローンの使用可否を断定しないのが正しい扱いだと考えます。

条文内容
電気事業法第39条第1項 「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。」同条第2項第1号は、その省令が「人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること」によるべきものとしています
電気事業法第42条第1項・第4項 設置者は工事・維持・運用に関する保安を確保するため保安規程を定めて主務大臣に届け出なければならず、設置者及びその従業者は保安規程を守らなければならない
電気事業法施行規則第50条 保安規程に定める事項として、第2項第9号(送配電・発電事業用)と第3項第3号(自家用等)が「保安のための巡視、点検及び検査に関すること」を挙げています

つまり構造としては、国が技術基準への適合維持を義務づけ、巡視・点検の中身は設置者が保安規程に定めて届け出、その保安規程を守る義務を負うという形になっています。

巡視・点検の頻度や方法を国が一律に定めた規定は、今回確認できていません。 電気事業法施行規則の現行条文を「巡視」で検索すると、ヒットするのは第50条の保安規程の記載事項(第2項第9号・第3項第3号・第4項第4号)と、設備台帳の「管理等履歴(巡視、点検及び工事等に係る記録)」だけです。他の省令・告示・内規まで網羅的に確認したわけではないため、「国が頻度を定めていない」と断定はしません。確認できたのは「施行規則には頻度の定めがなく、保安規程に委ねられている」という条文構造までです。
ドローンによる点検が電気事業法上どう評価されるか、保安規程にどう書くべきかについては、経済産業省の一次資料で今回確認できていません。 したがってこの記事では、「ドローンを使えば巡視義務を満たせる」「従来の徒歩巡視をドローンで置き換えられる」といった評価は行いません。判断の主体は設備の設置者であり、その根拠は届け出ている保安規程です。受託して点検する立場であれば、発注者の保安規程がその作業をどう位置づけているのかを、契約の前提として確認するのが実務上の順序になります。航空法の許可・承認が下りていることは、電気事業法上の適否とは別の話です。

航空法の外で確認しておくもの

電力設備には、他の業種には出てこない確認事項があります。

論点内容
原子力発電所は小型無人機等飛行禁止法の対象 同法の対象施設5類型の1つが対象原子力事業所です。2026年7月14日施行の改正で対象施設周辺地域の範囲が「周囲おおむね1,000m」に拡大されました。この法律には重量要件がなく、100g未満の機体も対象です。原則として飛行開始の48時間前までに都道府県公安委員会等への通報が必要です(小型無人機等飛行禁止法。おおむね300mから1,000mへ拡大された2026年7月改正/事前通報。48時間前と公安委員会)
高圧送電線が電波に影響する 教則第5版は送信機の信号について、「無人航空機で使用される送信機からの電波だけでなく、無線LANやWi‐Fi、高圧送電線の影響を受ける場合もあるため、周辺環境の確認が必要である」としています。事前に周辺の電波状態を確認することが望ましいとされる領域です
長距離の伝送には無線局免許が要ることがある 5.7GHz帯等の無人移動体画像伝送システムは無線局免許と第三級陸上特殊無線技士以上が必要です(5.7GHz帯のドローンを使うには)
巡視路が国有林を通ることがある 国有林で飛ばす場合は入林届と森林管理署への確認が必要です(国有林でドローンを飛ばすときの入林届)
線下は他人の土地である 送電線は多くの区間で他人の土地の上を通ります。私有地上空の所有権が及ぶ高さについて一律の公式基準は存在しません(私有地の上空、所有権はどこまで及ぶのか)。離着陸地点の権原と、線下地の扱いは別に整理してください
道路・鉄道をまたぐ径間の調整 道路使用許可について警察庁通達は「原則として要しない」としています(ドローンに道路使用許可は必要か)。もっとも、補助者を置かない目視外で幹線道路・鉄道を横断する場合は、審査要領が「道路・鉄道の管理者が主体的又は協力して飛行させる場合」を別扱いにしています。管理者との調整は案件ごとに条件が異なるため、一般論としてしか書けません。飛行経路が確定した段階で、対象となる管理者を個別に洗い出すほかありません
立入管理措置を講じないならカテゴリーⅢ 線下に第三者の立入りを管理できない区間を、立入管理措置なしで飛ばすとカテゴリーⅢ飛行になります。一等技能証明と第一種機体認証、リスク評価が必要で、審査に要する期間も変わります(カテゴリーⅢ飛行の要件。20開庁日前とリスク評価)
係留の特例は、この用途では組みにくい 施行規則第236条の76は、係留の範囲内に地上又は水上の物件が存しないことを要件にしています。点検対象の設備が範囲内にある近接点検で、この要件をどう満たすかは公式に説明されていません(30m以下の係留で許可・承認が不要になる範囲)

また、特定飛行を行えば飛行計画の通報(法第132条の88第1項)と飛行日誌の備付け(法第132条の89第1項)が毎回発生します。長い路線を何日かに分けて飛ばす運用では、ここの回し方が失念の起点になりやすい部分です(ドローンの飛行日誌の書き方/機体が複数・操縦者が複数のときの飛行日誌の回し方)。

よくある質問

高さ100mの鉄塔の頂部を点検します。150m以上の許可は必要ですか。
鉄塔の頂部が地表から100mであれば、その付近を飛ぶだけなら対地150mに達しないため、150m以上の空域の問題は生じません。問題になるのは、鉄塔より上へ抜ける飛行と、地形の起伏で対地高度が上がる区間です。また、対地150m以上に達する場合でも、鉄塔や電線から30m以内の空域は禁止空域から除かれます(施行規則第236条の71第1項第5号)。教則第5版は「煙突や鉄塔などの高層の構造物…当該構造物から30メートル以内の空域については、無人航空機の飛行禁止空域から除外されている」としています。設備から30mを超えて、かつ対地150m以上になる区間があるかどうかで判定してください。
鉄塔から30m以内なら、何の手続も要らないということですか。
いいえ。除外されるのは150m以上の空域という「空域」の側の規制だけです。教則第5版の同じ一文が「ただし、当該構造物の関係者による飛行を除き、第三者又は第三者の物件から30メートル以内の飛行に該当することから、当該飛行の方法に関する手続き等は必要となる」と続けています。つまり30m未満の飛行の承認は別に検討が必要です。さらにDIDに当たる場所ならDIDの許可は独立して必要です(解釈通達2.(2)末尾)。
径間の電線に沿って飛ばす区間も、150m以上の除外に入りますか。
解釈通達2.(2)は「高構造物をつなぐ送電線等も物件にあたることから、当該送電線等から30m以内の空域についても除外される」としています。したがって電線から30m以内に収まっている区間は、除外の射程に入り得ます。ただし電線から離れた瞬間に、その地点の対地高度で判定が戻ります。山岳線では除外区間と規制区間が1回の飛行のなかで交互に現れるため、飛行経路を高度断面つきで整理しておくのが確実です。
補助者を立てて双眼鏡で機体を追わせています。目視外の承認は要りますか。
要ります。解釈通達3.(6)は「『目視』とは、操縦者本人が自分の目で見ることをいうものとする。このため、補助者による目視は該当せず」としており、双眼鏡やカメラを用いて見ることも「目視」に当たらないとしています。教則第5版も「補助者による監視は含まない」と書いています。操縦者本人が自分の目で機体を常時見ていない飛行は、補助者が何人いても目視外飛行です。補助者の配置は、目視外飛行の承認を受けるための体制側の要件です。
送電線は電力会社の設備なので、30mを保つべき「物件」ではないと考えてよいですか。
一律にそうとは言えません。解釈通達3.(7)は「物件」の例に変電所、鉄塔、電柱、電線を名指しで挙げており、そこから除かれるのは「操縦者及びその関係者(無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与している者)が所有又は管理する物件」です。設備の所有者が「間接関与者」に当たるかは通達6.(1)②の要件(飛行目的の共通認識、計画外の挙動の際に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けていること、関与するかを自ら決定できること)次第で、個別判断になります。通達の例示に設備の所有者・管理者は挙げられていません。実務では30m未満の承認を取る前提で設計するのが安全側です。加えて、併架された他事業者の通信線、交差する配電線、線下の住居、道路上の車両、鉄道車両は別の物件です。
長い路線を1人で巡視したいのですが、補助者なしの目視外は可能ですか。
条件次第で可能性があります。審査要領5-4(3)c)ア)は、補助者を配置しない目視外飛行について「飛行経路には第三者が存在する可能性が低い場所(山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するもの)を設定すること」を求めており、山地・森林を通る送電線はこの列挙と重なります。難所は道路・鉄道の横断で、やむを得ない場合の「都市部以外の交通量が少ない道路・鉄道を横断する飛行」に限られ、幹線道路・鉄道は「道路・鉄道の管理者が主体的又は協力して飛行させる場合」として別扱いです。移動中の車両・列車の上空を一時的に通過するなら、保険への加入と目視内飛行の限定解除を受けた技能証明を要件とするレベル3.5飛行の枠になります。
台風のあとの停電復旧で、緊急用務空域の指定中に設備を点検できますか。
緊急用務空域は、150m以上・DID上空・空港等周辺の許可を持っていても飛行できない空域です。ただし審査要領5-1(2)c)は、緊急用務空域における飛行の追加基準の第一に「災害時等の報道取材やインフラ点検・保守など、緊急用務空域の指定の変更又は解除を待たずして飛行させることが真に必要と認められる飛行であること」を挙げています。復旧のための設備点検は、認められ得る類型として明記されています。その場合も、空港事務所および緊急用務空域を飛行する航空機の運航者等との連絡体制、航空機接近時に直ちに降下させること、関係機関の中止・変更指示に従うことなどの追加基準を満たす必要があります。なお、飛行開始前に緊急用務空域に該当するか否かを確認することは、施行規則第236条の71第4項の義務です。
ドローンで点検すれば、電気事業法の巡視義務を満たしたことになりますか。
そう言える根拠を、今回は経済産業省の一次資料で確認できていません。条文の構造としては、電気事業法第39条第1項が技術基準への適合維持を義務づけ、第42条が保安規程の届出と遵守を求め、電気事業法施行規則第50条が保安規程の記載事項として「保安のための巡視、点検及び検査に関すること」を挙げています。巡視・点検の中身は設置者が保安規程に定めるものであり、ドローンによる点検がそれを満たすかは、その保安規程の内容に照らして設置者が判断する事柄です。受託する側としては、発注者の保安規程における位置づけを契約の前提として確認するのが順序になります。航空法の許可・承認が下りていることは、電気事業法上の適否とは別の問題です。
変電所の構内は自社の敷地なので、DIDの許可は要りませんか。
要ります。解釈通達は「人口集中地区内の私有地内における飛行であっても、強風等により予期せぬ場所に飛ばされることも想定されるため、人口集中地区内である限り、飛行の禁止空域に該当する」としています。例外は、2026年7月1日から対象外になった用途地域「工業専用地域」の区域だけです(国土交通省告示第435号)。工業地域・準工業地域は含まれず、該当するかは自治体に確認するよう案内されています。
原子力発電所の設備を点検する場合、航空法のほかに手続はありますか。
小型無人機等飛行禁止法の対象施設5類型の1つが対象原子力事業所です。2026年7月14日施行の改正で、対象施設周辺地域の範囲は「周囲おおむね1,000m」に拡大されました。この法律は重量要件がなく、100g未満の機体も対象です。対象施設の管理者またはその同意を得た者による飛行は適用除外とされていますが、除外に当たる場合であっても原則として飛行開始の48時間前までに都道府県公安委員会等へ通報することとされています。手続の詳細は小型無人機等飛行禁止法の事前通報で整理しています。
本記事は2026年10月1日時点の情報です。 無人航空機の制度は改正が続いており、解釈通達・審査要領・標準マニュアルは通達として短い手続で改正され得ます。とくに「物件から30m以内の空域」の当てはめは、鉄塔の形状・径間の地形・機体の実際の飛行位置に依存する個別判断です。また電気事業法側の取扱いは、設備の設置者が届け出ている保安規程によります。実際の申請・飛行の前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

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