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ドローン配送を始めるまでの段取り。レベル3.5の宣言書から運航体制まで

公開 2026-11-01 更新 2026-11-01 読了 約19分

配送でドローンを使うとき、最初に決めるのは機体でも経路でもなく、「どの飛び方で事業を成り立たせるか」です。 レベル3.5で始めるのか、補助者を置かない目視外飛行(レベル3)で始めるのか、第三者の上空を通すカテゴリーⅢまで行くのか。 ここで分岐が決まると、必要な技能証明の限定、保険、申請の相手先、提出する書類、そろえる時期が全部連動して変わります。 とくにレベル3.5は、事前相談の窓口が通常の地方航空局ではなく本省の航空局という、ほかの手続と違う入口を持っています。 この記事は、配送を業務として立ち上げるまでの順番を、国土交通省の一次資料で確認できる範囲だけで並べます。 許可・承認そのものの類型(物件投下・危険物輸送・30m未満など)は物流・配送でドローンを使うのに必要な許可・承認で扱っているので、こちらは「段取り」に絞ります。

よく見る説明と、公式の記載
レベル3.5は2023年12月に新設された比較的新しい制度で、手続の入口が通常と違います。この記事で扱う範囲について、一次ソースの記載と突き合わせます。
よく見る説明レベル3.5も、ほかの許可・承認と同じように地方航空局へ申請すればよい。
公式にはこう国土交通省の手続ページは「通常の申請先である地方航空局ではなく、本省航空局が窓口となりますので、お間違いのないようお願い致します」と明記し、事前相談の窓口を航空局安全部無人航空機安全課 制度改正担当としています。地方航空局へ申請するのは、その後の第2段階です。
出典 無人航空機の飛行許可・承認手続(国土交通省)
よく見る説明運航概要宣言書を出せば、資料づくりの手間がまるごと減る。
公式にはこう国土交通省の資料は「⚠ 提出が不要となる資料においても、申請者にて作成し具備することが必要です。⚠ 当局から別途提出を求める可能性がありますので、その際は速やかにご提出いただきます。」と書いています。減るのは提出であって、作成ではありません。
出典 レベル3.5飛行に係るDIPS2.0を用いた電子申請について p.7
よく見る説明役所の書類や証明書も、宅配便と同じようにドローンで運べる。
公式にはこう総務省は、信書の定義を郵便法第4条第2項に置かれた「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」とし、証明書の類・許可書の類・請求書の類などを信書に当たる文書として例示しています。会社以外の者による他人の信書の送達の業は同項で禁じられ、信書便法第3条がその適用除外を定める構造です。
出典 総務省「信書の定義について」/民間事業者による信書の送達に関する法律 第2条・第3条

最初の分岐は「どの飛び方で成り立たせるか」

配送は、拠点から配送先まで距離を飛ぶ業務です。空撮や点検と違って、操縦者が立っている場所から機体が離れていくことが前提になります。したがって目視外飛行はほぼ常時発生し、経路のどこかで必ず道路や鉄道が横切ります。この「横切る場所をどう処理するか」が、事業の形を決める最大の分岐です。

航空法の手続としては、選択肢は3つに整理できます。

経路下に第三者が立ち入らないよう、補助者と看板で管理できるか → できるなら、補助者を配置する通常の目視外飛行で足ります。ただし経路全体にわたって人を張るコストが乗ります
補助者も看板も置かずに、交通量の少ない道路・鉄道・船舶航路を一時的に横断したい → レベル3.5。機上カメラ+目視内の限定解除を受けた技能証明+第三者賠償責任保険で、立入管理措置を代替します
横断ではなく、経路の設計そのもので第三者を避けきりたい → 補助者を配置しない目視外飛行(レベル3)の追加基準で組みます。経路は山・海水域・河川・湖沼・森林・農用地などから選びます
歩行者などの第三者の上空を通す必要がある → カテゴリーⅢ。一等技能証明+第一種機体認証+リスク評価の世界に入ります
レベル3.5は、レベル3の「中」にあります。 国土交通省の手続ページは「レベル3.5飛行は、カテゴリーⅡ飛行(レベル3飛行)に該当する飛行形態であり、飛行承認を受けるにあたってはレベル3飛行に必要な要件への適合を示す資料を作成し、具備しておく必要があります」としています。つまり②を選んでも③の要件から逃げられるわけではなく、レベル3の機体・操縦者・体制の基準を満たしたうえで、立入管理措置の部分だけを機上カメラに置き換える制度です。レベルとカテゴリーの対応関係はレベル1〜4とレベル3.5。カテゴリーの区分と一致しない理由で整理しています。

①レベル3.5で始める。3つの要件と運航概要宣言書

レベル3.5の要件は、審査要領(カテゴリーⅡ飛行)5-4(3)c)カ)(ⅲ)に置かれています。2026年9月29日に最終改正された現行版でも、この号の文言は変わっていません。

審査要領(カテゴリーⅡ飛行)5-4(3)c)カ)(ⅲ)
「第三者賠償責任保険に加入したうえで、無人航空機操縦者技能証明を保有する者が、5-4(1)d)ウ)(ⅲ)に定める方法に従い、機体に取り付けられたカメラを活用することにより、補助者や看板の配置などの立入管理措置をせずに、移動中の車両、列車又は船舶の上空を通過する場合を含む道路、鉄道又は船舶航路を一時的に横断する飛行(レベル3.5飛行)を行い、かつ、以下の要件に適合すること」
要件条文が求めていることそろえるのに時間がかかる所
機上カメラ
+地上モニター
機体のカメラにより進行方向の飛行経路の直下及びその周辺への第三者の立ち入りが無いことを確認できること。あわせて、道路・鉄道・船舶航路への墜落を避けるための緊急着陸地点の選定等の運航上の安全対策を設けていること 設備の構成(カメラ・モニター・通信装置)で確認できることを事前に確認する必要があり、構成を変更したときも同じ事前確認が要ります
技能証明 飛行させる機体に対応した現に有効な技能証明で、目視内飛行の限定解除を受けたもの。等級は一等・二等を問いません ここが一番のボトルネックです。二等を目視内の限定付きで取っただけでは要件を満たしません
第三者賠償
責任保険
第三者の負傷や交通障害等の不測の事態が発生した場合に十分な補償が可能な第三者賠償責任保険への加入 補償額の基準は国が示していません。航空局標準マニュアルは「被害者に対し十分な補償が提供でき、かつ速やかに被害者が救済されるものであることが望ましい」と書くにとどまります

限定解除の取り方と、法人として誰にどの限定を取らせるかの設計は、技能証明の限定と限定変更。夜間・目視外・25kg以上で何が変わるかと法人が従業員に国家資格を取らせるときの計画で扱っています。保険の位置づけはドローンの保険。国が加入を求めている場面と、求めていない場面をご覧ください。

手続は2段階。1段階目は本省の航空局

レベル3.5は、申請の流れがほかの許可・承認と違います。国土交通省の資料が示す流れは、次のとおりです。

航空局の事前相談の窓口に相談する。手続ページは「通常の申請先である地方航空局ではなく、本省航空局が窓口」と明記し、窓口を航空局安全部無人航空機安全課 制度改正担当としています(同ページにメールの宛先が掲載されています)
航空局から「運航概要宣言書」と「レベル3.5飛行マニュアル」の書式が送付される
運航概要宣言書を提出し、航空局と調整する。内容に変更がない限り、この調整は初回のみです
航空局から「レベル3.5飛行用申請様式」が送付される
ここまでが Step.1。運航概要宣言書における「航空局管理番号」の発行が完了すると、DIPS2.0からの電子申請ができるようになります
Step.2。東京航空局または大阪航空局へ、レベル3.5飛行用申請様式で飛行許可・承認申請を提出する
「航空局管理番号」は、許可・承認番号とは別物です。 DIPS2.0では、簡易カテゴリー判定画面の立入管理措置の設問に「航空局と事前調整済みの立入管理措置を講じる(レベル3.5飛行関連)」という選択肢が追加され、ここに航空局管理番号を入力します。国土交通省の資料は「飛行の許可・承認番号とは異なります」とわざわざ注記しています。また、この判定画面でレベル3.5飛行を行えない飛行空域や飛行方法を選択した場合等はエラーになるとも書かれています。番号を持たないまま通常の申請を進めても、レベル3.5にはなりません。

提出が減る書類と、減らない作業

宣言書を出すことで、申請時の添付が次のように整理されます。

書類通常のレベル3飛行レベル3.5飛行
様式1 許可・承認申請書必要必要
様式2 機能・性能に関する基準適合確認書必要必要
様式3 飛行経歴・知識・能力確認書必要必要
別添1 飛行の経路必要提出不要(経路は申請画面に住所で列挙して入力)
別添2 登録記号等・製造者・名称・重量等必要提出不要
別添3 運用限界等必要提出不要
別添4 機体の追加基準への適合性必要必要(記載事項は簡素化。原則「適/否/該当せず」の選択)
別添5 飛行させる者一覧必要必要
別添6 操縦者の追加基準への適合性必要必要に応じて(同じく選択式)
別添7 飛行マニュアル必要提出不要(航空局が作成したマニュアルを選択する)
別添8 総重量25kg以上の基準適合確認必要必要に応じて

そのうえで、国土交通省の資料は提出が不要になっても作成し具備しておくべき資料を5点挙げています。

  • 飛行に際し想定されるリスクを十分に考慮の上、安全な飛行が可能となる運航条件等を設定した資料
  • 無人航空機の機能・性能及び飛行形態に応じた追加基準への適合状況を示せる資料
  • 操縦者について、飛行形態に応じた追加基準への適合性を示す過去の飛行実績又は訓練実績等を記載した資料
  • 飛行範囲、及びその外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画として地図上に示した資料
  • 想定される運用により、十分な飛行実績(機体の初期故障期間を超えたもの)を有することを示せる資料
「適/否」で答える形式は、楽になった分だけ根拠を聞かれます。 DIPS2.0の電子申請では、機体の追加基準も操縦者の追加基準も原則すべて「適/否/該当せず」の選択で示し、添付資料は不要になります。ただし「否」を選ぶと代替的安全対策を選択肢から示す必要があり、選択肢に依らない策を講じる場合や必要な追加基準に適合しない場合は、引き続き紙面での申請になると明記されています。チェックを付ける前に、その根拠資料が手元にある状態を作っておくのが順番です。

レベル3.5用の飛行マニュアルは、航空局が公開している

レベル3.5の実務でいちばん読む価値があるのが、この文書です。国土交通省の手続ページに「航空局標準マニュアル(機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行-「レベル3.5飛行」等-)」として掲載されており、誰でも原本を読めます。

原本の表題は「無人航空機 飛行マニュアル(DID・夜間・目視外・30m・危険物・物件投下)機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行 ―「レベル3.5飛行」等-」、冒頭に「運航者名:____」の記入欄があり、末尾に「(令和7年12月26日更新版)」と入っています。表題の括弧の中に DID が入っているのが、配送にとっては重要です。

本マニュアルについて(冒頭)
「本マニュアルは、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地等の第三者が存在する可能性が低い場所において、第三者の立入りを確実に制限することができない状況下で、機体に取り付けられたカメラを活用することにより、補助者や看板の配置などの立入管理措置を不要とする飛行(従来の「レベル3飛行」の安全体制の見直し)に加えて、適切な無人航空機操縦者技能証明の保有と第三者賠償責任保険への加入により、移動中の車両、列車又は船舶の上空を通過する場合を含む道路、鉄道又は船舶航路を一時的に横断する飛行(「レベル3.5飛行」)を行うことについて、航空法に基づく許可及び承認を受けて無人航空機を飛行させる際に必要となる手順等を記載するものである。」

そして、すぐ次の段落にこう書かれています。「本マニュアルに記載される手順等は、無人航空機の安全な飛行を確保するために少なくとも必要と考えられるものであり、運航者は、本マニュアルの遵守に加え、使用する機体の機能及び性能を十分に理解し、飛行の方法及び場所に応じて生じるおそれがある飛行のリスクを事前に検証した上で、追加的な安全上の措置を講じるなど、無人航空機の飛行の安全に万全を期さなければならない。」最低線であって、上限ではないという位置づけです。

配送の段取りに直結する条項

条項記載されていること
1-1(3)
点検
20時間の飛行毎に、部品の在庫・各機器の取付け・機体の損傷やゆがみ・通信系統・推進系統・電源系統・自動制御系統の作動について点検を実施する
2-1(5)
訓練
補助者を配置せずに飛行させる場合は、異常状態の把握・判断・操縦操作に関し座学・実技による教育訓練を少なくとも10時間以上受ける
2-1(7)
訓練の省略
現に有効な技能証明(飛行にあたって必要な限定解除を受けたもの)の保有者は、知識及び能力が適切に確保されている場合、基本的な操縦技量・業務用の操縦技量・夜間・目視外の操縦練習を省略することができる
2-3(12)
つり下げ
物件のつり下げ又は曳航を行う場合は、飛行距離及び高度の限界値を設定し、突風や電波障害等を考慮して付近の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、物件の確実な固定・固縛を含め適切な安全措置を講じる
3-1(7)
道路・鉄道
高速道路、交通量が多い一般道・鉄道の上空やその付近は飛行させない。交通量が少ない道路・鉄道・船舶航路を立入管理措置なしで一時的に飛行させる場合は、運航要件の設定・機上カメラでの確認・緊急着陸地点の選定等を確認する
3-1(10)
離着陸場所
人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所を可能な限り選定するとともに、機体のカメラにより周辺の第三者の立ち入りが無いことを確認する
3-2(2)
夜間
夜間に道路等の移動中の車両等の上空を通過する場合は、昼間飛行に係る限定解除を受けた技能証明の保有者であること
3-3(5)
立入管理区画
飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画とし、飛行経路毎に当該立入管理区画を示した資料を作成し管理する
3-3(7)ウ)
有人機団体
航空機の運航者が所属する団体に対し、初回飛行の少なくとも1週間前に、航空局から受領したリストを用いて飛行日時・経路・高度・機体数・機体諸元・問い合わせ先をメールで連絡し、飛行経路を図示した地図等をインターネット等で公表してURLを連絡する
3-4(1)
30m未満
プロペラガードを装備して飛行させる。装備できない場合は、機体のカメラにより進行方向の飛行経路下に第三者の立入りが無いことを確認したうえで飛行させる
3-7
非常時
あらかじめ飛行場所を管轄する警察署・消防署等の連絡先を調べる。事態が発生した際は、許可等を行った無人航空機安全課、地方航空局保安部運航課又は空港事務所まで報告する(執務時間外は24時間運用の空港事務所へ電話)。連絡先は本文に列記されている
3-8
航空情報
飛行を行う日の1開庁日前までに、管轄地方航空局長へ飛行日時・経路(緯度経度と所在地)・高度(海抜の下限上限)・機体数・機体諸元・問い合わせ先を通知する。飛行を行わなくなった場合も、速やかに通知する
独自マニュアルを作るかどうかも、ここで決まります。 DIPS2.0の飛行マニュアル選択欄には「機上カメラ装置等により立入管理措置を講じる目視外飛行等に係る航空局が作成した飛行マニュアルを使用する」という選択肢があり、国土交通省の資料は「基本的にはこちらをご使用頂きたく、お願いします」「標準マニュアルに定めのない仔細事項等を補完したい場合には、独自マニュアルをご使用ください。独自マニュアルを選択される場合、審査部局にて個別に審査します」としています。さらに「個別に作成した飛行マニュアルにおいても、航空局が作成した飛行マニュアルと同等の水準である必要がある」とも書かれています。独自マニュアルの作り方は独自の飛行マニュアルを作るべきときと作り方、標準マニュアル全般の使い方は全国包括は取れるか。標準マニュアル02の使い方で扱っています。

②レベル3で始める。追加基準と、2026年9月に変わった経路の条文

レベル3.5を使わず、補助者を配置しない目視外飛行として組む場合も、要件の土台は同じ審査要領5-4です。機体・操縦者・体制の3方向から基準が上乗せされます。

対象求められること(審査要領5-4)
機体の基本
(1)a〜c)
自動操縦システムを装備し機体のカメラ等で機外の様子を監視できること/地上で位置及び異常の有無を把握できること(不時着した場合を含む)/不具合発生時にフェールセーフ機能が正常に作動すること
機体の追加
(1)d)
灯火の装備又は認識しやすい塗色/他の航空機・無人航空機の状況を随時把握できること/第三者に危害を加えないことを製造者等が証明した機能/針路・姿勢・高度・速度・気象状況の把握/計画経路と実位置の差の把握/機体の初期故障期間を超えた十分な飛行実績
操縦者
(2)b)
モニターを見ながら意図した経路を維持して飛ばせることに加え、遠隔からの異常状態の把握・判断・操作に関する座学・実技による教育訓練を少なくとも10時間以上
緊急時
(3)c)ウ)エ)
全ての飛行経路について、不測の事態が発生した場合に付近の適切な場所へ安全に着陸させる等の緊急時の実施手順を定め、第三者及び物件に危害を与えずに着陸できる場所を予め選定すること。飛行前に経路と周辺を現場確認すること
立入管理区画
(3)c)オ)
飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画とし、経路の設定基準を準用して設定すること
航空情報
(4)
航空機の状況を常に確認できない場合は航空情報の発行手続が必要で、飛行を行う日の1開庁日前までに管轄地方航空局長へ通知すること
経路設定の条文が、2026年9月29日に変わりました。 審査要領(カテゴリーⅡ飛行)は令和8年9月29日に最終改正され、国土交通省は改正の趣旨を「補助者を配置しない目視外飛行における飛行経路の設定について、やむを得ず人又は家屋の密集している地域上空を飛行経路として設定する場合の取扱いを明確化するため」と説明しています。現行の5-4(3)c)ア)は次のとおりです。

「飛行経路には第三者が存在する可能性が低い場所※を設定すること。ただし、飛行経路を設定する上でやむを得ない場合には、幹線道路・鉄道や都市部以外の交通量が少ない道路・鉄道を横断する飛行(道路・鉄道の管理者が主体的又は協力して飛行させる場合は、この限りでない。)及び家屋上空における一時的な飛行に限り可能とする。また、やむを得ず人又は家屋の密集している地域の上空を飛行経路として設定する場合には、第三者及び物件への危害を防ぐための十分な安全確保措置を講じること。※第三者が存在する可能性が低い場所は、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するもの。」

改正前は「人又は家屋の密集している地域以外の家屋上空における離着陸時等の一時的な飛行」という書き方で、密集地域の上空についての定めは置かれていませんでした。改正後の条文を素直に読むと、密集地域の上空を経路に設定すること自体は排除されず、代わりに「十分な安全確保措置」が求められる構造になっています。ただし「十分な安全確保措置」の具体的な内容は、審査要領の本文に例示がありません。この記事の執筆時点では、新旧対照表も公開されていません。

関連して、航空局標準マニュアル3-3(1)は「飛行経路を設定する上でやむを得ず人又は家屋が密集している地域の上空を飛行する必要がある場合は、第三者の上空を飛行させない適切な安全措置を講じること」、3-4(2)は密集地域上空で経路の直下及び周辺に家屋等が存在するときは「問い合わせ先を明示した上で上空を無人航空機が飛行することを事前に周知することを含め、第三者の上空を飛行させない適切な安全措置を講じること」と書いています。ただし、これが改正後の「十分な安全確保措置」の公式な具体化であると明示した記載は確認できていません。密集地域の上空に経路を通す必要があるなら、事前相談の段階で確認するのが確実です。

DIDに入るレベル3.5の例は、すでに公表されています。 国土交通省が2026年9月に更新した「レベル3.5飛行事例集」には、和歌山市の病院から道の駅までの片道約4.3kmのお弁当配送の実証が載っています。離着陸地点となる病院がDID内に位置していたものの、「DID内でも第三者が少ない場所を確認して最大限にリスクを排除した飛行ルートを設計し、離着陸地点における第三者立入防止の安全措置を講じることで、日本初となる『DIDを含むレベル3.5飛行』を実現した」とされています。安全確保体制として挙げられているのは、DIDに該当するエリアの人流調査を踏まえたルート設計(RESASを活用した机上確認及び現地調査)と、事前の住民周知等による第三者立入防止の安全措置の徹底です。運航者のコメントには「DID内に所在する離着陸地点においては、監視・警告機能を備えた設備を設置することにより立入管理措置を徹底」とあります。工業専用地域がDIDから除かれた改正は工業専用地域は、DIDの中でもDIDの飛行許可が要らなくなったで扱っています。

③カテゴリーⅢに進む場合の違い

歩行者などの第三者の上空を通すなら、カテゴリーⅢです。レベル3.5は「カテゴリーⅢ飛行」ではなく、歩行者等の第三者の上空の飛行を認めるものではないと国土交通省の資料が二度にわたって書いています。配送の立ち上げという観点で押さえるべき違いは、次の4点です。

項目レベル3/レベル3.5(カテゴリーⅡ)カテゴリーⅢ
技能証明一等・二等を問わない(レベル3.5は目視内飛行の限定解除が必要)一等無人航空機操縦士
機体機体認証は必須ではない第一種機体認証。使用条件等指定書の範囲内であることの確認も必要
申請先飛行場所を管轄する東京航空局長又は大阪航空局長(レベル3.5は事前相談が本省航空局)国土交通大臣(窓口は国土交通省航空局安全部無人航空機安全課)
提出期限飛行開始予定日の10開庁日前まで飛行開始予定日の20開庁日前まで
添付書類飛行マニュアル(レベル3.5は航空局のマニュアルを選択)飛行マニュアルに加えてリスクの分析及び評価の結果

リスク評価の進め方、20開庁日前の意味、エリア単位での申請の実情はカテゴリーⅢ飛行の要件。20開庁日前とリスク評価にまとめているので、ここでは深追いしません。「第三者上空」が直上だけでなく落下距離の範囲を含むという点と、その線引きは「第三者」はどこまでか。関係者・間接関与者の線引きと立入管理措置とは。現場で実際に何をするのかをご覧ください。機体認証を取るかどうかの判断は機体認証・型式認証とは。第一種と第二種の違いで扱っています。

荷物の中身で変わること

飛び方が決まったら、次は荷物です。同じ経路でも、積むものと渡し方で手続の類型が変わります。詳細は物流・配送でドローンを使うのに必要な許可・承認に譲り、ここでは事業設計の分岐として押さえるべき3点だけ挙げます。

(1) 危険物に当たるかは、受付の段階で判定する仕組みが要る

危険物の輸送はカテゴリーⅡA飛行に分類され、技能証明と機体認証を揃えていても個別の承認が必要です。航空局標準マニュアル3-5(1)は「危険物の取扱いは、関連法令等に基づき安全に行われるものとし、飛行させる際は危険物の品目を含め内容を確認したうえで飛行させる」としています。便ごとに判定が変わる以上、荷物の受付段階で品目を確認する運用がないと、現場で判断することになります。

なお、公式に品名を挙げて「航空法上の危険物」と示した例として確認できているのは、国土交通省のドローン物流ガイドラインが保冷剤の注記として書いているドライアイスだけです。電池製品やスプレー類については、航空法施行規則第194条第1項の10類型と告示に当てはめて個別に判断することになり、「電池はすべて危険物」「スプレーはすべて危険物」と一般化した公式の記載は見当たりません。

(2) 「投下して渡す」のか「着陸して置く」のか

解釈通達は「対象物件を地表等に落下させることなく地上の人員に受け渡す行為や輸送した物件を地表に置く行為は物件投下には該当しない」としています。したがって着陸して置く・手渡す形なら、物件投下の承認は要りません。一方、投下を選ぶと承認が必須になり、航空局標準マニュアル3-6も「操縦者は、物件投下の訓練を終了した者に限る」「補助者を配置せずに物件を投下する場合、高度は原則1m以下(立入管理区画内に投下できることが実証飛行等にて確認されている場合は、その結果に基づいた高度とすることができる)」としています。

訓練の計画に跳ね返ります。 同マニュアル2-1(6)は「物件投下の前後で安定した機体の姿勢制御が行えるよう、また、5回以上の物件投下の実績を積むため、訓練のために許可等を受けた場所又は屋内にて練習を行う」としています。投下方式を選ぶなら、訓練場所の確保と訓練実績の記録が、申請の前工程として必要になります。つり下げで運ぶ場合も、2-3(12)が飛行距離及び高度の限界値の設定と、物件の確実な固定・固縛を求めています。

(3) 信書は、ここだけ明確に線が引かれている

国土交通省のドローン物流ガイドラインが、関係法令として明確に挙げているのが信書の送達です。総務省の資料によれば、信書の定義は郵便法第4条第2項に置かれた「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」で、民間事業者による信書の送達に関する法律第2条も「この法律において『信書』とは、郵便法第四条第二項に規定する信書をいう」と定めています。

信書便法第3条は「許可」の条文ではなく、「郵便法の適用除外」の条文です。 原文は「郵便法第四条第二項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。一 一般信書便事業者が信書便物の送達を行う場合 二 特定信書便事業者が特定信書便役務に係る信書便物の送達を行う場合 三 一般信書便事業者又は特定信書便事業者から信書便の業務の一部の委託を受けた者が当該委託に係る信書便物の送達を行う場合 四 一般信書便事業者又は特定信書便事業者と信書の送達の事業に関する協定又は契約を締結した外国信書便事業者…が当該協定又は契約に基づき信書便物の送達を行う場合」です。除外は4類型あり、信書便事業者から業務の一部の委託を受けた者も含まれています。
なお、国土交通省のドローン物流ガイドラインは信書の定義の根拠を「郵便法第2条第2項」と書いていますが、総務省の資料と信書便法第2条はいずれも「郵便法第4条第2項」としています。原本を探すときは第4条第2項で当たってください。

総務省が信書に当たる文書として例示しているのは、書状/請求書の類(納品書、領収書、見積書、契約書、申請書 等)/会議招集通知の類/許可書の類(免許証、認定書)/証明書の類(印鑑証明書、住民票の写し、車検証、点検・調査・検査などの結果を通知する文書 等)/一部のダイレクトメールです。点検結果の報告書を運ぶ実証を組もうとすると、ここに当たります。一方で「電磁的記録物(CD、DVD、USBメモリ等に電子データとして記録したもの)は、そこに記載された情報が人の知覚によって認識することができないものであり、『文書』とはならないため、信書に該当しない」とも書かれています。

飛ばす前にそろえる順番

ここまでの要素を、実際に手を動かす順番に並べ直します。後ろの工程ほど前の工程の成果物を必要とするため、順番を飛ばすと戻ることになります。

飛び方を決める(s1の分岐)。ここで必要な技能証明の限定、保険の要否、申請の相手先が確定します
機体を登録する。国土交通省の手続ページは「飛行許可・承認手続きの実施においては、機体登録手続きを実施し登録記号または試験飛行届出番号発行を受けている必要があります」と明記しています
DIPS2.0のアカウントを作る。手続ページは「『個人』でのアカウント開設では『企業名』等の入力ができません。企業・法人として申請される方は、必ず『企業・団体』を選択しアカウントを開設してください」としています
技能証明と限定解除を取る。レベル3.5なら目視内飛行の限定解除が必須。夜間に道路等を横断するなら昼間飛行の限定解除も要ります
飛行実績と訓練実績を積み、記録する。補助者を配置しない目視外飛行は座学・実技10時間以上、投下するなら5回以上の投下実績。機体側にも「初期故障期間を超えた十分な飛行実績」が要ります
経路と立入管理区画を作図する。落下距離の範囲内を立入管理区画とし、飛行経路毎に資料を作成して管理します。電波の状況、送電線や鉄塔の有無、高低差、緊急着陸地点もここで確認します
第三者賠償責任保険に加入する。レベル3.5の要件であり、総重量25kg以上の機体では2025年10月1日以降の申請で加入が必要です
(レベル3.5の場合)本省航空局に事前相談し、運航概要宣言書を調整して航空局管理番号を得る
申請する。手続ページは「飛行開始予定日から3〜4週間程度、十分な余裕をもって申請」を求めています。申請先を誤ると補正指示になります
飛行の前に、飛行計画を通報する。航空情報の発行が必要なら、別に1開庁日前までの通知が要ります
申請先の誤りは、国土交通省が名指しで注意している失敗です。 手続ページは「昨今、申請先の誤りにより補正指示が発生する事例が頻発しております」としたうえで、空港等周辺・緊急用務空域・150m以上の空域は東京空港事務所長又は関西空港事務所長(双方にまたがる場合は両空港事務所長)、それ以外は飛行場所を管轄する東京航空局長又は大阪航空局長(双方にまたがる場合は申請者の住所を管轄する地方航空局長)と書き分けています。配送は距離を飛ぶため、経路が2つの地方航空局にまたがることが珍しくありません。経路を引いた段階で、どちらに出すのかを確定させておくべきです。空港周辺の扱いは空港等の周辺でドローンを飛ばす。制限表面と、申請先の分かれ目で整理しています。

法人としての開業手続そのものはドローンで仕事を始めるときの手続き。法人か個人事業主か、最初にそろえるもの、機体登録の実務は無人航空機の登録制度 完全ガイドと法人でドローンを登録するときの手続き、DIPS2.0のアカウント設計はDIPS2.0の法人アカウントと個人アカウントの使い分けと複数人でDIPS2.0を運用するときの権限設計で扱っています。通信に使う電波の免許は5.7GHz帯のドローンを使うには。無線局免許と第三級陸上特殊無線技士をご覧ください。

飛び始めてから続く義務と、運航体制

許可・承認は入口です。配送は毎日・何便も飛ぶ業務なので、続く義務を誰がどう回すかを決めておかないと、どこかで必ず抜けます。

やることタイミング根拠・出典
飛行計画の通報 特定飛行を行う前にあらかじめ。経路に係る他の無人航空機の飛行計画も同じシステムで確認する 法第132条の88。航空局標準マニュアル2-3(15)。配送ガイドラインは「特定飛行以外の飛行を行う場合であっても、飛行計画を通報することが推奨される」とも書いています
飛行日誌 飛行の都度、実績を記録。点検・整備は定期的に実施し記録を作成 法第132条の89。航空局標準マニュアル2-3(14)(16)、1-2。同マニュアルは20時間の飛行毎の点検も定めています
許可書の携行 飛行の際、毎回 航空局標準マニュアル2-3(19)「許可書又は承認書の原本又は写しを携行する」
緊急用務空域の確認 飛行を開始する前に毎回 航空局標準マニュアル2-3(2)。許可を持っていても飛べません
航空情報のための通知 飛行を行う日の1開庁日前まで。飛行を取りやめた場合も速やかに通知 審査要領5-4(4)。手続ページにExcelの「飛行内容通知書」の様式が掲載されています
有人機への周知 初回飛行の少なくとも1週間前(有人機団体)/飛行前(関係機関・緊急運航者) 航空局標準マニュアル3-3(7)。手続ページは「航空機の運航者の連絡先については、飛行申請手続きの過程で各審査部局からお知らせします」としています
事故・重大インシデントの報告 事態が発生したとき速やかに 法第132条の90・第132条の91。航空局標準マニュアル3-7は、警察署・消防署等に加えて許可等を行った官署まで報告することと、執務時間外は24時間運用の空港事務所へ電話することを定めています
期限の管理 許可・承認、機体登録、技能証明、機体認証それぞれ 包括の更新は満了の40開庁日前から10開庁日前まで。期限が重なるため横断管理が要ります

通報と日誌の具体的な回し方はドローンの飛行計画の通報はいつ必要か、DIPS2.0で飛行計画を通報する手順、ドローンの飛行日誌の書き方、事故報告は事故と重大インシデントの報告、期限の横断管理は期限を切らすと何が起きるかで扱っています。緊急用務空域については緊急用務空域。包括許可を持っていても飛べなくなる空域をご覧ください。

体制の作り方について、配送ガイドラインが書いていること

国土交通省の「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン」は、「ドローン物流サービスにこれから着手する主体を対象とすることを念頭においた手引き」と自ら位置づけており、第1部が社会実装編として立ち上げの段取りを扱っています。航空法の細目は教則と審査要領のほうが新しいので、ガイドラインは物流固有の論点だけを拾うのが正確です。

論点ガイドラインの記載(要旨)
運航事業者の選定 「価格のみならず、運航実績、安全管理体制、サービス提供体制などについて、総合的に判断することが望ましい」。配送先の配達人等は、ボランティア、地元の商店やへき地診療所の職員、利用者が直接受け取るなどが想定され、地元リソースの状況・荷物の内容・安全性を考慮して選ぶ
地元との調整 「地方公共団体や住民、現地のサービス提供者の主体的な関与が必要不可欠」。騒音・事故の不安・プライバシーの侵害が課題となるため、レベル4に限らず飛行経路下の住民等の理解を得る取組が必要。手段としてアンケートやヒアリング、協議会の開催、説明会やチラシによる周知、試験飛行への見学会を挙げています
推進役 検討事項が多岐にわたるためプロジェクトマネージャーを選定する。「現にこれまで成功しているプロジェクトの多くは、事業計画者や地方公共団体の担当者による強力かつ丁寧なリーダーシップにより運営されている場合が多い」
経路と通信 目視外では操縦・画像伝送に携帯電話の電波を使うケースが多く、事前に電波の状況を調査し、不通区間があれば迂回・基地局の設置・他の無線システムの併用から選ぶ。地図には現れない送電線や鉄塔の有無、高低差も確認する
離着陸場所 視界を遮るものがなく、障害物のない落下リスクの小さい場所を選ぶ。消費者向け配送では受取場所までの距離に配慮し、騒音やダウンウォッシュによる土埃や雪の巻き上げにも配慮する
飛ばせない日の設計 就航率を維持するため気象条件を考慮した機体を選び、雨天時などの代替輸送の確保を検討する。「代替輸送の責任を誰が負うのかを、運航事業者等と荷物等を提供する事業者等の関係者間であらかじめ確認しておくことが必要」
役割分担 「操縦者は機体の動きや操縦に集中する必要があり、離着陸エリアを含めた飛行経路の管理を操縦と同時に行うことが困難であるため、飛行準備や飛行経路の安全管理、第三者の立入り管理などは補助者が主として行う必要がある」。経路や範囲に応じた補助者の数や配置、各人の担当範囲や役割、異常運航時の対応方法も決めておく
運航判断 一般的な例として「風速5m/s以上の状態では飛行させない」「雨の場合や雨になりそうな場合は飛行させない」「十分な視程が確保できない雲や霧の中では飛行させない」。ただしメーカーが運用限界を保証している等、技術的根拠に問題ないと判断できる場合はこの限りでない
続け方 計画→提供→結果の確認→改善というPDCAサイクルの活用や人材育成により事業継続性を確保することが重要

会社としての役割分担の決め方は会社としての運航管理体制の作り方。誰が何を持つかを決める、他社から業務を受けて飛ぶ場合の取り決めはドローン業務の委託契約で決めておくことで扱っています。土地の上空については私有地の上空、所有権はどこまで及ぶのかをご覧ください。

1人で何機飛ばせるかの目安が、2026年6月に変わりました。 国土交通省航空局は「無人航空機の多数機同時運航を安全に行うためのガイドライン」の第二版(令和8年6月)を公表しています。改訂概要によれば、第一版が同時運航の機数を5機までに限定していたのに対し、第二版では機数の上限を廃止しました。ただし無条件ではなく、「機体数の段階的な増加に伴うリスクへの対策の有効性等に関する検証の実施を前提」とされ、レベル3.5飛行については「機体数の増加について運航者において特に慎重な判断が必要」と注記されています。第二版で加わった運航管理の要件は、組織的な連携を前提とした運航手順の策定、複数の不具合が同時発生することも想定した対応策、関係者への事前訓練、電波強度等の事前確認です。
なお同ガイドラインは、本文で「航空法に基づく無人航空機の規制体系において多数機同時運航に特化した安全要件等は特段定められておらず」と述べ、運航者に対して「本ガイドラインに沿って申請を行うことが強く推奨され」ると書く位置づけです。審査要領への反映は今後の検討事項とされています。

事業の形について、公式に明示がない論点

最後に、断定を避けるべき点を1つだけ。ドローンで他人の荷物を有償で運ぶことに、貨物利用運送事業法や貨物自動車運送事業法が適用されるかどうかは、公式に明示されていません。

国土交通省がドローン物流について出している網羅的な一次資料は「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0」で、その第2部が「法令編」として関係法令を章立てで並べています。挙がっているのは航空法、道路交通法及び道路法、河川法、自然公園法、国有林野の管理経営に関する法律、港則法及び海上交通安全法、土地改良法、地方公共団体が定める条例、民法(第三者の土地の上空)、小型無人機等飛行禁止法、電波法、薬機法(医薬品の配送)、信書の送達です。本文全177ページを通して、「貨物利用運送事業法」「貨物自動車運送事業法」「利用運送」といった語は1件も現れません。

必要とも不要とも、公式には書かれていない状態です。 この記事でもどちらとも断定しません。事業の形態(自社の荷物を運ぶのか、他人の荷物を有償で運ぶのか、他の運送事業者の輸送を利用するのか)によって当てはめが変わる領域であり、実際に事業を組むときは、国土交通省の物流を所管する部門に直接確認するのが確実です。航空法以外で関わり得る業法の全体像はドローンの仕事に許認可は要るか。航空法以外で関わる業法の一覧で整理しています。
ガイドラインの版にも注意が必要です。 国土交通省の掲載ページに並ぶのは Ver.4.0(2023年3月)・Ver.3.0・Ver.2.0・Ver.1.0 の4世代で、この記事の確認時点で Ver.4.0 より新しい版は公表されていません。そしてガイドライン本文の4.4は、自ら「これら飛行に必要な措置は2023年3月時点のため、これら飛行方法を実施する場合は、最新の『無人航空機の飛行の安全に関する教則』及び『無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領』を確認すること」と注記しています。レベル3.5は2023年12月の新設なので、ガイドライン本文には反映されていません。適用範囲の記述も「レベル3飛行及びレベル4飛行によりドローン物流事業を計画する者を対象とする」のままです。航空法の手続は教則第5版と審査要領(令和8年9月29日最終改正)を、物流固有の論点はガイドラインを、と読み分けてください。

よくある質問

レベル3.5の申請は、どこに出せばよいですか。
2段階です。まず本省の航空局に事前相談します。国土交通省の手続ページは「通常の申請先である地方航空局ではなく、本省航空局が窓口となりますので、お間違いのないようお願い致します」と明記し、窓口を航空局安全部無人航空機安全課 制度改正担当としています。ここで運航概要宣言書を調整し、航空局管理番号の発行が完了するとDIPS2.0からの電子申請が可能になります。そのうえで、レベル3.5飛行用申請様式により東京航空局または大阪航空局へ飛行許可・承認申請を提出します。運航概要宣言書の調整は、内容に変更がない限り初回のみです。
運航概要宣言書を出すと、書類はどれくらい減りますか。
申請時の提出は減ります。通常のレベル3飛行では様式3種と別添資料8種を提出するところ、レベル3.5では別添資料の1(飛行の経路)・2(登録記号等、製造者、名称、重量等)・3(運用限界等)・7(飛行マニュアル)が提出不要になり、残る別添資料も記載事項が簡素化されます。ただし国土交通省の資料は「⚠ 提出が不要となる資料においても、申請者にて作成し具備することが必要です。⚠ 当局から別途提出を求める可能性がありますので、その際は速やかにご提出いただきます」と明記しています。具備すべきものとして、運航条件等を設定した資料、機体の追加基準適合状況を示せる資料、操縦者の飛行実績又は訓練実績、立入管理区画を地図上に示した資料、機体の初期故障期間を超えた飛行実績を示せる資料の5点が挙げられています。
レベル3.5の飛行マニュアルは、自分で作る必要がありますか。
原則として不要です。国土交通省の手続ページに「航空局標準マニュアル(機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行-「レベル3.5飛行」等-)」が公開されており、DIPS2.0の飛行マニュアル選択欄にも専用の選択肢が用意されています。国土交通省の資料は「基本的にはこちらをご使用頂きたく、お願いします」としています。独自マニュアルを使うこともできますが、「独自マニュアルを選択される場合、審査部局にて個別に審査します」「個別に作成した飛行マニュアルにおいても、航空局が作成した飛行マニュアルと同等の水準である必要がある」と注記されています。中身には点検の周期、訓練の内容、遵守事項、非常時の連絡先、航空情報のための通知事項まで書かれているので、使う・使わないにかかわらず原本を一度通読する価値があります。
二等の技能証明を持っていれば、レベル3.5を実施できますか。
等級は問われませんが、限定の内容が問われます。審査要領は「飛行させる無人航空機に対応した現に有効な無人航空機操縦者技能証明(目視内飛行の限定解除を受けたもの)を保有していること」としており、目視内の限定が付いたままでは要件を満たしません。さらに、夜間に道路・鉄道・船舶航路の移動中の車両等の上空を通過する場合については、航空局標準マニュアル3-2(2)が昼間飛行に係る限定解除を受けた技能証明の保有者であることを求めています。夕方以降の配送を想定するなら、限定解除を2つ見込んで計画を立てることになります。
人家が密集している地域の上空に経路を通すことはできますか。
審査要領(カテゴリーⅡ飛行)は2026年9月29日に改正され、補助者を配置しない目視外飛行の経路設定について「やむを得ず人又は家屋の密集している地域の上空を飛行経路として設定する場合には、第三者及び物件への危害を防ぐための十分な安全確保措置を講じること」という定めが置かれました。国土交通省はこの改正の趣旨を「密集している地域上空を飛行経路として設定する場合の取扱いを明確化するため」と説明しています。ただし「十分な安全確保措置」の具体的な内容は、審査要領の本文には例示されていません。また、これは経路の設定の話であり、第三者の上空を飛ぶこと自体を認めるものではありません(それはカテゴリーⅢです)。該当する経路を検討するなら、事前に航空局へ確認するのが確実です。
DIDの中で配送を始めることはできますか。
DID上空の飛行は許可の対象ですが、レベル3.5と組み合わせた実例が公表されています。国土交通省が2026年9月に更新した「レベル3.5飛行事例集」には、離着陸地点となる病院がDID内にあった和歌山市の配送実証について「DID内でも第三者が少ない場所を確認して最大限にリスクを排除した飛行ルートを設計し、離着陸地点における第三者立入防止の安全措置を講じることで、日本初となる『DIDを含むレベル3.5飛行』を実現した」と記載されています。安全確保体制として挙げられているのは人流調査を踏まえたルート設計と事前の住民周知等による第三者立入防止の安全措置の徹底で、運航者のコメントでは離着陸地点への監視・警告機能を備えた設備の設置にも触れられています。なお、レベル3.5用の航空局標準マニュアルは、表題の括弧の中にDIDを含んでいます。
申請はどのくらい前に出せばよいですか。
審査要領(カテゴリーⅡ飛行)は「当該申請に係る飛行開始予定日の10開庁日前まで」と定めています。ただし国土交通省の手続ページは「申請内容に不備があった場合には追加確認に時間を要し、飛行予定日までに許可・承認が得られないことも想定されるため、飛行開始予定日から3〜4週間程度、十分な余裕をもって申請を頂きますようお願いします」としています。レベル3.5の場合は、この前に本省航空局との事前相談と運航概要宣言書の調整が入りますが、その所要期間について公式に示された目安は確認できていません。また、航空情報の発行が必要な飛行は、申請とは別に飛行を行う日の1開庁日前までの通知が要ります。カテゴリーⅢは飛行開始予定日の20開庁日前までです。
同じ経路を毎日飛びます。毎回申請が必要ですか。
カテゴリーⅡであれば、同一の申請者が一定期間内に反復して飛行を行う場合や異なる複数の場所で飛行を行う場合は、包括して申請できます。期間は原則3か月以内で、申請内容に変更を生ずることなく継続的に飛行させる場合は1年を限度としますが、審査要領は「5-2、5-3及び5-4に掲げる飛行を同時に行う場合を除く」と括弧書きしています。5-2はDID上空、5-3は夜間飛行、5-4は目視外飛行なので、この3つを同時に行う配送では1年の上限は使えません。なおレベル3.5は「特定の場所・経路で飛行する必要がある」とされ、DIPS2.0でも経路を住所で列挙して入力する形になります。包括申請の考え方は包括申請とは。個別申請との違いと、使い分けの判断基準をご覧ください。
1人の操縦者で複数の機体を飛ばして効率を上げられますか。
国土交通省航空局は「無人航空機の多数機同時運航を安全に行うためのガイドライン」を公表しており、第二版(令和8年6月)で同時運航の機数の上限を廃止しました(第一版は5機まで)。ただし「機体数の段階的な増加に伴うリスクへの対策の有効性等に関する検証の実施を前提」とされ、レベル3.5については「機体数の増加について運航者において特に慎重な判断が必要」と注記されています。同ガイドラインは、航空法の規制体系に多数機同時運航に特化した安全要件は定められていないとしたうえで、運航者に対して「本ガイドラインに沿って申請を行うことが強く推奨され」ると書く位置づけで、審査要領への反映は今後の検討事項とされています。
役所の書類や証明書を運ぶ実証はできますか。
信書に当たるかどうかを先に確認する必要があります。総務省は、信書の定義を郵便法第4条第2項の「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」とし、信書に該当する文書として書状、請求書の類、会議招集通知の類、許可書の類(免許証、認定書等)、証明書の類(印鑑証明書、住民票の写し、車検証、点検・調査・検査などの結果を通知する文書等)、一部のダイレクトメールを例示しています。他人の信書の送達の業は郵便法第4条第2項で禁じられ、信書便法第3条が適用除外を定めています。除外されるのは、一般信書便事業者、特定信書便事業者、これらから信書便の業務の一部の委託を受けた者、協定等を結んだ外国信書便事業者の4類型です。なお総務省は、CDやUSBメモリ等に電子データとして記録したものは「文書」に当たらず信書に該当しないとしています。
この記事の一次ソース
  1. 国土交通省|無人航空機の飛行許可・承認手続
  2. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)令和8年9月29日最終改正(PDF)
  3. 国土交通省|航空局標準マニュアル(機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行-「レベル3.5飛行」等-)令和7年12月26日更新版(PDF)
  4. 国土交通省|カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について(PDF)
  5. 国土交通省|レベル3.5飛行に係るDIPS2.0を用いた電子申請について(PDF)
  6. 国土交通省|カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)事例集 令和8年9月(PDF)
  7. 国土交通省|カテゴリーⅡ飛行(レベル3飛行)申請方法(PDF)
  8. 国土交通省|無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)(PDF)
  9. 国土交通省|無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(令和8年7月7日公布/7月14日適用・PDF)
  10. 国土交通省|無人航空機に係る規制の運用における解釈について(解釈通達・PDF)
  11. 国土交通省|無人航空機の多数機同時運航を安全に行うためのガイドライン 第二版(令和8年6月・PDF)
  12. 国土交通省|無人航空機の多数機同時運航を安全に行うためのガイドラインの改訂概要(PDF)
  13. 国土交通省|物流分野におけるドローンの活用(配送ガイドラインの掲載ページ)
  14. 国土交通省|ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0(PDF)
  15. 国土交通省|総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合は第三者賠償責任保険の加入が必要です(PDF)
  16. 国土交通省告示第435号(人口集中地区からの工業専用地域の除外・PDF)
  17. 総務省|信書の定義について〜ガイドラインの基本的考え方を中心に〜(PDF)
  18. 総務省|民間事業者による信書の送達に関する法律(法令本文・PDF)
  19. 総務省|信書のルール
  20. e-Gov法令検索|航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)
  21. e-Gov法令検索|航空法施行規則(昭和二十七年運輸省令第五十六号)
本記事は2026年10月1日時点の情報です。 無人航空機の制度は改正が続いており、審査要領は通達として短い手続で改正され得ます。実際、この記事で扱った審査要領(カテゴリーⅡ飛行)は2026年9月29日に改正された版で、同じURLの内容が差し替わる形で公開されています。レベル3.5の運用、密集地域上空の経路設定、多数機同時運航の扱いは、とくに動きやすい領域です。なお、確認日時点でe-Gov法令検索がシステムメンテナンス中であったため、航空法・施行規則・郵便法の条文は本文で示した各省庁の資料により確認しています。また、貨物利用運送事業法・貨物自動車運送事業法との関係については、この記事で参照した国土交通省の一次資料に記載が見当たらないことを述べたものであり、適用の有無を判断したものではありません。実際の申請・飛行・事業化の前に、必ず上記の一次ソースで最新の内容をご確認ください。

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