ドローン配送を始めるまでの段取り。レベル3.5の宣言書から運航体制まで
配送でドローンを使うとき、最初に決めるのは機体でも経路でもなく、「どの飛び方で事業を成り立たせるか」です。 レベル3.5で始めるのか、補助者を置かない目視外飛行(レベル3)で始めるのか、第三者の上空を通すカテゴリーⅢまで行くのか。 ここで分岐が決まると、必要な技能証明の限定、保険、申請の相手先、提出する書類、そろえる時期が全部連動して変わります。 とくにレベル3.5は、事前相談の窓口が通常の地方航空局ではなく本省の航空局という、ほかの手続と違う入口を持っています。 この記事は、配送を業務として立ち上げるまでの順番を、国土交通省の一次資料で確認できる範囲だけで並べます。 許可・承認そのものの類型(物件投下・危険物輸送・30m未満など)は物流・配送でドローンを使うのに必要な許可・承認で扱っているので、こちらは「段取り」に絞ります。
無人航空機の飛行許可・承認手続(国土交通省)レベル3.5飛行に係るDIPS2.0を用いた電子申請について p.7総務省「信書の定義について」/民間事業者による信書の送達に関する法律 第2条・第3条最初の分岐は「どの飛び方で成り立たせるか」
配送は、拠点から配送先まで距離を飛ぶ業務です。空撮や点検と違って、操縦者が立っている場所から機体が離れていくことが前提になります。したがって目視外飛行はほぼ常時発生し、経路のどこかで必ず道路や鉄道が横切ります。この「横切る場所をどう処理するか」が、事業の形を決める最大の分岐です。
航空法の手続としては、選択肢は3つに整理できます。
①レベル3.5で始める。3つの要件と運航概要宣言書
レベル3.5の要件は、審査要領(カテゴリーⅡ飛行)5-4(3)c)カ)(ⅲ)に置かれています。2026年9月29日に最終改正された現行版でも、この号の文言は変わっていません。
「第三者賠償責任保険に加入したうえで、無人航空機操縦者技能証明を保有する者が、5-4(1)d)ウ)(ⅲ)に定める方法に従い、機体に取り付けられたカメラを活用することにより、補助者や看板の配置などの立入管理措置をせずに、移動中の車両、列車又は船舶の上空を通過する場合を含む道路、鉄道又は船舶航路を一時的に横断する飛行(レベル3.5飛行)を行い、かつ、以下の要件に適合すること」
| 要件 | 条文が求めていること | そろえるのに時間がかかる所 |
|---|---|---|
| 機上カメラ +地上モニター |
機体のカメラにより進行方向の飛行経路の直下及びその周辺への第三者の立ち入りが無いことを確認できること。あわせて、道路・鉄道・船舶航路への墜落を避けるための緊急着陸地点の選定等の運航上の安全対策を設けていること | 設備の構成(カメラ・モニター・通信装置)で確認できることを事前に確認する必要があり、構成を変更したときも同じ事前確認が要ります |
| 技能証明 | 飛行させる機体に対応した現に有効な技能証明で、目視内飛行の限定解除を受けたもの。等級は一等・二等を問いません | ここが一番のボトルネックです。二等を目視内の限定付きで取っただけでは要件を満たしません |
| 第三者賠償 責任保険 |
第三者の負傷や交通障害等の不測の事態が発生した場合に十分な補償が可能な第三者賠償責任保険への加入 | 補償額の基準は国が示していません。航空局標準マニュアルは「被害者に対し十分な補償が提供でき、かつ速やかに被害者が救済されるものであることが望ましい」と書くにとどまります |
限定解除の取り方と、法人として誰にどの限定を取らせるかの設計は、技能証明の限定と限定変更。夜間・目視外・25kg以上で何が変わるかと法人が従業員に国家資格を取らせるときの計画で扱っています。保険の位置づけはドローンの保険。国が加入を求めている場面と、求めていない場面をご覧ください。
手続は2段階。1段階目は本省の航空局
レベル3.5は、申請の流れがほかの許可・承認と違います。国土交通省の資料が示す流れは、次のとおりです。
提出が減る書類と、減らない作業
宣言書を出すことで、申請時の添付が次のように整理されます。
| 書類 | 通常のレベル3飛行 | レベル3.5飛行 |
|---|---|---|
| 様式1 許可・承認申請書 | 必要 | 必要 |
| 様式2 機能・性能に関する基準適合確認書 | 必要 | 必要 |
| 様式3 飛行経歴・知識・能力確認書 | 必要 | 必要 |
| 別添1 飛行の経路 | 必要 | 提出不要(経路は申請画面に住所で列挙して入力) |
| 別添2 登録記号等・製造者・名称・重量等 | 必要 | 提出不要 |
| 別添3 運用限界等 | 必要 | 提出不要 |
| 別添4 機体の追加基準への適合性 | 必要 | 必要(記載事項は簡素化。原則「適/否/該当せず」の選択) |
| 別添5 飛行させる者一覧 | 必要 | 必要 |
| 別添6 操縦者の追加基準への適合性 | 必要 | 必要に応じて(同じく選択式) |
| 別添7 飛行マニュアル | 必要 | 提出不要(航空局が作成したマニュアルを選択する) |
| 別添8 総重量25kg以上の基準適合確認 | 必要 | 必要に応じて |
そのうえで、国土交通省の資料は提出が不要になっても作成し具備しておくべき資料を5点挙げています。
- 飛行に際し想定されるリスクを十分に考慮の上、安全な飛行が可能となる運航条件等を設定した資料
- 無人航空機の機能・性能及び飛行形態に応じた追加基準への適合状況を示せる資料
- 操縦者について、飛行形態に応じた追加基準への適合性を示す過去の飛行実績又は訓練実績等を記載した資料
- 飛行範囲、及びその外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画として地図上に示した資料
- 想定される運用により、十分な飛行実績(機体の初期故障期間を超えたもの)を有することを示せる資料
レベル3.5用の飛行マニュアルは、航空局が公開している
レベル3.5の実務でいちばん読む価値があるのが、この文書です。国土交通省の手続ページに「航空局標準マニュアル(機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行-「レベル3.5飛行」等-)」として掲載されており、誰でも原本を読めます。
原本の表題は「無人航空機 飛行マニュアル(DID・夜間・目視外・30m・危険物・物件投下)機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行 ―「レベル3.5飛行」等-」、冒頭に「運航者名:____」の記入欄があり、末尾に「(令和7年12月26日更新版)」と入っています。表題の括弧の中に DID が入っているのが、配送にとっては重要です。
「本マニュアルは、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地等の第三者が存在する可能性が低い場所において、第三者の立入りを確実に制限することができない状況下で、機体に取り付けられたカメラを活用することにより、補助者や看板の配置などの立入管理措置を不要とする飛行(従来の「レベル3飛行」の安全体制の見直し)に加えて、適切な無人航空機操縦者技能証明の保有と第三者賠償責任保険への加入により、移動中の車両、列車又は船舶の上空を通過する場合を含む道路、鉄道又は船舶航路を一時的に横断する飛行(「レベル3.5飛行」)を行うことについて、航空法に基づく許可及び承認を受けて無人航空機を飛行させる際に必要となる手順等を記載するものである。」
そして、すぐ次の段落にこう書かれています。「本マニュアルに記載される手順等は、無人航空機の安全な飛行を確保するために少なくとも必要と考えられるものであり、運航者は、本マニュアルの遵守に加え、使用する機体の機能及び性能を十分に理解し、飛行の方法及び場所に応じて生じるおそれがある飛行のリスクを事前に検証した上で、追加的な安全上の措置を講じるなど、無人航空機の飛行の安全に万全を期さなければならない。」最低線であって、上限ではないという位置づけです。
配送の段取りに直結する条項
| 条項 | 記載されていること |
|---|---|
| 1-1(3) 点検 |
20時間の飛行毎に、部品の在庫・各機器の取付け・機体の損傷やゆがみ・通信系統・推進系統・電源系統・自動制御系統の作動について点検を実施する |
| 2-1(5) 訓練 |
補助者を配置せずに飛行させる場合は、異常状態の把握・判断・操縦操作に関し座学・実技による教育訓練を少なくとも10時間以上受ける |
| 2-1(7) 訓練の省略 |
現に有効な技能証明(飛行にあたって必要な限定解除を受けたもの)の保有者は、知識及び能力が適切に確保されている場合、基本的な操縦技量・業務用の操縦技量・夜間・目視外の操縦練習を省略することができる |
| 2-3(12) つり下げ |
物件のつり下げ又は曳航を行う場合は、飛行距離及び高度の限界値を設定し、突風や電波障害等を考慮して付近の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、物件の確実な固定・固縛を含め適切な安全措置を講じる |
| 3-1(7) 道路・鉄道 |
高速道路、交通量が多い一般道・鉄道の上空やその付近は飛行させない。交通量が少ない道路・鉄道・船舶航路を立入管理措置なしで一時的に飛行させる場合は、運航要件の設定・機上カメラでの確認・緊急着陸地点の選定等を確認する |
| 3-1(10) 離着陸場所 |
人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所を可能な限り選定するとともに、機体のカメラにより周辺の第三者の立ち入りが無いことを確認する |
| 3-2(2) 夜間 |
夜間に道路等の移動中の車両等の上空を通過する場合は、昼間飛行に係る限定解除を受けた技能証明の保有者であること |
| 3-3(5) 立入管理区画 |
飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画とし、飛行経路毎に当該立入管理区画を示した資料を作成し管理する |
| 3-3(7)ウ) 有人機団体 |
航空機の運航者が所属する団体に対し、初回飛行の少なくとも1週間前に、航空局から受領したリストを用いて飛行日時・経路・高度・機体数・機体諸元・問い合わせ先をメールで連絡し、飛行経路を図示した地図等をインターネット等で公表してURLを連絡する |
| 3-4(1) 30m未満 |
プロペラガードを装備して飛行させる。装備できない場合は、機体のカメラにより進行方向の飛行経路下に第三者の立入りが無いことを確認したうえで飛行させる |
| 3-7 非常時 |
あらかじめ飛行場所を管轄する警察署・消防署等の連絡先を調べる。事態が発生した際は、許可等を行った無人航空機安全課、地方航空局保安部運航課又は空港事務所まで報告する(執務時間外は24時間運用の空港事務所へ電話)。連絡先は本文に列記されている |
| 3-8 航空情報 |
飛行を行う日の1開庁日前までに、管轄地方航空局長へ飛行日時・経路(緯度経度と所在地)・高度(海抜の下限上限)・機体数・機体諸元・問い合わせ先を通知する。飛行を行わなくなった場合も、速やかに通知する |
②レベル3で始める。追加基準と、2026年9月に変わった経路の条文
レベル3.5を使わず、補助者を配置しない目視外飛行として組む場合も、要件の土台は同じ審査要領5-4です。機体・操縦者・体制の3方向から基準が上乗せされます。
| 対象 | 求められること(審査要領5-4) |
|---|---|
| 機体の基本 (1)a〜c) |
自動操縦システムを装備し機体のカメラ等で機外の様子を監視できること/地上で位置及び異常の有無を把握できること(不時着した場合を含む)/不具合発生時にフェールセーフ機能が正常に作動すること |
| 機体の追加 (1)d) |
灯火の装備又は認識しやすい塗色/他の航空機・無人航空機の状況を随時把握できること/第三者に危害を加えないことを製造者等が証明した機能/針路・姿勢・高度・速度・気象状況の把握/計画経路と実位置の差の把握/機体の初期故障期間を超えた十分な飛行実績 |
| 操縦者 (2)b) |
モニターを見ながら意図した経路を維持して飛ばせることに加え、遠隔からの異常状態の把握・判断・操作に関する座学・実技による教育訓練を少なくとも10時間以上 |
| 緊急時 (3)c)ウ)エ) |
全ての飛行経路について、不測の事態が発生した場合に付近の適切な場所へ安全に着陸させる等の緊急時の実施手順を定め、第三者及び物件に危害を与えずに着陸できる場所を予め選定すること。飛行前に経路と周辺を現場確認すること |
| 立入管理区画 (3)c)オ) |
飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画とし、経路の設定基準を準用して設定すること |
| 航空情報 (4) |
航空機の状況を常に確認できない場合は航空情報の発行手続が必要で、飛行を行う日の1開庁日前までに管轄地方航空局長へ通知すること |
「飛行経路には第三者が存在する可能性が低い場所※を設定すること。ただし、飛行経路を設定する上でやむを得ない場合には、幹線道路・鉄道や都市部以外の交通量が少ない道路・鉄道を横断する飛行(道路・鉄道の管理者が主体的又は協力して飛行させる場合は、この限りでない。)及び家屋上空における一時的な飛行に限り可能とする。また、やむを得ず人又は家屋の密集している地域の上空を飛行経路として設定する場合には、第三者及び物件への危害を防ぐための十分な安全確保措置を講じること。※第三者が存在する可能性が低い場所は、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するもの。」
改正前は「人又は家屋の密集している地域以外の家屋上空における離着陸時等の一時的な飛行」という書き方で、密集地域の上空についての定めは置かれていませんでした。改正後の条文を素直に読むと、密集地域の上空を経路に設定すること自体は排除されず、代わりに「十分な安全確保措置」が求められる構造になっています。ただし「十分な安全確保措置」の具体的な内容は、審査要領の本文に例示がありません。この記事の執筆時点では、新旧対照表も公開されていません。
関連して、航空局標準マニュアル3-3(1)は「飛行経路を設定する上でやむを得ず人又は家屋が密集している地域の上空を飛行する必要がある場合は、第三者の上空を飛行させない適切な安全措置を講じること」、3-4(2)は密集地域上空で経路の直下及び周辺に家屋等が存在するときは「問い合わせ先を明示した上で上空を無人航空機が飛行することを事前に周知することを含め、第三者の上空を飛行させない適切な安全措置を講じること」と書いています。ただし、これが改正後の「十分な安全確保措置」の公式な具体化であると明示した記載は確認できていません。密集地域の上空に経路を通す必要があるなら、事前相談の段階で確認するのが確実です。
③カテゴリーⅢに進む場合の違い
歩行者などの第三者の上空を通すなら、カテゴリーⅢです。レベル3.5は「カテゴリーⅢ飛行」ではなく、歩行者等の第三者の上空の飛行を認めるものではないと国土交通省の資料が二度にわたって書いています。配送の立ち上げという観点で押さえるべき違いは、次の4点です。
| 項目 | レベル3/レベル3.5(カテゴリーⅡ) | カテゴリーⅢ |
|---|---|---|
| 技能証明 | 一等・二等を問わない(レベル3.5は目視内飛行の限定解除が必要) | 一等無人航空機操縦士 |
| 機体 | 機体認証は必須ではない | 第一種機体認証。使用条件等指定書の範囲内であることの確認も必要 |
| 申請先 | 飛行場所を管轄する東京航空局長又は大阪航空局長(レベル3.5は事前相談が本省航空局) | 国土交通大臣(窓口は国土交通省航空局安全部無人航空機安全課) |
| 提出期限 | 飛行開始予定日の10開庁日前まで | 飛行開始予定日の20開庁日前まで |
| 添付書類 | 飛行マニュアル(レベル3.5は航空局のマニュアルを選択) | 飛行マニュアルに加えてリスクの分析及び評価の結果 |
リスク評価の進め方、20開庁日前の意味、エリア単位での申請の実情はカテゴリーⅢ飛行の要件。20開庁日前とリスク評価にまとめているので、ここでは深追いしません。「第三者上空」が直上だけでなく落下距離の範囲を含むという点と、その線引きは「第三者」はどこまでか。関係者・間接関与者の線引きと立入管理措置とは。現場で実際に何をするのかをご覧ください。機体認証を取るかどうかの判断は機体認証・型式認証とは。第一種と第二種の違いで扱っています。
荷物の中身で変わること
飛び方が決まったら、次は荷物です。同じ経路でも、積むものと渡し方で手続の類型が変わります。詳細は物流・配送でドローンを使うのに必要な許可・承認に譲り、ここでは事業設計の分岐として押さえるべき3点だけ挙げます。
(1) 危険物に当たるかは、受付の段階で判定する仕組みが要る
危険物の輸送はカテゴリーⅡA飛行に分類され、技能証明と機体認証を揃えていても個別の承認が必要です。航空局標準マニュアル3-5(1)は「危険物の取扱いは、関連法令等に基づき安全に行われるものとし、飛行させる際は危険物の品目を含め内容を確認したうえで飛行させる」としています。便ごとに判定が変わる以上、荷物の受付段階で品目を確認する運用がないと、現場で判断することになります。
なお、公式に品名を挙げて「航空法上の危険物」と示した例として確認できているのは、国土交通省のドローン物流ガイドラインが保冷剤の注記として書いているドライアイスだけです。電池製品やスプレー類については、航空法施行規則第194条第1項の10類型と告示に当てはめて個別に判断することになり、「電池はすべて危険物」「スプレーはすべて危険物」と一般化した公式の記載は見当たりません。
(2) 「投下して渡す」のか「着陸して置く」のか
解釈通達は「対象物件を地表等に落下させることなく地上の人員に受け渡す行為や輸送した物件を地表に置く行為は物件投下には該当しない」としています。したがって着陸して置く・手渡す形なら、物件投下の承認は要りません。一方、投下を選ぶと承認が必須になり、航空局標準マニュアル3-6も「操縦者は、物件投下の訓練を終了した者に限る」「補助者を配置せずに物件を投下する場合、高度は原則1m以下(立入管理区画内に投下できることが実証飛行等にて確認されている場合は、その結果に基づいた高度とすることができる)」としています。
(3) 信書は、ここだけ明確に線が引かれている
国土交通省のドローン物流ガイドラインが、関係法令として明確に挙げているのが信書の送達です。総務省の資料によれば、信書の定義は郵便法第4条第2項に置かれた「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」で、民間事業者による信書の送達に関する法律第2条も「この法律において『信書』とは、郵便法第四条第二項に規定する信書をいう」と定めています。
なお、国土交通省のドローン物流ガイドラインは信書の定義の根拠を「郵便法第2条第2項」と書いていますが、総務省の資料と信書便法第2条はいずれも「郵便法第4条第2項」としています。原本を探すときは第4条第2項で当たってください。
総務省が信書に当たる文書として例示しているのは、書状/請求書の類(納品書、領収書、見積書、契約書、申請書 等)/会議招集通知の類/許可書の類(免許証、認定書)/証明書の類(印鑑証明書、住民票の写し、車検証、点検・調査・検査などの結果を通知する文書 等)/一部のダイレクトメールです。点検結果の報告書を運ぶ実証を組もうとすると、ここに当たります。一方で「電磁的記録物(CD、DVD、USBメモリ等に電子データとして記録したもの)は、そこに記載された情報が人の知覚によって認識することができないものであり、『文書』とはならないため、信書に該当しない」とも書かれています。
飛ばす前にそろえる順番
ここまでの要素を、実際に手を動かす順番に並べ直します。後ろの工程ほど前の工程の成果物を必要とするため、順番を飛ばすと戻ることになります。
法人としての開業手続そのものはドローンで仕事を始めるときの手続き。法人か個人事業主か、最初にそろえるもの、機体登録の実務は無人航空機の登録制度 完全ガイドと法人でドローンを登録するときの手続き、DIPS2.0のアカウント設計はDIPS2.0の法人アカウントと個人アカウントの使い分けと複数人でDIPS2.0を運用するときの権限設計で扱っています。通信に使う電波の免許は5.7GHz帯のドローンを使うには。無線局免許と第三級陸上特殊無線技士をご覧ください。
飛び始めてから続く義務と、運航体制
許可・承認は入口です。配送は毎日・何便も飛ぶ業務なので、続く義務を誰がどう回すかを決めておかないと、どこかで必ず抜けます。
| やること | タイミング | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| 飛行計画の通報 | 特定飛行を行う前にあらかじめ。経路に係る他の無人航空機の飛行計画も同じシステムで確認する | 法第132条の88。航空局標準マニュアル2-3(15)。配送ガイドラインは「特定飛行以外の飛行を行う場合であっても、飛行計画を通報することが推奨される」とも書いています |
| 飛行日誌 | 飛行の都度、実績を記録。点検・整備は定期的に実施し記録を作成 | 法第132条の89。航空局標準マニュアル2-3(14)(16)、1-2。同マニュアルは20時間の飛行毎の点検も定めています |
| 許可書の携行 | 飛行の際、毎回 | 航空局標準マニュアル2-3(19)「許可書又は承認書の原本又は写しを携行する」 |
| 緊急用務空域の確認 | 飛行を開始する前に毎回 | 航空局標準マニュアル2-3(2)。許可を持っていても飛べません |
| 航空情報のための通知 | 飛行を行う日の1開庁日前まで。飛行を取りやめた場合も速やかに通知 | 審査要領5-4(4)。手続ページにExcelの「飛行内容通知書」の様式が掲載されています |
| 有人機への周知 | 初回飛行の少なくとも1週間前(有人機団体)/飛行前(関係機関・緊急運航者) | 航空局標準マニュアル3-3(7)。手続ページは「航空機の運航者の連絡先については、飛行申請手続きの過程で各審査部局からお知らせします」としています |
| 事故・重大インシデントの報告 | 事態が発生したとき速やかに | 法第132条の90・第132条の91。航空局標準マニュアル3-7は、警察署・消防署等に加えて許可等を行った官署まで報告することと、執務時間外は24時間運用の空港事務所へ電話することを定めています |
| 期限の管理 | 許可・承認、機体登録、技能証明、機体認証それぞれ | 包括の更新は満了の40開庁日前から10開庁日前まで。期限が重なるため横断管理が要ります |
通報と日誌の具体的な回し方はドローンの飛行計画の通報はいつ必要か、DIPS2.0で飛行計画を通報する手順、ドローンの飛行日誌の書き方、事故報告は事故と重大インシデントの報告、期限の横断管理は期限を切らすと何が起きるかで扱っています。緊急用務空域については緊急用務空域。包括許可を持っていても飛べなくなる空域をご覧ください。
体制の作り方について、配送ガイドラインが書いていること
国土交通省の「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン」は、「ドローン物流サービスにこれから着手する主体を対象とすることを念頭においた手引き」と自ら位置づけており、第1部が社会実装編として立ち上げの段取りを扱っています。航空法の細目は教則と審査要領のほうが新しいので、ガイドラインは物流固有の論点だけを拾うのが正確です。
| 論点 | ガイドラインの記載(要旨) |
|---|---|
| 運航事業者の選定 | 「価格のみならず、運航実績、安全管理体制、サービス提供体制などについて、総合的に判断することが望ましい」。配送先の配達人等は、ボランティア、地元の商店やへき地診療所の職員、利用者が直接受け取るなどが想定され、地元リソースの状況・荷物の内容・安全性を考慮して選ぶ |
| 地元との調整 | 「地方公共団体や住民、現地のサービス提供者の主体的な関与が必要不可欠」。騒音・事故の不安・プライバシーの侵害が課題となるため、レベル4に限らず飛行経路下の住民等の理解を得る取組が必要。手段としてアンケートやヒアリング、協議会の開催、説明会やチラシによる周知、試験飛行への見学会を挙げています |
| 推進役 | 検討事項が多岐にわたるためプロジェクトマネージャーを選定する。「現にこれまで成功しているプロジェクトの多くは、事業計画者や地方公共団体の担当者による強力かつ丁寧なリーダーシップにより運営されている場合が多い」 |
| 経路と通信 | 目視外では操縦・画像伝送に携帯電話の電波を使うケースが多く、事前に電波の状況を調査し、不通区間があれば迂回・基地局の設置・他の無線システムの併用から選ぶ。地図には現れない送電線や鉄塔の有無、高低差も確認する |
| 離着陸場所 | 視界を遮るものがなく、障害物のない落下リスクの小さい場所を選ぶ。消費者向け配送では受取場所までの距離に配慮し、騒音やダウンウォッシュによる土埃や雪の巻き上げにも配慮する |
| 飛ばせない日の設計 | 就航率を維持するため気象条件を考慮した機体を選び、雨天時などの代替輸送の確保を検討する。「代替輸送の責任を誰が負うのかを、運航事業者等と荷物等を提供する事業者等の関係者間であらかじめ確認しておくことが必要」 |
| 役割分担 | 「操縦者は機体の動きや操縦に集中する必要があり、離着陸エリアを含めた飛行経路の管理を操縦と同時に行うことが困難であるため、飛行準備や飛行経路の安全管理、第三者の立入り管理などは補助者が主として行う必要がある」。経路や範囲に応じた補助者の数や配置、各人の担当範囲や役割、異常運航時の対応方法も決めておく |
| 運航判断 | 一般的な例として「風速5m/s以上の状態では飛行させない」「雨の場合や雨になりそうな場合は飛行させない」「十分な視程が確保できない雲や霧の中では飛行させない」。ただしメーカーが運用限界を保証している等、技術的根拠に問題ないと判断できる場合はこの限りでない |
| 続け方 | 計画→提供→結果の確認→改善というPDCAサイクルの活用や人材育成により事業継続性を確保することが重要 |
会社としての役割分担の決め方は会社としての運航管理体制の作り方。誰が何を持つかを決める、他社から業務を受けて飛ぶ場合の取り決めはドローン業務の委託契約で決めておくことで扱っています。土地の上空については私有地の上空、所有権はどこまで及ぶのかをご覧ください。
なお同ガイドラインは、本文で「航空法に基づく無人航空機の規制体系において多数機同時運航に特化した安全要件等は特段定められておらず」と述べ、運航者に対して「本ガイドラインに沿って申請を行うことが強く推奨され」ると書く位置づけです。審査要領への反映は今後の検討事項とされています。
事業の形について、公式に明示がない論点
最後に、断定を避けるべき点を1つだけ。ドローンで他人の荷物を有償で運ぶことに、貨物利用運送事業法や貨物自動車運送事業法が適用されるかどうかは、公式に明示されていません。
国土交通省がドローン物流について出している網羅的な一次資料は「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0」で、その第2部が「法令編」として関係法令を章立てで並べています。挙がっているのは航空法、道路交通法及び道路法、河川法、自然公園法、国有林野の管理経営に関する法律、港則法及び海上交通安全法、土地改良法、地方公共団体が定める条例、民法(第三者の土地の上空)、小型無人機等飛行禁止法、電波法、薬機法(医薬品の配送)、信書の送達です。本文全177ページを通して、「貨物利用運送事業法」「貨物自動車運送事業法」「利用運送」といった語は1件も現れません。
よくある質問
- 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続
- 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)令和8年9月29日最終改正(PDF)
- 国土交通省|航空局標準マニュアル(機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行-「レベル3.5飛行」等-)令和7年12月26日更新版(PDF)
- 国土交通省|カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について(PDF)
- 国土交通省|レベル3.5飛行に係るDIPS2.0を用いた電子申請について(PDF)
- 国土交通省|カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)事例集 令和8年9月(PDF)
- 国土交通省|カテゴリーⅡ飛行(レベル3飛行)申請方法(PDF)
- 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)(PDF)
- 国土交通省|無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(令和8年7月7日公布/7月14日適用・PDF)
- 国土交通省|無人航空機に係る規制の運用における解釈について(解釈通達・PDF)
- 国土交通省|無人航空機の多数機同時運航を安全に行うためのガイドライン 第二版(令和8年6月・PDF)
- 国土交通省|無人航空機の多数機同時運航を安全に行うためのガイドラインの改訂概要(PDF)
- 国土交通省|物流分野におけるドローンの活用(配送ガイドラインの掲載ページ)
- 国土交通省|ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0(PDF)
- 国土交通省|総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合は第三者賠償責任保険の加入が必要です(PDF)
- 国土交通省告示第435号(人口集中地区からの工業専用地域の除外・PDF)
- 総務省|信書の定義について〜ガイドラインの基本的考え方を中心に〜(PDF)
- 総務省|民間事業者による信書の送達に関する法律(法令本文・PDF)
- 総務省|信書のルール
- e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)
- e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)