風力発電設備の点検でドローンを使う。ブレードに近づく飛行と150m以上
風力発電設備の点検は、ほかの点検業務と2つの点で違います。1つは対象が回っていること。もう1つは対象が高いことです。国土交通省は航空障害灯の設置基準で風力発電設備を「高さ150m以上」と「150m未満」に分けて規定しており(風力発電設備に係る航空障害灯の設置基準の緩和について)、150mを超える風車が現に想定されていることが国の資料から読み取れます。 ところが150m以上の飛行禁止空域からは「地上又は水上の物件から30m以内の空域」が除かれています(航空法施行規則第236条の71第1項第5号)。除外の趣旨を説明する教則第5版の一文は「煙突や鉄塔などの高層の構造物」を例に挙げたうえで、「ただし…当該飛行の方法に関する手続き等は必要となる」と続きます。許可が外れても承認は残る、という構造です。 そして電気事業法の側には、太陽光にはない規定があります。出力500kW以上の風力発電設備は、電気事業法施行規則第94条が定める定期安全管理検査(定期自主検査)の対象です。太陽光はこの条の列挙に入っていません。風力は国が検査の時期と方法を条文で指定している数少ない再エネ設備だということになります。 この記事は、風車という対象に固有の論点だけを、条文と国の資料の原文で整理します。点検業務全般の入口はインフラ点検でドローンを使うのに必要な許可・承認、同じ電力設備である送電線・鉄塔は送電線・電力設備の点検でドローンを使うのに必要な許可・承認、太陽光は太陽光発電設備の点検でドローンを使うのに必要な許可・承認と、電気事業法の点検義務で扱っています。
規則第236条の71第1項第5号 教則 第5版 3.1.2(2)3)b経済産業省「風力発電設備の安全」の保安規制一覧表規則第94条・第94条の2・第94条の3(経済産業省 産業保安監督部)風車は「高くて、回っていて、風の強い場所にある」
最初に、点検対象としての風車の性質を押さえます。ここを押さえると、どの類型に当たるかが機械的に出てきます。
| 風車の性質 | そこから生まれる論点 | 手続の種類 |
|---|---|---|
| 高い(国土交通省が航空障害灯の基準を「高さ150m以上」と「150m未満」で分けている) | 地表又は水面から150m以上の高さの空域。ただし物件から30m以内の空域は除外 | 許可(空域) |
| 寄らないと見えない(ブレードの前縁・後縁、雷撃による損傷、タワーの溶接部・ボルト) | 地上又は水上の人又は物件から30m未満 | 承認(方法) |
| 回っている(運転中はブレード先端が高速で動く) | 航空法上の独立した類型ではない。安全確保措置と飛行マニュアルの側の問題になる | 申請内容の中身 |
| 風の強い場所に立っている(尾根・海岸・洋上) | 同じく類型ではないが、飛行の可否を実際に決めるのはここ | 飛行判断 |
| 1か所に複数基が並ぶ(ウインドファーム) | 基から基へ渡る移動で目視外飛行になりやすい | 承認(方法) |
| 洋上にもある | 航空法は「地表又は水面から」と書いており、海上も同じ枠組み。船舶は「物件」 | 許可・承認の両方 |
風車の「高さ」はどこまでか。150m以上の判定
まず条文です。航空法施行規則第236条の71第1項第5号が、飛行禁止空域の1つを次のように定めています。
そして教則第5版が、この除外の趣旨を説明しています。3.1.2(2)3)b「高度150メートル以上の空域の例外」です。
例示は「煙突や鉄塔など」です。風車は挙げられていません。一方で解釈通達3.(7)は「物件」を「a)中に人が存在することが想定される機器(車両等)b)建築物その他の相当の大きさを有する工作物」と定義し、工作物の例として「ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯 等」を挙げています。この「等」に風車が含まれるかは、公式には書かれていません。タワー・ナセル・ブレードからなる風車が「相当の大きさを有する工作物」の定義に形式的には当てはまりそうだとしても、例示にないものを「当たる」と断定することはできません。この記事は「当たり得る」までにとどめます。
「高さ150m」は、ナセルの高さではない
実務上はここが先に効きます。国土交通省は2022年(令和4年)11月22日公布・施行の施行規則改正で、風力発電設備の航空障害灯の設置基準を次のように整理しました。
改正概要:「高さ150m以上の風力発電設備には、ナセル頂部に中光度白色(赤色)航空障害灯を、ナセル頂部から当該物件の底部までのほぼ等間隔の位置に低光度航空障害灯を設置。」「高さ150m未満の風力発電設備には、ナセル頂部にのみ中光度白色(赤色)航空障害灯を設置。」
その他:「風力発電設備の高さが150m以上で、ナセル頂部が105m以下の高さの風力発電設備が、群立して設置され…タワー中間段に設置する低光度航空障害灯を省略することができます。」
最後の一文が重要です。「高さが150m以上で、ナセル頂部が105m以下」という組み合わせが、国の資料に明記されているということです。つまり風力発電設備の「高さ」は、ナセルの位置ではなく、それより上に伸びるところまでを含んで数えられていると読めます。ナセルが地上100m前後でも、設備の高さは150mを超え得るわけです。
除外が効く範囲と、戻る範囲
この除外規定そのものの読み方と、送電線のように線でつながった設備での当てはめは、送電線・電力設備の点検でドローンを使うのに必要な許可・承認で詳しく扱っています。本記事では風車固有の論点に絞ります。
ブレード・タワーに寄る飛行は30m未満の承認の話になる
根拠は航空法第132条の86第2項第3号と施行規則第236条の79。距離の相手方は、解釈通達3.(7)により第三者又は第三者の物件です。
「『物件』とは、次に掲げるもののうち、操縦者及びその関係者…が所有又は管理する物件以外のもの(第三者の物件)をいう。a)中に人が存在することが想定される機器(車両等)b)建築物その他の相当の大きさを有する工作物」
該当しないもの:「a)土地(田畑用地及び舗装された土地(道路の路面等)、堤防、鉄道の線路等であって土地と一体となっているものを含む。)b)自然物(樹木、雑草 等)」
風力の点検では、この定義から次の3段が出てきます。
| 対象 | 30mを保つべき相手方に当たるか |
|---|---|
| 点検対象の風車そのもの | 発注者(設備の所有者・管理者)が解釈通達の「関係者」に当たるなら、その設備は第三者の物件ではなくなります。ただし間接関与者の要件(通達6.(1)②)の当てはめは一律には決まらず、通達の例示は「映画の空撮における俳優やスタッフ、学校等での人文字の空撮における生徒 等」で、設備の所有者・管理者を挙げた例示はありません。承認を取る前提で設計するのが安全側です |
| 隣の基、変電設備、連系する電線、管理道路の車両 | これらは別の物件です。変電所・鉄塔・電柱・電線は通達が名指しで物件に挙げています。ウインドファームでは、点検対象の1基だけを見ていると距離の相手方を取りこぼします |
| サイトの地面、法面、周囲の樹林 | 通達は土地と自然物(樹木、雑草 等)を「距離を保つべき物件に該当しない」としています。尾根の風車で斜面に沿って低く飛ぶこと自体は、30m未満の原因になりません。ただし接触すれば機体は落ちます |
回転中のブレード。技術基準は「停止できること」を前提にしている
ここが風力に固有で、かつ航空法の資料には答えが書かれていない論点です。運転中の風車に寄る飛行は、航空法上の独立した類型ではありません。では何の問題かというと、審査要領と飛行マニュアルが求める「安全を確保するために必要な措置」の中身の問題になります。
手がかりは電気事業法側の技術基準にあります。発電用風力設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第53号)第4条第四号と、その解釈・逐条解説です。
[解説]「省令第4条第四号及び解釈第6条は、風車が運転しうる最大風速を超えた場合の通常停止のみならず、意図的に回転部を固定できるよう施設した風車において、取扱者が点検や異常発生等を理由に回転部を固定した場合の停止についても、その停止後、取扱者の意図に反して風車が起動し、運転状態にならないよう風車を施設することを規定したものである。」
読み取れるのは、「取扱者が点検を理由に回転部を固定する」という運用が、技術基準の側で想定されているということです。そして固定した後に意図せず起動しないことまでが、設備側の要件として書かれています。
風車のある場所で重なるその他の類型
目視外飛行(承認)
根拠は法第132条の86第2項第2号。1基をタワーの真下近くから見上げて撮る運用なら目視内で収まり得ますが、ブレードの裏側に回り込む/ナセルの反対側へ抜ける/基から基へ渡ると目視外になります。そして最も間違われるのがここです。
教則第5版も「双眼鏡やモニター(FPV(First Person View)を含む。)による監視や補助者による監視は含まない」としています(3.1.2(2)2)b)。補助者の配置は、目視外飛行の承認を受けるための体制側の要件であって、目視外を目視内に変えるものではありません。
DID上空(許可)
法第132条の85第1項第2号。陸上風力は人口集中地区の外にあることが多い類型ですが、臨海部の工業地帯に立つ風車では確認する価値があります。2026年7月1日から、用途地域が「工業専用地域」の区域はDIDの対象から除かれました(国土交通省告示第435号)。対象は工業専用地域だけで、工業地域・準工業地域は含まれません(工業専用地域は、DIDの中でもDIDの飛行許可が要らなくなった)。なお海上にDIDはありません。
夜間飛行(承認)
法第132条の86第2項第1号。発電を止められる時間帯に合わせる点検では現実的に出てきます。審査要領5-3(3)は「日中、飛行させようとする経路及びその周辺の障害物件等を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること」を求めています。風車の周囲には航空障害灯があり、夜間は点灯しています。機体の灯火と設備側の灯火を混同しない配置は、現場側の工夫の領域です。
空港等の周辺・緊急用務空域
法第132条の85第1項第1号。空港の制限表面にかかる位置に風車が立つことは通常ありませんが、申請先が空港事務所長になる類型であることは150m以上と共通です(空港等の周辺でドローンを飛ばす。制限表面と、申請先の分かれ目)。また緊急用務空域は、150m以上やDIDの許可を持っていても飛行できない空域で、飛行開始前に該当するか否かを確認する義務が規則第236条の71第4項にあります(緊急用務空域。包括許可を持っていても飛べなくなる空域)。
洋上風力。航空法は陸と海を分けていない
洋上風力の点検は「海の上だから航空法の外」ではありません。条文は一貫して「地表又は水面から」と書かれており、教則第5版も150m以上の判定を「直下の地表又は水面からの高度差」で説明しています。海上でも、高度の判定も、距離の判定も、同じ枠組みで動きます。
| 洋上の論点 | 公式に確認できること |
|---|---|
| 高度150m以上 | 判定は「直下の水面からの高度差」。海上は起伏がないため、陸上よりむしろ判定が単純です。風車から30m以内の空域が除外される構造も同じです |
| DID | 人口集中地区は国勢調査の結果に基づく地域です。海上にDIDはありません |
| 船舶との距離 | 解釈通達3.(7)は「中に人が存在することが想定される機器(車両等)」の例として「自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーン 等」を挙げています。船舶は30mを保つべき物件です(第三者の船舶であれば) |
| 船舶の上空 | 解釈通達6.(2)は「『第三者上空』とは…当該第三者が乗り込んでいる移動中の車両等…の上空を含む」としています。通航中の船の上を横切る飛行は、第三者上空の問題になります |
| 補助者を置かない目視外 | 審査要領5-4(3)c)ア)の「第三者が存在する可能性が低い場所」の列挙は「山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するもの」。海水域が明記されています |
| 船舶航路の横断 | 同5-4(3)c)カ)(ⅲ)のレベル3.5飛行は、第三者賠償責任保険への加入と目視内飛行の限定解除を受けた技能証明の保有、機上カメラでの立入り確認、道路・鉄道及び船舶航路への墜落を避けるための緊急着陸地点の選定等を要件に、移動中の船舶の上空を通過する場合を含む船舶航路の一時的な横断を可能としています |
| ★申請先 | 審査要領2-1(1)b)のただし書:「公海上における飛行の許可等に係る申請書は、国土交通大臣に提出させるものとする。」通常は空域の許可(第1号)が管轄の空港事務所長、DIDの許可と方法の承認が地方航空局長です。ある洋上サイトが「公海上」に当たるかどうかは審査要領に書かれていないため、該当し得る案件では事前に確認するほかありません |
風力発電設備の点検で当たる特定飛行の一覧
特定飛行は「空域」の類型(許可)と「方法」の類型(承認)に分かれます。風力の点検での当たり方を1枚にします。
| 類型 | 根拠条文 | 風力発電設備での当たり方 | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 人又は物件から 30m未満 (承認) |
法第132条の86 第2項第3号 規則第236条の79 |
点検作業の本体。審査要領5-5(1)a)が危害軽減機能(プロペラガード等)を求めます | ほぼ常時 |
| 目視外飛行 (承認) |
法第132条の86 第2項第2号 |
ブレードの裏側、ナセルの反対側、基から基への移動。補助者による目視は目視に当たりません | 高い |
| 150m以上 (許可) |
法第132条の85 第1項第1号 規則第236条の71 第1項第5号 |
風車から30m以内の空域は除かれますが、除外は空域の側だけ。判定は機体が到達する最高点と直下の地表・水面で行います | 機種と作業次第 |
| 夜間飛行 (承認) |
法第132条の86 第2項第1号 |
発電を止められる時間帯に合わせる点検。日中の事前確認が審査要領の基準 | 中 |
| DID上空 (許可) |
法第132条の85 第1項第2号 規則第236条の72 |
臨海部・工業地帯の風車。工業専用地域は2026年7月1日から対象外。海上にDIDはありません | 低 |
| 空港等周辺 (許可) |
法第132条の85 第1項第1号 規則第236条の71 第1〜3号 |
通常は該当しませんが、該当すれば場所を特定した個別申請になります | 低 |
| 緊急用務空域 (飛行不可) |
規則第236条の71 第1項第4号・第4項 |
飛行開始前の該当性確認が義務。台風後の点検はこの確認が必要になる場面です | 災害時 |
| 物件投下 危険物輸送 (承認) |
法第132条の86 第2項第5・6号 |
通常の点検では想定されにくい類型。該当すると使える飛行マニュアルが変わります | 低 |
許可・承認を不要にできるか
カテゴリーⅡ飛行の一部は、条件を満たせば許可・承認を受けずに行えます。判定の順序は次のとおりです。
夜間・目視外を含むなら技能証明の限定変更も別に必要です(技能証明の限定と限定変更。夜間・目視外・25kg以上で何が変わるか)。現実的には30m未満・目視外・夜間を包括申請で押さえ、150m以上を案件ごとに個別で足す二層構造になります(包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準/全国包括は取れるか。標準マニュアル02の使い方)。許可と承認の切り分け全体はドローンの飛行許可・承認申請 完全ガイド、標準マニュアルの使い分けはインフラ点検専用の標準マニュアルがある。一般版との違いと独自の飛行マニュアルを作るべきときと作り方をご覧ください。
電気事業法。風力は20kWと500kWで義務が変わる
ここから電気事業法の側です。太陽光と区分の境目が違うのが最初の注意点になります。経済産業省「風力発電設備の安全」が掲げている保安規制の一覧表を、原文の区分どおりに整理します。
| 出力等条件 | 技術基準適合 維持義務 (法第39条) | 保安規程届出 (法第42条) 主任技術者選任 (法第43条) | 基礎情報届出 (法第46条) | 工事計画届出 (法第48条) 使用前自主検査 (法第51条) 定期事業者検査 (法第55条) | 使用前自己確認 (法第51条の2) |
|---|---|---|---|---|---|
| 500kW以上 | 要 | 要 | 不要 | 要 | 不要 |
| 20kW以上〜 500kW未満 |
要 | 要 | 不要 | 不要 | 要 |
| 20kW未満 (小規模事業用 電気工作物) |
要 | 不要 | 要 | 不要 | 要 |
出典: 経済産業省|風力発電設備の安全「風力発電設備に関する電気事業法の保安規制について」。報告徴収(法第106条)・立入検査(法第107条)はいずれの区分も「対象」とされています。
義務の所在は条文で見ると次のようになります。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 電気事業法第39条第1項 | 「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。」同条第2項第1号は「人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること」 |
| 電気事業法第42条 第1項・第4項 |
設置者は工事・維持・運用に関する保安を確保するため保安規程を定めて主務大臣に届け出なければならず、設置者及びその従業者は保安規程を守らなければならない |
| 電気事業法施行規則第50条 | 保安規程に定める事項として、第2項第9号と第3項第3号が「保安のための巡視、点検及び検査に関すること」を挙げています |
| 電気事業法第51条の2 | 使用前自己確認。設置者が使用開始前に技術基準への適合を自ら確認し、結果を主務大臣に届け出ます。風力では20kW未満と20kW以上500kW未満が対象とされています |
つまり国が技術基準への適合維持を義務づけ、巡視・点検の中身は設置者が保安規程に定めて届け出、その保安規程を守る義務を負うという構造です。ここまでは太陽光と同じです。違いは次の章です。
定期安全管理検査は、風力には条文がある
この記事の中核です。電気事業法施行規則第94条が定める定期安全管理検査(定期自主検査)の対象に、風力が入っています。経済産業省の産業保安監督部が、条番号つきで次のように説明しています。
定期自主検査を行う時期(施行規則第94条の2):「風力機関及びその附属設備、発電機、変圧器並びに電力用コンデンサーについての定期自主検査にあっては、運転が開始された日又は定期自主検査が終了した日以降三年を超えない時期」
定期自主検査の方法(施行規則第94条の3):「開放、分解、非破壊検査その他の各部の損傷、変形、摩耗及び異常の発生状況を確認するために十分な方法」「試運転その他の機能及び作動の状況を確認するために十分な方法」
定期安全管理審査の受審期間(施行規則第94条の5): 十分な体制と「保守管理に関する十分かつ高度な取組」を実施していると評定された組織は6年3月を越えない時期、それ以外の組織は前回通知を受けた日から3年3月を越えない時期
制度の沿革も国の資料に書かれています。経済産業省は「電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)において風力発電設備の定期安全管理検査制度が導入され、平成29年4月1日から施行されました」としています。
| 比較 | 風力 | 太陽光 |
|---|---|---|
| 定期安全管理検査 (施行規則第94条) |
出力500kW以上が対象(風力機関及びその附属設備、発電機、変圧器、電力用コンデンサー) | 第94条の列挙に太陽電池発電設備はありません |
| 検査の時期 | 第94条の2により三年を超えない時期 | 法令上の定期自主検査の時期の定めはありません |
| 検査の方法 | 第94条の3が開放・分解・非破壊検査と試運転を列挙 | 同じ列挙の対象ではありません |
| 小規模事業用 電気工作物の境目 |
20kW未満 | 50kW未満(10kW未満は一般用電気工作物) |
風力固有の省令。点検の方法を定めた条はない
風力には専用の技術基準があります。発電用風力設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第53号)です。経済産業省の逐条解説から、全体の構成を押さえます。
| 条 | 内容 | 点検との関係 |
|---|---|---|
| 第1条 | 適用範囲。「風力を原動力として電気を発生するために施設する電気工作物」(一般用電気工作物及び事業用電気工作物)。風車及びその支持物等の風力設備に関する基準であり、電気設備は「電気設備に関する技術基準を定める省令」の側 | — |
| 第3条 | 「取扱者以外の者に見やすい箇所に風車が危険である旨を表示するとともに、当該者が容易に接近するおそれがないように適切な措置を講じなければならない」。解釈第2条がさく・へい+出入口の立入禁止表示・施錠装置等を定める | サイトの立入りの実態に関わります |
| 第4条 | 風車の施設基準。負荷遮断時の最大速度に対する構造上の安全、風圧に対する安全、運転中に損傷を与えるような振動がないこと、取扱者の意図に反して起動しないこと、運転中に他の工作物・植物等に接触しないこと | 第四号が点検時の停止に関わります |
| 第5条 | 風車の安全な状態の確保。回転速度が著しく上昇した場合・制御装置の機能が著しく低下した場合に安全かつ自動的に停止する措置。第3項は「最高部の地表からの高さが二十メートルを超える発電用風力設備には、雷撃から風車を保護するような措置を講じなければならない」 | 雷撃対策が条文にある |
| 第6条・第7条・第8条 | 圧油装置・圧縮空気装置/風車を支持する工作物(自重、積載荷重、積雪、風圧、地震等に対する構造上の安全)/電気設備の技術基準との関係 | — |
この省令には、点検の実施・頻度・方法を定めた条はありません。太陽光の技術基準と同じ構造です。点検は、法第39条の「技術基準に適合するように維持する」義務と、法第42条の保安規程、そして500kW以上については施行規則第94条の定期自主検査という別の入口から現れます。
航空法の外で確認しておくもの
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| サイトの土地の権原 | 離着陸地点の使用について土地の管理者の了解が必要です。私有地上空の所有権が及ぶ高さについて一律の公式基準は存在しません(私有地の上空、所有権はどこまで及ぶのか) |
| 国有林を通るサイト | 風車は国有林内や林道沿いに立つことがあります。国有林で飛ばす場合は入林届と森林管理署への確認が必要です(国有林でドローンを飛ばすときの入林届と、森林管理署への確認) |
| 無線局免許 | 5.7GHz帯等の無人移動体画像伝送システムは無線局免許と第三級陸上特殊無線技士以上が必要です(5.7GHz帯のドローンを使うには) |
| 設備側に固有の制度がある | 経済産業省は、風力発電設備が自衛隊等のレーダーや衛星通信に障害を及ぼすおそれがあることから、「風力発電設備の設置等の電波の伝搬障害を回避し電波を用いた自衛隊等の円滑かつ安全な活動を確保するための措置に関する法律」が令和6年5月24日に公布されたと案内しています。これは設備を設置する事業者の届出義務であり、ドローンを飛ばす者の義務として定められたものではありません。無人航空機の運航にどう関わるかは公式に示されていないため、この記事ではこれ以上踏み込みません |
| 事故を起こした場合 | 機体を落として人や物に損害を与えた場合の責任は、航空法の手続とは別に生じます(ドローンを落として人にけがをさせたときの責任。民事・刑事・航空法)。保険についてはドローンの保険。国が加入を求めている場面と、求めていない場面をご覧ください |
| 災害後の点検 | 台風・落雷のあとの点検は、緊急用務空域の指定と重なり得ます。災害対応の特例の枠組みは災害対応でドローンを飛ばす。捜索救助の特例と緊急用務空域で扱っています |
| 係留の特例は組みにくい | 施行規則第236条の76は、係留の範囲内に地上又は水上の物件が存しないことを要件にしています。点検対象の風車が範囲内にある近接点検でこの要件をどう満たすかは公式に説明されていません(30m以下の係留で許可・承認が不要になる範囲) |
また、特定飛行を行えば飛行計画の通報(法第132条の88第1項)と飛行日誌の備付け(法第132条の89第1項)が毎回発生します。1サイトを何日かに分けて複数の機体・操縦者で回す運用では、ここが失念の起点になります(ドローンの飛行計画の通報はいつ必要か/ドローンの飛行日誌の書き方/機体が複数・操縦者が複数のときの飛行日誌の回し方)。カテゴリーとレベルの対応関係はレベル1〜4とレベル3.5。カテゴリーの区分と一致しない理由、「第三者」の線引きは「第三者」はどこまでか。関係者・間接関与者の線引きで整理しています。
よくある質問
- e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)
- e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)
- e-Gov法令検索|電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)
- e-Gov法令検索|電気事業法施行規則(平成七年通商産業省令第七十七号)
- e-Gov法令検索|発電用風力設備に関する技術基準を定める省令(平成九年通商産業省令第五十三号)
- 国土交通省|無人航空機に係る規制の運用における解釈について(令和8年4月1日最終改正・PDF)
- 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)令和8年9月29日最終改正(PDF)
- 国土交通省|無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(令和8年7月7日公布・7月14日適用・PDF)
- 国土交通省|航空局標準マニュアル①(インフラ点検等)令和7年12月26日版(PDF)
- 国土交通省|風力発電設備に係る航空障害灯の設置基準の緩和について
- 国土交通省|告示第435号(工業専用地域をDIDから除外・PDF)
- 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続
- 経済産業省|風力発電設備の安全
- 経済産業省|発電用風力設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈に関する逐条解説(令和5年3月20日改正・PDF)
- 経済産業省 中国四国産業保安監督部|風力発電設備の定期安全管理審査と定期自主検査について