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点検業務のドローンをどう選ぶか。重量区分・型式認証・限定変更の組み合わせ

公開 2026-10-15 更新 2026-10-15 読了 約16分

点検用のドローンを選ぶとき、実際に決まっているのは機材のスペックだけではありません。その機体を選んだ時点で、これから何年ぶん、どの手続を踏み続けるかが決まります。 航空法の制度は、①重量(100g未満/25kg以下/25kgを超える)、②機体認証・型式認証を受けているか、③操縦者の技能証明にどの限定が付いているか——この3つの組み合わせで、許可・承認の要否がほぼ決まる構造になっています。 この記事は、点検現場の条件から逆算して機体の要件を決めるための整理です。煙突や鉄塔のように150m以上へ上がる現場か、トンネル内部のように航空法の外に出る現場か、夜間や目視外が前提の現場か。条件が変わると、必要な重量区分も認証も限定も変わります。 機体認証制度そのものの説明は機体認証・型式認証とは。第一種と第二種の違いで、費用の比較は認証機体を買うか、許可・承認で回すかで扱っています。本記事は特定のメーカー・製品名・価格には触れません。一次ソースのない比較になるためです。

よく見る説明と、公式の記載
機体選定の話は、制度の話と機材の話が混ざったまま流通しています。この記事で扱う範囲について、条文と国土交通省の資料の記載と突き合わせます。
よく見る説明認証機体を買えば、点検の飛行はひととおり手続なしで回せる。
公式にはこう機体側だけでは成立しません。許可・承認を不要にできるのはカテゴリーⅡ飛行の一部で、技能証明を受けた者が機体認証を受けた機体を飛行させることが条件です(航空法第132条の85第1項・第132条の86第2項)。空港等周辺・150m以上・催し場所上空・危険物輸送・物件投下は対象外で、点検で頻出する150m以上がここに入ります。
出典 法第132条の85/第132条の86・教則 第5版 3.1.1(2)3)b
よく見る説明重い機体のほうが風に強いので、点検には大型機を選ぶほうが確実。
公式にはこう制度面の代償があります。総重量が25kgを超えると、立入管理措置を講じても「規程の作成等」では足りず、夜間・目視外・30m未満は承認、DID上空は許可の対象に戻ります(法第132条の85第2項・第3項、第132条の86第3項・第4項。総重量は施行規則第236条の73で25kg)。
出典 法第132条の85・第132条の86の各括弧書き
よく見る説明100g未満の小型機なら、どこで飛ばしても手続はいらない。
公式にはこう航空法の無人航空機からは外れますが(法第2条第22項、施行規則第5条の2)、教則は小型無人機等飛行禁止法は「大きさや重さにかかわらず対象」とし、緊急用務空域は「重量100グラム未満の模型航空機も飛行禁止の対象となる」としています。
出典 教則 第5版 3.1(1)・3.1.2(2)1)b

機体選定は、制度の分かれ目を選ぶこと

点検でドローンを導入するとき、比較表に並ぶのは飛行時間、耐風性能、センサーの種類、撮影解像度といった項目です。それは当然必要な比較ですが、制度の側から見ると、機体を1台決めるという行為は、まったく別の3つのスイッチを同時に押すことになります。

重量のスイッチ。100g未満か、25kg以下か、25kgを超えるか。ここで航空法の適用そのもの、登録記号の表示方法、許可・承認を不要にできるかどうか、保険の要件が変わります
認証のスイッチ。型式認証を取得している型式の機体を選び、機体認証を受けるか。ここで申請書類の一部省略と、条件を満たす飛行についての申請の免除が視野に入ります
限定のスイッチ。その機体で実地試験を受けた操縦者の技能証明に、どの限定が付くか。限定は実地試験に使った機体と飛行の方法で決まります(施行規則第236条の40第3項)
この3つが揃って初めて、申請を減らせる体制が成立します。1つ欠ければ、飛行のたびに許可・承認の側に戻ります

順番も重要です。点検業務では、現場の条件が先に決まっていて、機体はそれに合わせて選ぶのが実態です。150m級の煙突がある、トンネルの覆工を見たい、夜間の規制帯に合わせるしかない、市街地の橋梁である——こうした条件のほうが動かせません。ですから、比較表を作る前に現場の条件から必要な特定飛行の類型を洗い出し、そこから機体の要件へ逆算するのが正しい順序です。その洗い出しそのものはインフラ点検でドローンを使うのに必要な許可・承認で扱いました。本記事はその続きに当たります。

重量の3区分。100g未満・25kg以下・25kgを超える

航空法の重量の線は2本しかありません。100gと25kgです。ただし、この2本が引かれている場所が制度上まったく違います。

100gの線は、航空法の内か外かの線

航空法第2条第22項は無人航空機を定義したうえで、末尾に「その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く」という括弧書きを置いています。そしてその省令が施行規則第5条の2で、「法第二条第二十二項の国土交通省令で定める機器は、重量が百グラム未満のものとする」と定めています。

つまり100g未満の機器は、そもそも無人航空機に当たりません。機体登録も、特定飛行の許可・承認も、飛行計画の通報も、飛行日誌も、航空法上は対象外です。教則第5版は「100グラム未満のものは、無人航空機ではなく、『模型航空機』に分類される」と書いています。

重量の数え方が決まっています。 教則第5版は「無人航空機本体の重量及びバッテリーの重量の合計を指しており、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まない」としています。外付けのリモートID機器のような取り外せる付属品は数えません。100gの前後にある機体では、この数え方が結論を分けます。
「航空法の外」は「規制の外」ではありません。 教則第5版は、小型無人機等飛行禁止法の「小型無人機」については大きさや重さにかかわらず対象となり、100グラム未満のものも含まれるとしています。また緊急用務空域については、重量100グラム未満の模型航空機も飛行禁止の対象となると明記しています。電波法も重量とは無関係にかかります。点検対象が重要施設の周辺にある場合は小型無人機等飛行禁止法を、使用する周波数帯によっては5.7GHz帯の無線局免許を別に確認してください。

25kgの線は、手続の重さの線

25kgの線は、航空法の内側に引かれた線です。こちらを越えても航空法の対象であり続けますが、踏むべき手続の重さが変わります。しかも1か所ではなく、次のように制度の複数の場所に同じ線が現れます。

場面25kg以下(=25kgを超えない)25kgを超える根拠
登録時の申告 重量の区分は「二十五キログラム未満」 重量の区分は「二十五キログラム以上」 施行規則第236条の3
第1項第9号
登録記号の文字高 3ミリメートル以上 25ミリメートル以上 施行規則第236条の6
第1項第1号ハ
DID上空
(立入管理措置あり)
規程の作成等の措置で足りる余地がある 許可が必要 法第132条の85
第2項・第3項
夜間・目視外・30m未満
(立入管理措置あり)
規程の作成等の措置で足りる余地がある 承認が必要 法第132条の86
第3項・第4項
第三者賠償責任保険 任意(申請書には加入状況を記載) 加入していることが審査要領上の基準 審査要領4-3-1(19)
技能証明の限定 「最大離陸重量25kg未満の回転翼航空機(マルチローター)」等の限定で足りる 重量の限定が付かない種類の限定が必要 施行規則第236条の40
第1項

点検用の機体は、打音装置や接触式のセンサー、大型の赤外線装置、長時間飛行のためのバッテリーを積むと重量が伸びます。「あと少し積みたい」が25kgの線を越えた瞬間に、上の表の6行が全部切り替わります。機材の追加を検討するときは、重量の管理を制度の管理と同じ列に並べておく価値があります。

境界の書きぶりが一致していません。 条文は一貫して「国土交通省令で定める総重量(=25キログラム)を超えるもの」と書きますが、教則第5版と審査要領は「総重量25kg以上」と書きます。ちょうど25.0kgの機体がどちらに入るのかについて、公式の明示は確認できませんでした。25kgに近い機体を選ぶ場合は、境界ぎりぎりを狙わず余裕を見て設計するか、事前に国土交通省へ確認するのが確実です。

25kgの境目は、条文の括弧書きで効いている

「25kg以上は技能証明と機体認証があっても個別の許可・承認が必要」という説明は広く流通しています。これは正しいのですが、根拠として教則のカテゴリーⅡA・ⅡBの区分だけが引かれることが多く、条文のどこで効いているのかが見えにくい。ここを条文で押さえておくと、機体選定の判断がぶれなくなります。

まず総重量の値です。施行規則第236条の73は「法第百三十二条の八十五第二項及び第三項並びに法第百三十二条の八十六第三項及び第四項の国土交通省令で定める総重量は、二十五キログラムとする」と定めています。つまり25kgという数字は、法律の4つの項に同時に効いているということです。

空域の側(第132条の85)

第132条の85第3項は、立入管理措置を講じてDID上空(同条第1項第2号の空域)を飛行させる者について、「無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)」と書いたうえで、国土交通省令で定める措置を講じなければならないとしています。その措置が施行規則第236条の75の「無人航空機を安全に飛行させるために必要な事項を記載した規程の作成及び当該規程の遵守」です。

一方同条第2項は、DID上空について「立入管理措置を講ずることなく無人航空機を飛行させる場合又は立入管理措置を講じた上で国土交通省令で定める総重量を超える無人航空機を飛行させる場合に限る」という括弧書きを置き、その場合は国土交通大臣の許可が必要だとしています。

条文を並べると構造が見えます。DID上空は、立入管理措置を講じ、かつ25kgを超えない機体なら「規程の作成等」で足りる(第3項)。25kgを超える機体なら「許可」に戻る(第2項)。この分岐は重量だけで決まっており、機体認証や技能証明の有無では動きません。

方法の側(第132条の86)

同じ構造が飛行の方法にもあります。第132条の86第3項は承認の対象を定める項ですが、その括弧書きが決定的です。

「同項各号に掲げる方法のいずれか(立入管理措置を講じた上で無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる場合にあつては、同項第四号から第六号までに掲げる方法のいずれか)によらずに無人航空機を飛行させる者は、…あらかじめ…国土交通大臣の承認を受けて…」(航空法第132条の86第3項)

第2項の各号は、第1号が夜間(日出から日没までの間)、第2号が目視、第3号が人又は物件から30m(施行規則第236条の79)、第4号が催し場所上空、第5号が危険物輸送、第6号が物件投下です。したがって立入管理措置を講じ、かつ25kgを超えない機体なら、承認の対象は第4号から第6号(催し・危険物・物件投下)に絞られる。そして同条第4項が、第1号から第3号(夜間・目視外・30m未満)については「規程の作成等の措置」で足りる道を開いています。こちらも対象は「国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く」機体です。

点検業務での意味はこうです。 近接点検は30m未満に当たり、桁裏や構造物の裏側に回れば目視外に当たります。この2つを「規程の作成等」で回せるのは、立入管理措置を講じ、総重量が25kgを超えない機体を選んだ場合だけです。25kgを超える機体を選んだ時点で、30m未満と目視外は承認の対象に戻り、市街地ならDIDの許可も戻ります。積載量のために重量区分を上げる判断は、申請体制を維持し続ける判断とセットです。

なお、ここで見ているのはあくまで25kgの線です。空港等周辺・緊急用務空域・150m以上の空域(法第132条の85第1項第1号の空域)は、重量が何kgであっても、また機体認証と技能証明が揃っていても、第132条の85第2項の許可の対象です。点検業務でこれが重いのは、150m以上が高所構造物の点検で頻出するからです。カテゴリーの全体像は立入管理措置とは。現場で実際に何をするのか、立入管理措置を講じない飛行についてはカテゴリーⅢ飛行の要件で扱っています。

25kgを超えると、第三者賠償責任保険が要件になる

もう1つ、25kgの線に紐づいた条件があります。保険です。教則第5版 2.3.3 は、無人航空機の保険について「車の自動車損害賠償責任保険(自賠責)のような強制保険はなく、すべて任意保険である」と書いた上で、次のように続けています。

「なお、カテゴリーⅡ飛行のうち一部の飛行(総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合又は3.1.2(2)4)c.レベル3.5飛行の場合)にあたっては、不測の事態が発生した場合に十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していることが求められる。」(教則 第5版 2.3.3)

実体は審査要領の側にあります。審査要領(カテゴリーⅡ飛行)4-3-1(19)の原文は「総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合には、第三者の負傷や交通障害等の不測の事態が発生した場合に十分な補償が可能となる第三者賠償責任保険に加入していること。」です。申請書の記載側も、同2-2-1(8)が25kg以上の場合について、加入状況だけでなく保険の内容の記載を求めています。

項目内容
位置づけ 審査要領4-3-1(許可等の基準)の1項目。教則は保険が任意保険であることを明記したうえで、25kg以上について加入を求めています
いつから 2025年(令和7年)10月1日から。審査要領の附則(令和7年3月19日国空無機第100036号)が「この審査要領は、令和7年3月24日から施行する。ただし、2-2-1及び4-3-1の改正規定は、令和7年10月1日から施行する」としています
25kg以下の場合 加入は義務づけられていませんが、申請書には加入状況(保険会社名・商品名・補償金額)を記載し、加入していない場合は賠償能力の有無等の情報を記載することとされています
もう1つの対象 審査要領5-4(3)c)カ)に示す移動中の車両・列車・船舶の上空を通過する飛行(レベル3.5飛行)も、同じ保険の要件がかかります

機体選定の観点では、25kgを超える機体を選ぶことは、保険の維持費を制度上の固定費として抱えることを意味します。金額は各社の商品によるため本記事では扱いませんが、「加入していること」が審査の基準に入っているという点は押さえておく必要があります。落として人や物を傷つけたときの責任の整理はドローンを落として人にけがをさせたときの責任で扱っています。

登録記号の文字高とリモートID。機体側の物理的な条件

ここは手続ではなく、機体そのものに施す加工と装備の話です。導入時に見落とすと、機体が届いてから慌てる部分です。

登録記号の表示

航空法第132条の5が登録記号の表示等の措置を義務づけ、施行規則第236条の6第1項第1号が具体的な方法を定めています。

  • イ 登録記号は「装飾体でないアラビア数字又はローマ字の大文字により、耐久性のある方法で、鮮明に表示すること」
  • ロ 「無人航空機の胴体のうち、容易に取り外すことができない部分の表面であつて外部から容易に確認できる場所に表示すること」
  • ハ 文字及び数字の高さは、25kg未満の区分の機体は3ミリメートル以上、25kg以上の区分の機体は25ミリメートル以上
  • ニ 「登録記号の色は、表示する場所の地色と鮮明に判別できるものとすること」

教則第5版も同じ内容を「登録記号の文字は機体の重量区分に応じて次の高さとし…最大離陸重量25kg以上の機体は25mm以上/最大離陸重量25kg未満の機体は3mm以上」と書いています。25mmという高さは、機体の塗色や意匠に実際に影響する大きさです。大型機を導入するときは、胴体のどこにこの大きさで入れられるかを事前に見ておく価値があります。

条文と教則で言葉が違います。 施行規則第236条の3第1項第9号は「無人航空機の重量の区分の別 イ 二十五キログラム未満 ロ 二十五キログラム以上」と書いており、「最大離陸重量」という語は使っていません。教則は同じ区分を「最大離陸重量25kg以上/未満」と書いています。実務上は同じ区分を指していますが、申請の入力欄で迷ったときは条文側の表現(登録のときに申告する重量の区分)を基準に読むのが確実です。

リモートIDの搭載義務と、免除される場合

同じ施行規則第236条の6第1項第2号が、登録記号の表示に加えてリモートID機能を備えることを求めています。方法は2つあり、イが機体に内蔵されたリモートID機能に登録記号等を入力する方法、ロがリモートID機能を有する機器を機体に装備してそこに入力する方法です。内蔵型の機体を選ぶか、外付型の機器を足すかという選択が、条文の側でも想定されています。

そして同条第2項が、リモートID機能を備える義務を適用しない飛行を3つ挙げています。

免除される飛行条文上の要件点検業務での使いどころ
届出区域の上空での飛行 あらかじめ国土交通大臣に届け出たところに従って当該届出に係る区域の上空で行う飛行で、飛行を監視するために必要な補助者の配置その他の措置と、区域の範囲を明示するために必要な標識の設置その他の措置が講じられているもの。届出書には氏名等の連絡先・登録記号・飛行の日時、区域及び高度等を記載する(同条第3項) 訓練場や、同じ敷地で反復して飛ばす自社設備の点検で、区域を固定できる場合
係留しての飛行 十分な強度を有する紐等(長さが30メートル以下のものに限る)で係留することにより飛行の範囲を制限した上で行う飛行 後述。近接点検で係留を使う設計と重なる
秘匿を必要とする業務 警察庁、都道府県警察又は海上保安庁その他国土交通大臣が指定する機関の業務であって、警備その他の特に秘匿を必要とするもののために行う飛行 民間の点検事業者には該当しません
教則は免除を4つ挙げています。 教則第5版は、上の3つに加えて「無人航空機の登録制度の施行前(2022年6月19日)までの事前登録期間中に登録手続きを行った無人航空機」を挙げています。施行規則にも附則にリモートID機能に関する経過措置があり、施行前に製造された機体で技術上の理由等によりリモートID機能を備えることが困難であると認めて告示で定めるものについて、第236条の6第1項第2号を適用しないとしています。この2つの記述の対応関係は条文上確認できていませんが、いずれにせよこれから機体を選ぶ場面には関係しない類型です。新たに導入する機体はリモートID機能を備えたものとして設計してください。

発信される情報についても押さえておく価値があります。教則第5版は、リモートIDが発信するのは静的情報として製造番号及び登録記号、動的情報として位置・速度・高度・時刻などであり、所有者や使用者の情報は含まれない、そして1秒に1回以上発信されるとしています。発注者から「誰が飛ばしているか外部に分かるのか」と聞かれたときに答えられる内容です。登録制度そのものは無人航空機の登録制度 完全ガイド、更新の窓は機体登録の更新で扱っています。

技能証明の限定は「機体の種類」の中に重量が入っている

ここは条文を読まないと構造を誤解しやすい部分です。実務ではよく「限定変更の対象は夜間飛行・目視外飛行・最大離陸重量25kg以上の3つ」と説明されます。結論としてはそのとおりですが、条文の建てつけは違います。

施行規則第236条の40第1項は、技能証明の限定の対象となる「無人航空機の種類」を6つ挙げています。

号無人航空機の種類読み方
第1号最大離陸重量25キログラム未満の回転翼航空機(ヘリコプター)重量が限定に組み込まれている側。この限定のままでは25kg以上の機体で特定飛行を行えない
第3号最大離陸重量25キログラム未満の回転翼航空機(マルチローター)
第5号最大離陸重量25キログラム未満の飛行機
第2号回転翼航空機(ヘリコプター)重量の限定が付かない側。実務上「25kg以上の限定変更」と呼ばれているのは、こちらへ移ること
第4号回転翼航空機(マルチローター)
第6号飛行機

そして同条第2項が、飛行の方法についての限定を定めます。挙げられているのは2つだけです。「法第百三十二条の八十六第二項第一号に掲げる方法」(=日出から日没までの間において飛行させること=昼間)と、「同項第二号に掲げる方法」(=目視により常時監視して飛行させること=目視内)。つまり条文上は「夜間」「目視外」という限定があるのではなく、「昼間」「目視内」という限定が付く構造です。夜間や目視外を行うには、その限定を外す(限定変更を受ける)必要があります。

そして限定は、実地試験に使った機体で決まります。 同条第3項は「無人航空機の種類についての限定及び飛行の方法についての限定は、実地試験に使用される無人航空機及び当該実地試験における飛行の方法により行う」と定めています。これは機体選定と資格取得計画が完全に連動していることを意味します。25kg未満の機体で実地試験を受けた操縦者は、重量の限定が付いた技能証明を得ます。その人が25kg以上の機体で特定飛行を行うには、限定変更が必要です。導入する機体を決める前に、誰がどの機体で試験を受けるかを設計してください。資格取得の計画は法人が従業員に国家資格を取らせるときの計画で扱っています。

なお、法第132条の43第2項は、限定をされた技能証明を受けた者は「その限定…をされた種類の無人航空機又は飛行の方法でなければ、…特定飛行を行つてはならない」としつつ、ただし書で法第132条の85第4項及び第132条の86第5項に該当する場合を除いています。つまり係留等の例外に当たる飛行と、許可・承認を受けた飛行は別扱いです。技能証明の有効期間と更新は技能証明の更新で扱っています。

型式認証・機体認証を選ぶと何が変わるか

3つ目のスイッチです。ここは既存の記事で詳しく扱っているため、機体選定の判断に直接効く点だけを並べます。

論点機体選定への効き方
型式認証は
重量区分ごとに与えられている
国土交通省が公表している「型式認証を取得している無人航空機一覧」(令和8年6月19日現在)には「重量区分」欄があり、実際に使われている値は4kg未満/4kg以上25kg未満/25kg以上の3つです。同じ系列の機体でも、重量区分が違えば別の型式として認証されています。「あのシリーズは認証済み」という言い方では足りず、型式単位で確認する必要があります
型式認証の有無で
手数料の桁が変わる
機体認証は1機ごとに受けるものですが、型式認証を取得している型式であれば設計及び製造過程の検査が全部又は一部省略され、その差が手数料に現れます。全区分の金額は機体認証の手数料に掲載しています。機体選定の段階で型式認証の有無を見るかどうかで、後から動かせない差が生じます
有効期間が
第一種1年・第二種3年
立入管理措置を講じる前提の点検業務(カテゴリーⅡ)なら第二種で足り、期間は3年です。立入管理措置を講じない飛行(カテゴリーⅢ)に踏み込むなら第一種で、期間は1年。台数が増えるほど更新の管理が積み上がります
25kg以上の型式認証機体も存在する 一覧には重量区分が「25kg以上」の型式も含まれています。ただし前述のとおり、25kgを超える機体では申請の免除が働きません。この場合の認証の利点は、申請書類の一部省略にとどまります
認証後にも
義務が続く
機体認証の際には使用の条件が指定され(法第132条の13第3項)、使用条件の遵守義務と整備の義務があります(同第132条の14)。従わない場合は整備命令や効力停止の対象になり得ます(同第132条の15)。認証は取得して終わりではなく、条件の範囲内で使い続けることが前提です
点検業務では「認証を取っても申請が残る」ケースが多数派です。 許可・承認を不要にできるのは、飛行がDID上空・夜間・目視外・30m未満に収まり、25kgを超えず、立入管理措置を講じ、技能証明を受けた者が機体認証を受けた機体を飛ばし、規程の作成等の措置を講じる場合です。点検では150m以上が頻出し、これは対象から外れます。認証を検討する前に、受注している案件のうち何割が150m以上や空港等周辺を含むかを数えてください。費用と手間の比較は認証機体を買うか、許可・承認で回すか、反復飛行を申請で回す設計は包括申請とはで扱っています。

点検現場の条件から、機体の要件を逆算する

ここまでの材料を、現場の条件の側から並べ直します。点検業務は現場の条件が先に決まっているので、この向きで読むほうが実務に噛み合います。

屋内・トンネル内部で完結する現場

国土交通省の解釈通達は、屋内での飛行には航空法の無人航空機に関する各規制が適用されないとしており、この「屋内」にはトンネル内部やネット等で囲われた空間も含まれるものとされています。登録の側でも、屋内のみを飛行させる場合は登録の対象外とされています。

機体選定への効き方はこうです。屋内で完結する現場だけを扱うなら、重量区分も認証も限定も、航空法の側からは要件になりません。代わりに主戦場が移ります。閉所での通信やGNSSの途絶への備え、プロペラガード等の接触対策、照明、施設管理者の承諾、労働安全衛生上の措置。屋内点検向けの機体は、航空法の要件ではなく現場のリスク管理の要件で選ぶことになります。

屋内と屋外をまたぐ経路に注意してください。 トンネルの坑口周辺や前後の明かり区間は屋外です。公式に「この構造物は屋内である」と類型で示された一覧は確認できていません。箱桁の内部や開口部のある建屋のように迷う形状では、屋外前提で許可・承認と機体の要件を用意しておくほうが安全側に倒せます。

煙突・鉄塔のように150m以上へ上がる現場

この類型が、点検業務の機体選定でもっとも判断を左右します。教則第5版 3.1.2(2)3)b は、150m以上の空域の例外について次のように書いています。

「…煙突や鉄塔などの高層の構造物の周辺は、航空機の飛行が想定されないことから、高度150メートル以上の空域であっても、当該構造物から30メートル以内の空域については、無人航空機の飛行禁止空域から除外されている。ただし、当該構造物の関係者による飛行を除き、第三者又は第三者の物件から30メートル以内の飛行に該当することから、当該飛行の方法に関する手続き等は必要となる。」(教則 第5版 3.1.2(2)3)b)

ただし書がこの記事にとっての要点です。空域の側(許可)は構造物から30m以内なら除外され得るが、方法の側(承認)は残る。そして残るのは30m未満であり、これは前述のとおり25kgを超えない機体+立入管理措置なら「規程の作成等」で回せる範囲です。つまり高所構造物の点検では、構造物に寄り続ける経路設計と、25kg以下の機体選定を組み合わせると、手続の重さが大きく変わり得るということになります。

「構造物から30m以内」を維持できる機体かどうかが効いてきます。 除外されるのは物件から30m以内の空域だけです。構造物から離れた瞬間に150m以上の空域として許可の対象に戻ります。離着陸地点から頂部までの上昇経路、対象の裏側へ回り込む経路、風に流されたときの復帰経路——これらが30mを超えるなら、その部分は規制対象の空域です。耐風性能と位置保持の精度は、単に撮影品質の問題ではなく、「除外の中に留まれるか」という制度上の問題でもあります。ただし耐風性能のために重量区分を上げると、前章で見た分岐が反転します。この2つはトレードオフです。

なお「関係者による飛行を除き」という部分は、点検の発注者が解釈通達6.(1)②の間接関与者に当たるかという論点につながります。要件は3つあり(飛行目的についての共通認識、操縦者からの明確な指示と安全上の注意、関与するかを自ら決定できること)、一律には決まりません。満たすと言い切れない場合は、30m未満の承認を取る前提で設計するのが安全です。送電線や鉄塔の点検については送電線・電力設備の点検でドローンを使うのに必要な許可・承認で、太陽光発電設備については太陽光発電設備の点検で扱っています。

夜間・目視外が前提の現場

供用中の道路や鉄道の夜間規制帯に合わせる案件、稼働を止められないプラントの停止時間帯に合わせる案件では、夜間が前提になります。桁裏や構造物の裏側に入る点検では目視外が前提になります。

ここで効くのは機体ではなく人の側です。前章のとおり、技能証明の飛行の方法についての限定は昼間・目視内の2つで、夜間や目視外を申請なしで行うにはその限定を外す必要があります。機体認証を受けた機体を用意しても、操縦者の限定が外れていなければ、夜間・目視外は承認の側に残ります。加えて、限定は実地試験に使った機体で決まるため、どの機体で試験を受けるかという判断が、機体選定と同時に発生します。

なお、解釈通達は「目視」を操縦者本人が自分の目で見ることとし、補助者による目視は該当せず、モニターや双眼鏡による監視も該当しないとしています。補助者を増やしても目視外という扱いは変わりません。機体側で夜間に必要になるのは灯火と暗所での位置把握の手段ですが、灯火の具体的な仕様を定めた条文は本記事の確認範囲では見つかっていません。飛行マニュアルの側で夜間の体制を定めることになります。点検専用の標準マニュアルとの関係はインフラ点検専用の標準マニュアルがある。一般版との違いで扱っています。

市街地の現場(DID)

都市部の橋梁、ビル外壁、市街地に立つ煙突や鉄塔は、ほぼDIDに当たると想定して設計するのが現実的です。ここでも25kgの線が効きます。立入管理措置を講じ、25kgを超えない機体なら「規程の作成等」で足りる余地がありますが、25kgを超える機体では許可に戻ります。なお2026年7月1日から、用途地域が「工業専用地域」の区域はDIDの許可の対象外になりました。臨海部のコンビナートや工場地帯の設備点検では、まず用途地域を確認する価値があります(工業専用地域は、DIDの中でもDIDの飛行許可が要らなくなった)。建築物の外壁を赤外線で調査する場合の建築基準法側の手続は建築物の外壁調査(定期報告)にドローンを使うで扱っています。

係留を、機体側の設計として捉える

係留は「飛ばし方」の話に見えますが、機体側の設計に踏み込む選択です。取付点の強度、紐の巻き取り機構、係留下での飛行制御、風での張力——いずれも機体と装備の側で決まります。

制度上の効果は大きいものです。教則第5版 3.1.2(2)3)c は「十分な強度を有する紐(ひも)等(30メートル以下)で係留し、飛行可能な範囲内への第三者の立入管理等の措置を講じて無人航空機を飛行させる場合は、人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、第三者から30メートル以内の飛行及び物件投下に係る手続き等が不要である」としています。さらにリモートID機能の搭載義務も免除される(施行規則第236条の6第2項第2号)。同じ「30m以下の係留」が、許可・承認とリモートIDの両方に効いているのがこの制度の特徴です。

確認すべき点内容
空域側で効くのは
DIDだけ
施行規則第236条の76は4つの要件を並べており、その第1号が「法第百三十二条の八十五第一項第二号に掲げる空域において飛行させること」=DIDです。空港等周辺・緊急用務空域・150m以上には、係留の例外は働きません。高所構造物の点検で係留を使っても、150m以上の空域の許可は消えません
「範囲内に物件が存しない」要件 同条第3号は「前号の範囲内に地上又は水上の物件が存しない場合に飛行させること」。近接点検は対象の構造物に寄る作業ですから、この要件との関係が問題になります
立入管理措置も必要 同条第4号は「補助者の配置その他の第二号の範囲内において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者の立入りを管理する措置を講じて飛行させること」
えい航は係留ではない 教則第5版は「自動車、航空機等の移動する物件に紐等を固定して又は人が紐等を持って移動しながら無人航空機を飛行させる行為(えい航)は、係留には該当しない」としています。紐を持った補助者が歩きながら桁下を追う運用は、係留には当たりません
近接点検で係留の特例を使えるかは、公式の説明だけでは判断しきれません。 条文は「範囲内に物件が存しない」ことを要件としていますが、解釈通達4.(1)は「物件等に沿って配置する主索やガイドレール等と、無人航空機を繋ぐ連結索により係留される場合」を係留と認められるとしており、構造物に沿って飛ばす形の係留を想定した記載があります。この記載と「範囲内に物件が存しない」要件との関係は、公式には説明されていません。近接点検で係留を前提に機体と装備を設計する場合は、事前に国土交通省へ確認するのが確実です。制度の詳細は30m以下の係留で許可・承認が不要になる範囲で扱っています。

組み合わせを1枚に

最後に、現場の条件と機体の要件の対応を1枚にします。「この現場ならこの機体」という表ではなく、「この現場だとどのスイッチが押されるか」の表です。

現場の条件重量区分認証限定手続の残り方
トンネル内部・建屋内で完結 航空法の要件にならない 同左 同左 航空法の許可・承認・登録・日誌の対象外。施設管理者の承諾と労働安全衛生が主戦場
屋外・近接点検のみ
(30m未満+目視外)
25kgを超えないことが鍵 認証+技能証明で申請を不要にできる範囲 目視外の限定変更が必要 認証・証明・限定が揃えば規程の作成等で足りる余地。揃わなければ承認
市街地の橋梁・ビル外壁
(DID+30m未満)
25kgを超えないことが鍵 同上 目視外を含むなら限定変更 同上。用途地域が工業専用地域ならDIDの許可は不要
煙突・鉄塔
(150m以上へ上がる)
25kgを超えないことが望ましい 認証があっても150m以上の許可は残る 目視外を含むなら限定変更 構造物から30m以内に留まれば空域の許可が除外され得るが、30m未満の承認は残る(教則第5版3.1.2(2)3)b)
夜間の規制帯に合わせる 25kgを超えないことが鍵 認証+技能証明 夜間の限定変更が必要 限定が外れていなければ夜間は承認の側に残る
大型センサー・打音装置を積む
(25kgを超える)
25kg超 型式認証機でも申請の免除は働かない 重量の限定が付かない種類の限定が必要 夜間・目視外・30m未満は承認、DIDは許可。加えて第三者賠償責任保険の加入が審査要領上の基準
100g未満の機体を使う 100g未満 制度の対象外 制度の対象外 航空法の対象外。ただし小型無人機等飛行禁止法は重量を問わず、緊急用務空域は模型航空機も飛行禁止
第三者の上空を飛ばす
(立入管理措置を講じない)
— 第一種機体認証(有効期間1年) 一等技能証明 カテゴリーⅢ。一等+第一種を揃えてもなお大臣の許可・承認が別途必要
表の読み方を1つだけ補足します。 「規程の作成等で足りる余地」と書いた行でも、飛行計画の通報・飛行日誌の備付け・事故等の報告・飛行開始前の緊急用務空域の確認は消えません。消えるのは事前の許可・承認の申請だけです。機体選定で減らせるのは申請の量であって、飛行のたびの運用ではありません。

よくある質問

点検用の機体を選ぶとき、制度の面で最初に確認すべきことは何ですか。
総重量が25キログラムを超えるかどうかです。施行規則第236条の73の25kgという数字は、航空法第132条の85第2項・第3項と第132条の86第3項・第4項の4つの項に同時に効いています。25kgを超えると、立入管理措置を講じても夜間・目視外・30m未満は承認、DID上空は許可の対象に戻り、さらに審査要領4-3-1(19)により第三者賠償責任保険への加入が基準になります。登録記号の文字高も3mm以上から25mm以上に変わり、操縦者側も重量の限定が付かない種類の限定が必要になります。
100g未満の機体を選べば、点検の手続を省けますか。
航空法の手続については、100g未満の機器は無人航空機に当たらないため対象外です(法第2条第22項、施行規則第5条の2)。重量は本体とバッテリーの合計で数え、バッテリー以外の取り外し可能な付属品は含みません(教則第5版)。ただし教則は、小型無人機等飛行禁止法の「小型無人機」は大きさや重さにかかわらず対象であり、緊急用務空域については重量100グラム未満の模型航空機も飛行禁止の対象となるとしています。電波法も重量とは無関係です。なお、点検に必要なセンサーを積んだ機体が100g未満に収まるかは別の問題で、その実用性について国土交通省の資料に評価はありません。
150m級の煙突を点検します。どの機体を選べば手続が軽くなりますか。
教則第5版3.1.2(2)3)bは、煙突や鉄塔などの高層の構造物の周辺について、高度150m以上でも当該構造物から30メートル以内の空域は飛行禁止空域から除外されているとしたうえで、「ただし、当該構造物の関係者による飛行を除き、第三者又は第三者の物件から30メートル以内の飛行に該当することから、当該飛行の方法に関する手続き等は必要となる」と書いています。したがって空域の許可は除外され得ても、30m未満の手続は残ります。その30m未満を「規程の作成等」で回せるのは、立入管理措置を講じ、総重量が25kgを超えない機体で、技能証明を受けた者が機体認証を受けた機体を飛ばす場合です。構造物から30m以内に留まれる位置保持の能力と、25kgを超えない重量——この2つを同時に満たす機体が、この現場では制度上いちばん軽くなります。
耐風性能を上げたいので25kg以上の機体を検討しています。制度上の代償は何ですか。
5つあります。①夜間・目視外・30m未満が承認の対象に戻ります(法第132条の86第3項)。②DID上空が許可の対象に戻ります(同第132条の85第2項)。③第三者賠償責任保険に加入していることが審査要領4-3-1(19)の基準になります(2025年10月1日から)。④登録記号の文字高が25ミリメートル以上になります(施行規則第236条の6第1項第1号ハ)。⑤操縦者側は、重量の限定が付かない種類の限定を受けている必要があります(施行規則第236条の40第1項)。型式認証を受けている25kg以上の型式も存在しますが、認証があっても①②は解消しません。認証の利点は申請書類の一部省略にとどまります。
「限定変更の対象は夜間・目視外・25kg以上の3つ」と聞きましたが、条文ではどうなっていますか。
結論は同じですが、建てつけが違います。施行規則第236条の40第1項は種類の限定として6つを挙げており、そのうち第1号・第3号・第5号が「最大離陸重量25キログラム未満の」という重量の限定を含んでいます。つまり25kg以上という独立の限定があるのではなく、重量の限定が付かない第2号・第4号・第6号の種類へ移るのが実務上の「25kg以上の限定変更」です。飛行の方法についての限定は同条第2項で2つだけ(法第132条の86第2項第1号=昼間、第2号=目視内)で、「夜間」「目視外」という限定があるのではなく「昼間」「目視内」という限定が付く構造です。
技能証明の限定は、どの機体で試験を受けたかで変わるのですか。
変わります。施行規則第236条の40第3項は「無人航空機の種類についての限定及び飛行の方法についての限定は、実地試験に使用される無人航空機及び当該実地試験における飛行の方法により行う」と定めています。25kg未満の機体で実地試験を受ければ、重量の限定が付いた技能証明になります。導入する機体と、誰がどの機体で試験を受けるかは、同時に設計すべき事項です。等級と限定を飛ばす内容から逆算する考え方は法人が従業員に国家資格を取らせるときの計画で扱っています。
リモートIDは内蔵型の機体を選ぶべきですか。外付型でもよいのですか。
条文はどちらも認めています。施行規則第236条の6第1項第2号は、イとしてリモートID機能を有する登録無人航空機に登録記号等を入力する方法、ロとしてリモートID機能を有する機器を装備して当該機器に入力する方法を並べています。外付型を選ぶ場合、その機器は取り外せる付属品ですから、100g前後の機体では重量の数え方(本体+バッテリーの合計で、バッテリー以外の取り外し可能な付属品は含まない)と合わせて確認してください。なお免除されるのは、届出区域の上空での飛行、30メートル以下の紐等による係留、警察庁等の秘匿を必要とする業務の3類型です(同条第2項)。
係留すれば、どの点検現場でも許可・承認が不要になりますか。
なりません。空域について係留の例外が働くのはDIDだけです。施行規則第236条の76第1号が「法第百三十二条の八十五第一項第二号に掲げる空域において飛行させること」と限定しており、空港等周辺・緊急用務空域・150m以上には働きません。また同条第3号は「その範囲内に地上又は水上の物件が存しない場合」を要件としており、構造物に寄る近接点検ではこの要件との関係が問題になります。解釈通達4.(1)には主索やガイドレール方式を係留と認める記載がありますが、「範囲内に物件が存しない」要件との関係は公式には説明されていません。係留を前提に装備を設計する場合は、事前に国土交通省へ確認するのが確実です。
総重量がちょうど25.0kgの機体は、どちらの扱いになりますか。
公式には明示されていません。条文は一貫して「国土交通省令で定める総重量(=25キログラム)を超えるもの」と書く一方、教則第5版と審査要領は「総重量25kg以上」と書いています。ちょうど25.0kgがどちらに入るかを示した公式の記載は、本記事の確認範囲では見つかりませんでした。境界ぎりぎりの機体は選ばず、余裕を見て設計するか、事前に国土交通省へ確認してください。なお総重量は機体本体とバッテリーのほか、実際に積む装備を含めて管理する必要があります。
機体を選び直せば、飛行のたびの事務も減りますか。
減るのは事前の許可・承認の申請だけです。特定飛行である以上、飛行計画の通報(法第132条の88第1項)、飛行日誌の備付けと記載(同第132条の89第1項、機体ごと)、事故等の報告(同第132条の90・第132条の91)、飛行開始前の緊急用務空域の該当性確認(施行規則第236条の71第4項)はそのまま残ります。緊急用務空域は、許可があっても飛行できません。また機体認証を受けた場合は、認証時に指定される使用の条件の遵守義務と整備の義務が加わります(法第132条の14)。機体選定で軽くなるのは入口で、運用は軽くなりません。
本記事は2026年9月27日時点の情報です。 無人航空機の制度は改正が続いており、審査要領・解釈通達は通達として短い手続で改正され得ます。型式認証を取得している型式の一覧も更新されます。とくに総重量の境界(ちょうど25.0kgの扱い)と、係留の特例を近接点検で使えるかどうかは、公式に明示されていない論点です。機体の購入・資格の取得・申請の前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

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